本日取り上げてみるのは、リコーが2009年12月に発売したGXR。レンズ、イメージセンサー、画像処理エンジンを一体化したユニットを丸ごと差し替える『ユニット交換式』という風変わりなものだ。ユニットごとにセンサーのサイズがAPS-Cであったり、通常のコンパクトデジカメ並みに小さなものであったりする。一眼であれば、ボディを買い替えてもレンズは引き続き利用できる資産ということになるのだが、このユニットとは現行のGXR専用である。
なかなか良さそうだなと思いつつも、特に欲しいと思うまでには至らなかった。少なくとも今年8月に『GXR MOUNT A12』というユニットが発売されるまでは・・・。
このユニットはMマウントの交換レンズに対応。Mマウントといえば、まず誰の頭にも浮かぶのはライカだが、言うまでもなくひとつの『世界標準』のマウントであるため、他にもフォクトレンダー、ツァイスといった名門どころのレンズも装着できる。またニコン、キャノンその他の日本メーカーもこのマウントのレンズを製造していた時期があった。
GXRをGXR MOUNT A12と合わせて購入したりすると、こうしたレンズが次から次へと欲しくなって大変なのではないかと思うが、こうした古いレンズ資産がふんだんに活用できるというのは魅力的だ。たぶん、これまでGXRにあまり関心を持っていなかった人たちの中で、このGXR MOUNT A12が発売されてから、突然大マジメに購入を検討している人たちが大勢いるのではないかと思う。
刷新の速度が極端に早いデジタル製品なのに、古いアナログ時代のレンズがふんだんに活用できるユニットの開発とは、いいところに目を付けたものだと思う。
マイクロ・フォーサーズのカメラ用にMマウントを装着するためのマウント・アダプターが販売されているが、Mマウントのレンズをそのまま装着できるモデルといえば、これまでならばライカのM9 (700,000円前後)やエプソンのR-D1xG (200,000円前後)といった敷居が高く、価格的にも手が届かない超高級機であった。
だがGXR (25,000円前後)とGXR MOUNT A12 (59,000円前後)の組み合わせならば、ずいぶんリーズナブルに『Mマウント専用機』が手に入ることになるのが素晴らしい。発売から2年経過しようとしているGXRだが、Mマウント装着用のマウントが発売されたことにより、写真好きな人たちの間で俄然注目を集めることになった。今後もしばらく現行モデルでの販売が続くだろう。
GXRとGXR MOUNT A12という組み合わせについては、ハイエンドなコンパクトデジカメといった括りが適当かどうかということもあるが、万人ウケするものではなく、むしろカメラ自体が使い手を選ぶような具合になってしまうのだが、高級コンパクト機のありかたについて、唯一無二の大変魅力的な提案である。