
かつてバンコクのマレーシアホテルといえば、大変いかがわしいムードが漂っていたものだ。1970年代、帰休の際にタイを訪れるベトナム戦争従軍中の米兵たちの利用が多かったことに由来する、男性の歓楽地としての伝統(?)みたいなものを引きずっていた。1990年代に入ってからも、そんな感じであった。
1階ロビーや併設されたカフェあたりには、「いかにも!」という感じの女性たちがたむろしていて、出入りする人たちに流し目を送っていたものだ。バンコクを幾度か訪れたことがある方ならば、ちょうど現在のナーナー・ホテルのような具合と言えば理解してもらえることだろう。
さて、そのマレーシアホテルだが、近年は大胆に路線変更して健全なファミリー向けのホテルに生まれ変わったという話を耳にしていたので、実際に宿泊してみた。聞いていたとおり、そういう過去を感じさせる片鱗さえまったく見当たらない落ち着いた雰囲気になっている。
経営者が代替わりしたか、所有者が他者に売却でもしたのだろうか。現在の客層は西洋人の親子連れや中高年カップルが多いようだ。建物の造りや室内外の設備はさすがに古くなっているが、キレイに改装してあるため快適に過ごすことができる。
このエリアは、旅行者ゾーンとして賑わっていたものだが、これまたそういうムードではなくなっている。界隈に沢山あったゲストハウス、旅行代理店はほとんどなくなっており、シーロムのオフィス街が徒歩圏内にある都心の住宅地といった風情だ。
旅行者相手の宿や店が姿を消しているが、空き家になっているわけではなく、普通の家屋や住宅地の商店に入れ替わっているため、寂れた感じではない。
カオサンやスクムヴィットの宿に宿泊するよりも、ずいぶん静かに過ごすことができるし、ラーマ4世通りやMRTのSilom駅やKhlong Toei駅にも近くて便利だ。繁華街に宿泊しなくてはならない特段の理由がなければ、便利な都心で閑静な環境にある2017年のマレーシアホテルは、なかなか好印象であった。


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