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カテゴリー: economy

  • 地震・津波そして原発 2

    地震・津波そして原発 2

     現在、東日本の多くの地域が輪番による計画停電の対象となっている。買い占め等により、生活物資やガソリン等の供給に支障が生じている。沖縄県の友人によると、彼が住んでいる石垣島でもスーパーマーケットの棚からインスタントラーメンが姿を消したとのことだ。 

    被災地に立地していた工場からの供給や交通の途絶という部分もあるが、多くは一時的に需要が極端に膨張したことに対して供給が追いつかないことによるものであることから、時間とともに解消していくはずだ。 

    電力不足のため、鉄道も便数を減らして運行している。商店も夕方早く店じまいするところが多くなっており、企業その他も普段よりもかなり早い時間に職員を帰宅させるようになっている。 

    このたびの震災により、身内の安否を心配したり、家にいる時間が長くなったりしたことにより、家族との絆、自分にとって一番大切なものは何であるかに気付かされたという人は少なくないことと思われる。 

    今回の災害に関する一連の報道において『未曾有』『想定外』という表現が頻出しているが、そもそも気象その他に観測史というものは決して長くないし、数十年という短いスパンの生涯を送る人間と違い、地球のそれは比較にならないほど長い。そのため自然界で起きる事象について、私たち人間が知らないことはあまりにも多い。ゆえに『想像を絶する』現象は今後もしばしば起きるはずだ。 

    普段は『あって当たり前』であった電力の供給が不足することにより、被災地でなくとも交通や物流等で大きな混乱を生じることとなっている。被災地の外であっても、東日本地域で暮らしていれば、ここしばらくは今回の地震による影響を忘れることは片時もないだろう。 

    今回の地震にから教訓を得て、新たな天変地異に備える心構えは大切だし、災害により強い街づくりも必要だが、これを機に私たちの暮らしのありかたを見直す必要もあるのではないかと思っている。生活や仕事のインフラがいかに脆弱なものであるかということが明らかになるとともに、これまで『地震に強い』『絶対に安全である』とされてきたものへの信頼感は完全に崩壊してしまった。 

    同時に日本という国への信用という点でも大きく傷ついたことは否定できない。良好な治安状況は変わらないにしても、地震という固有のカントリーリスクが今後さらに重く意識されることになる。 

    ただでさえ危機的状況にある国の財政事情だが、これからは甚大な被害を出した地域への復興支援という重圧がのしかかる。これを機に衰退してしまうということはないにしても、将来へ明るい展望を抱くことができるようになるには、当分時間がかかりそうだ。 

    だがここが私たちの国である。不幸にも被災された方々に手を差し伸べることができなくとも、何か自分のできることを行ないたいし、同様に日本人である自分たちが日々取り組んでいる仕事が、間接的ではあるものの何がしかの形でこの国の復興に貢献していると信じて一日、一日を大切に過ごしていきたいものだ。 

    <完>

    ※サートパダー2は後日掲載します。

  • エアアジア(タイ) インド便就航間近

     これまでマレーシアからは、エアアジア(マレーシア)で、クアラルンプルからコールカーター、ハイデラーバード、バンガロール、コーチン、トリバンドラム、ティルチラッパリといったインドの都市へ、加えてエアアジア Xにてデリー及びムンバイーに向かうことができる。 さらに、今年12月1日からはエアアジア(タイ)によるタイのバンコク発のデリー便とコールカーター便が就航することになっている。 

    Thai Air Asia to launch Bangkok flights from Delhi, Kolkata (Deccan Herald) 

    旧来は西の方角にある国々(湾岸諸国等)との間のフライトが密であったインドだが、近年は東方向への便も数を増していることは、インドのASEAN諸国との接近ぶりを示すとともに、このあたりをも含めた地域大国として頭角を現しつつあることを反映している。 

    そうした中で、空のゲートウェイとしてバンガロール、ハイデラーバードその他の街がこれまで以上の存在感を示すとともに、他の大都市の発展と自らの停滞のため、相対的に経済的な魅力を失ってきていたインド有数の大都会コールカーターも、地理的にこれらの国々と近いことも幸いして、ここ発着の国際線に内外の航空会社次々に乗り入れするようになってきている。インドとその近隣国の距離は確実に狭まりつつある。 

