月の北極付近に相当量の水が存在することが明らかになったのだそうだ。
Ice deposits found at Moon’s pole (BBC NEWS)
昨年8月下旬に通信が途絶したことによりミッションが終了しているインド初の月探査機チャンドラヤーン1号により得られたデータにより判明したものだという。
人工衛星の打ち上げ数では、ライバルの中国に対してはまだ遅れをとっているものの、ドイツやイギリスと肩を並べ、宇宙開発の分野でメジャープレーヤーとして定着して久しいインドだ。今後も人類の宇宙探索の様々な方面で貢献していくことになるのだろう。
将来利用可能な資源の探索はもちろんのこと、軍事目的での転用など、様々な実利的な目的あっての壮大な事業だが、かつて西洋人たちが東西に船舶を走らせ、欧州域外への進出を図った大航海時代が始まった時期と似たようなものかもしれない。
いつか人類が月や火星からミネラル類を輸入したり、開発プロジェクト等のために他の星に長期滞在したりする時代がやってくるのだろうか。各国の思惑が交錯する中で、地球外の空間や土地における主権や統治の概念等は、どのようになっていくのか見当もつかない。それがゆえに有力な国々が競って宇宙への進出を画策しているのだろう。
軍事、ロケットといえば、インドのミサイル、アグニ3は、射程距離1,500〜3500 kmの同国で文字通り第三世代の中距離弾道ミサイルで、アッサム州内から発射した場合、北京や上海も射程距離に入るようになっている。
前世代のアグニ2は飛行距離800から2000 kmで、スィッキム北部の軍事施設からなんとか四川省の成都あたりには届くといった程度であったのに比べて飛躍的な進歩である。
次世代アグニ5は,(なぜ『4』をスキップして『5』になる。おそらくそれまでの中距離弾道ミサイルから本格的な大陸弾道ミサイルへと進化し、別格のものとなるからであろう)では、航続距離を5000 kmまで大幅に伸ばし、インドのどこからでも中国のほぼ全土が射程圏内に収まるようになる。
宇宙開発は、国の将来への投資であるといえるし、そうした先端技術を持つことが、国力自体を増進させるという効果もあるのだろう。またミサイルについても、現にパーキスターン、中国という核を保有する国々と長年緊張関係にあり、国防上のバランスを取っていく必要性を否定できないだろう。
しかし宇宙開発も軍拡も、これらの事業を行なうことにより、どれほどの予算が費やされているのかということを思えば、ちょっと複雑な気持ちになる。
昨今、経済発展が好調なインドとはいえ、そこはスタート地点があまりに低かったがゆえに、動き出せば伸びしろが大きいということに他ならず、今でも決して裕福で社会的に余裕のある国ではない。
巨大な予算をつぎ込んで、先端技術を駆使した開発が華々しくなされているいっぽう、世界最大の貧困人口を抱えているこの国では、生活環境等改善のため、こうしている今にも適切な投資を必要としている人々が大勢いる。
その配分をどうするのか決めるのは、言うまでもなく政治の役割だ。一足飛びに生活大国へ・・・というのは無理にしても、先端技術で華やかな成果を謳いあげるのと同じくらい、社会のボトム部分の底上げを実現できる日が来ることを願いたい。
カテゴリー: economy
-
月の水
-
ムンバイー タクシー業界仰天
拾ったタクシーの運転手がたまたまお喋りな人で『あなたどこの人?』と尋ねてくる。『Tokyoだ』と答えると、『トゥルキー(トルコ)の人かい。てっきり日本人かと思ったよ』などと言っているが、またどこかで会う人ではないので、こちらは特に否定しない。
『あなたの田舎はどこだい?』と振ってみると、『ラクナウーの近く』との返事。『ラクナウーからどちらの方向かい?』『ゴーラクプルのほうに120キロくらいかなぁ』『じゃあファイザーバードのあたりだな』『おぉ、まさにそこさ!よく知ってるねぇ』なんていう話になった。
かれこれムンバイーで運転手家業を始めて16年になること、数ヶ月前に数年ぶりに帰郷してみて楽しかったこと、ごくたまにしか会うことのできない子供たちが、父親不在でもしっかりと成長して、特に長男が学校で親の期待以上に頑張って良い成績を上げていることなど、いろいろ話してくれた。
こうした人に限らず、ムンバイーのタクシーを運転しているのは、たいていU.P.かビハールの出身者たちだ。郷里に家族を置いて、懸命に稼いでは送金している人が多い。家は遠く離れているし、そう実入りのいい仕事ともいえないが、家族はそれをアテにして暮らしているため、一緒に生活したくてもそうしょっちゅう帰ることもできない。
このほど地元マハーラーシュトラ政府は、そんなタクシー運転手たちが仰天する発表を行なった。
