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カテゴリー: society

  • インドの第3波

    12月下旬あたりまでは感染状況が落ち着き、1日の新規感染者数が6,000人前後になっていたインドだが、現在は感染拡大「第3波」により、本日1月9日時点で直近24時間の感染者数が14万人を超える事態となっている。

    Coronavirus Live Updates: India Reports 1,41,986 New Covid Cases, 285 Deaths (INDIA TODAY)

    https://www.ndtv.com/india-news/coronavirus-live-updates-india-reports-1-41-986-new-covid-cases-285-deaths-2697401

    これに先立ち、1月6日には、アムリトサル空港でイタリアからのフライトで到着した160人の乗客のうち、125人が新型コロナ陽性というニュースが流れていたのだが、この日同じくイタリアからアムリトサルに着いた別のフライトにおいては、乗客290人のうち150名が陽性というショッキングなニュースもあった。

    Punjab: 125 passengers of Italy-Amritsar flight test Covid positive on arrival (The Indian EXPRESS)

    150 passengers of another flight from Italy test positive for Covid upon arrival at Amritsar airport(INDIA TODAY)

    昨年10月にチャーター機での入国による観光客受け入れ再開、11月からは定期便を利用して入国する観光客の受け入れを再開していたが、世界で感染力の強いオミクロン株の流行していることにより、一度は緩めた水際措置を再度強化する方向に舵を切っている。

    始まったばかりのインドの第3波。どこまで拡大していくことになるのだろうか。

  • カースト

    「カースト」について、インド国外において社会的な「上下関係」「差別構造」といった誤解が多い。それがゆえに外国在住のインド人が「(あなたが考えているような)カーストはインドにはない」と言ったりもするのだろう。なかには昔の南アフリカのアパルトヘイトみたいな構造と思い違いしている人もあるので、そういう人に会うとインド人はたいへん不満だろう。

    ひとことで説明しきれるものではないが、「氏族とそれを中心に観念的に繋がる紐帯から成るジャーティ。その中にも観念的に同祖から生じているとされる細かい区分がある」が重層的に存在しており、古くは職業的なネットワークを形成することもあり、現在に至るものも少なくない。そうした集合的な繋がりを累計的にガサッと括ったものがカーストということになる。

    これが上下関係かといえば、実社会でそういうことでもなく、パンジャーブ州、ハリヤーナー州などで支配層に多いジャートは農民カースト。UPやビハールなどで社会中層部や上層部にも急伸しているヤーダヴは牛飼いカーストといった、「カースト」の面から言えば間違っても高位ではないグループだ。反面、昔から安食堂や家庭の通いあるいは住み込みで働く料理人にはブラーフマンが多く、これまた道端のちいさな寺、祠などでプージャーリーをしている貧しい男たちも多くは伝統的にブラーフマンである。

    「国父」として尊敬を集め、紙幣の顔にもなっているマハートマー・ガーンディーは、代々、地域の藩王国の重臣の家に生まれたが、上層カーストではなく、グジャラートのモーデーラーという地域をルーツとする「モード」というバニヤー(商人)カースト。パキスタンの独立の父、ジンナーはムスリムであったが、彼の何代か前に改宗するまではヒンドゥーで、たしか「モード」であったかどうかはわからないが、そのあたりごく近い関係にあるコミュニティの出だ。

    リンク先記事には、(カーストは低い)南インドの石工カーストがブラーフマン同等のステイタスを自称しているとあるが、同様の例がビーカーネール周辺のやはり石工カーストにもあり、彼らのカーストの先祖とされる神を祀った寺まである。社会で認識されているカーストは下位だが、神の子孫を自称しているのだ。(現代を生きる彼らの工房を訪れたことがあるが、その技は素晴らしいものであった)

    それはそうと、リンク先記事中にあるような工事の場にあっても、街に住む職人階級(シュードラ)の施主の建物をビハールやUPから出稼ぎに来たブラーフマンやクシャトリヤの労働者たちが汗水たらして作る、報酬はジャートのブローカーがピンはねしてから彼らに渡すというようなことは、昔からごく普遍的にあることなのだ。

    つまりカーストが実社会の階級や地位を決めるわけではない。

    インドのカースト「ただの階級でない」意外な真実(東洋経済)

