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カテゴリー: society

  • インドのヴィザ 取得所要期間ほぼ半月に

    先日、インド入国の「2ヶ月ルール」廃止へ と題して、2010年から適用されてきたこのルールが廃止となることについて触れてみた。

    それはさておき、かなり気になるのは、今年11月以降、日本でヴィザを取得しようとすると、たとえそれが観光ヴィザであっても、申請から取得まで最短で半月(12~16営業日)もかかってしまうらしいことだ。

    ビザ取得にかかる所要日数 (インドビザセンター)

    ヴィザ申請が大使館からビザセンターに移管された当初は、午前中に申請すれば夕方に受け取ることができたものが、翌日、翌々日と、発行までにかかる時間が伸びてきていたが、11月1日からは一足飛びに半月となっている。単に申請数が増えたというだけではなく、個々の申請者の過去のヴィザ取得状況やインドへの出入国状況などもチェックしているというような話を耳にする。

    主にテロ対策ということになるのだろうが、出入国者が増えてくるに従い、ヴィザの名目と実際の渡航目的が合致していなかったりするケースが増えてきているのではないかとも考えられる。

    業種や事業の規模にもよるかと思うが、仕事により渡印するにもかかわらず、滞在期間が数ヶ月程度であるため、取得が容易で必要なものも、パスポート、写真、料金以外は、所定の申請書しか要らない観光ヴィザで済ませてしまうというケースも少なくないであろうことは想像に難くない。

    かといって、今のところ日本人が、インドの治安や雇用に甚大な影響を及ぼすなどということは考えられないので、インドにとっての「問題国」以外については、ぜひお手やわらかに・・・と願いたい。

    とりあえず、インド渡航を予定されている方々については、ヴィザ申請はくれぐれもお早めに!

  • インド北東部専門ニュース雑誌 Northeast Today

    インド北東部専門ニュース雑誌 Northeast Today

    インド国内にありながらも、周縁地域といった位置づけで、アッサム州以外は人口が少なく、経済面でも他地域に比して相対的に重要度が高くないこと、地域全体で政情不安が長く続いてきたこと、民族的にもこの国の主流とは異なるモンゴロイド系の人々が多く暮らす北東部がインドの主要メディアに取り上げられる機会はあまり多くない。

    そんなわけで、インド国内にあっても往々にして何が起きているのか、何が問題なのかが広く知られることのあまりない北東地域。もちろん他地域の人々からの関心が高くないということもあるが、北東地域のメディアの情報発信力の貧弱さもまたひとつの要因ではないかと思う。

    各州都にそれなりにポピュラーなメディアが存在しているとはいえ、往々にして影響力は州内に限られているようだ。また紙媒体の新聞・ニュース雑誌の流通範囲の関係もあり、地域外からコンスタントに北東部の時事ニュースをコンスタントに入手したくても、なかなか容易ではなかったりする。

    そうした現況下、比較的役に立つと思われるのが、ニュース雑誌Northeast Todayのウェブサイトだ。

    このNortheast Todayについては、嬉しいことにiPadやアンドロイド等のタブレットPCなどを通じてインドの雑誌を購入できるmagzterにて、紙媒体で流通しているものと同一の誌面の電子版を購入することができる。残念ながら週刊ではなく、月刊なので情報量や鮮度はいまひとつということになるが、インド北東部の動向に触れるためのひとつの有力なオプションといえる。

    Northeast Today 12月号
  • ボリウッドの大スターたちとペーシャーワル

    数々の有名な俳優、女優を輩出してきたカプール一族のルーツは、現在パーキスターンのペーシャーワルにあることは広く知られている。偶然にしてはあまりに偶然すぎることに、ペーシャーワルの街のキッサー・クワーニー地区の半径200mほどのエリアに、ディリープ・クマール、そしてシャー・ルク・カーンの父親の生家があったというから驚く。

    Bollywood’s Shah Rukh Khan, Dilip Kumar and the Peshawar club (BBC NEWS ASIA)

    もともと北西地域の商業・経済の中心地としてだけではなく、文化と芸術の核として栄えてきたペーシャーワルではあるが、やはりそういう土壌があってこそ、映画人の揺籃の地となったのではないだろうか。いまやイスラーム原理主義過激派が跋扈する街というネガティヴなイメージが定着してしまっているが、非常に保守的な地域にありながら、とりわけリベラルな気風で知られた土地であることを忘れてはならない。