Maharashtra Govt. makes Marathi mandatory to get taxi permits (NEWSTRACK india)
その内容とは『マハーラーシュトラに15年以上居住』『マラーティーの会話と読み書き』が必須条件になるとのこと。ヒンディーと近縁の関係にあるマラーティーを覚えることはヒンディー語圏の人たちには決して難しいことではない。ヒンディーと歴史的な兄弟関係にあるウルドゥー語を話すアジマール・カサーブ、2008年11月26日にこの街で起きた大規模なテロ事件犯人で唯一生け捕りとなり、現在ムンバイーの留置所に収監されている彼でさえも、周囲の人たちとの会話を通じ、すでに相当程度のマラーティーの語学力を身に付けていることは広く知られているとおりだ。
ムンバイーのタクシー・ユニオンも『運転手たちはヒンディーに加えて、多くの者はマラーティーだって理解するし、英語の知識のある者だって少なくない。何を今さらそんなことを言い出すのか』と、即座にこれを非難する声明を出している。
もっとも『マラーティー語学力を義務付ける』という動きはこれが初めてではなく、1995年の州議会選挙で、それまで国民会議派の確固たる地盤であったマハーラーシュトラ州に、マラーター民族主義政党のシヴ・セーナーが、BJPと手を組んで過半数を獲得することによって風穴を開けたときにも同様の主張がなされていたことがあった。
そもそも義務としての『マラーティー語学力』それ以前の1989年から営業許可の条件のひとつにはなっていたようである。それが今回、これを厳格化するとともに、最低15年以上の州内での居住歴を加えて、州外からの運転手の数を制限し、地元の雇用を増やそうという動きである。タクシー運転手家業の大半が州外出身者で占められているのは、そもそも地元州民でその仕事をやりたがる人が少ないことの裏返しでもあるのだが。
先述の90年代から伸張したシヴ・セーナーは、幹部のナーラーヤン・ラーネーが脱党して国民会議派に移籍、党創設者であるバール・タークレーの甥であるラージ・タークレーがこれまた脱退して新たな政党MNS(マハーラーシュトラ・ナウニルマーン・セーナー)という、本家シヴ・セーナーとはやや路線の違う地域民族主義政党を立ち上げた。
そのため総体としての地域至上主義は、やや影が薄くなった感は否めないものの、このふたつの政党は、やはり今でも一定の存在感を示しているがゆえに、やはり今でもコングレスは安定感を欠く、というのが現状である。
そうしたシヴ・セーナー/MNSの土俵に自ら乗り込み、ライバルの支持層を切り崩し、自らのより強固な基盤を築こうというのが、今回のタクシー運転手の語学力や在住歴に関しての動きということになるようだが、当然の如く、運転手たちの多くの出身地である北部州の政治家等からもこれを非難する声が上がっている。
州首相アショーク・チャウハーンにとっては、そうした反応はすでに織り込み済みのようで、既存の営業許可に影響はなく、新規の給付についてのものであると発言するとともに、将来的にはタクシー車両へのAC、GPS、無線機器、電子メーターと領収書印刷装置等の搭載を義務付けることを示唆するなど、議論をすりかえるための隠し玉はいくつか用意しているようだ。
これまでことあるごとに地域主義政党のターゲットとなってきた北部州出身タクシー運転手たちだが、それと対極にある国民会議派は彼らの力強い味方であるはずであったため、今回の動きについては、まさに『裏切られた』と感じていることだろう。
たまたま街中で目立つ存在であるがゆえにスケープゴートになってしまうのだが、タクシー運転手に限らず、ムンバイーをはじめとするマハーラーシュトラ州内に居住する他州出身者は多い。現在同州与党の座にあるコングレスにとって、これまで地域主義政党が手にしてきた、いわゆる『マラーティー・カード』を自ら引いてしまうことは、かなり危険な賭けであることは間違いない。
この『タクシー問題』が、今後どういう展開を見せていくことになるのか、かなり興味深いものがある。
※『ダーラーヴィー?』は、後日掲載します。
-
NIAの海外旅行保険
日本発の海外旅行保険を扱う保険会社は、AIU、三井住友海上、ジェイアイ傷害火災、損保ジャパン等々いろいろある。
同様に日本で営業するインド系の保険会社でも扱っていることはかねてより耳にしており、だいぶ前に『ニッポンで稼ぐインド国営会社』で取り上げたことがあるが、先日初めて同社の海外旅行保険のパンフレットを手にして眺める機会があった。ちなみに、これはウェブサイトからも閲覧することができる。
海外旅行総合保険 (ニューインディア保険会社)