    だが、ちょっと目を東に移して、もうひとつの大国である現在の中国の『横暴』について思いを巡らせておきたい。近年、日本のメディアのみならず欧米その他からも中国の脅威に関する様々な論調を目にする。以前のように是が非でも外国からの投資や技術等を呼び込もうと汲々とする国ではない。依然、貧富の格差が大きく、地域差も甚だしい社会でありながらも、総体としてはもはや日本を抜いて世界第二位の国内総生産(GDP)を誇る経済大国となった。 

    自国で蓄えた鉄道技術(元々は日本から与えられた技術がベースになっているにしても)を海外に積極的に売り込む、他の途上国へ援助攻勢をかける、地下資源等を確保するために世界各地へ進出していき、これまで彼らに様々な支援を与えてきた先進国と各地で利害が衝突し、火花を散らせるライバルにのし上がってきている。政治的にもそれらの国々を向こうに回して『大いにモノを言う』存在となった。 

    同様に、インドとその周辺地域との間の相互依存関係がより密で抜き差しならぬものとなったとき、かつ膨大な貧困層を抱えつつも、国家としては経済的に圧倒的な存在感を持つようになった暁には、どのような態度でそれらの国々に接するようになるのか少々気にかかったりもする。 

    国と国のエゴが衝突する外交の世界で、国と国との間の力関係によって、交渉の行方が決まる。立場の弱い側から見て『傲慢な大国』はあっても、『謙虚な強国』というのはあまり例がないだろう。 

    今の中国の姿は、将来のインドのそれときっと重なるのだろうと想像するに難くない。従前より南アジアで圧倒的な存在感を持つこの国が、周辺国に及ぼしてきた影響力の届く範囲が、さらに遠くへと広がっていくことは間違いない。 

    目下、ブームのこの国をもてはやすだけではなく、私たちはこの大国との将来に渡っての付き合い方についても、よく考えておくべきではないだろうか。

  • ソウルからインドへ

    エアインディアが、デリーから韓国のソウルまで、週に4往復させていることに遅ればせながら気が付いた。デリー・ソウル線(香港を経由)は、今年8月から就航しているようだ。 

    90年代以降、韓国企業によるインド進出、対インド投資には目を見張るものがあり、韓国のキャリア以外にインドの航空会社によるインド・韓国間の直行便が就航するまで意外に時間がかかったという印象を受けなくもない。 

    ソウル・香港間あるいは香港・デリー間のみの乗客も多いことだろう。ちょうど東京・デリー間で途中バンコクに寄港する便があったころのような感じなのかもしれない。(現在、東京・デリー間は直行のみ) 

    ふと思い出すのは、かつてエアインディアの香港経由で東京・コールカーター直行便があったこと。そのころデリーIN、カルカッタOUTあるいはその逆で、日本からインドを訪れる人は多かった。確か90年代に入って間もなく、コールカーター直行便は廃止されたと記憶している。 

    船の時代から、インドから見て東側方面からの主要な玄関口であったコールカーターである。デリーに遷都されるまで、長らく英領インドの首都であったためもある。中国大陸からもバンコクやシンガポールと並んで、稼ぎが期待できる外国の街であったため、大量に移住者を送り出している。 

    今のように通信手段が発達しておらず、何がしかのツテが頼りであったため、移民の送り出し元はかなり限られた地域からであることが多い。バンコクでは潮州系、マレー半島では福建系や広東系が多かったように、コールカーターには広東系や広東を中心とする地域出身の客家人が数多く住み着いたようだ。コールカーターの華人たちから、しばしば梅県という地名を耳にする。現在の広東省の梅州市とその周辺エリアに相当する地域だ。 

    日本にとっても、第二次大戦後しばらくの間は、最も身近なインドの都会といえば間違いなくこの街であったということは今ではちょっと想像できないだろう。戦後の復興期から高度経済成長が始まるあたりまで、西ベンガルから輸出される豊富な鉄鉱石は、かつて鉄鋼大国であった日本の原動力のひとつでもあった。 

    また日本に留学生がやってくるようになり始めた時代、1960年代にはインドからの留学生たち(・・・といっても数は大したことなかったのだが)といえば、その主流はベンガルからの学生たちであったようだ。 