    上記リンク先記事にあるように、カプール一族の先祖や伝説的な俳優ディリープ・クマールはともかく、シャー・ルク・カーンは今をときめくボリウッドを代表する映画人だ。彼が10代の頃に幾度か父の故郷を訪れていたこと、いとこのヌール・ジャハーンと息子で同名のシャー・ルク・カーンに関する逸話等々、非常に興味深いものがある。

    シャー・ルク・カーン自身も、やはり父方の親戚はすべて向こうに在住ということもあり、ペーシャーワルについては格別な思い入れがあるのではないかと思われる。それはともかく、言うまでもないがインド北部と現在のパーキスターンは、まさに血の繋がった身内であり、たとえ国が分かれても、その縁はどうにも否定できない。

    マドゥバラー、アムジャド・カーン、ヴィノード・カンナー、そしてアニル・カプールの父親で映画プロデューサーとして活躍したスリンダル・カプールもまた、ペーシャーワルの出身であるとは、この記事を目にするまで知らなかった。

    よく知られた映画スターでさえ、このようにペーシャーワルをルーツとする人たちが多いくらいだから、映画関係の技術職やその他周辺産業に関わる人々の中で、父祖が同地を故郷とする人は相当あるのではなかろうか、と私は想像している。

    記事内にあるように、インドを代表する映画人たちのルーツでありながらも、シャー・ルク・カーンの父親の実家近くにある映画館が二度ほど爆弾テロに遭ったことに象徴されるように、これを非イスラーム的であるとして敵視する過激派の活動により、映画という文化の存在さえ危うくなっている状況について胸が痛む。

    インドとパーキスターンというふたつの国に分かれて65年が経過しているが、その時間の経過とともに、その記憶と伝統は次第に風化していく。それがゆえに、私たちよりももっと前の世代のボリウッド映画ファンにとっては周知の事実であったことが、こうして改めてメディアで取り上げられると「そうだったのか!」とあちこちでツイートされ、Facebookでシェアされ、ブログ等で話題になる。

    1947年、イギリスからの独立の際にインドと分離したパーキスターン。元々は同じインドという地域でありながら、別々の国家として成立した両国は、今後永遠に「ひとつ屋根の下」で暮らす日は来ないだろう。それでも、水よりも濃い血の繋がりを否定することは誰にもできはしない。

  • インドで高速鉄道計画

    2017年までに、インド西部で最高時速200キロの高速鉄道を導入することが計画されている。

    Railways looks to run Delhi-Mumbai trains at 200 kmph (The Times of India)

    これにより、たとえばムンバイー・デリー間の列車移動にかかる時間が相当短縮されることになるらしい。プネー・ムンバイー・アーメダーバード間については、日本の新幹線システムを採用する方向にあるという点にも注目したい。

    インド、日本の新幹線システム採用軸に協議 両首脳合意 (asahi.com)

    現在のインドの「高速鉄道」といえば、ラージダーニー急行、シャターブディー急行といったところだが、どちらも最高速度は時速120キロ程度。ゆえに日本の新幹線システムや他国の高速鉄道技術の導入が計画されているわけだ。

    インドの場合、どの分野にあってもシステムとしては良いものであっても、現場のクオリティ・コントロールが粗雑であるがゆえ、いろいろと問題が生じているケースが多い。鉄道についてはどうだろうか?

    ときに、同じ線路の上を両方から走ってきた列車が正面衝突したり、古い橋梁が崩壊して車両が落下したりといった、信じられない惨事が起きたりするのもインドの鉄道。

    輸送の高速化はもちろんのこと、安全管理についても飛躍的な向上が見られることを願ってやまない。

  • Magzterでインドの雑誌を読む

    Magzterでインドの雑誌を読む

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    昨年からインドの雑誌類の購読がずいぶん楽になった。iPadやアンドロイドOS搭載のタブレットPC等で、販売されているものと同じ誌面を読むことができるMagzter社のサービスが開始されたのは、2011年6月のことだ。同社は、アメリカのニューヨークを拠点とするインド系の企業である。

    目下、私が年間購読しているのは、ニュース雑誌のIndia Today(ヒンディー版)と旅行マガジンのIndia Today travel Plus (英語版)のみだが、他誌で気になる内容のものがある場合には、その都度個別に購入している。とりわけ注目しているのはNortheast Todayという月刊誌。普段、地域外で扱われる機会が少ないインド北東地域のニュース専門誌だ。