インド最大の保険会社であり、ムンバイーに本社を置く国営のNIA (The New India Assurance Company Limited)の日本支社、ニューインディア保険会社の商品だ。
私自身、ニューインディア保険会社はまったく利用したことがない。身の回りでこの会社の保険商品を利用したという人もいないため、その評判を耳にしたことはないが、どんな具合なのだろうか? -
インド人100万人
一説によると、UAEに在住するインド人労働者の数は100万人にも及ぶのだとか。総人口567万人(人口統計に在住外国人も含まれている)中、UAE国籍を持つ人々は20%ほどで、あとは外国籍の人々だ。
UAE以外のアラブ諸国とりわけ非産油国の人々が15%, アラブ圏外ではイラン人が8%とかなり多いものの、なんと南アジア諸国の人々が50%を占めていることから『インド人100万人』という数字は驚くに値しないかもしれない。あるいはパーキスターン、バーングラーデーシュといった両隣の国々から渡っている人々も含めた『インド系人口』とした場合、とてもその数で収まるものではないだろう。
経済的な重要度に比較して、人口規模が小さく、様々な分野における労働人口が不足している湾岸産油国と、経済成長目覚しいとはいえ、世界第2の人口大国であるうえに、まだまだ失業率が高く、需要があればそれこそ無尽蔵ともいえるマンパワーを供給できるインドとの相性は、中東湾岸地域と南アジアという隣接する地理条件とともに、極めて良好だ。
歴史的につながりも深く、人々の行き来が頻繁であったことから、仕事や住居といった紹介・斡旋というベーシックなニーズにおけるインフラも備わっている。同時にこれは労働者たちに対する搾取の構造ということも言えなくもないにしても、出稼ぎに行くにあたってのハードルもそう高くないことになる。
インド人労働者といっても、エンジニアや金融関係者といった頭脳労働者から工場や建築現場の作業員までいろいろあるが、肉体労働者たちに対する待遇、とりわけ賃金契約、住環境、作業現場の安全性確保等々にかかわる問題点が指摘されることは多い。
また相当の危険を覚悟のうえで、あるいは騙されるような形でリスクの高い仕事を担わされる者も少なくない。数年前に、イラクでインド人、ネパール人などのトラック運転手が武装グループに拉致されて殺害される事件が続いたことを記憶している方も多いだろう。
このあたりの産油国ではどこもインド在住者は多いが、特に観光客の目につきやすいサービス産業に従事する者も多いためか、UAEの東隣の国オマーンについて、JTBの『オマーン情報』に、同国で使用されている言語について『アラビア語、ウルドゥー語、ヒンディー語』という記載があるくらいだ。
オマーン情報 (JTB)
おそらくタクシー運転手、ホテルやレストランを含むレジャー施設の従業員等にインドやパーキスターンの人々が占める割合が高いこともあるのだろう。
オマーンについては、位置的に南アジアに近いがゆえに、現在の出稼ぎの人々以前にやってきた移民の子孫が多いことでも知られている。南アジア西端にあるパーキスターンのバローチスターン地方から多数のバローチーの人々による移住の歴史もあることなどから、インド地域からの移民史という観点からも、ペルシャ湾を挟んでイランの南側に位置する湾岸地域は興味深いエリアである。大きな地図で見る
1990年8月にイラクがクウェートに侵攻したことに始まった湾岸危機の際、当時のインドでは外貨準備高が枯渇(輸入決済2週間分の7億米ドル相当)することによる経済危機を迎えた。危機による原油の高騰、湾岸市場への輸出高の減少などに加えて、この地域の産油諸国で働く自国民からの送金が減少した影響も大きかった。
1991年6月に首相に就任した故ナラスィマー・ラオは、著名なエコノミストであり、インド中央銀行総裁であったこともあるマンモーハン・スィン(現在インド首相)を財務大臣に任命した。当時のインドは、綱渡り的な経済運営を強いられながらも、これを機会に大胆な経済改革を断行した。
その結果、『災い転じて福と成す』といった具合に、今の経済的繁栄につながる基礎を築くこととなった。そのため2004年12月に他界した彼の首相在任中の最大の功績は、マンモーハン・スィンを財務大臣に据えたことであるという評価は多い。
もちろん今のインドは当時よりずっと豊かになり、経済規模も拡大したことから、湾岸諸国へ出稼ぎにいった人々による送金に頼る度合いも大幅に下がっているため、単純な比較はできない。
しかし現在でもケーララ州のように失業率が高く、湾岸諸国への出稼ぎが多く、彼らの送金が内需拡大に貢献しているという地域もある。同州からは、こうした国々に職を求めて出向く医者や看護婦といった医療関係者が多数あることでも知られている。
