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カテゴリー: society

  • 列車が迷子

    チャーター列車が間違った方向に進んでしまったらしい。
    他にも同様の事例があるようなので、そう珍しいことでもないのかもしれない。
    日本の援助により、本格的に始動することとなったムンバイー・アーメダーバード間の新幹線建設計画はさておき、次々に新たなカテゴリーの特急列車が導入されたり、各種ラグジャリーな客車も投入されている昨今のインド国鉄だが、老朽化した橋梁、旧態依然の運行システム、こうしたミスを起こす操業上のルーズさに起因する大事故の頻発など、もっと根本的な部分を改革していく必要があることは常々指摘されているところだ。
    間違った方向に進んでいるのは、件のチャーター列車だけではないように思える。

    India train travels 160km in ‘wrong direction’ (BBC NEWS)

  • ジンナーの娘 死去

    不覚にも、今ごろになって知ったのだが、パキスタン建国の父、ムハンマド・アリー・ジンナーの娘、ディーナー・ワーディヤーが11月に亡くなっていたそうだ。享年98歳。

    ジンナーとゾロアスター教徒富豪出身の奥さんとの間の子、ディーナーは長じてゾロアスター教徒出身のクリスチャン実業家と結婚。私生活では母方の人脈との繋がりが濃密だったのかもしれない。

    父は建国したばかりのパキスタンの初代総督となったが、娘のディーナーはインド人としてムンバイーに残った。

    為政者が勝手に描いた国境線のため、親族がこちらとあちらに引き裂かれるケースは多いが、為政者ジンナーは自身の家族が印パ両側に分裂した。

    いかに有能な政治家であっても、家庭のこととなると、また別の話となるようだ。インドを独立に導いたガーンディーもまた、ほとんど聖人に近いイメージで伝えられる姿の裏にあった「父親としてはいかがなものか?」と思われる有様は、映画の題材にさえなっている。

    印・パ分離時にインドに残ることを選択したディーナーは、後に米国に移住しているが、近年の風貌は父ジンナーの晩年にそっくりだ。それはともかく、ムンバイーでディーナーがインド政府相手に係争中だったジンナーの屋敷についてはどうなるのだろうか。

    Dina Wadia | Passing away of Jinnah’s only child (The Daily Star)

  • バーブリーマスジッド破壊から25年

    アーヨーディヤーのバーブリーマスジッドが破壊されてから四半世紀が経過した。このあたりの一連の動きからインド中央政界の潮目が変わった。

    勢力に陰りが見えてきていた中道左派の国民会議派と、その他左派を中心とする勢力との綱引きが争われていた中に、急進するサフラン勢力が割って入ることにより、様相は一変した。国民会議派+左派勢力に対するサフラン勢力+地域民族主義勢力という図式になってきた。それまではキワモノ的な扱いだったサフラン勢力が一気に檜舞台へ立つことになった時代の転換期。

    その後、国民会議派とサフラン勢力を代表するBJPが総選挙で覇を競うこととなるが、前者が政権を握る場合も単独でマジョリティを得ることはなくなっている。現在、国民会議派を中心とするUPA(United Progressive Alliance)とBJPが核となるNDA(National Democratic Alliance)が対抗するふたつの軸である。

    地方政治でも同様に国民会議派の存在感は薄れている。北インドの人口稠密なUP州では1989年12月、ビハール州では1990年3月、インド西部の要衝グジャラート州では1995年3月といった時期を境に、国民会議派政権は生まれていない。

    UP州、ビハール州では特定のカーストやコミュニティを票田とする左派政党が長らく州政界を牛耳ることとなり、前者は今年3月の選挙でついにサフラン勢力が征することとなり、グジャラート州では1995年に国民会議派が政権から陥落してからは、いっときの空白期間を除き、やはりサフラン勢力が政権を維持している。

    Babri mosque: The build-up to a demolition that shook India (BBC NEWS)

  • Steam in India

    Steam in India

    80年代後半のインドでは、わずかながら蒸気機関車が牽引する各駅停車のローカルトレインがあった。

    急行列車やバスで移動したほうがよほど速いのだが、機関車の直後の客車に乗り込んで煙、匂い、音などを感じながら過ごす時間は、当時のインド国鉄ファン必須科目みたいなものであった。

    当時の詳細を思い出すと、客層の悪い(笑)超混雑の「General Coach」での移動は、まったくもって大変で、蒸気の旅を愉しむとか味わうとかいう状態ではなかったように記憶している。

