毎日新聞社による第17回アジア・太平洋賞の大賞が、中島岳志氏による「中村屋のボース―インド独立運動と近代日本のアジア主義」(白水社)に決定した。
2002年に出た「ヒンドゥー・ナショナリズム―印パ緊張の背景」(中公新書ラクレ)で世間の注目を集めた同氏は、新進気鋭の研究者として今後ますますの活躍が期待されるところだ。一般読者としても、次はいったいどんな本を世に出してくれるのか大いに楽しみである。
第17回アジア・太平洋賞 大賞に中島岳志氏 (毎日新聞)
投稿者: ogata
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第17回アジア・太平洋賞大賞に「中村屋のボース」
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パッケージツアー「ナガランド」
世の中には、さまざまな旅行代理店が企画したいろいろなパッケージツアーがあるものだが、日本のそうした旅行会社から「ナガランド」行きのものも出ているとは知らなかった。
なんでも「州都コヒマからトフェマ、モコクチュン、モンへと北上し、ナガ丘陵に暮らす様々な部族の村を訪れる」とあり、このツアーは「年に一度のアンガミ族の祭り・セクレニ祭」のタイミングに合わせたものであるとも、広告のウェブサイトに記載されている。来年2月下旬から3月始めにかけてのツアーで、いくつもの村々を訪れて風物を楽しむのだという。
立ち入りが制限されており、入域許可を得るにも条件等のため、なかなか訪れることができない地域であるし、ましてや時間のない人にはそれらの手続きや交通の便の関係からもハードルが高くなる。そのためこうしたものを利用するのも悪くないと思う。
しかし参加料金は約40万円と高額であるため、利用できる人は非常に限られてしまうのは残念である。私自身、とても手が届かない。
行程一覧を眺めてみると、ちょうどタイあたりの山岳少数民族の村々を訪れるツアーのイメージと重なるものがある。やがて地域の情勢が今よりもさらに安定に向かい、この地域が広く外国人旅行者に開放される日もそう遠くないのかもしれない。そうなれば、官民挙げて発展を目指すのはやはり観光であろうことから、この地域行く末が見渡せるような気がしないでもない。
ある人はそれを地域振興と呼び、またある人はそれを観光公害と表現するのかもしれない。地域のありかたは、基本的にはそこに暮らす人々が決めることとはいえ、外部からの投資家やデベロッパーのような人たちに牛耳られてしまうなんてことも往々にしてあるのだろう。これについて私自身は何とも言えないが、派手に観光化する前に訪れてみたい気もするし、そうした地域の変遷を何年おきかで定点観測してみるのも、なかなか興味深いことではないだろうかと考えている。
期間限定の一度限り、そして人数12人までと記載されているため、とっくに募集は終わっているのかもしれない。しかしこのツアーに興味を引かれて参加するのはどういう方々なのか、という点でもちょっと関心のあるところだ。 -
カレーの注文 ロンドン→デリー→ロンドン
何だか妙なことになっているらしい。
ロンドンでインド料理を電話注文すると、デリーにあるコールセンターにつながり、そのオーダーをロンドンにある料理屋が受け取る。出来上がりを待つお客は、自分のオーダーがはるか彼方のインドを経由して近所の料理店に伝わることなど露知らず。
日本でもNTTの電話番号案内業務の大部分が、本土よりも人件費の安い沖縄に移転しているが、コトバの壁もあり日本のコールセンターが中国や東南アジアに続々移転なんて話は今のところ聞かない。
個人的には、「グローバル化」なるものが、果たして私たちを含めて各地に暮らす人々のためなっているかという疑問があるが、何はともあれこれを具現化するには政治体制、経済活動の自由、商工業のインフラの状態などさまざまな条件が整う必要がある。その中でやはりコトバというものは大きな障害となろう。
外国語により提供される商品やサービスなどで、字幕や翻訳などを通じた顧客の母語による仲介なくして、日本市場で社会の隅々まで広く売ることができるのはミュージックソフトくらいではないだろうか。
英語を自在に操れる人の割合は限られているとはいえ、総人口という分母が巨大なだけに総数で見れば相当なもの。「英語圏」がとてもなく大きな力を行使している現代社会にあって、「インドの英語力」はこの国の大きな財産であることを今さらながら感じ入る。
Indian food via Indian call centres! (MSN News) -
カリブ海のインド人はどこに行った?
来年ドイツで開かれるサッカーのW杯に、カリブ海のインド(?)とも呼ばれるトリニダード・トバゴ共和国が初出場することになった。
この国について、Wikipediaによれば、「インド系住民41%」とある。すると代表チームのメンバーの半分近くがインド系選手ではないのかと期待して、同国のサッカー協会の代表選手紹介ページをクリックしてみたのだが、どうやらそうではないようだ。人口の半数近くを占めるはずのインド系出身選手のプレゼンスの薄さは謎である。
1998年のフランスワールドカップの際、当時の日本代表同様に初出場だったジャマイカがそうであったように、周辺国や欧州等で活躍する有望な選手ながらも代表経験のない者(サッカーで代表経験のある選手は、国籍を変更しても他国で代表入りすることはできない)に国籍を与えるなどにより、出生時の国籍は違う選手がけっこう含まれていることもあるのかもしれない。他に何か理由があるのかもしれないが、それにしても不思議だ。
本大会出場とはいえ、アジアでは「トリニダード・トバゴ代表」はまったく未知数の存在。果たして「カリブ海のインド人」はドイツW杯のピッチにやってくるのだろうか。 -
鎌倉のガンダーラ仏

