同志たちの大脱走

過激派の活動家たちが収容される地方の刑務所で、300人近くもの囚人たちが数に物を言わせて看守たちを圧倒して壮大なスケールのムショ破り・・・なんていうと、まるで荒唐無稽なアクション映画の見せ場のひとつみたいだ。
しかし事実は小説より奇なり、チャッティースガル州都のラーイプルから南に下ったところにあるダーンテーワーラー刑務所から、なんと299人もの収容者たちが逃走してしまったのだ。当初、夕食時間中に同刑務所内で囚人同士のトラブルを装った騒ぎから大きな衝突に発展し、多勢に無勢で劣勢の刑務所職員側はこれを抑えきれず、ライフルなどの武器を奪われるなどしたうえで、この記録的な規模の大脱走を許してしまった。これは事前に綿密に計画されたものであったものと推測される。
このたび姿をくらました囚人たち299人の中の110人は、インド東部におけるマオイストの活動家であり、彼らは当局に身柄を拘束されるまでの間に警察その他政府関係者や市民など数千人を殺害していたとされる。この刑務所に収容されていた人々の多くはマオイストかその支援者であったとのことに加えて、マオイストの指導部がこのあたりにあるのではないかとされる地域でもある。
ひとつ屋根の下で服役する『同志』たちによる謀略もありえる環境、周辺地域で志を同じくする仲間たちによる支援等々の可能性も大きい危険な土壌とあれば、刑務所関係者自身の不手際はもちろんのこと、州の治安当局そのものの責任も厳しく追及されるべきだろう。
インド東部や中部などで、マオイスト勢力のように強固な思想背景を持つ一種の『軍閥』の存在は大きな懸念材料だが、厳重な監視下にあるべき刑務所で、そこに収容されている大勢の活動家やそのシンパたちが施設関係者たちを力で圧倒し、これほどの規模の脱出劇が成功してしまうということの背景には何があるのだろうか。
治安当局の能力に対する疑問とともに、治安機構の中に根を張るマオイスト独自の情報網の浸透、彼らを取り締まる側つまり政府組織の中における協力者たちの存在を疑う人は少ないだろう。地元政府自身、いま一度自らの厳重な身体検査を実施すべきかもしれない。この事件に関する脱走者たちの手口や事件の背景等々、詳細な続報が待たれるところである。
Over 100 Naxals flee after Dantewada jailbreak (Zee News)

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