    今のインド国鉄では、冬季に定期的に催行するFairy Queen(デリーからアルワールまで)の1泊2日のツアーが催行されている以外に、プロードゲージの路線で蒸気機関車が牽引する貸し切りツアーも、たまに行われていると聞く。

    28/11/2015 RTC Railways of the Raj Part 4 Delhi to Rewari

    機会があれば、こういうのに参加してみたいものだ。

  • amazonの壁

    amazonの壁

    amazon.co.inから紙媒体の書籍を入手しようとしても、インド国外への配送がなされていないため諦めるしかない。amazon.co.inで大量に流通しているkindle書籍はどうかといえば、こちらも国外からの購入は不可となっている。

    代わりにamazon.co.jpやamazon.comでインドで出版されたkindle書籍を入手しようとする場合、入手可能なタイトルが著しく限られるとともに、amazon.co.inでの販売価格との格差は甚だしい。

    amazon.co.inにて。Unlimitedユーザーは無料。購入の場合は49Rs (約85JPY)
    amazon.co.jpにて。Unlimitedの対象となっておらず、購入価格は1221JPY

    これはamazonに限らず、紙の書籍をインドで購入する場合と海外で購入する場合で大きく異なるのと同様ではあるが。

    インド国内であれば、購入が可能とはいえ、「アカウントの結合」が可能なamazon.co.jpとamazon.comの場合と異なるのも厄介だ。amazon.co.inで購入した書籍を同じkindle端末あるいはアプリで共有できず、専用に1台準備する必要が出てくる。

    インド国内・国外における相応の価格差はさておき、せめて電子書籍は国外でもインド国内と同様のタイトルが購入できるように、同じkindle端末あるいはアプリで共有できるようになって欲しいものだ。

    現在、インドに住所がないが、Kindle書籍のみamazon.co.inから購入したいという場合、ユーザー登録時に、友人あるいは宿泊先ホテルなどの住所などを記入しておけば良いようだ。ただし登録はインドの携帯電話に認証コードが送られてきて、これを入力することで完了するため、インド滞在中に実施しておく必要がある。

    その際、登録には間違ってもamazon.co.jpで使用しているメールアドレスは使用しないこと。国が違ってもamazon同士でユーザー情報が共有されているらしく、amazon.co.inでインドの住所を入力すると、amazon.co.jpの登録住所もインドのものに更新されてしまうからだ。その場合、日本で利用していたサービスやコンテンツのうち、国外住所登録の場合に利用できないものが生じてくるらしいのでご用心を。

  • 物乞いの寄付 25万Rs

    マイソールのヒンドゥー寺院で物乞いをして生活の糧を得ていた80代女性が、なんと蓄えの中から25万Rs (約44万円)もの大金をその寺院に寄付したという話がニュースになっている。
    参拝者の多い大きなお寺の門前や境内などでは、そこで物乞いをする人たちの身入りはなかなか悪くないのではないかと思っていたが、まさかそんな貯金まで出来るほどであったとは知らなかった。

    もっとも、本人の生活もあるだろうし、それをポンと寄付するものだろうか、寄付したところでまだ生活には困らない蓄えがあるのではなかろうか、やはり盛況な寺院での物乞いの稼ぎは良いらしい・・・と思ったりする。

    同時に、そこで物乞いをすることでこれほどの蓄財が出来るすれば、その寺院の威光は増すことになるはずだし、その蓄えを本人が寺院に献上するというのは、その信仰の厚さが美談にもなるため、自身のプロモーションを意図して寺院が創り上げたストーリーなのではないかとさえ勘繰りたくなってくる。

    何だか裏がありそうな話だ。

    Mysuru woman donates Rs 2.5 lakh to temple where she begs (The Times of India)

  • マオイスト英国人女性の手記

    リンク先は、インドでマオイストとして活動して、1970年にビハール警察に逮捕された英国人女性の手記。

    MY YEARS IN AN INDIAN PRISON (By Mary Taylor)

    当時の西ドイツに研修で滞在中のエンジニア、カルカッタ出身のアマレンドゥ・セーン(共産党マオイスト派の活動家)と結婚したことがきっかけでマオイストの道へ。

    ナクサライト(マオイスト)の創設メンバーのひとり、チャールー・マーズムダールは、なかなかのインテリだったそうだし、幹部にはバラモン層の知識階級や地主層の裕福な子弟だった人たちが多い。

