ストライキ! Air India

9月前半、400名余りのパイロットによるストライキにより、5日間で800ものフライトがキャンセルとなったのはジェットエアウェイズだったが、今度はエアインディアの操縦士たちのストは、本日9月29日で4日目に突入。
争議の原因は前者が解雇された同僚パイロットの復職を求めるものであったのに対し、後者は人件費の大幅な削減を目的とした成果主義の導入によりボーナスが最大5割ほどカットされることに対する反発によるものである。
エアインディアでストライキを実施しているのは180名のパイロット。過去4日間で150を超えるフライトがキャンセルされているという。こうした事態を受けて、本日から向こう15日間の新規予約を停止している。
そのためエアインディアのサイトにアクセスしてみると、左側に表示される『Book Online』のメニューからその期間のどのフライトを指定してみても『Not Available』と赤い文字で表示されるようになっている。
だいぶ前から民営化が揶揄されているものの、累積赤字が巨額であることから、なかなか手を挙げる資本も見つからず、先行き不透明なエアインディアだが、こういう事態になったのは、現場で働く人々の怠慢によるものではなく、国営であるがゆえのコスト意識の低さという会社の体質、ならびに放漫な経営を続けてきたマネジメント側に責任があるのだとすれば、そのツケを飛行機を操縦する我々に肩代わりさせようなどということは断固として許せん!という主張は当然のことかもしれない。
パイロットといえども会社に雇用される身であり、労働三権を持つ労働者であることから、経営側による不当な圧力をはね返すべく闘う権利を有している。
しかし、昨年あたりから航空業界は燃油の高騰に続き、世界的な不況、新型インフルエンザの流行などといった逆風の中に喘いでいるとはいえ、各地で沢山の新興航空会社の誕生が続いてきたこともあり、恒常的に人材不足。
そのため他社による引き抜きを防ぐため、あるいはヨソの会社からパイロットを自社に移籍させるための手段として、給与が高騰していた時期がある。もとより特殊な資格が必要であることから、一般的に普通の勤め人よりも相当高い給与を得ているがゆえに、市井の人々からしてみれば『あんたらもちょっとは我慢したらどうだね!』といったところではないだろうか。
途上国のキャリアとはいえ、エアインディアの機長クラスともなれば、月給は日本円にして150万円を超える水準のようで『世界標準』と比較しても遜色ないものであるようだ。
本日までのところで150のフライトが運休。予約も向こう半月は入れることができないとなれば、いったいどれくらいの乗客が迷惑を蒙ることになるのだろうか。1932年にターター・エアラインスとして創業してから77年に及ぶエアインディアの長い歴史の中でも、特筆すべき労働争議のひとつとなるだろう。
利用客あっての交通機関であり、お客や荷物を目的地まで運び届けることが航空会社の存在意義である。エアインディアの経営陣、国営キャリアを監督する立場にある政府とともに、パイロットたちも含めて、利用者の立場にも充分配慮し、責任ある行動を心がけて欲しいものである。

「ストライキ! Air India」への1件のフィードバック

  1. スト突入5日目にして、政府ならびに経営陣が大幅な譲歩をしたため、ようやく解決に至ったようです。しかしながら今後エアインディアに大ナタが振るわれるという方向は変わらないため、これからもゴタゴタが散発することにはなるのでしょう。
    Air India pilots call off protest (BBC South Asia)
    http://news.bbc.co.uk/2/hi/
    労働争議とは、結局のところ力関係であるため、被雇用者の立場であっても、パイロットのように社会的な需要はあれども、供給不足であり、なおかつ高度にプロフェッショナルな資格を有する人たちの立場は非常に強い!ということを改めて感じました。

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