    その関係もあるのかどうかよく知らないが、今でも西ベンガル州ではちょうど日本でやっているのと同じような菊の盆栽を楽しむ年配者たちはかなりあり、そうした人たちの中には、なかなかの知日家もあるようだ。『日本の菊栽培の解説書を手に入れたいのだが、英語で書かれたものを出している出版社はないかね?』と初老の男性に頼まれたこともある。 

    この街とそこを州都とする西ベンガル州の経済面での停滞に加えて、かつての『四大都市(デリー、ムンバイー、コールカーター、チェンナイ)』以外に、バンガロール、ハイデラーバード、アーメダーバード等の台頭により、相対的な地位が凋落していった。 

    その結果、インドの航空会社はもとより、東南アジアからの飛行機も乗り入れが減り、ちょっと寂しい状態になってしまっている。それでも近ごろ流行りのLCCキャリアがバンコク便を開設したり、隣国のバーングラーデーシュの新興航空会社もコールカーターとの間に新規乗り入れしたり、増便したりしているのは幸いである。もはやインドを代表する随一の都会ではなく、ひとつの地方都市に成り下がってはいるものの、まだまだ地域のハブとなる底力は充分残されている。 

    話はエアインディアに戻る。エアインディアの東アジアへの就航地は、数十年来の長い付き合いである東京、大阪、香港に加えて、上海そしてソウルが加わっており、インドという国自身がゆっくりと顔を東方にも向けてきていることを如実に反映しているようでもある。これは同時に東アジアの諸地域にとっても、視野の中にインドが大きく姿を現してきていることの表れでもあろう。

  • エアアジアでインドへ

    エアアジアの羽田・クアラルンプル便(12月9日就航・週3便)が話題になっている。 

    すでに日本に乗り入れているオーストラリアのジェットスター、韓国のチェジュ航空と合わせて、日本にもようやくLCC (ローコストキャリア)の時代が到来しつつあることを感じさせられる。 

    ジェットスターは台北経由シンガポール行きの便があり、チェジュ航空はソウルで乗り換えて同社のバンコク行きを利用できるが、それらの地点から更に他社便のチケットを買い足さなくてはならないため、インド行きに利用するのはあまり現実的ではないかもしれない。 

    だがエアアジアについては、ハブ空港のクアラルンプルから現在インドの9都市(コールカーター、コーチン、チェンナイ、ティルチラッパリ、デリー、トリバンドラム、ハイデラーバード、バンガロール、ムンバイー)への便があるため利用しやすいだろう。 

    料金は羽田・クアラルンプル間が通常の底値が往復で3万円程度(片道1万5千円くらい)になるらしい。この区間について、本日9月23日正午から10月31日までの予約受付期間内に、今年12月9日から2011年7月31日までの搭乗分座席の一定部分を、キャンペーン価格の片道5,000円で売り出すとのことだ。空港使用料等を加えても、往復で日本円にして1万4千円弱という破格の料金である。 

    クアラルンプルから先については、エアアジアのホームページで仮に『往路10月1日、復路10月20日』として調べてみると、デリー往復905 MYR(約25,000円)、ムンバイー往復 761 MYR (約21,000円)、チェンナイ往復 628 MYR (約17,000円)、ハイデラーバード往復 682 MYR (約19,000円)といった数字が出てくる。 いずれも行き帰りの空港使用料を含めた金額だ。

    他のLCCキャリアがそうであるようにフライトの時期、空席状況、予約するタイミング等によって価格は変動する。概ねデリーやムンバイー便については、羽田からトータルの出費は概ね5万円強から5万5千円程度ということになるだろう。エアインディア等の他キャリアの底値の時期と比較すると驚くほど安いというほどではないが、費用をかなり圧縮できることは間違いない。またキャンペーン価格での売出し時期と合致すれば、非常にお得な料金で往復できることになる。

    ただし年末年始やゴールデンウィークといったピーク時には既存航空会社との料金差はごくわずかなものとなってしまうようだ。また一定の条件のもとにフライトの変更は可能であっても払い戻し不可であることについては留意しておく必要がある。 

