インド映画を屋外に持ち出そう!

COWON A3
先日、『ポケットの中のインド』を書いたばかりだが、音楽を聴く以上に『出先で映画観たい』という動機でせっかく購入したiPodを手放してしまった。音楽の取り込みや再生などの部分では何ら問題なかったのだが、動画の扱いに大きな問題があったからだ。購入後のごく数回はうまく機能したようなのだが、ほどなく具合がおかしくなってしまった。テレビ等と接続して映像や音声を取り込む機器をつなぎ、マニュアルどおりの手順で操作してみたのだが、どうもうまくいかない。
メーカーのサポートに幾度となく問い合わせて、そのたびに丁寧な回答をもらっていたのだが症状は改善せず。録画された映像をパソコン上で試しに再生しようとするとエラーが生じ、機器専用のソフトウェアでiPodに同期させるiTunesにアップロードしようとすると、その映像ファイルがどこかに消滅してしまう。もともとこうしたモノには弱いのでお手上げである。
販売店に相談したところ、購入後半月経過していたにもかかわらず『iPodと周辺機器と両方返品・返金賜りますよ』との親切な返事をいただき、すぐに店舗に持ち込んで手続きをすることにした。ただ代金だけ戻してもらうのでは所期の望み『屋外ときどき映画』が実現できない。他のメーカーの類似品を買い求めても、やはり同様のトラブルが発生しては困る。よりシンプルに、外付機器やパソコンと同期させるという手間なしに使えるPMP機器はないものか?と相談。店の方は各メーカーの機器をひととおり見比べたうえで、ある商品を勧めてくれた。


その方が『こちらがオススメです』と言う手にするのは、COWON A3シリーズの機器。昨年12月に発売された新顔らしい。iPod Classicよりふたまわりくらい大きく厚みもある。ちょっとデカイかなという気もするが、カバンの中に常時放り込んでおいて気になるほどではないだろう。画面が4インチと大きめ(iPod Classicは2.5インチ、touchは3.5インチ)で見やすそうだ。
内蔵されているサンプル映像を再生してみると、液晶画面が繊細で美しい。店頭で実際にテレビからの録画を試してもらい動作確認。扱いがごく簡単そうなのでこれに即決。A3というシリーズの製品の中で、HDD容量の大小によりランクがいくつかある。私が購入した機種の容量は最も価格が低い30GB。これくらいあればまあ充分だろう。
実はそのときまでCOWONなる企業の名前さえ耳にしたことがなかった。響きからしてそうかな?と推測したが、やはり韓国メーカーだ。1995年に設立で急成長中の新興企業らしい。漢字ではどう書くのだろうか?『コウォン』と耳にして、『高原』という文字が脳裏に浮かぶのだが。それはともかく日本にはコウォン・ジャパンという現地法人があり、まだインドに直接進出していないが、国内主要都市に販売協力店を持つムンバイーのLipap Systems Pvt. Ltd.が代理店となっていることがわかった。
一般にPMP (Portable Media Player)と呼ばれる機器でできることは似たり寄ったりだが、機種により得意とする部分は異なり、それは操作体系や記憶媒体の容量などに表れるようだ。おおまかに言えば、音楽が主体か、それとも映像が上位に扱われているか、インターネット経由でダウンロードされたデータをストレージして使うことに優れているか、ワンセグなどのテレビ放送受信機能を重視するかなどといったところだ。従来のPMP機器では、音楽データを扱う機能が主で、映像その他はこれに従属するものであった。
IT関連産業が盛んな韓国のPMP機器については、外資ブランドよりも自国内メーカーによるモデルの売り上げのほうが大きいという激戦区だけあり、何かと個性豊かで気の利いた機種が多いとされる。そこで鍛えられたCOWONは小型軽量モデルを量産しているようだが、同社のA3シリーズは、各社から発売されている競合機種に比べてかなりボディが大きい。
この手の機器に求められるコンパクトさを犠牲にして4インチという大画面を搭載していること、その割には動画再生時のバッテリー駆動時間が最大7時間と長いこと、HDDサイズが30GB、60GBと大型であることなどから、明らかに映像を扱うことに最大の力点を置いていることがわかる。通常、録画可能なPMP機器の場合、本体に録画してから専用ソフトの入ったパソコンで同期させて登録するといった作業が必要となるのだが、この機器ではそうした作業なしにそのまま映像ファイルを観ることができるのも特長だ。テレビやデッキから映像を取り込む高い場合、とてもありがたい機能だ。
またデジタルカメラとUSBケーブルでつないで撮影データを直接取り込むこともできるため、旅行等の際の写真データのストレージとして使うこともできるし、取り込んだデジタル画像を表示したり、テレビなど外部機器の画面に出力したりすることもできて便利だ。テレビは設定画面でNTSC、PALの切り替えができる。
電源は100〜240 Vまで対応、USBコネクタ経由で充電することも可能。パソコンと接続してデータをやりとりする際には自動で充電がなされているのも多くのメーカーから出ているこの類の機種と同じ。もちろん操作体系も直感的に扱うことができるようになっておりわかりやすい。 Podcastにも対応しており、日々新鮮なトピックを収集するのに役立てることができる。取り込んだ音楽データの同期には、COWON AMERICAが開発したJetAudioを使用する。
若干ながら注文をつけたくなる部分もないではない。せっかく最新の魅力的な機能が盛り込まれているのにデザインは古臭くて気に入らない。そして操作感にやや難ありだ。メニュー選択するためのジョグレバーがコリコリしていて扱いにくいのでぜひ改良して欲しい。またその部分の物理的な摩擦が大きくすぐに傷んでしまうのではないかとちょっと気になる。これまで利用したことのないメーカーであることから、正直なところ耐久性には一抹の不安を感じないわけではない。でもカカクコムの掲示板を覗いてみると、COWON製品の評判は上々で、A3シリーズを愛用している人も多いようなので、まあ大丈夫だろう。
結論として、COWONのA3シリーズは、映画持ち歩き人間には実用的でオススメなPMPではないかと思う。蛇足ながら日本にお住まいの方の場合、別売りのチューナーを購入すれば、ワンセグ視聴と録画も可能である。言うまでもなくデジタル製品は陳腐化するのは早いものだが、少なくとも今時点で『専ら映画』で使用する場合においては、唯一無二で魅力的なデバイスである。

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