ドバイショックが、今後湾岸地域の経済ならびに世界経済にどれほどのインパクトを与えることになっていくのかは予断を許さない。堅調な伸びを維持するインド経済については、その波及を楽観視する声も多い。
だが出稼ぎ者の送金という、ややミクロな視点からは、UAEのみでも100万人規模とされるインド人労働者たち自身や彼らが養う故郷の家族、ひいては彼らを多く送り出している地域の経済は、まさにショックな事態を迎えることにならないともいえず、今後の推移を見守りたいところである。
Dubai crisis raises migrant worker fears (BBC NEWS Middle East) -
『水』商売
ここ20年間ほどの間で、現地通貨であるルピーをベースに見れば、インドの物価は今とまったく比較にならないほど上がっている。しかしながら店頭で販売されているミネラルウォーターの類の値段はあまり変わっていないし、これらを製造しているメーカーやブランドもずいぶん増えた。
店で飲料水を購入する層が大きく広がったことが、相対的な低価格化を推し進めることになっているのだ。もちろんその間に、価格や機能性にもいろいろあるようだが、浄水器を備え付ける家庭も増えた。飲み水の安全性に対する認識が上がったことが背景にある。
かつて日本でエンジニアとして働いた経験があり、現在コールカーター郊外に暮らしている友達の家を初めて訪れた際、こんな話を聞いたことがある。
ずいぶん昔のことだけれどもね、父の旧知の友人で、アメリカに移住した家族が我が家を訪れたことがあった。暑い夏の盛りだったけど、この部屋に彼らが入って来て、家の者が彼らに水を差し出したが、誰も口を付けなかった。
これが父にとって非常にショックだったんだな。ウチでお客に出したものが受け入れられないなんて。そんな不名誉なことを受け入れることができなかった。
当時は、父も私を含めた家族の他の者たちも、観念的な浄・不浄とは違う、今の私たちが言うところの衛生観念からくるものであることをよくわかっていなかった。
何しろ普段私たちが何の問題もなく飲んでいた水だからね。安全だと思ってた。まさか外から来た人たちがそれを口にすると、下痢したり病気になったりすることがあるなんて想像もしなかったよ。
それから浄水器を購入してね、もちろん幾度か買い換えたけれども。そのおかげでウチではいつも安全な水を飲むようになっているんだ。
昔からの友人の家族であることにくわえて、ましてや彼の家柄はバラモンである。彼の父自身も、また家族の人々も、二度とそういうことのないようにと願ったのだという。
同時に、それを機会に自分たちが日々口にしている飲料水のことを考えてみるきっかけにもなったそうだ。いくら慣れているからといっても、それまで家族や身内が水に起因する病気にかかることはしばしばあったようだ。
しかしある程度生活にゆとりのある層を除けば、まだまだ安全とはいえない水を日々飲用している人々は多いことは言うまでもない。
ところで、車両価格が10万ルピーほどという、これまでにない低価格が話題となったNANOが、これまでの自家用車の購買層の下に広がる大きな裾野をターゲットにしているのと同じく、あと一歩で安全な水に手が届かない膨大な人口に商機を見出したのが、やはりTATAグループである。

TATA CHEMICALSから、従来よりも安価でランニングコストも低いとされる浄水器Swachが発表された。浄水器本体は、749ルピーと999ルピーの2種類。今後さらに4機種が新たに市場に投入されるということだ。米殻の灰などを材料として出来たフィルターは299ルピーとのこと。
『世界で最も安価な浄水器』との触れ込みで、4、5人程度の世帯で月当たり30ルピーの支出で安全な水を得ることができるとされている。
差し当たっては、年内にマハーラーシュトラ、カルナータカ、西ベンガルの各州で発売され、半年ほどの間にはその他全国で販売を開始する予定。
Tata unveils Swach water purifier (new kerala.com)
バクテリアや細菌などを除去し、飲み水に起因する疾病の80%を防ぐことができるということから、庶民の健康増進に貢献すること、とりわけ乳幼児死亡率を引き下げる効果も期待されている。
もちろんインドに限ったことではなく、同様の生活環境にある第三世界の多くの国々での潜在的かつ巨大な需要も視野に入れているようで、同社の世界戦略商品であるともいえる。
しかし南アジア各地で、井戸水を飲用している地域で問題となっている砒素を除去する機能は付いていないということだ。それでも同社は砒素対策の研究も並行して行なっているらしい。今後の進展を期待したい。 -
NANOの日本上陸地は福岡!