    ただし、個別に購入するのに比べて、年間購読のほうがはるかに割安だ。たとえば週刊誌の場合は年間に10回購入、月刊誌の場合も5~6回購入した時点で、年間購読契約をしたほうが安くなる。なるべくそのようにしてもらうよう誘導しているのだろう。

    定期購読していない雑誌の個々の号について、プレビューできるページがいくつかあり、内容について多少の見当を付けることはできる。

    私自身は英語とヒンディーしか分らないが、ベンガーリー、マラーティー、タミルその他の各地方語誌の取り扱いもいろいろある。また、ごく一部近隣国の雑誌も購買・購読することができる。雑誌の分野も、ニュース、ファッション、教育、映画、自動車、写真、音楽、スポーツ、IT等々多岐に渡っている。私には縁がないが女性誌の扱いも多い。

    電子書籍として、利用している端末に自動的にダウンロードされることになるのだが、印刷や輸送の手間がかからないためだろう、前述のIndia Todayの場合、本来の発行日の前々日夕方には手元に届いてしまうため、紙媒体で読んでいる人たちよりも一足早く記事を目にすることができるというメリットもある。

    同じアカウントでログインしていれば、異なる端末(タブレットPCやスマートフォン)でも購入した雑誌を共有できるし、同じくパソコンからの閲覧もできる。紙媒体であれば、まさにそれを手にしていないと読むことができないが、これならばいつでもどこでも記事にアクセスすることが可能。また、一度端末にダウンロードされた誌面はそのまま本体に保存されるため、オフライン状態でも普通に読むことができることは言うまでもない。

    ただ、同社のサービスで少々気になる部分もある。一部ずつ購入する分には問題ないが、定期購読契約をする場合のことだ。支払い手続きはiTunesあるいはGoogleのアカウントからなされるため、とても簡単である反面、解約はMagzterのアプリ上で行なうのだが、やりかたが少々判りにくい。加えて、自分から解約手続きをしないと自動更新になってしまうし、その更新月についても、Magzter社側から連絡が届くわけでもないため、そのあたりについては留意が必要だ。やはり、そのあたりはインドの会社なので(?)気を抜けない。

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  • 製造・販売実績64年! ヴィンテージ・バイク 「ロイヤル・エンフィールド」

    製造・販売実績64年! ヴィンテージ・バイク 「ロイヤル・エンフィールド」

    製造・販売実績64年 !! Royal Enfield Bullet 350

    ひょんなことから、ロイヤル・エンフィールドのバイクが日本でも販売されていることに気がついた。古典的なブリティッシュ・バイクのメーカーで、元々はイギリスのロイヤル・エンフィールド社が生産していた正真正銘の「ブリティッシュ・バイク」であったのだが、1970年にイギリス本国のロイヤル・エンフィールド社が倒産し、国外での生産拠点であったインドの法人は生き残ったため、現在でも生産が続けられている。

    目下生産されているどのモデルもヴィンテージなスタイルが保たれているが、特筆すべきはBullet 350というモデルである。英国での生産は1948年開始(1960年に終了)で、インドにおいては、1955年から現在まで製造されているという超ロングセラーだ。インドにおいて55年間、イギリスでの製造開始時期から数えると64年間も造り続けられているのだから驚きだ。

    現在、道路を走っているバイクの中で最も設計時期が古いクラシック・バイクだが、それでいて「新品で購入できる」という非常に希なモデルということになる。

    インドでは、正直なところ、このバイクは若者たちの間で人気はほとんどない。彼にとって何ら珍しいものではなく、父親かそれより年上の世代の人々が乗っていた古臭い乗り物というイメージしかないのは仕方のないことだろう。

    世界中から引き合いがあるロイヤル・エンフィールドだが、これを目当てに西欧等からインドにやってくる人々もある。「このバイクを乗り回すためにインドに来た。半年くらいツーリング楽しんでから売り払って帰るよ。」という人もいるし、ヒマラヤ地方でロイヤル・エンフィールドに乗ることをウリにするバイク・ツーリングのツアーに参加する人たちもある。中には、インドでこのバイクを購入して、一路西へと走り続ける人もいたりする。

