パナソニックLX3に注目

LX3
カメラがデジタルの時代に入ってからというもの、純然たる光学系技術志向の職人気質の『カメラ屋』メーカーが沈んでいくいっぽう、従前の光学・機械工学技術に加えて電子技術にも長けたところが一気に伸びてきた観がある。伝統あるαブランドがソニーに買収されたミノルタのような例もあれば、ソフト面での開発に長けた韓国のサムソンと提携して生き残りを図るペンタックスのような例もあるが、同時に家電メーカーからカメラの分野に進出して定着するところも出てきた。ソニーやパナソニックがその典型だ。
『新興カメラメーカー』のひとつであるパナソニックから、ちょっと気になるコンパクトデジカメLUMIX DMC-LX3が発売された。やや大きめのCCD、充実したフルマニュアル操作性、タテ・ヨコの比率がワンタッチで変更できること、豊富なアクセサリ類などが売りになっているようだが、このカメラの真価は35?判換算で24〜60mm相当のズームレンズのワイド端でF2.0、テレ端でF2.8という、現行のコンパクトデジカメで類を見ないレンズの明るさだ。
旧モデルLX2のズームレンズ焦点域は28mm〜112mmであったが、今度のLX3では24mm〜60mmへと大幅な変更がなされた。その分F値がF2.8〜F4.9からF2〜F2.8と格段に向上して、まったく別のカメラに生まれ変わったといってもいい。広角側により強くなったことと合わせて、スナップ中心でコンパクトデジカメらしい使い方をする分には使い勝手が非常に良くなったはず。そもそもコンパクトデジカメの光学性能や画質を考えれば、あまりに無理な焦点域のズームが必要だとは思わない。
別売のアクセサリ類として、光学ファインダー、速写ケース、18mm相当の超広角撮影が可能となるワイドコンバージョンレンズなどが用意されていることからも、本格的な撮影の道具としてのムードを醸し出しており『ちょっといいカメラが欲しいなぁ』という人の購買意欲を大いにそそりそうだ。


ただし同モデル紹介サイトで『充実の機能』としてアピールしている項目の中には、こうした上位機を購入する人が欲する、必要とするとは思えないものが多く含まれている。ハイエンドユーザーと初心者両方を取り込みたいという欲張った意思が見え隠れしている。開発側が営業サイドからの要求に屈した結果ではないかと推測している。せっかくの力作ながらも『やっぱり家電メーカー』と感じさせる部分が見られるのはちょっと惜しい気がする。
実機に少し触れてみたのだが『フルマニュアル』を標榜しているとはいうものの、リコーのGRやGXシリーズの軽快さには及ばない気がする。もちろんこれは慣れや好みによる部分が大きいのかもしれないが。操作感は決して悪くないし、非常に扱いやすそうな気がした。
パナソニックのデジカメはライカとの提携で開発したレンズもセールスポイントになっているが、実際同社ではライカのブランドでコンパクトデジカメを製造している。LX3の先代モデルLX2は、同社がOEMで生産していたライカのD-LUX3と事実上同一機である。簡単に言えばパナソニックのLX2の外装をライカ仕様にして赤いエンブレムを取り付けたものがライカのD-LUX3なのである。同様に下位モデルのライカC-LUX 2もまたパナソニックのFX30のライカ商標でのOEM製品だ。
すでに新製品LX3にバトンを渡したパナソニックLX2の店頭価格は3万円台から4万円超、であるのに対してライカD-LUX3は8万円台、パナソニックFX30はすでに生産中止となっているが販売当時は2万円台であったが、事実上の同一モデルのライカC-LUX2は5万円台である。中身は同じでも見た目はやはりライカのほうがデザインがずっと洗練されているしカッコいいとはいえ、性能に差はないのに価格は大きく異なるのはブランドネームのなせる業。
パナソニックのデジカメを倍ほどの金額を出して買うという行為は私自身にはありえないが、コンパクトとはいえ『ライカが8万円強で購入できる』『5万円だけどライカ』と思えば安いと感じる向きもあるのかもしれない。いずれにしてもLeicaの名前で売り出される品質である以上、ライカとパナソニックどちらのブランドのものを手にしても決して悪いモノではないといえそうだ。
DMC-LX3は、ライカブランドで発売される動きがあるのかどうかはよくわからないが、『パナソニック=ライカ』の新モデルと見ることもできるだろう。近ごろ各社からハイエンドなコンパクト機が複数出ており、この分野のカメラでの『高級機復活』の動きを反映するものであり歓迎したい。まだ使ったことはないのだが、『インドでどうだろう?この一台』と気になる新製品の登場である。

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