12月11日(金)から14日(月)まで、4日間に渡って開催される福岡国際モーターショーに、TATAから発売されている10万ルピーの自家用車NANOが展示される。
日本で発売される予定はないし、そもそもインドで販売されている仕様では、日本国内で登録することはできない。
しかしながら、大都市圏を除けば、公共の交通機関のサービスがまばらで、自家用車無しでは生活していけない地域は少なくない。デフレ時代の日本では、従来の軽自動車よりも更に安いクルマの需要は出てくるのではないだろうか。
また新興国(・・・というコトバは好きではないが、いわゆる経済紙等で表現されるところの新たに経済面で勃興しつつある国々という意味での)における自家用車に対する潜在的なニーズを広く掘り起こすであろうTATAの世界戦略車について、当初は先進諸国の自動車メーカーの間では否定的な見方も少なくなかった。
しかし、今ではルノーと日産がインドのバジャージと組んで、同様の価格帯での格安自家用車の開発を宣言しているなど、他社によるライバル車の投入の動きもある。
NANO単独ではなく、追随するメーカーが出てくることにより、自家用車の新しいカテゴリーが創出されることになりそうだ。
NANOは、TATAが世界の並み居る自動車メーカーを向こうに示して見せた『コロンブスの卵』であったといえる。
しかしながら、インドを含めて道路事情、道路行政が良好とはいえない国々で、クルマの販売がかつてなく急伸することになると、どうなるのか?という不安は否定できない。 -
MagazineX Business vol.1 【特集】タタのすべて

三栄書房から、ターターの格安乗用車NANOを特集したムック本が発売された。
MagazineX Business vol.1 【特集】タタのすべて (三栄書房)
まさか日本でこのクルマの特集本が出るとは予想だにしなかっただけにオドロキであるとともに、第1号として顧客に納品されたNANOの実車をもとに、その仕様についての詳細なレビューが掲載されている。
これまで自家用車の購入層でなかった人々からの需要を掘り起こそうという、ターターの世界戦略車NANOの分析、これを生んだターターという企業体についての紹介、インドのクルマ市場ならびにそこで競い合う日系をはじめとする外資系企業の動向、インド資本の自動車メーカーの主な製造車種のラインナップといった記事が並んでいる。
NANOを中心に、これが開発された背景やこの車種が投入される市場の特徴などがバランスよく取り上げられており、インドのクルマ市場がどういったものか概観できるようになっているなど、なかなか充実した好感の持てる造りになっている。
ただし『インドといえばカレーだ』と言わんばかりに、クルマとは無関係の料理に関する記事があったり、旅行記仕立ての写真入りの取材者による雑感をまとめたページなどが入っていたりするのはちょっとどうかと思った。限られた誌面なので、やはりNANOないしはインドのクルマ事情に関する記事はいくらでも書けるはずなので、本題のほうにもっと集中して欲しかった。
あと気になったのは、人名・地名などを含む固有名詞等の表記。10万を意味する数詞ラークが『ラック』となり、ヒンドゥスターン・モータースが『ヒンダスタン・モーターズ』となっている。また拝火教徒を意味するパールスィーについて、隣り合った記事で『パールシー』であったり『パーシー』であったりと揺れがある。
日本においてインドの名称に馴染みがないがゆえ、書き手によっていろんな表記をしてしまうことになる。しかし、そうした書き方が様々なメディアで繰り返されることにより、事実上、その表記に定まってしまうことだろう。
もっともその他の外国地名・人名等で、実際とあまりにかけ離れた日本語表記がなされている例は少なくないし、お隣の中国に関しても漢字で書かれた名称等を日本語式の読み方をするのが習慣となっているため、胡錦濤を『こきんとう』と読み、重慶を『じゅうけい』と読み慣わしている。ごく一部、上海を『しゃんはい』、広東を『かんとん』などと、現地の発音に近い読み方がなされものもあるのだが。
結果として、中国語での地名・人名等の読み方について、それなりの予備知識がないと、中国の歴史や政治について英文で書かれたものを手に取ってみたり、あるいは人が英語で話すのを聞く際に、一体何のことについて、誰のことについて述べられているものなのかわからないということになってしまうという、なまじ『漢字圏』に属するがゆえのパラドックスが生じたりもする。
もっとも、現地の読み方に近づけた形であるかそうでないかはさておき、外来の固有名詞や名称等の表記がある程度定まった時点で、日本語の『語彙として定着した』といえるだろう。
その意味で、マスコミ等で取り上げられる機会がとみに多くなってきたインドについて、これまであまり日本語メディアで伝えられることのなかった沢山の人名、地名等を『日本語式に命名する』という、大きなフロンティアへの門戸が開け放たれているわけである。
そうした中、日本語の環境にとって新しいインド発の人名・地名その他の名称が、私たちの語彙の中に根付くまで、様々な書き手がいろんな表記を続けていくことになる。
話はずいぶん飛んでしまった。Magazine X Businessの創刊号は丸ごとNANOおよびインドのクルマ市場ということであったが、12月17日発売予定の次号では、『中国車のすべて』という特集が予定されている。中国では、インドとは対照的に、小規模なベンチャー企業が活発に格安車、電気自動車などを開発していることが話題になっている。再び意欲的な内容を期待したい。 -
遺伝子組み換え食用作物 インドで大量消費の日は近い?
