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カテゴリー: column

  • 写真展「藤原新也の聖地」

     3月18日(木)から、大丸ミュージアム・東京にて、藤原新也の写真展が開催されている。
    「藤原新也の聖地」ポスターより
     彼の初期の代表作『インド放浪』『チベット放浪』、続いて『全東洋街道』が発売された時代には、こうした作品に触発され長い旅に出た人が少なくなかったそうだし、いまでもインドを含めたユーラシア大陸横断の旅をする若者たちは、一度はどこかで読んでいることだろう。
     「あの仰々しい文章はちょっと…」という声も耳にするが、遠い忘却の彼方を眺めているかのような写真の作風には、誰もがひきつけられてしまうことだろう。
     私が彼の作品に触れたのは『インド放浪』が初めてだった。「こういう風にも撮れるのか」と写真表現の豊かさに興味を惹かれ、未だ見ぬインドという国に憧れを抱くきっかけにもなった。作品によっては極度に露出アンダーであったり、目をこすりたくなるほどアウトフォーカスだったりするが、観る者に対して強い主張を持って訴えかけてくるものがある。物事を直視するだけでは本質が見えてこないこともある、ということだろうか。
     ガンジス河岸で野犬たちに脚を食いちぎられる遺体を見て「人間は犬に食われるほど自由だ」と表現するシニカルな姿勢は、彼の作品に共通したカラーであるように思う。
     出展されている作品のモチーフは風景や人物のみならず、昆虫、植物、女性の写真とバリエーション豊か。カメラのファインダーを通した藤原新也ワールドの多彩さをあらためて感じることができる。
     なお、会期は3月30日(火)まで。この後、京都の大丸ミュージアムでも同展が開催されるそうだ。(京都は5月13日(木)〜5月25日(火)の開催)

  • 洗濯楽しきゃ、旅楽し?

    Photo by Tamon Yahagi
     せっかく気分よく旅に出ても、所帯じみた悩みは常につきまとうものだ。洗濯である。高級ホテルに泊まってランドリー・サービスを利用するわけではないので、基本的には自分で洗うことになる。(ときにエコノミーな宿でも頼めることはあるが)
     毎日シャワーは浴びるわけだから、ついでにシャツやズボンも洗濯するなんてワケないのだが、面倒なのは乾かすことなのである。
     乾季の時はいい。干してから数時間もすればパリッと乾く。庇のついたバルコニーがあれば、突然の雨に見舞われても大丈夫。
     一方、困るのは雨季だ。部屋にベランダも窓もないと最悪。仕方なくイスの上に広げたり、ビニール紐を張ったりしてみるのだが、なかなか乾かない。洗って一晩明けたというのに、ジットリ湿っている衣類を目の前にすると、朝からユウウツな気分になる。もちろん、扇風機を回したまま寝れば一晩でカラッと乾いてくれるが、自分自身がカゼをひいてダウンするというリスクがともなう。

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  • 雨ニモ負ケズ、風ニモ負ケズ…

     どんな悪天候でも大切な手紙や荷物を運んでくれる郵便屋さん。
     「民営化」の流れの中、キビシイ立場に置かれている日本の郵便局だが、確実なサービス、全国くまなく張り巡らされたネットワークから生まれる信頼感にはゆるぎないものがある。赤い配達バイクと濃緑色の制服は、街角風景の一部として私たちの生活に馴染んでいる。
     頑張っているのはインドの郵便局も同様。ヒマラヤ南斜面の山国、ヒマーチャル・プラデーシュ州では、街の郵便局から手書きの文面をスキャナーで読み込み電子メール送信、それを受信した山間の局でプリントアウトして配達…という新しいタイプの配達を行っているという。
     手紙をやりとりする当事者同士で直接電子メールを送受信できれば一番良いのだが、コンピューターが社会の隅々まで行き渡っているわけではない。そもそも田舎では電気が来ていない村だって珍しくないのだから、これは気の利いたサービスだ。
     インドにはまだまだ「辺境」が存在する。ヒマラヤの高地では、初夏から秋口にかけて道路が開いている時期以外は、雪で閉ざされ陸の孤島になってしまう地域も少なくない。雨や風だけではなく、氷雪というさらなる障害が人びとの往来を遮ってしまう。だからといって郵便屋さんは負けていれない。車で行けない地域へは、今でも「飛脚」が走っているというのだからご苦労なことだ。
     90年代後半以降、インターネットの急激な普及により、文章で人とコンタクトを取ることが実に楽になった。送り手から受け手へ、瞬時にメッセージの伝達がなされてしまうのは便利だが、通信システムというものが、人びとのネットワークによって作り出されているということを実感しにくくなってきている。
     生身の人間の手から手へと渡されていく郵便。たとえ時間がかかろうとも、世界屈指の郵便大国インドのネットワークは、この大地に住む人々のニーズにしっかり応えている。
    ▼ハイブリッド郵便から飛脚まで 人びとを結ぶ郵便屋さん
    http://news.bbc.co.uk/2/hi/south_asia/3514252.stm