    西ベンガルのナクサルバリで始まった毛沢東主義過激派の狼煙(ゆえにナクサル主義者=ナクサライト)は、他州にも広まったが、やはり指導層はそんな具合だ。頭が良すぎる?のも考えものかもしれない。

    もっとも近年は、マオイストたちの中での「汚職」の例も少なくないようで、活動資金を不動産等に投資して、ジャングルの中で闘争している手下たちをよそに、市街地に豪邸を構えたり、息子や娘たちを都市部のイングリッシュミディアムの進学校に行かせるリーダーたちも少なくないらしい。

    権力というものは、合法なものでも非合法なものでも、やがては腐敗するものなのか。

  • 競争社会 

    今年前半に導入された新しいタイプの急行列車、Antyodaya Express。

    ラージダーニー、シャターブディー、ドゥロント等の特別急行よりも下だが、一般急行よりも停車駅が少なくプライオリティの高いスーパー・ファストのカテゴリーの急行ながらも、連結されている客車はすべて2等、しかも予約席/寝台一切なしというエポックメイキングな急行列車。

    さぞかし粗末なものだろうと想像していたが、どうやらAntyodaya Express専用にモディファイされた新型車両を使用しているようで、なかなかいい感じ。

    しかしながら、「予約無し」システムなので、途中駅からの座席/寝台確保は難しそうだし、始発駅からの乗車でも、「他人をかき分けて我先に乗り込む」作法のインドだけに、「早い者勝ち」というよりも、「腕力ある奴が勝ち」「デカい奴らのグループ圧倒的有利」という状況になりそうだ。

    まさに「競争社会」でキビシイ・・・。

    Antyodaya Express, Train for Unreserved Travel to Roll out Soon. Here Are the 7 Things to Know! (THE BETTER INDIA)

  • Trains At A Glance更新版

    11月に入ってすぐにインド国鉄時刻表が更新された。

    今はインドの様々な旅行予約サイトで検索・予約出来るので利用価値は下がっているとはいえ、方面別に一覧できるのはありがたい。

    各駅停車も掲載されるNewman’s Railway Bradshawという時刻表もかつて出版されていたが、今でもどこかで流通しているのだろうか。

    オフラインでも参照できるように各ページをダウンロードしておこうと思ったのだが、リンク切れが沢山あるため、保存しそびれたページがかなりある。相変わらず雑な造りだ。

    一冊まるごとダウンロードできるようにしてあればいいのだが、1ページずつしか落とせないようになっているのが残念である。

    Trains At A Glance (November, 2017 – June, 2018)

  • アングロインディアンの家族史

    アングロインディアンの家族史

    Sunday's Child

    1942年にアーンドラ・プラデーシュ州の港町ヴィザーグ(ヴィシャカパトナム)で生まれ育った女性の自叙伝。

    英領末期のインドで、アングロインディアンの家庭で育った著者。父親はカルカッタに本社を置いていたベンガル・ナーグプル鉄道の従業員(機関車運転手)だった。インド独立とともに、こうした各地の鉄道会社は統合されて、現在のインド国鉄となっている。

    職員住宅で暮らしていた頃もあったが、後に一軒家を購入している。英国系の人たちが多いエリアであったらしい。

    著者が結婚した相手は、同じアングロインディアンで税関職員。植民地インドの政府系の職場には、英国系市民への留保制度があったこともあり、そうした方面での勤め人の占める割合は高かったようだ。

    クリスマスが近くなると、アングロインディアンを中心とする鉄道ファミリーの中から若者たちがカルカッタまで汽車に乗って、祝祭のために買い出しに出かけたり、コネを頼りに洋酒を買い付けたりといったエピソードが出てくる。また、同じ『肉食系』のよしみで、ヴィザーグ界隈のムスリムの人たちから解体した食肉を調達といった話も興味深いが、彼らの料理自体もアングロインディアンたちには馴染みの味覚であったらしい。

    英国系といっても彼女の家族はカトリック。地域に依る部分が高いとはいえ、アングロインディアンの世帯でカトリックが占める割合は意外と高い。

    この本の内容から逸れる。私自身、ヴィザーグの事情はよく知らないのだが、現在のマハーラーシュトラ州において、アングロインディアンたちの中に占めるカトリック人口の割合は高い。その背景には、ポルトガル領であったボンベイが、カタリナ王女の英国王室への輿入れにより、英国に割譲されたため、ポルトガル系をはじめとする在地のカトリック女性(及びインド人のカトリック女性)が英国から渡ってきた男性と結婚するケースは多かったようだ。