    LCCキャリアで乗り継いだ経験がないのでよくわからないが、羽田・インド間が同日乗り換えできるスケジュールの場合、チェックイン荷物をそのままスルーで処理してもらえるのか、またフライトの遅れにより中途での乗り継ぎがうまくいかなかった場合の処置などあまり期待できないように思う。だが利用予定がピーク時以外で、乗り換えスケジュールにある程度の余裕があれば、充分検討の余地ありだ。 出発地が成田ではなく、より都心に近い羽田空港である点も好ましく感じられる。

    とりわけエアアジアに期待しているわけではないが、日印間の移動に新たな選択肢が加わること、LCCキャリアの伸長が今後の既存航空会社の料金自体にも与える影響は少なくないであろう。こうした航空会社の路線が増えてくることについて、利用者としては大いに歓迎したい。

    格安航空会社が羽田にやって来る! エアアジアXのカラクリ (YAHOO ! JAPAN ニュース)

  • アレもコレも中国製

    アレもコレも中国製

    デリー市内のおもちゃ屋の店先のショーケースに並ぶミニカー。小学校3年生の息子がジーッと見入っている。

    『アレが欲しい』 

    指差したのはオートリクシャーのプラスチックのミニチュア。

    「同じものをいくつも持ってるじゃないか」と言えば、『色合いも造りも違うんだよ』などと判ったような口を利く。

     

    そんな具合なので息子の部屋のガラクタ箱の中には、アンバサダーやスモウといった乗用車、はてまたターターのトラックなどのプラスチックで出来た安物ミニカーの様々なバージョンがいくつもゴロゴロしている。

    こうした玩具のクルマの多くを製造しているのはCentury Toysという会社だが、今日のオートリクシャーを手に取ってみると、車体の底にMADE IN CHINAの文字を見つけた。

     90年代初頭までの何でもかんでもインド製だった時代と違い、今では様々な分野に外資が進出しているし、それと並行してマーケットに並ぶ品物にも輸入製品が洪水のごとく押し寄せるようになっている今のインドだ。

    日用雑貨類でも中国製品の進出は著しく、今の日本のように『China Free』で生活することは無理とまでは言わなくとも、特に廉価な商品の中に中国からの輸入品が占める割合はとても高くなっている。もちろん玩具類などはその典型だが、いかにもインド的なおもちゃ類の中にも中国製品が混ざっているとは今まで気が付かなかった。

    中国の工場労働者たちは、作業現場で作る『見たこともない二色ボディーのオート三輪』がインドで売られるものであるとは知らないだろうが、よくよく考えてみればバーザールで販売されている安価な神像の類の中に中国製品が占める割合がかなり高くなっている昨今なので、こんなことは驚くに値しないのだろう。

    インド自身も安くて豊富な労働力に恵まれた国であるにもかかわらず、そこに堂々と割って入る中国の工業力には脱帽するしかない。

  • エコノミスト『インド攻略』

    エコノミスト『インド攻略』

    現在発売中の週刊エコノミスト(9月7日号)の特集記事は『インド攻略』だ。 

    外国企業にとっての草刈り場してのインド、同国市場における日韓企業の対決、小売革命、ジェネリック薬の生産・輸出大国、デリー・ムンバイー産業大動脈等々といった見出しが並ぶ。経済というモノサシから俯瞰したインドが描き出される。

     言うまでもなくインドのメディアの経済関係記事とは異なり、日本からの視点に立ったものであるため、日本のビジネスマンたちがインドのどのあたりに関心を抱いているのか、巨大市場の中での日本企業の位置取りといった、観念的なものではない経済活動という極めて現実的な日印関係を簡潔に俯瞰することができる。

    書店で見かけたら一読してみるといいかもしれない。

    週刊エコノミスト『インド攻略』(9月7日号)