    「パキスタン、イランを経てトルコへ。そこからさらに陸路でチューリッヒまで帰ります」なんて言うスイスから来た男性に会ったことがある。もちろんバイクを購入するだけでなく、まとまった距離(ちょっと気が遠くなるほどだが・・・)を走破してみたかったのだろう。

    このバイクが走行する様子を、Youtubeで閲覧していただきたい。クラシックな装いはもちろんのこと、単気筒エンジンのサウンドも素敵だ。まさに大人のバイク。

    Enfiled Bullet 350 Review (Youtube)

    ロイヤル・エンフィールドは、今年3月の東京モーターサイクルショーに出展しており、日本では年間販売300台を目指すというが、まだまだ超レアなバイクとして注目度満点だ。上記リンク先の記事内で、「インドで若者の間で人気が高く・・」というのは明らかに誤りで、「腹の出た年配者が乗るバイク」「オジサンの乗り物」と記述するのが正しいが、日本市場における営業面での配慮から、こうした表現になったのだろう。

    伝統あるBullet 350は当然魅力的だが、個人的にはミリタリー風に仕立てられたClassic Military 500 EFIに大変惹かれる。まるで、映画「大脱走」でスティーヴ・マックイーンが駆っていたバイク(実はこのバイクもロイヤル・エンフィールド!)を再現したかのようである。

    ロイヤル・エンフィールドを乗りまわす人たちによるロイヤルエンフィールド友の会Royal Enfield Owners Club of Japan、といったサークルもあり、かなりコアなファンや熱烈な愛好家たちの存在がうかがえる。

    最後に、インド最北部のラダック地方の海抜3,000~4,000m級の高地をロイヤル・エンフィールドで駆け回る西欧人たちの映像をご覧いただきたい。

    Ladakh Himalaya Ride by Royal Enfield, India.mpeg (Youtube)

    古い時代のバイクなので、オフロードやコンディションの良くない場所での走行が快適とは思えないが、それでも臆することなく、ワイルドにガンガン乗りこなせてしまうのは、現在でも生産されているのでパーツの供給はふんだんにあること、そして何よりも他のヴィンテージ・バイク(とうの昔に生産が終了しているもの)と違い、車両価格が安い「実用車」ということもある。ロイヤル・エンフィールドの販売価格については、こちらをご参照いただきたい。(価格はインド・ルピー表示。1ルピー=約1.5円)

    しかしながら、日本でのロイヤル・エンフィールドの販売価格は大きく異なることについてはご注意願いたい。

  • 肉食は危ない ? !

    「肉を食べると嘘つきになり、約束を守らない不正直者となり、窃盗や性犯罪を犯すことになる」などと言われたらビックリするだろう。

    Meat makes you immoral, says textbook (THE HINDU)

    India textbook says meat-eaters lie and commit sex crimes (BBC NEWS INDIA)

    インドの小学校の保健の授業で使用されるテキストにそんな記述があるということで話題になっている。

    どの教科書を採用するかについては、各学校の裁量によるものであるとのことなので、この内容の教科書がすべての小学校で使用されているわけではないようだが、この図書を発行しているS. CHAND社は国内最大級の教科書会社なので、その影響は決して小さくないだろう。

    また「肉食=不道徳で犯罪につながる」という記述は、インド社会に馴染みのない国々では奇異なものに聞こえることから、こんな風に扱われたりすることは想像に難くない。

    Textbook: Meat Eaters Steal, Fight, Commit Sex Crimes (TYT NETWORK)

    確かに今でも保守的なヒンドゥーの年配者には、「酒を飲むようになると、タバコも吸うようになるし、肉を食べてみるようになる。すると女や賭博にも手を出すようになってしまう・・・」などという物言いをする人は少なくないので、厳格なヒンドゥーのモラル上においては、確かにその教科書に書かれているとされる内容は誤りではないということになるだろう。たとえそれが科学的には何の裏付けもないものであるとしても。

    経済や社会のグローバル化とともに、伝統的なモラルや価値観が失われつつある今の時代に警鐘を鳴らしていると好意的に捉えることも可能かもしれないし、中央政界で与党への返り咲きを目論むサフラン勢力の差し金ということもあるかもしれない。