  • 今年もインドの本がやってくる!

     今年で11回目となる「東京国際ブックフェア」が開催される。会場は東京ビッグサイト。会期は4月22日(木)〜24日(日)までの4日間だ。
    東京国際ブックフェア
     「国際」と名がついているわりには、毎年展示フロアの大部分を占めているのは国内の出版社。日本で読まれる書籍のほとんどが日本語という「スワデーシー」市場だから当然のことではあるが…。
     海外からの出展は、中国、台湾、韓国といった近隣国からのブースの存在感が強いが、欧米や中東その他地域のブースも健気に頑張っている。日本の市場で原著がそのまま売れるわけではないが、和訳本としての展開も考えられる。読書大国ニッポンはお得意さんなのだ。
    STAR PUBLICATIONS
     今回インドからは、「BHALANI PUBLISHING HOUSE」と「FEDERATION OF INDIAN PUBLISHERS」の参加が予定されている。後者はこのブックフェアに毎年来ている「STAR PUBLICATIONS」の出展。デリーのアサフ・アリー・ロードで「HINDI BOOK CENTER」、イギリスのロンドンでは「STAR PUBLISHERS DISTRIBUTORS」という書店を運営している会社だ。
     主にヒンディー語を中心とした語学関係を取り扱っているのだが、東京で開かれるブックフェアには、映画や料理などもふくめたバリエーション豊かな書籍を並べている。日本のインド書籍読者の好みを把握するために、毎年試行錯誤を繰り返しているように見える。お得意客から注文を受けた書籍以外は、すべて即時即売というのもうれしい。
     南アジアの他の国ぐに、パキスタン、バングラデシュも出展してはいるものの、例年展示のみで販売していないのは残念。ともあれ、日本にあって出展者のインド人紳士とおしゃべりしながら、カタイ本からサブカルチャーまで、さまざまな本を手にとって吟味するのは貴重な機会(?)といえる。「本」に興味があれば、ぜひ足を運んでみるといいだろう。

  • 閉じられるカムベイ湾

     中国の三峡ダムほどの規模ではないにしても、インドでもやはり壮大な土木工事の計画がある。近ごろ、マスコミ各誌で取り上げられている「カルパサール・プロジェクト」だ。
    グジャラート地図。青い部分がダムとなる予定の地域。
     グジャラートの半島部(サウラーシュトラ地方)の東側に位置するカムベイ(カンバート)湾には、ナルマダ河やサーバルマティ河といった大河が流れ込んでいるが、この湾の北部をアラビア海から仕切ってダムにしてしまおうという大工事である。主な目的は湾内の淡水化により、旱魃が常態化しているこの地方の水不足の解消と、同様に不足している電力供給を補うための水力発電タービンの設置。それだけではない。この「仕切り」部分の上に鉄道や道路を通し、グジャラートのサウラーシュトラ地方からムンバイまでの距離が225キロ近くなるという大きなオマケまで付いてくる。

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  • 天国か地獄か、インド列車のしくみ(2)

    Photo by Mamoru Miura / www.shumpu.com
     はたして客車料金の違いは、そのクオリティに見合ったものだろうか?例えば急行列車で1000キロ移動した場合の運賃は、以下のとおりである。
    ●二等座席…………188Rs
    ●二等寝台…………301Rs
    ●AC座席…………657Rs
    ●AC三段寝台…………845Rs
    ●一等…………986Rs
    ●AC二段寝台…………1,352Rs
    ●AC一等…………2,628Rs
     同じ列車に乗っても(通常、ひとつの列車に全クラスが連結されているとは限らないが)最上クラスに乗るには、最下クラスのなんと14倍もの運賃を支払わなくてならない。
     さらに、この同距離をラージダーニー急行のAC一等で行こうとすると、3150ルピーもかかってしまう。これは国内線の飛行機運賃並みである。その一方、1000キロという距離を急行ではなく、運賃の安い鈍行列車を乗り継いで行くと、たったの103ルピーで済んでしまうから驚きだ。このふたつの運賃を比較すると、その差は30倍以上になる。