  • スィッキム州が近くなる

    パキョン空港、聞きなれない名前だが、2011年に開港予定のスィッキム州初の旅客機が離着陸する空港となる。
    すでに西ベンガルのバグドグラーからスィッキム州都ガントクへのヘリコプターの定期便があり、その他スィッキム各地やカンチェンジュンガ峰方面などへの遊覧フライトはあるが、これまで地元等からの要望の高かった航空機の乗り入れがついに実現する。
    これまで鉄道ならば西ベンガル州のシリーグリー、飛行機ならばその隣町のバグドグラーまで行き、そこからミニバスや乗り合いジープなどでアクセスという具合であったスィッキム州だが、空港がオープンすることにより、直接州都に降り立つことができるようになる。
    おそらくマナーリー近郊のブンタール空港くらいの規模で、小型機のみが乗り入れることができることになるのだろう。それでもおそらくデリーからヒマーチャル・プラデーシュ州のマナーリー、シムラー、ダラムサラへの便を運行しているキングフィッシャー航空が、コールカーターからの便を飛ばすことになるのではないかと予想している。
    スィッキムはモンスーン季節には多雨の地域であるため、運行はあまりアテにならないことと思われるが、ハイシーズンにはかなりの需要が見込まれるはずだ。
    鉄道も2015年にはスィッキムに乗り入れる予定だ。西ベンガルからスィッキム州に入ったところの町ランポーが終着駅となる。そこから州都ガントクまではさらに40kmほどあるが、それでもインド国内の主要都市から州境まで直接アクセスできるとなれば、観光業促進のための大きな力となることだろう。
    工期は未定で、実現したところでいつの話になるかもわからないが、インド国鉄はランポーからガントクまで更に延伸する計画も描いている。
    スィッキム州がグンと近くなる。

  • やはりバーングラデーシュが旬

    いわゆる『NEXT11』のひとつに挙げられているバーングラーデーシュがやはり旬のようだ。こんな記事を見かけた。
    世界のアパレルが“バングラ詣で”ユニクロ進出で脱・中国加速 (産経ニュース)
    要は中国で頻発する労働者のストライキ、賃上げ圧力に加えて人民元の切り上げが、もはや「あるのかないのか?」ではなく「いつになるのか?」という差し迫ったところまできているため、これまで生産の拠点としてきた中国以外にどこか候補地を見つけなくてはならなくなったわけである。
    つまり中国での状況の変化という大きなファクターがあり、これに対応できる世界の工場としてのポテンシャルを秘めた国ということで注目されているのだ。
    まずは人口規模。人口1億6千万を数える世界第7位の大国(ちなみに第6位は1億8千万のパーキスターン、第8位は1億5千万のナイジェリア)である。労働力大国ともいえる同国だが、それに対する就業機会は少なく、賃金の水準も低いため毎年大勢が国外に流出する傾向がある。
    湾岸産油諸国はもとより、東南アジアとりわけマレーシアでは非合法な就労目的で渡ってきた移民の存在に当局は手を焼いている。もちろん国境を接するインドでは、デリーやムンバイーその他の主要都市に不法に住み着いているバーングラーデーシュ移民は多く、ときおり大がかりな摘発がなされていることがメディアで伝えられている。
    都市部のみならず、とりわけ国境を接するアッサムや西ベンガルなどでは農業に従事している人々も多いなど、経済的な理由における移民圧力がバーングラーデーシュでは高い。
    同国にとって、大量の海外移民は外貨獲得の貴重な手段であるいっぽう、多くの人々が国外に活路を求めざるを得ない状況は、社会の安定と発展、ひいては治安面における不安を引き起こすことから座視するわけにはいかず、従前から国外からの投資を歓迎する姿勢を見せていた。
    しかし不安定な政治、頻発するハルタール、労働力の質、隣国インドと比較しても格段に貧弱なインフラ、モンスーン期の洪水による操業の不安と交通の途絶などといった懸念等から中国やインドほどの注目を集めることはなかった。
    そのバーングラーデーシュ自体の情勢は変わらないのだが、先述のとおり近年中国の状況に変化が起きているため投資先のオプションとして浮上することになったようだ。当面はバーングラーデーシュで従前から盛んで実績もあるアパレル関係が大半のようで、中国のように「なんでもかんでも」というわけではない。
    そもそも同国自体が魅力を増したわけではなく、近年外国企業にとって中国における操業に不安や不満が出てきたがゆえ、代替地のオプションとして浮上してきたに過ぎない。
    だがバーングラーデーシュとしては、今後の大きな成長の手がかりとする好機が到来したといえる。国外から眺めてみても、世界の工場としての魅力はもとより、そう遠くない将来には人口2億に届く同国は大きな市場になり得る。
    所得水準、平均的な教育水準、インフラ事情等、どこを眺めても現状があまりに貧弱であるだけに成長が軌道に乗れば、その伸びしろも大きなものとなることは言うまでもない。
    バーングラーデーシュの首相オフィス直属の投資委員会が設置されており、同国政府の意気込みと投資呼び込みへの期待の大きさがうかがわれる。
    Board of Investment, Prime Minister’s Office (投資委員会)
    やはりバーングラーデーシュが旬のようだ。以前『バーングラーデーシュが旬』と題して、大手旅行代理店H.I.S.のダッカ進出について取り上げてみたが、こうした『ブーム』もその背景にあったのだろう。