従来の商業作物に対して、遺伝子操作を施すことにより、病虫害や除草剤への耐性、貯蔵性の向上、栄養価の増大、含まれる有害物質の減少等といった形質を与えた遺伝子組み換え作物と呼ばれる。
また医療方面での効果を上げることも期待されており、例えばスギ花粉症のアレルゲンのエピトープを含む米を意図的に造り出し、これを食用とすれば経口免疫寛容により、花粉症の時期の症状を軽減できるであろうというものだ。
将来的には、これまで栽培が難しかった環境での育成を容易にしたり、収穫量を拡大させたりといった効果も期待されている。
しかしながら、こうした作物を食用とすることにより身体に及ぼす作用はないのか、遺伝子組み換え作物が在来種と交雑することによる環境への影響など、その安全性についてはいろいろ議論されているが、今のところまだ結論は出ておらず、中・長期的な観察も不可欠だ。
こうした技術や作物についての評価は様々だが、グローバルな観点からは、バイオ燃料需要の増大、従来の農業国の工業化等、産業構造の変化による就農人口の減少、新興国を中心とした食料の需要増等に対応するため、農業における一層の効率化は避けられない。
また日本のように、現状では食糧自給率が極端に低く、耕作地が限られている国においては、食品としての安全性、環境への影響といった部分への不安が払拭できれば、能率的で、収益率も高く安定したな新しい農業のモデルを創造できるきっかけとなるのかもしれない。今後私たちと遺伝子組み換え作物との関わりは、より深くなっていくものと考えられる。
もちろんネガティヴな側面もある。遺伝子操作という新しい技術が生み出す作物について、まだ知られていない重大な欠陥や問題点が出てくることもあるかもしれないし、グローバル企業が進めるアグリ・ビジネスによるモノカルチャー化(単一品種の栽培)がこれまで以上に進展するのではないかということも容易に想像できる。
アグリ・ビジネスの中でも、とりわけバイオテクノロジー・ビジネスの分野をほぼ独占しているアメリカの私企業に、私たちの食卓の大部分を委ねるという事態になってしまうとすれば、大きな不安を抱くのは私だけではないだろう。
インドでは、2002年に綿花栽培において、遺伝子組み換え種の導入を認可した。その背景には、綿花栽培農家の苦境があった。綿の作付け面積は世界最大だが、収穫量では世界3位に甘んじている現状を踏まえたうえで、収穫量を6割向上させることができると主張するアメリカのモンサント社による熱心な売り込みが、当初はこの新技術に懐疑的であったインド政府に門戸を開かせることになった。
それから7年ほど経った今、ついに食品の分野でも遺伝子組み換え作物が認可されるに至った。先述のアメリカのモンサント社とともに、インドのアグリビジネス企業Mahycoがかかわっている。
Biotech regulator approves commercial release of Bt brinjal (Hindustan Times)
भारत उगाएगा बीटी बैंगन (BBC Hindi)
こうした動きには、国内事情からくる要因が多分に作用しているものと思われる。総人口の6割以上が29歳以下の若年層、25歳以下で区切れば総人口の半数を占める。
一般的には、若年層が多いほど、労働力が豊富であり、個々の家計支出も例えば結婚、家財道具の準備、出産、子供の養育・教育費、住居の購入・新築といった大型のものが続くため、内需拡大に結びつきやすく、経済発展に貢献する度合いが高いとされる。
だが必ずしもこれが有利に働くとは限らず、高い人口増加率が経済の足を引っ張ってしまうというところにインドのジレンマがある。とりわけ出生率の高い社会層において、低所得、失業、貧困、教育等々の問題が深刻なのだ。
総人口の7割が農村に暮らし、しかもその大半が5,000人以下の村に住んでいるとされる。インドの農業は、灌漑が普及に成功した地域を除き、天候頼みの部分が大きいことから、特にモンスーンが不順な年には大きな影響を受けやすい。そうした折には農村人口が大挙して非熟練労働者予備軍として都市部に流出する。
今をときめくBRICsの一角を占めるインドだが、同時に世界最大の貧困層を抱える国でもある。農村部で人々に安定した収入をもたらすことが、世界第二の人口大国の食糧問題、労働問題等、諸々の難問を解決するための大きなカギとなることは言うまでもない。
また経済全体の半分を外需が支える中国とは対照的に、インド経済を引っ張るのは旺盛な内需。総体の三分の二が国内需要によるものだ。
よって都市部の需要に対する周辺部という位置づけであった圧倒的な人口を抱える農村部が富むことにより、国総体としてのの経済規模が飛躍的に拡大することが期待される。
そうした社会的な要因を背景に、遺伝子組み換え作物については、今後トマト、オクラ、米の解禁も近いとされており、インドの食卓への浸透は進むだろう。
数年後、あなたがそうとは知らずにバーザールで手に取っているその野菜も、何気なく口にしている料理の中身も、実は遺伝子操作による産物かもしれない。
ただし、遺伝子組み換え作物というものが、果たして本当に食用に適しているのか、環境に対する影響はないのか、近い将来遺伝子組み換え技術の欠陥や弊害が浮上することにならないのか、その技術が特定の国の私企業にほぼ独占されていることでどんな問題が生じてくるのか、大いに気になるところでもある。 -