    『専業主婦』という言葉さえなく、経済的には稼ぎ手である夫に依存していた時代だが、家庭内での仕切りや子の養育の面では専制君主的な存在であったカトリック妻たちは、子供たちをカトリック化して育てたため、夫以降の次世代からは『カトリック世帯化』したらしい。

    これについては英国本国も危惧を抱いたものの、さすがに家庭内の事柄だけに、どうにもならなかったようだ。母は強し!である。

    本題に戻る。著者のファミリーは1961年に英国に移住。アングロインディアンの最初の国外脱出の大波からしばらく経ってのことであるが、独立インドの混乱がほぼ解消してからも、やはりイギリス系の市民には風向きが悪過ぎると判断の上で出国だ。

    インドでは「英国系市民」としての扱いやアイデンティティを持っていたアングロインディアンたちだが、到着した先祖の母国では『インド系移民』として捉えられるわけだが、当時の英国の『揺りかごから墓場まで』と言われた手厚い保護もあってか、比較的スムースな定着に貢献したのかもしれない。

    当時着々と増えてきていたインド人をはじめとする南アジア移民たちへの『同胞』としての愛着が表現されるのも興味深い。

    英領末期から1970年代に至るまでが舞台となっているが、この書籍が出版されたのは2016年と新しい。amazonのKindleフォーマットでの出版(紙媒体の書籍では発行されていない)というのも今の時代らしく、amazon.co.jpからでも容易に購入できるのはありがたい。著者も現在まだ75歳で元気なようだ。今後もアングロインディアンの生活誌的な作品を発表してくれることを期待したい。

    書籍名:Sunday’s Child: An Anglo-Indian Story
    著者:Hazel LaPorte Haliburn
    ASIN: B01MTT6SGS

  • 「アーリア人の谷」からのFBリクエスト

    2年前、ラダックのマールカーへのトレッキングでガイドをしてもらったT君と、今ごろになってFBで繋がった。
    「知らないカシミール人からリクエストが来ている・・・」と思って、よくよく見ると彼だった。ラダック人だが、風貌はまるでカシミール人みたいだ。

    チベット仏教の地ラダックの西側に、「アーリア人の谷」と呼ばれる地域があり、彼はそこの出身。この地域のアーリア系の人たちが仏教徒化したのはだいぶ時代が下ってからのことのようだが、「先祖伝来のアーリア系仏教徒」というのは、なかなかレアな存在である。

    一度だけ、ちょこっと「アーリア人の谷」を訪れたことはあったのだが、何がしかの縁がないと、あまり楽しめないような感じだった。もともと田舎の人たちなので、外国人が突然「やぁ、はじめまして!」と出かけて行っても、まあそんなもんだろう。

    彼のFB繋がりの人たちを見てみると、おそらく同郷なのだろう、欧州系みたいな顔立ちなのに名前がチベット仏教徒みたいな人たちが多い。

    この地域は、印パに分かれてしまっていて、今では互いに往来できなくなっているというようだ。パキスタン側ではムスリムとなっている同族の人たちが多いらしい。それでもFBを通じて、若い人たちは連絡取ったりするケースも増えているというT君の話はトレッキング中に聞いた。

    インド側のT君の村をいつか訪れてみたいが、同様にパキスタン側も行ってみたいものだ。その国境を越えられないので、ずいぶんグルリ、グルリと遠回りすることになるのだが。

  • The Cow Menaceという記事

    インドのBJP政権が牛の屠殺を禁止することにより、社会的、経済的、環境的問題で大変!というFRONTLINE誌の記事。

    「インドでは牛を殺さない」と思っている人は少なくないようだが、実はそうとは限らず、牛革、牛骨、それからとれるゼラチン、そしてもちろん牛肉の生産自体もインドでは昔から大きな産業だ。

    ムスリム地区、クリスチャン地域以外の一般的なバーザールで牛肉を見かけないというのは別の話。マーケット、アウトレットが異なるのだ。

    このあたりを担ってきたのは、主にムスリムの人たちだが、牛の屠殺を禁じるということは、まさにピンポイントで彼らを締め上げるということになる。

    The cow menace (FRONTLINE)