  • 老舗のパールスィーレストラン

    リンク先の記事は、プネーで140年を超える歴史を誇るパールスィーのレストランとのこと。プネーにはムンバイ同様に、ユダヤ人コミュニティとパールスィーコミュニティが大いに繁栄した。

    前者はインド独立とともに多くは国外に流出して衰退したが、後者は独立運動への貢献も大きく、イギリスが去ってからも愛国的なコミュニティと認識されている。

    「イラーニー」として、外来の起源は強く意識されているが、植民地体制下で生活様式もビジネスも白人寄りのところにいたこと、ともに商業民族で経済的に成功した者の中から数々の慈善家も輩出したという点で似通っているのだが、現在はずいぶん異なる存在感となっている。

    パールスィーのレストランは洒落た印象があるが、100年を優に超える老舗も多い。植民地時代を彷彿させる店内もきれいに整えてあり、提供される食事のバリエーションの広さとデザート類の豊富さも楽しいものだ。

    Have You Been To This 141-Year-Old Parsi Restaurant In Pune? (whats hot)

     

  • 新生エアインディアへと着々

    インドの財閥ターターの元で民営化されるエアインディア。財閥を所有する筆頭企業ターター・サンズでは新生エアインディアのトップの人選が進んでいるそうだ。

    航空会社は半期ごとにダイヤを見直しつつ、シームレスに操業しているわけなので、民営化された瞬間に大きく変わることはないにしても、1年、2年のうちに国内であまりに手を広げ過ぎた(官業によくあること)路線の整理、労組の強さから国際的にも引けを取らない給与水準と言われる同社操縦士の報酬、その他スタッフの人員整理などの労務管理面での大ナタがふるわれることだろう。

    国営エアインディアでとりわけ足枷になっていると言われる旧インディアンエアラインスの国内路線及びSAARC内や湾岸産油国への路線は、既存のLCCに任せることになるのかもしれない。少なくとも政治主導で開設させられたローカル路線については、もはや継続する義理もなくなる。

    それはそうとコロナまでは順調な経済成長が続いていたインドでは各地で空港の新設が相次ぎ、出来上がったものの定期便の乗り入れがないとか、乗り入れ開始したものの利用者が少なく半年か1年で撤退してそのまんま放置されている空港がけっこうある。官業というものは、なんといい加減なものなのかと思う。

    Tata Sons looking at hiring new Air India Management as sale proceeds (mint)

  • URBANPODという鉄道駅構内宿泊施設

    URBANPODという鉄道駅構内宿泊施設

    鉄道駅のリタイアリングルームといえば、大部屋にたくさんのベッドが並んでいた李、簡素な部屋が用意されていたりするが、大きな駅だといつも満室でなかなか利用することはできなかったりする。繁華街に面していたり、商業地に近い場所にある鉄道駅ならば、他に宿はたくさんあるので困ることはないのだが、ヘトヘトになって深夜過ぎに到着したりしたときには、やはり駅構内にある宿泊施設が利用できるとありがたいものだ。

    ムンバイセントラル駅構内に日本のカプセルホテルのような宿泊施設「URBANPOD」が出来たそうだ。こちらは国鉄ではなく民間業者による運営だ。同様のサービスが他の主要駅にも広がることを期待したい。

    Staying in India’s First Pod Hotel | Under Rs1400 | Urbanpod (Youtube)

    India’s First Capsule Hotel Tour | UrbanPod Hotel Mumbai | Only 900 Rs. Per Night (Youtube)

    India’s First Capsule Hotel For Train Traveler | Urbanpod Hotel Tour Mumbai Central | Rs.799 per N (Youtube)

  • ゆるいヒンドゥー主義

    ゆるいヒンドゥー主義

    バナーラスのヴィシュワナート寺院。モーディー肝いりのこの地域の再開発工事が完成しての式典。こうして上空からの映像を見ると、もともとはたいへん建て込んでいた地域にあった寺院だが、周囲を広く取り壊して見事な空間を創出している。このお寺のシカラが間近に見下ろせる宿に泊まったことがあった(今はどうかしらないが、当時外国人は入れないことになっていたので、そこに宿泊するメリットがあった)が、それらも含めて地ならししたのだろう。