航空不況の中、増便続くインドとタイを結ぶ空路
昨年は原油価格の高騰、特に後半からは世界的な不況という追い討ちもあり、燃料価格がすっかり落ち着いた今年に入ってからも、航空各社の大半の苦戦が伝えられる中、様々な地域で路線の減便や廃止といったニュースが耳に入ってくる。
しかしインドとタイを結ぶ路線はその限りではないようだ。エアインディアがAIのコードのフライト以外にも旧インディアン・エアラインのICコードならびにエア・インディア・エクスプレスのIXコードの便、加えてタイ航空もインドの主要都市とバンコクを結んでいる。またジェットエアウェイズも、今やインドの四都市(デリー、ムンバイー、コールカーター、ワーラーナスィー)からバンコクにそれぞれ定期便を就航往復させているなど、印泰間の往来はなかなか盛んである。
さらに8月14日からコールカーター・バンコク便を就航させるキングフィッシャー・エアラインスは、10月からはムンバイー・バンコク便の開始も予定されているという。その10月から来年3月までの間、ガヤー・バンコク間も検討中なのだとか。
また東南アジアの航空会社としても、現在クアラルンプルから亜大陸方面ではインドのティルチラッパリとバーングラーデーシュのダッカまで、エア・アジアのフライトがあるが、同社は年末あたりからムンバイー・バンコク、デリー・バンコクのフライトを開始する予定だ。
インド各都市とバンコクとの間のフライトが増えると、タイ以東にある日本とインドとの行き来の際の空路の選択肢も増えるわけで、私たち日本人にとっても喜ばしいことである。 -
もうすぐNANOがやってくる
ターター・モータースの10万ルピー車、NANOの発売が正式に発表となった。
10万ルピーといえば、インドにおいて、従来の自家用車の最安値クラスよりも3割ほど安く、バイク3台分よりは少ない費用で購入できるという価格。
原音に忠実に表すと、カタカナで『ナァェーノー』と綴ることになろうが、『ナ』の後に小さい『ァ』と同じく小さい『ェ』が並ぶ不自然な表記となるので、あえてNANOとローマ字で記すことにする。
NANOの生産につき、西ベンガル州内の工場用地をめぐる大掛かりな争議に巻き込まれたものの、救いの手を差し伸べたナレーンドラ・モーディーが州首相を努めるグジャラート州に生産本拠を移してようやく発売にこぎつけた。
これによって、共産党がチカラコブを入れて誘致したターターを蹴り出すことにより、マムター・バナルジーに率いるトリナムール・コングレスが、同州与党(共産党)の顔にドロを塗り、勝ち点を稼いだ格好となった。
しかしながら内外からの投資先としての西ベンガル州総体としては、『とかく政治や争議関係がややこしく面倒な土地』として、痛い失点を記録したといえる。 -
ルピーのカタチ
パソコンのキーボードにいくつかの主要通貨名を入れて変換すると、£、$、\、€といった記号が出てくるが、現在インド政府も自国のルピーを象徴するシンボルの制定に向けて模索中とのことだ。
各国通貨はISO4217による3文字から成る略称で表記できるようになっている。最初の2文字がISO 3166-1 alpha-2による国・地域コード、最後の1文字は通貨のイニシャル。これにより、たとえばインド、パーキスターン、バーングラーデーシュの通貨が、INR, PKR, BDTと表記される。
ISO 4217 currency names and code elements
(ISO International Organization for Standardization)
各国内で自国通貨を表す独自の記号が用いられることが多いとはいえ、国外でも広く認知された通貨記号を持つ国は少ない。
インド政府の試みは、自国通貨を意味するグローバル・スタンドな記号を創造しようというものだ。果たしてINRは、どんなカタチになって私たちの前に姿を現すのだろうか?
India seeks rupee status symbol
(BBC NEWS South Asia) -
偽札はお持ちですか?

インディア・トゥデイ(英語版2月16日号P.20〜P.30、ヒンディー語版2月18日号P.16〜P.24)に、偽造通貨に関する興味深い記事が出ていた。同誌を購読されていなくても多少なりとも興味のある方は、ウェブ上のPDF版をご覧いただければと思う。登録(無料)すれば、これをそのままダウンロードすることもできる。
以前は同誌ウェブサイトで定期購読者以外に提供される情報はかなり限定されていたものだが、昨年あたりから方針が変わったのか発売中および過去の誌面のPDF版を誰でも閲覧およびダウンロードできるようになっている。
これが売り上げにどういう影響を与えるのかよくわからないが、インドで今起きていることを伝える社会の公器であるマスメディアとして、模範となる姿勢だと私は感じている。内容はもちろん、広告を含めて市販されているものと同一だ。私は紙媒体は読み終えたらすぐに処分しているが、後で何か参照したいときに便利なので、毎週PDF版を自宅PCに保存している。
売り上げといえば、取り立てて大きな事件が起きなかった今週号だが、かなり興味をそそる特集だっただけに、かなり販売部数を伸ばしたのではないかと私は推測している。ある意味、テロよりも身近で重大なテーマだけに、続報が待たれるところである。