  • バーングラーデーシュが旬?

    今年2月に大手旅行代理店H.I.S. がダッカ支店をオープンさせたのだそうだ。同支店のブログも用意されている。
    国土は北海道の2倍程度と狭いものの、世界遺産のパハールプル、マイナモティといった仏蹟、シャイト・ゴンバズ・モスジッドやカーン・ジャハーン廟などのイスラーム関係遺蹟、茶園で知らせるスィルハトといった名所、首都ダーカーや近郊の古都ショナルガオン、はてまたモンゴロイド系少数民族が暮らすチッタゴン丘陵地帯など、魅力あふれる土地が数多い。また海が好きな人は、同国最南端に位置するセント・マーティン島なども気に入るのではないかと思う。
    H.I.S.のツアーでは、そうした観光地以外にもNGO『BRAC』やグラミーン銀行のマイクロクレジット事業の視察ツアーも用意されているのは、日本では被援助国というイメージの強いバーングラーデーシュらしいところかもしれない。
    聞くところによると、そう遠からず『地球の歩き方 バングラデシュ』も発刊されるようである。今年はちょっとしたブームになるのだろうか?
    そもそも隣国インドと較べてずいぶん観光客が少ない国である。突然大勢のツーリストが訪れる(・・・ことになるのかどうかは知らないが)ようになると、これまでの素朴な雰囲気やたまたま出会った地元の方がひたすら歓待してくれるようなムードも変わってしまうのかもしれない。
    だが、これがきっかけとなってバーングラーデーシュに関心を持つ人が増えて、観光業が国の産業のひとつの柱として成長することがあれば、人口問題に苦しむこの国で各地にもたらす雇用機会や収入といった面で好ましいだろう。
    何やら突然『バーングラーデーシュがブーム!』なんていうことはないにしても、インドの西ベンガル州や東北州などに興味を持って訪れる人が、目と鼻の先の隣国にも足を延ばしてみたり、それとは反対にバーングラーデーシュを訪れた人が、国境向こうインド側の地域にも同様の関心を抱いてくれれば、と思うのである。