    BJP、RSS、VHPのいわゆる「サングパリワール」の中の政治部門としてのBJPが推進する「ヒンドゥトヴァ」は、よく「ヒンドゥー至上主義」と邦訳されるが、こうした言葉では誤解を招くだろう。厳しい戒律、教条主義といったものを連想するであろうはずだからだ。これとは裏腹に、伝統回帰や復古主義ではない新たな(緩くて広い)ヒンドゥー文化の創出。厳格な原理主義とは反対に、ゆるやかに、そして幅広く人々と社会を包み込んでいく。これが実際の「ヒンドゥトヴァ」の姿だ。

    うまい例えが思いつかないが、日本でゆる〜く浸透している英米文化、スポーツであったり祝祭であったり、キリスト教の行事などに近いもの、とも言えるのではなかろうか。

    ヒンドゥーが本来持っていた差別的構造を否定するとともに、ヒンドゥーを宗教ではなく、インド地域共通の文化として、民族的結合性には弱いものがある多民族・多文化国家を民族国家として統合へと導こうという試みのようで、それ自体は悪くないように思えるこのごろ。北東州でのBJP勢力拡大、そしてラダック地域での支持拡大は、まさにそれを象徴しているようだ。本来は「周辺地域」であった少数民族エリアを次々にメインストリームの中に取り込んでいっている。

    元来、洒落者のモーディー。彼の装いをイメージしたアパレルのブランドもあるほどなのだが、近年の彼は(聖者に近い)賢者といったムードでの演出が多くなっている。このあたりも戦略の一環となっているのがこの人の凄さの一面だが、それほど自信を深めているということだろう。

    ただし多くの人々を結合させるには、やはり外なる敵と内なる敵との対峙が効果的という面もあるようで、現政権が外の敵としてパキスタン、内なる敵としてムスリムへの対応が冷淡であったり、しばしば苛烈であることがとても気になる。

    काशी वो है… (Twitter @narendramodi)

    PM Modi inaugurates renovated Kashi Vishwanath Dham Corridor (Youtube)

  • 現代のタージマハル

    現代のタージマハル

    裕福な人は本当に裕福になった今どきのインド。

    「タージマハルを建てた」というような報道はときどき見られるが、今回は亡くなった奥さんのためにというものではなく、元気にしている配偶者のために建てたといういい話。

    しかも施主のアーナンド・プラカーシュ・チョークスィーさんは、ムスリムではなくヒンドゥー教徒。「平和の象徴、博愛・連帯の象徴、愛の象徴。愛と互助を」と言う彼は、この建物の上にインド国旗を掲げるつもりとのことだ。

    This man from Madhya Pradesh built a replica of Taj Mahal (THE HINDUSTAN TIMES)           

    最愛の妻のためにタージマハル、インド人実業家がレプリカ建設(JIJI.COM)

  • デリー近郊に巨大新空港

    デリーからヤムナー河を渡った向こう側、UP州に入ったところにあるノーエダーに建設されたこの空港はインド最大の規模となる。

    ノーエダーは、よく日本メディアでは「ノイダ」と表記されるが、インドが経済を対外開放して外資を呼び込むようになった頃から工業団地として知られており、各国の製造業が拠点を築いてきた「デリー近郊」である。

    今後、インディラー・ガーンディー国際空港とどのような棲み分けをしていくのか注目したい。まさに21世紀の経済大国として、まさに存在感を増していくインドを象徴するかのような存在となるだろう。

    完成予定は2024年とのことだ。

    PM Modi Says Noida Airport Will be North India’s ‘Logistics Gateway’; Takes Dig at Previous Regimes (NEWS 18)

     

  • ラヴォー

    パールスィーの甘物、ラヴォーだそうだ。キールみたいだが水分少なくハルワーみたいに仕上げるらしい。

    スイーツでも料理でもそうだが、彼らの先祖の地イラン風のアイテムもあれば、定住したインドから採用したアイテム、そしてイギリスから取り入れたものなど、いろいろあるのが楽しい。イスラーム化が進んだイランからインドに来て定住してインド化、そして植民地体制の中でライフスタイルが西洋化したパールスィーの生き方そのものを象徴しているかのようだ。

    それでいて、外国起源ということで不利な扱いを受けることなく、インドで愛国的かつ模範的なコミュニティーとして認知されているのは、まさに彼らの最初の移民グループとされた一団が彼らを受け入れることになった地の王に対して忠誠を約束した「ミルクと砂糖の誓い」が今なお受け継がれていることを示すかのようでもある。

    Parsi Ravo Recipe | Parsi Style Sooji | Semolina Pudding | How To Make Parsi Style Ravo | Sheera (Youtube)

  • エアインディア買収直前のターターがコーチン空港も?

