来週、ダライ・ラマ14世の来日が予定されている。1990年代おわりから、ほぼ毎年日本に来るようになっているが、今回もまた各地で法話・講演が行なわれる。
現在来日中の世界ウイグル会議議長のラビヤ・カーディル氏がダライ・ラマとの会談を希望しているとされる。
日本政府に対する中国側の圧力もあり、ダライ・ラマ14世の訪日は政治目的ではないことになっているものの、チベットとウイグルという長年北京が手を焼いてきた『反体制派の巨頭』が顔を合わせるかもしれないことから、中国はかなり神経を尖らせていることだろう。
北京の横槍に屈して日本政府がこうした動きに対して干渉したり、あるいは先のオリンピックの聖火リレーのときのように、在日中国大使館が動員した人々が示威活動のようなことを行なったり、モメごとを起こしたりといったことがないよう望みたい。
ところで、ダライ・ラマ法王日本代表部事務所のサイトを眺めていると、チベット亡命政府によるインターネットTVを視聴できるようになっていることに気がついた。
おなじく亡命政府により、中国語で書かれたチベット問題啓蒙サイトもあるが、前者と合わせて中国国内からは、まずアクセスできないことだろう。
1989年にダライ・ラマ14世がノーベル平和賞を受賞してから、それまで比較的静かだった彼の居住地にしてチベット亡命政府が置かれているダラムサラが、それ以前と比べて飛躍的に世界の耳目を集めるようになり、世界中から訪れるメディアや人々の数がケタ違いに増えた。
同時に、インターネットの普及により、ダラムサラその他のチベット亡命社会から、広く世界に発信できるようになったことで、チベット問題に少しでも関心のある人に対して、たとえどこに住んでいる人であろうとアピールできるようにもなっている。
各国の人々の間で、チベットに関する知識が広がり、問題に関する認識も深まることは、国際社会から中国当局への外圧につながっていることは疑いの余地はないだろう。しかしながら中国には、それを跳ね返す政治力と国際社会における強い発言力がある。
そのためダライ・ラマのノーベル平和賞受賞時にまで遡っても、当時に比べて現在のチベット情勢が改善されたという認識はどこにもないだろう。時代が下るとともに、物質的には豊かになり、生活水準は向上しているとしても、チベットの置かれた立場、チベット人たちに対する処遇は変わることがない。