  • 月の水

    月の北極付近に相当量の水が存在することが明らかになったのだそうだ。
    Ice deposits found at Moon’s pole (BBC NEWS)
    昨年8月下旬に通信が途絶したことによりミッションが終了しているインド初の月探査機チャンドラヤーン1号により得られたデータにより判明したものだという。
    人工衛星の打ち上げ数では、ライバルの中国に対してはまだ遅れをとっているものの、ドイツやイギリスと肩を並べ、宇宙開発の分野でメジャープレーヤーとして定着して久しいインドだ。今後も人類の宇宙探索の様々な方面で貢献していくことになるのだろう。
    将来利用可能な資源の探索はもちろんのこと、軍事目的での転用など、様々な実利的な目的あっての壮大な事業だが、かつて西洋人たちが東西に船舶を走らせ、欧州域外への進出を図った大航海時代が始まった時期と似たようなものかもしれない。
    いつか人類が月や火星からミネラル類を輸入したり、開発プロジェクト等のために他の星に長期滞在したりする時代がやってくるのだろうか。各国の思惑が交錯する中で、地球外の空間や土地における主権や統治の概念等は、どのようになっていくのか見当もつかない。それがゆえに有力な国々が競って宇宙への進出を画策しているのだろう。
    軍事、ロケットといえば、インドのミサイル、アグニ3は、射程距離1,500〜3500 kmの同国で文字通り第三世代の中距離弾道ミサイルで、アッサム州内から発射した場合、北京や上海も射程距離に入るようになっている。
    前世代のアグニ2は飛行距離800から2000 kmで、スィッキム北部の軍事施設からなんとか四川省の成都あたりには届くといった程度であったのに比べて飛躍的な進歩である。
    次世代アグニ5は,(なぜ『4』をスキップして『5』になる。おそらくそれまでの中距離弾道ミサイルから本格的な大陸弾道ミサイルへと進化し、別格のものとなるからであろう)では、航続距離を5000 kmまで大幅に伸ばし、インドのどこからでも中国のほぼ全土が射程圏内に収まるようになる。
    宇宙開発は、国の将来への投資であるといえるし、そうした先端技術を持つことが、国力自体を増進させるという効果もあるのだろう。またミサイルについても、現にパーキスターン、中国という核を保有する国々と長年緊張関係にあり、国防上のバランスを取っていく必要性を否定できないだろう。
    しかし宇宙開発も軍拡も、これらの事業を行なうことにより、どれほどの予算が費やされているのかということを思えば、ちょっと複雑な気持ちになる。
    昨今、経済発展が好調なインドとはいえ、そこはスタート地点があまりに低かったがゆえに、動き出せば伸びしろが大きいということに他ならず、今でも決して裕福で社会的に余裕のある国ではない。
    巨大な予算をつぎ込んで、先端技術を駆使した開発が華々しくなされているいっぽう、世界最大の貧困人口を抱えているこの国では、生活環境等改善のため、こうしている今にも適切な投資を必要としている人々が大勢いる。
    その配分をどうするのか決めるのは、言うまでもなく政治の役割だ。一足飛びに生活大国へ・・・というのは無理にしても、先端技術で華やかな成果を謳いあげるのと同じくらい、社会のボトム部分の底上げを実現できる日が来ることを願いたい。

  • ムンバイー タクシー業界仰天

    拾ったタクシーの運転手がたまたまお喋りな人で『あなたどこの人?』と尋ねてくる。『Tokyoだ』と答えると、『トゥルキー(トルコ)の人かい。てっきり日本人かと思ったよ』などと言っているが、またどこかで会う人ではないので、こちらは特に否定しない。

    『あなたの田舎はどこだい?』と振ってみると、『ラクナウーの近く』との返事。『ラクナウーからどちらの方向かい?』『ゴーラクプルのほうに120キロくらいかなぁ』『じゃあファイザーバードのあたりだな』『おぉ、まさにそこさ!よく知ってるねぇ』なんていう話になった。

    かれこれムンバイーで運転手家業を始めて16年になること、数ヶ月前に数年ぶりに帰郷してみて楽しかったこと、ごくたまにしか会うことのできない子供たちが、父親不在でもしっかりと成長して、特に長男が学校で親の期待以上に頑張って良い成績を上げていることなど、いろいろ話してくれた。

    こうした人に限らず、ムンバイーのタクシーを運転しているのは、たいていU.P.かビハールの出身者たちだ。郷里に家族を置いて、懸命に稼いでは送金している人が多い。家は遠く離れているし、そう実入りのいい仕事ともいえないが、家族はそれをアテにして暮らしているため、一緒に生活したくてもそうしょっちゅう帰ることもできない。

    このほど地元マハーラーシュトラ政府は、そんなタクシー運転手たちが仰天する発表を行なった。
    Maharashtra Govt. makes Marathi mandatory to get taxi permits (NEWSTRACK india)
    その内容とは『マハーラーシュトラに15年以上居住』『マラーティーの会話と読み書き』が必須条件になるとのこと。

    ヒンディーと近縁の関係にあるマラーティーを覚えることはヒンディー語圏の人たちには決して難しいことではない。ヒンディーと歴史的な兄弟関係にあるウルドゥー語を話すアジマール・カサーブ、2008年11月26日にこの街で起きた大規模なテロ事件犯人で唯一生け捕りとなり、現在ムンバイーの留置所に収監されている彼でさえも、周囲の人たちとの会話を通じ、すでに相当程度のマラーティーの語学力を身に付けていることは広く知られているとおりだ。

