愛憎なかばのDP1

春の花たち
3月に、『コンパクトデジカメ新時代到来か シグマDP1』として取り上げてみたが、発売されてからひと月半ほど経った今、改めてこのカメラについての印象をまとめてみたい。コンパクトなボディに一眼レフのものと同じ撮像素子を搭載という、これまでになかったものであるがゆえに、カメラ好きな人たちの注目を大いに集めて登場。その後、世間の評判は賛否両論といったところのようだ。
おおまかにいって『非常に精緻な画質にビックリ。操作性には難ありだけど』という画質を高く評価して使い勝手に目をつぶる意見と、『とても美しい画像が撮れるとはいえ、なにしろ処理スピードが遅すぎて困る』という、取り扱い面での不便さを問題視する考えがある。
要は、何に重きを置くかというところである。これまで、シグマのデジタル一眼レフカメラユーザー以外にとっては未体験のFOVEON X3センサーが生み出す卓越した画質により、28mmという画角のみでいえば普及版のデジタル一眼レフをしのぐ描写力を有する反面、平均的なコンパクトデジカメを下回る操作性により、長所も短所どちらも極端なのである。
野球でいえば、年間ホームラン数40本台、でも打率は1割台といった打者がもしいればこんな具合だろうか。その潜在力からくる魅力は大きいのだが、ちょっと使いにくい。
『インドでどうだろう、この1台』と考えた場合、コンパクトカメラに期待するものとは何だろう。
?ポケットにスッと収まる携帯性
?高い描写力と画質
?スムースで迅速な操作性
といったことを挙げたい。一眼レフカメラのサブとして使うにしても、それ1台のみ持参するにしても、これら3点が高い次元で実現されているカメラということになるだろう。
DP1の場合、?はまずまずで?は二重丸。これまでのコンパクトデジカメとは明らかに次元が違う。DP1について俗に言われる『一眼画質』にいささかの誇張もない。それどころか前述のFOVEON X3センサーの良さに驚くあまり、同じセンサーを搭載するシグマのデジタル一眼レフSD14に手を出してみようかと考えてしまうくらいだ。だが残念なことに、最後の?については明らかに不合格を付けたい。RAW撮影時の処理の遅さは仕方ないにしても、JPEGの場合もずいぶん手間取る。それならばいっそのことと、ほとんどRAW設定で撮るようにしている。それはさておき、AFフレームの選択、ホワイトバランス、測光モード等々、よくいじくるメニューについて、ずいぶん手間がかかるようになっているなあ・・・という感想を抱く人は多いだろう。
持ち歩きが手軽で高画質とはいえ、取り扱い面で『重厚長大さ』を感じさせるため、あまりお手軽気楽なモデルとはいえない。するとコンパクトデジカメでありながら、何か他にもう1台イージーなものをサブカメラとして携行したくなるし、DP1を一眼レフカメラのサブカメラとして期待するには軽快さに欠ける・・・欠けすぎている。
ただし、デジカメが普及しきった今だからこそ、無制限にシャッターをシャカシャカ切っているが、銀塩カメラ時代にはそんなことはなかった。1枚1枚丁寧に撮影していたものだ。それを思えば、こんな具合でもいいじゃないかという気がしてくることも事実。不満もいろいろあるのだが、個人的には目下一番気に入っているコンパクトデジカメであり、常日頃カバンの中に忍ばせている。世間で賛否ウズ巻いているのと同様に、私の心の中でも愛憎なかばするのがこのDP1なのだ。
とかく進化のスピードが早く、次から次へと新しいモデルが出てくる、新たなトレンドがあっという間に市場を席巻するデジカメの世界だ。DP1の発売を皮切りに、一眼レフと同等のセンサー搭載のコンパクトデジカメがひとつのジャンルとして確立されるようになることを期待したい。
DP1のカタログに記されている『一眼レフと同等。ただボディが小さいだけ』という文言は、明らかに大風呂敷だと思う。でも近い将来、ボディがごく小さくて、単焦点でレンズ交換ができない部分を除けば、機能と性能はすべて一眼レフと同じ・・・というモデルが本当に出てくるとすれば、今からでも予約しておきたい気がするくらいだ。

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