アダーニー財閥

インドのアダーニー財閥関係の騒動が大変なことになっている。株式の時価総額がわずか1週間で半分になるとともに、総負債がGDPの1%超なのだとか。先日、同財閥の不正疑惑のニュースが出た直後から日々急展開が続いている。

同時にアダーニー氏がモーディー首相を始めとするBJPのグジャラート人脈と非常に親しい関係にあることから、癒着や国営銀行による不正融資の疑いなども以前から言われていたが、この関係でBJPは野党から突き上げを食らうなどしており、さらに大きな問題へとエスカレートしていく可能性もある。

このアダーニー財閥だが、ゴータム・アダーニー氏が一代で築いたエネルギーやインフラ関係企業を中心とするグループで、「アダーニーグループ」と称している。本拠地はアーメダバード。

アダーニーは、その名が示すとおりのジャイナ教徒だが、父親は衣類取引に従事する普通のバーザール商人だったようだが、ゴータム自身は大学をドロップアウトして、もともと繋がりのなかったムンバイのダイヤモンド業界に飛び込んで身を起こしたという、まさに徒手空拳のスタート。1990年代を目前にして独立を果たすが、その後はインドの経済改革開放の波に乗ることができたようだ。

2002年にグジャラート州でモーディー政権発足。その後さらに事業は拡大を続け、2000年代には海外進出(インドネシア等)を果たしている。アダーニーグループの成長ぶりは、とりわけモーディーがインド首相に就任してからの勢いが凄まじく、世界的な財閥へと台頭したのもこの時期なので、ごく最近のことだが、現在のインドでは港湾、空港、道路その他、「アダーニーが手掛けた案件」は星の数ほどある。

不正疑惑、癒着疑惑が言われるいっぽうで、インドの民放によるゴータム・アダーニー擁護とみられる取り扱いも少なくない。

インドにおいてメディアに対する政府の規制や圧力は効きにくいいっぽうで、財閥と近い関係にある大手メディアが多いため、その部分からのバイアスがかかることは珍しくないのだ。

先日、民放連ニュースチャンネルIndia TVの中の人気プログラム「Aap Ki Adalat(あなたの法廷)」というコーナーで、ゴータム・アダーニー本人が出演していることに驚いた。法廷に仕立てたスタジオで、司会者が検察側の立場で、被告役の出演者を糾弾したり、鋭い質問を投げかけたりして回答させるプログラムなのだが、「世界的な金持ちになる手法は?」「あなたをここまで注目の的として、この法廷に召喚される原因を作った会議派のラーフルをどう思うか?」といった質問をしつつ、アダーニーをインドが誇る世界的な実業家と持ちあげるなど、世間の騒ぎ何のそのといった具合で呆れ果てるほどだった。

このアダーニー財閥問題、今後の行方に注目したい。

アダニ、総負債がインドGDPの1%超 増資撤回が痛手に(日本経済新聞)

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