    ムンバイーのタクシー・ユニオンも『運転手たちはヒンディーに加えて、多くの者はマラーティーだって理解するし、英語の知識のある者だって少なくない。何を今さらそんなことを言い出すのか』と、即座にこれを非難する声明を出している。

    もっとも『マラーティー語学力を義務付ける』という動きはこれが初めてではなく、1995年の州議会選挙で、それまで国民会議派の確固たる地盤であったマハーラーシュトラ州に、マラーター民族主義政党のシヴ・セーナーが、BJPと手を組んで過半数を獲得することによって風穴を開けたときにも同様の主張がなされていたことがあった。

    そもそも義務としての『マラーティー語学力』それ以前の1989年から営業許可の条件のひとつにはなっていたようである。それが今回、これを厳格化するとともに、最低15年以上の州内での居住歴を加えて、州外からの運転手の数を制限し、地元の雇用を増やそうという動きである。タクシー運転手家業の大半が州外出身者で占められているのは、そもそも地元州民でその仕事をやりたがる人が少ないことの裏返しでもあるのだが。

    先述の90年代から伸張したシヴ・セーナーは、幹部のナーラーヤン・ラーネーが脱党して国民会議派に移籍、党創設者であるバール・タークレーの甥であるラージ・タークレーがこれまた脱退して新たな政党MNS(マハーラーシュトラ・ナウニルマーン・セーナー)という、本家シヴ・セーナーとはやや路線の違う地域民族主義政党を立ち上げた。

    そのため総体としての地域至上主義は、やや影が薄くなった感は否めないものの、このふたつの政党は、やはり今でも一定の存在感を示しているがゆえに、やはり今でもコングレスは安定感を欠く、というのが現状である。

    そうしたシヴ・セーナー/MNSの土俵に自ら乗り込み、ライバルの支持層を切り崩し、自らのより強固な基盤を築こうというのが、今回のタクシー運転手の語学力や在住歴に関しての動きということになるようだが、当然の如く、運転手たちの多くの出身地である北部州の政治家等からもこれを非難する声が上がっている。

    州首相アショーク・チャウハーンにとっては、そうした反応はすでに織り込み済みのようで、既存の営業許可に影響はなく、新規の給付についてのものであると発言するとともに、将来的にはタクシー車両へのAC、GPS、無線機器、電子メーターと領収書印刷装置等の搭載を義務付けることを示唆するなど、議論をすりかえるための隠し玉はいくつか用意しているようだ。

    これまでことあるごとに地域主義政党のターゲットとなってきた北部州出身タクシー運転手たちだが、それと対極にある国民会議派は彼らの力強い味方であるはずであったため、今回の動きについては、まさに『裏切られた』と感じていることだろう。

    たまたま街中で目立つ存在であるがゆえにスケープゴートになってしまうのだが、タクシー運転手に限らず、ムンバイーをはじめとするマハーラーシュトラ州内に居住する他州出身者は多い。現在同州与党の座にあるコングレスにとって、これまで地域主義政党が手にしてきた、いわゆる『マラーティー・カード』を自ら引いてしまうことは、かなり危険な賭けであることは間違いない。

    この『タクシー問題』が、今後どういう展開を見せていくことになるのか、かなり興味深いものがある。

    ※『ダーラーヴィー?』は、後日掲載します。

  • NIAの海外旅行保険

    日本発の海外旅行保険を扱う保険会社は、AIU、三井住友海上、ジェイアイ傷害火災、損保ジャパン等々いろいろある。
    同様に日本で営業するインド系の保険会社でも扱っていることはかねてより耳にしており、だいぶ前に『ニッポンで稼ぐインド国営会社』で取り上げたことがあるが、先日初めて同社の海外旅行保険のパンフレットを手にして眺める機会があった。ちなみに、これはウェブサイトからも閲覧することができる。
    海外旅行総合保険 (ニューインディア保険会社)
    インド最大の保険会社であり、ムンバイーに本社を置く国営のNIA (The New India Assurance Company Limited)の日本支社、ニューインディア保険会社の商品だ。
    私自身、ニューインディア保険会社はまったく利用したことがない。身の回りでこの会社の保険商品を利用したという人もいないため、その評判を耳にしたことはないが、どんな具合なのだろうか?