    コロナ禍下ではあるが、インドの航空業界はドラマチックな変化を迎えている。

    この記事を見て、ふと思い出したのだが、インドでは中東産油国方面行きのフライトで、「ハイデラバード→コーチン→シャルジャー」みたいに、国内で「ホップ、ステップ」して国外の目的地に「ジャンプ」するフライトがけっこうある。中東方面ではないが、以前は「ムンバイ→デリー→成田」もあった。

    つまり同じフライトで、国内線として利用する乗客もあれば、国際線として利用するお客もあり、国内の最終寄港地を発つまでは、国内線乗客と国際線乗客が混在するのだ。

    コロナ禍にあっては、こういう運行はできなくなっているのだろう。もちろん国際線が大きく減便されているため、そんなことはもはやどうでもよいことでもあるのだが。

    With Air India, Tatas get a stake in Kerala’s Cochin airport (Business Standard)

  • ハビーブガンジ駅の改名

    こちらはMP州。同州の選挙は2023年なので選挙戦とは関係ないようだが、州都ボーパールにある鉄道の「ハビーブガンジ駅」が「ラーニー・カムラーパティ駅」に改名。

    BJP政権下で、ムスリムやイスラーム教関係者に因んだ地名等をサンスクリット起源の名前に置き換えて「純化させる」という事象が頻発しているが、こちらは少し趣が違う。

    先住民のゴンド族の女王に因んでとのこと。同様に先住民族が多い地域では、これまでほとんど顧みられることがなかった「先住民族の英雄」が再評価されて、地名、施設、道路などの名称に使われるという現象が起きている。これらを実施しているのはBJPだけではなく他の政党にも見られる。

    チャッティースガル州、ジャールカンド州などでも見られるものだ。この2州はBjP政権下になく、前者はJMMという先住民族が主導する政党、後者は国民会議派だが、先住民族たちの歓心を呼ぼうという政策の一環。

    Habibganj railway station renamed after Gond queen Rani Kamlapati: MP CM Shivraj Singh Chouhan (INDIA TODAY)

  • UP州の「アーザムガル」が「アーリャムガル」に改称へ

    来年2月から3月にかけて州議会選挙が予定されており、再選を狙うBJPとこれを迎え撃つ姿勢の社会党。BJPは様々な選挙キャンペーンの中で、お得意の地名改名を打ち出してきた。

    現行:アーザムガル → 改称後:アーリャムガル

    アーザムガルは、ワーラーナスィーから北上してゴーラクプルに向かう中間付近にある街だが、1665年にゴータム・ラージプートの属する豪族のアーザムという首領によって開かれたといういわれがある。ゴータム・ラージプートは基本的にヒンドゥーの氏族だが、アーザムの名が示す通りムスリムで、何代か前に改宗したらしい。(ラージプートの様々な氏族の中からムスリムに改宗したケースはけっこう多い。)

    「アーザムガル(アーザムの砦、城塞)なので、この首領の城塞の周囲に家来や取り巻き、必要な物資を調達する商人や職人などが住むようになり、彼らに食料等を供給する農民や酪農家なども周囲に集落を形成して街に発展していったのだろう。

    そんなわけで、街の成り立ちを示す地名なのだが、「アーザム」を除去して、取って付けたような「アーリャム」に置き換えて、「アーリャムガル(神の砦、城塞)」にするわけだ。アーリャムは女性の名前にもよくあるものだが、アーザムガルとは特に縁はないはずだ。旧称と語呂を合わせて命名してみたといったところだろう。

    UP CM Yogi Adityanath hints at changing Azamgarh’s name to Aryamgarh (INDIA TODAY)