さて、前置きが長くなってしまったが本題に入ろう。『FAKE CURRENCY』というタイトルの特集記事は、流通しているインドのお金のうち9千億ルピーあるいは通貨の15%が偽物であるというショッキングなもの。記事冒頭には偽通貨の流通ネットワークがイラストで示されている。
パーキスターンのカラーチー、ラーホール、クウェーターおよびNWFPで製造されたものが、ネーパール、バーングラーデーシュといった近隣国を通じて流れるルート、UAEのドゥバイからシンガポール、バンコクなどを経由して回流するルートがあるとのこと。また国内でこれらの流布の中心となっている地域としては、カシミール、ラージャスターン州のバールメール、グジャラートのカッチ地方、カルナータカのマンガロール、ケララ北部、チェンナイ、西ベンガルのマールダー、U.P.北部などが挙げられるのだという。
昔から偽札に関する報道はメディアに出てくることはあったが、ここにきてその規模が格段に大きくなっている(500ルピーおよび1,000ルピーの額面の紙幣において発見さる偽札の数は、最近3年間で何と10倍になっているとか)こと、造りが非常に精巧になっていること、インド経済に与えるインパクトの大きさ、テロ活動の資金源となること、またこれらに対する当局の対応が後手に回っていることなどに対して警鐘を鳴らそうというのがこの記事の趣旨のようだ。
背後には、インド出身で現在パーキスターンに潜伏しているとされる、もはや神話的存在(かなり若いころの写真しか出回っておらず、今では整形手術等でかなり違った風貌になっているらしい)となっている大マフィアのダーウード・イブラーヒムおよびバーキスターンの三軍統合情報部(ISI)の関与が指摘されるなど、非常に大掛かりなものらしい。
P.22には、本物と偽物の紙幣の見分け方が図解されている。思わず手持ちのルピー紙幣を取り出して、マジマジと点検してしまう。ただしここに書かれているのは、現行のデザインの紙幣にセキュリティ強化のためのマイナーチェンジが行われた2006年以降に発行されたものに限った話だ。お札を縦に走る銀色の線の部分の具合が他の紙幣と違ったり、裏面に印刷年がなかったりしても、それが即偽札だと早トチリする必要はない。もっとも2005年以前に発行された紙幣のついての見分け方は出ていないので、ここに示されている内容だけで真贋の見分けがつくとはいえず、あくまでも2006年以降発行された紙幣についての話だ。最近、コールカーターの地下鉄車内でも同様の掲示物を目にしたことをふと思い出した。
ただし今後偽札に対する警戒感が高まってくると、額面の大きなお札については、2005年以前に出た紙幣の受け取りが拒否されるケースが出てこないとも言えないだろう。自国通貨ではないが、外貨両替においてはそういう実例がある。
1996年に米ドルのデザインが変更され、それ以前に発行された紙幣よりも肖像部分が大きくなっている。それよりも前に出た旧型紙幣も米国ではリーガルな通貨だが、偽札が多数存在するため、米国外では国により使えないことがあることは広く知られているところだ。
新札でも50ドル、100ドルといった額面の大きなものになると、発行年やシリアルナンバー冒頭のアルファベット記号によっては、受け取りを拒否されることがあり得る。悪名高きCBナンバーなどはその典型だ。これまでに発見された精巧な偽札の存在がその原因だ。

すでに流通している偽札について、現金を扱う金融機関で厳重にチェックされているわけでもないようで、銀行の窓口やATMで普通に受け渡しがなされているようで、私たちがそうとは知らずに、パーキスターン製であるとされる偽インド紙幣を手にする機会は案外多いのかもしれない・・・というよりも、冒頭の偽札の割合が15%という数字が確かなものであるならば、相当頻繁にそれらを手にしていることになる。
さて、手持ちの高額紙幣をすべからず点検してみて、『コレは怪しいゾ!?』というお札を見つけたらどうしようか?通常、それらは額面の大きなものであることから、記念に保存しておくよりも、むしろ『変だな』と思ったらそそくさと使ってしまうことだろう。金融機関に確認に出向くなんて面倒なことはしないし、警察署に届け出ようものならばかえって無用なトラブルに巻き込まれそうで怖い。
運悪く所持金に混じっていた偽造通貨を当局に提出したら、相応の報奨金がもらえるような手立てがなされているわけではない。ゆえに『私が偽造したんじゃない。大切なお金を没収されたりしたら元も子もないではないか。アホらしい』『汗水流して稼いだんだ。れっきとした銀行のATMから引き出したお札がたまたまニセものだったとしても、なぜ私が自腹を切る必要があるのか。まったくもって馬鹿らしい』と、まずは自らの懐のことを、私を含めて多くの人々が考えるはず。かくして偽札は大手を振って世間を渡っていくことになる。
偽札対策には、大衆への啓蒙や当局並びに金融機関でのチェック強化のみならず、不幸にしてそれを手にしてしまった個々(個人ならびに企業)への補償を含めた対応もまた不可欠なのではないかと思う一小市民の私である。偽造の手間は変わらないことに加えて、その旨みからしてニセ札は高額紙幣に集中している。ゆえに財布の中にそれを見つけてしまった場合、とりわけそれが個人の私財であった場合の苦悩を政府は汲み取るべし!! ・・・とはいえ、流通している通貨の15%を補償するというのは無理な相談に違いない。どうするんだろう、この偽札対策?
ところで、あなたは偽札お持ちですか??