    ただし、こうした記述で問題なのは、科学的な根拠の有無という点よりも、菜食を美徳と尊ぶ文化以外のコミュニティへの配慮がまったく無いことだろう。祝祭時に家畜を屠り、盛大に祝うムスリムその他の肉食文化の全面的な否定であり、多文化・多民族が共生するインドにおいて、コミュニティ間の不協和を増長するだけである。マジョリティの文化の唯我独尊的な美化と子供たちへの刷り込みは、どうもいただけない。

  • シヴ・セーナー創設者 バール・タークレー死去

    シヴ・セーナー創設者 バール・タークレー死去

    バール・タークレー 享年86歳

    マラーティー至上主義を掲げる政党シヴ・セーナーを創設したバール・タークレーが亡くなった。享年86歳。

    南インド系、グジャラーティー、北インド系等々、商都ムンバイーを中心とするマハーラーシュトラ州内の様々な分野で生業を営む人々を攻撃してきたシヴ・セーナーについて、偏狭なナショナリズムと捉える向きも少なくないが、そうした「マハーラーシュトラ州を蚕食する外来の人々」への不満を抱く一定の層の人々の気持ちを代弁してきたとも言える。

    右もあれば左もあり、どちらも単純に右翼、左翼と割り切れるものではなく、中身は様々であるのは、多民族・多文化国家インドが世界最大の民主主義国家であることの証でもある。

    90年代には、シヴ・セーナーがマハーラーシュトラ州政権を担ったこともある。「ボンベイをムンバイーへ」改名したのはこの時期のことだ。もちろん彼らの「仕業」ないしは「業績」である。

    このところバール・タークレーの健康状態がかなり危険な状態にあるとの報道がなされていた。また同党の実権が息子のウッダヴ・タークレーに移譲される際に生じたお家騒動の中で、ウッダヴの従兄弟であり、バール・タークレーの甥でもありながら、シヴ・セーナーを離脱して自身の政党、MNS(マハーラーシュトラ再建党)を組織したラージ・タークレーが足繁く「本家」に足を向けるようになったことについても、バール・タークレーの最期が迫っているのか、あるいは本家との和解が進行中か?といった調子で、様々な憶測がなされていたところだ。

    シヴ・セーナーの実権は、2004年以降、バール・タークレーの息子のウッダヴに任されているとはいえ、先代のカリスマ性には遠く及ばず、年老いた父親による「院政」が続いていたとしては言い過ぎかもしれないが、近年は衰弱したバール・タークレーが政治集会に顔を見せることはほとんどなかったとはいえ、録音したスピーチが流されるのが常であったとのこと。やはりウッダヴの魅力に欠けるものが多いことは否定できない。現在52歳のウッダヴは健康面での問題を抱えており、メディアに登場する彼の姿は憔悴しきっているように見える。

    それとは反対に輝きを放っているのは、古巣を飛び出して組織したMNSを率いるラージ・タークレーだ。シヴ・セーナーとMNSの思想やスタンスに根本的な違いはなく、文字通り本家と分家である。

    メディアによるインタビューへの応対の受け答えもシャープで、才気煥発といった印象を与えるとともに、声色も伯父のバール・タークレーを彷彿させるラージと、年齢50代前半にして衰えたイメージのウッダヴと、どちらにより大きな魅力を感じるかということについては疑問の余地はない。後ろ盾であったバール・タークレーを失ったウッダヴとは裏腹に、ラージにとっては本家のお株を奪う好機到来だ。

    ラージ・タークレーについては、これまで幾度も言及しているが、昨年8月にもラージ・タークレー ヒンディーで答える1ならびにラージ・タークレー ヒンディーで答える2で取り上げている。

    国政を左右する人物ではないが、インドにおける地域主義・民族主義を考えるうえで非常に重要な役割を担う政治家だ。「マラーティー主義」の本流を担うのは、ウッダヴとラージのどちらになるのか、今後目が離せない。

  • ヒマラヤのミステリー 中国の偵察装置かUFOか?

