日本式の食事処 2

そんな『和食圏外』のインドで、しかも都市圏から遠く離れていながらも健闘している和食レストランがある。ダラムサラのマクロードガンジにあるルンタ・レストランだ。 ルンタ・ハウスという建物の中にある。 

NGOルンタ・プロジェクトが、現地のチベット難民たちによるNGO組織であるグチュムスの会とともに、難民に対する職業訓練施設を兼ねて運営しているものだ。ルンタ・レストランは彼らの活動のための収益部門のひとつである。 

そんな訳で通常のレストランとは性格が異なるのだが、ここはずいぶん繁盛している。日本人旅行者その他の滞在者による利用とともに、ロンリープラネットにも紹介されているため西洋人客が非常に多いことも特徴だ。またインド人観光客の姿も散見される。 

パッと見た感じでは、店内に日本式食堂という雰囲気はあまりないが、奥の方には座敷風になっているコーナーがあってくつろげる。 マクロードガンジに多いツーリスト向けのレストランやカフェの中のひとつだが、店内が広くてキビキビしたスタッフの応対が良いことに加えて、普通ならば日本国外ではかなり高い値段の付く日本式の料理を、バックパッカー向けの食堂の価格で提供していることが人気の理由だろう。 

お好み焼きが50Rs, かき揚げ丼は60Rs, 日替わりの定食(巻き寿司の日もあり!)は120Rsといった具合だ。日本国外で『和食』を謳うレストランの中で格段に安い。他にもうどんや日本風のカレーライスもあり、どれも男性客にとっても充分な分量が出てくる。パンやデザートといった洋風のアイテムもある。ピュア・ヴェジのアイテムもあるので、菜食主義のお客も安心だ。 味のほうは、質実剛健というか、男の手料理というか、ちょっとごっつい感じはするものの、私たちが普通に作って食べている家庭料理といった印象だ。 

日本人観光客や滞在者が多いとはいえ、『和食圏外』の国で、しかも都市圏から遠いこと、また値段の面でも格安であることから、NGOの収益部門であることも併せて、通常の和食レストランとは異なる型破りな存在である。 運営母体であるNGOの活動はもちろんのこと、ルンタ・レストランの今後ますますの繁盛を期待したい。

 <完>

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