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  • 天国か地獄か、インド列車のしくみ(1)

    Photo By Mamoru Miura / www.shumpu.com
     駅に着いたが出発まで時間がある。新聞を買って待合室で読むことにした。採光の悪い室内は陰気だが、腰を下ろせるベンチや体を伸ばせる長椅子などが置かれている。トイレとシャワーだってあるからそれなりに便利だ。古い駅ともなると、天井から大きな金具が突き出ている。まだ電気が通じていなかった時代、専属の使用人がここから吊るした板状のファンを動かしたのだろう。
     列車と同様、待合室もセカンドクラス(二等)とアッパークラス(一等やACクラス)が別室になっている。にもかかわらず、室内の様子は変わらないことが多い。アッパークラス用であっても特に快適なわけではないし、下のクラスと比べて清潔でもない。利用者の客層を分けること自体に意義があるのだ。
     「貧富の差が大きい」ということは、人びとの経済的な立場が違うということにとどまらない。教育水準、価値観や立ち居振る舞いだってずいぶん違ってくる。カーストとは異なる次元で人びとを律する生活水準の差。だれもかれも同じように扱うことは、少なくともいまのインドでは現実的ではない。
     列車内と待合室に共通点があるすれば、「上のクラスほど乗客の人口密度が低くなる」ということだろう。列車の客室では、高級なクラスほど客一人あたりのスペースが広い。暑さ寒さの厳しい折には、ACのありがたさが身にしみる。夜行では寝具が提供される。ラージダーニーやシャターブディーなど特別急行では食事や飲み物のサービスという嬉しい+αもある。

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  • 里帰りしたサイクルリキシャー

     日本でも「サイクルリクシャー」が着実に数を増やしつつある。遠目にはピザ宅配バイクのような形で、人間がペダルを踏んで進む「タクシー」を目にしたことがある人は少なくないだろう。このVELO TAXI(ベロタクシー)、ドイツ発の環境に優しい交通機関とのことだ。
     現在、東京と京都の一部地域で運行中。客席から見た風景の動画ファイルもある。車体のカタチはかなり違うものの、インドのオートリクシャーのそれを彷彿させるものがある。
    verotaxi02.jpg

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  • 「Form-C」の記憶

     私たち外国人がインド国内でホテルやゲストハウスに宿泊するとき、大きな宿帳とともに「Form-C」が差し出される。氏名や住所、パスポート、ビザ番号、発行年月日等をいちいち記入させられるあの書類だ。

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  • 一人旅もよいけれど…

     一人旅は気楽だ。部屋で話し相手がいないと少々物足りないこともあるが、訪れた先々で出会う人たちとの交流もまた楽しいもの。連れがいるとなかなかそうはいかないこともある。カップルで旅するのも悪くないが、相手にそれなりの気を使う必要があるから面倒なこともある。

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  • <海外旅行>解禁40周年

     『異国憧憬―戦後海外旅行史』によると、海外旅行が自由化する1964年以前の日本で、若い人たちが海外に出る機会といえば、留学か移民か船員かという選択肢しかなかったそうだ。自由化以降も「アメリカでの収入3週間分が、日本の年収に相当」「ハワイをツアーで訪れるためには、若者の年収分以上の費用がかかった」とある。格安航空券が登場する前のこと。1970年代前半くらいまでは、海外旅行をしようと思っても経済的に困難だったはずだ。

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  • 遺跡の不条理(3)

    ●あるところからとる!
     遺跡で不条理を感じるのは外国人料金のことだけではない。入場料とは別に徴収される「カメラ・ビデオ持込料金」も考えてみればおかしなものだ。たとえば下の写真にはこう書かれている。
    「インド人入場5ルピー、外国人入場30ルピー、カメラ持込30ルピー、ビデオ持込50ルピー」
    camerafee.jpg

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