    India  Todayの記事によると、このところJ&K州のラダック地域とアルナーチャル・プラデーシュ州で、UFOが盛んに出現しているとのこと。

    UFO sightings in Ladakh spook soldiers (India Today)

    ラダック地域では、パンゴン湖周辺で、今年8月1日から10月15日までの間に100件以上の「不審光輝物体」を確認したインド・チベット国境警備隊(ITBP)から、同警備隊のデリーの本部と首相官邸に伝えられているとのことで、出元の怪しいものではないようだ。

    これがインド中部のデカン高原あたりであれば、「宇宙からの飛来物か?」といった具合になるのかもしれないが、中印紛争、中国からの援助を受けるパーキスターンとの対立等々もあり、対中不信感が根強いインドにあって、とりわけ係争地域を抱えるラダック、中国が自国領であると主張しているアルナーチャル・プラデーシュに不審な飛行物が出没するとなると、当然「中国の偵察装置か?」という反応となる。

    上記リンク先記事にあるとおり、インド軍は中国の無人偵察機による侵犯を、今年の1月から8月までの間で、ラダック地域では62件、アルナーチャル・プラデーシュでは37件確認している。

    同記事中には、2004年にインド宇宙研究機関(ISRO)のクルカルニ博士率いる地理調査団が、J&K州ラダック地域の南側のヒマーチャル・プラデーシュ州のラーホール・スピティ地域で、ロボットのような未確認物体を撮影したという記述もある。

    私たち日本人の感覚だと中国にそんな高い技術があるのか?ということになるが、インドから見た中国は経済力も軍事力も格上の相手で、これまでも痛い経験をしていることもあって、その潜在力をどうしても過大評価するきらいがある。

    対中不信の原因は中国自身のインドに対する行ないによる歴史的な経緯による部分が多いことはもちろんではあるものの、インド側によるこうした反応、とりわけ大手メディアによるおおげさな報道が、結果的に「反中プロパガンダ」として機能することになる。

    中国とは正反対に、思想や報道の自由が先進国並み確立にされており、自他ともに認める「世界最大の民主主義国」インドにあっても、イギリスからの分離独立以来の不倶戴天の敵パーキスターンとその友好国の中国に対する意識はいつも猜疑心に満ちている。

    その猜疑心を世代を超えて継いでいく片棒を担っているのはマスメディアという側面は否定できない。「知る自由」「報道の自由」があっても、これが報道機関によって商業的に利用されることから、国民が本当に中立公正な情報を得ていることが保障されるとは限らない。

    上記記事中の不審光輝物体やUFOについては、中国との国境地域であることから、こうした懸念が生じるのはやむを得ないものの、インドにおいてとかく中国関連の報道は疑いに満ちたニュアンスで伝えられるものが多く、結果的に長い国境を接する隣国である中国への理解と融和を妨げているように思われてならない。

  • Big B 70歳の誕生日

    Big B 70歳の誕生日

    アミターブ・バッチャン

    本日10月11日は、Big Bことアミターブ・バッチャンの70歳の誕生日。

    Big stars at Big B’s birthday bash (NDTV)

    70 के हुए बिग बी, दी शानदार पार्टी (NDTV)

    誕生パーティーには、今をときめくボリウッドのスターその他の映画関係者、政治家、財界人など、様々な顔ぶれが集まる様子が映像で流れていた。

    こちらは70歳の誕生日を迎えたBig Bのインタビュー映像。

    I worked for Rs. 50: Big B, now 70, on his career (NDTV)

    永遠のヒーロー、Big B自身も近年はずいぶん老けたなぁとは思うが、それでも彼が放つオーラは衰えることがない。さすがは稀代のスーパースター、アミターブ・バッチャンだ。

  • マラーラー・ユースフザイー

    非常に残念なニュースだ。マーラーラーが撃たれた。この件については少々説明する必要があるだろう。

    パーキスターンのスワート地方のミンゴーラー。かつて観光地として大いに栄えた地域だが、今世紀に入ってからは、この地域で勢力を伸長したターリバーン勢力と政府側との衝突により訪問者が激減した。さらに2009年にターリバーン支配下となり、その後政府軍が奪還するといった具合に内戦状態が激化することとなった。

    ミンゴーラー出身、リベラルな家庭に育った少女マーラーラー・ユースフザイーはこの地の出身。2009年に内戦状態のスワート地方を離れてパーキスターン国内を転々とする中、故郷スワートでの就学機会を求める利発な少女の姿は内外のメディアの目に留まり、しばしばニュース等で取り上げられてきた。

    ターリバーンが少女たちに対する学校教育を禁止したり、女子学校を破壊したりする中、少女たちの教育機会を求めての積極的な発言や行動は世間の耳目を集め、オランダを拠点とするKids Rights FoundationのInternational Children’s Peace Prize候補のノミネートされたことがある。惜しくも受賞は逃したものの、パーキスターン政府からNational Peace Awardが贈られた。

    Peace Award to Malala yousafzai from Prime Minister Pakistan Sherin Zada Express News Swat (Express News)※ウルドゥー語

    Malala Yousafzai awarded Pakistan’s first Peace Award (Ary News)※ウルドゥー語

    あまり上手ではない英語でのインタビューと異なり、上記リンク先のウルドゥー語によるものでは、ずいぶんしっかりした内容で話していることに感心する。受賞は2011年、当時のマラーラーは13歳だ。

    彼女は仮名でBBCウェブサイトに日記をブログとして公開して注目を集め、ニューヨーク・タイムズのサイトでもClass Dismissedと題した動画と関連記事が紹介されるなど、国際的にも知名度の高い少女人権活動家でもある。

    Class Dismissed (New York Times)

    現在14歳、将来は医者になりたという夢を胸に抱いて活動を続けていたマーラーラーだが、昨日ミンゴーラーにて他の女子生徒たちと乗っていた通学用のヴァンの中で撃たれた。その後、ターリバーンは犯行声明を出している。

    マーラーラーは頭部と首に負傷しているとのことで、ペーシャーワルに空輸されて救命治療を受けている。現在までのところ、複数のメディアにより「手術は成功」「脳は弾丸による損傷を逃れている」といった情報が流れているが、非常に危険な状態にあるということは変わらない。彼女の回復を切に祈る。

    Child rights activist shot in head (Business Recorder)

    ネパールやインドで跋扈するマオイスト活動家たちの大半が、共産主義の何たるかをほとんど知らず、銃器による社会秩序への抵抗と下剋上の快感に酔っているように、ターリバーンの連中もまたイスラームの説く中身への理解もなく、やはり武器の力を背景にした支配と強制により、彼ら自身の乏しい知識による独自の解釈による社会規範を絶対的な正義と取り違えている。

    従前からターリバーンたちから脅迫を受けてきたマラーラーとその家族だが、ついにそれが現実のものとなってしまった。この卑劣な犯行を、私たちは決して許してはならない。

  • もうひとりの女盗賊、政界進出へ

    彼女の名前はレーヌー・ヤーダヴ。U.P.州のアウライヤー地区のジャマリプル村出身。24歳の彼女は、7年前の2005年2月に警察により、彼女が関わったとされる15件の殺人、誘拐、強盗のかどで逮捕された女盗賊。U.P.州西部、M.P.州北部、ラージャスターン州東部にまたがるチャンバル渓谷で暗躍していた。

    もっとも彼女の盗賊としてのキャリアは決して長いものではない。2003年11月に、チャンダン・ヤーダヴ率いる盗賊団に通学中に誘拐され、10万ルピーの身代金を要求された父親が、それを払うことができなかったため、そのまま彼らの仲間入りすることになったという珍しい背景を持つ。盗賊として活動していた期間は実質1年強といったところだ。

    そもそも警察に身柄を拘束された時点で16、17歳であったこと、彼女が盗賊団入りすることになったのも彼女自身の意思によるものでなかったため、今年5月末に釈放されてからは、更生の機会が与えられることは決して悪いことではないかもしれない。彼女には8歳になる娘もいる。

    彼女が大きくクローズアップされるようになったのは、政界入りが揶揄されるようになったためだ。サマージワーディー党(社会党・・・といっても清新なイメージからは程遠い)から国政に進出した元女盗賊といえば、映画「Bandit Queen」のモデルとなったプーラン・デーヴィーがよく知られている。1996年、1999年の総選挙で同党から出馬して国会議員となった後、2001年に彼女が盗賊時代に実行した大量殺人の怨恨により暗殺されている。プーランに続いて、スィーマー・パリハルという女性の元盗賊もこの政党から国政入りを目論んでいた。

    そこにきて、今回はレーヌー・ヤーダヴも「元女盗賊」という看板のもとに、被抑圧階級の救済、貧困層の女性の地位向上といったお題目とともに、2014年に予定されている下院選挙による国政進出が予想されている。

    先の州議会選挙で大勝した集票力のあるサマージワーディー党からの出馬で、選挙前から知名度も高いこともあり、もし本当に選挙に出ることになれば当選する可能性が高い。決して国政を左右するような立場になる人物ではないが、インド民主主義の大衆主義的な側面を象徴する事例となることだろう。