先月下旬、鎌倉の建長寺に、パキスタンから「釈迦苦行像」が寄贈されたとの報道がなされていたことを記憶されている方も多いことだろう。
あまりにも有名で、ガンダーラ美術の最高傑作のひとつとされる仏像のレプリカだが、先の愛知万博の会期中パキスタン館で展示されていたものである。同国政府が当代一流の職人たちに作製させたこの像の素材はファイバーグラスとのこと。
10月25日に「遷座奉迎式」が行なわれた同寺境内にある、法堂と呼ばれる建物の中に安置されている。ちょうど私は鎌倉で用事があったので拝観してみることにした。
雲ひとつない晴天に澄み切った空気。暑さはもちろん寒さとも無縁、なにひとつストレスを感じないこの陽気。こんなパーフェクトで気持ちの良い天気は年に何日ほどあるだろうか。
総門をくぐり梵鐘や三門などを眺めながら境内を奥へと進む。法堂の入口脇に「パキスタン国寄贈 釈迦苦行像」と毛筆で書かれた看板が置いてある。堂の中には入ることができないが、入口のところから中を覗くことができる。写真などで見慣れた像だが、やはり日本のお寺にあってはずいぶん異質な印象を受ける。それがゆえに、はるか昔、広い大地を越えそして海を渡り、ついに日本まで至った仏教がたどってきた気が遠くなるほど長い旅路、それを支えた信仰の力に対して畏敬を感じずにはいられない。
わが国最初の禅専門道場であり、木造漆塗りの須弥壇、木造北条時頼坐像など、国の重要文化財をいくつも抱える建長寺に新たな寺宝が加わった。万博に出展したパキスタンによる素敵な置き土産である。

鎌倉建長寺にパキスタンの国宝の複製が寄贈(愛知万博ちょこっと情報) -
世界遺産検定
11月18日(金)に、NPO法人世界遺産アカデミーによる「第1回 世界遺産検定」実施の発表が行なわれた。
世界遺産の知識を広げ、啓発と保全活動の輪を拡げることを目的としており、検定料の一部は、世界遺産アカデミーを通じてユネスコ世界遺産センターに対して各世界遺産の保全活動基金として寄付される。
この検定にパスすることにどんなメリットがあるのか、何か役立つことがあるのかよくわからないのだが、旅行好きの年配の方々などが趣味で受けてみたりするのかもしれない。
ツアーガイドその他観光関係の仕事にたずさわっている人たちにとっては、世界各地の観光名所について必要な知識や教養を身につけているどうかをはかる目安になるのかな、と私は想像している。
第1回の世界遺産検定は、2006年6月18日(日)に東京と関西で実施される予定だ。申込期間は、郵便による申込受付の場合は来年1月16日(月)から 2月28日(火)まで、インターネット・マルチコピー機による申込受付は同1月16日(月)から 3月31日(金)である。受 検 料 は消費税込みで3,675円。試験の合格者に対して、認定通知を平成18年8月中旬発送予定とのことだ。
現在登録されている世界遺産は812ヶ所。インドはもちろん言わずと知れた世界遺産の宝庫だが、これらについてどんな問題が出題されるのだろうか。 -
インドに注目

ニューズウィーク日本版では、今週から2週連続でインド特集が組まれる。現在発売中の11月23日号は「第1弾 ビジネス編」で、次週11月30日号は「第2弾 外交パワー編」となり、現在のインドの経済と政治の動向をカバーしようという意欲的なものである。 -
何が良いのか悪いのか
昔、外からはあまり事情がよくわからなかった時代の中国からのニュースで、「天才××少年」などといったタイトルで紹介されるものがよくあった。それは暗算であったり、スポーツであったり、音楽の演奏であったりした。往時の共産圏では国内外へのプロパガンダという目的もあり、「国家は人民への目配り気配りを欠かさない」「共産主義とは創造的な個性を伸ばす体制だ」といった具合にアピールしたかったのだろうか。
国外から眺めていても、特にスポーツの分野ではオリンピックその他の大きな大会で、東側の国々が体操や陸上競技など特定の種目において圧倒的な強さを発揮したりもした。まさに才能を秘めた児童たちを発掘し、幼いうちから国家による英才教育を施した結果だ。こうした才能の発掘と開花の目的は、個の育成ではないことはいうまでもないだろう。才能を見込まれながらも結実しなかった多くの者たちが、その後どうなったのか知りたいところでもある。
かつてのような東側ブロックなる世界は存在しないが、現在でもそうした体制の国々はいくつか残っているし、国威発揚のための天才発掘とその育成という「事業」が消え去ったわけでもない。 -
チャンバルの盗賊の死
昨年の今頃であったただろうか。伝説の大盗賊ヴィーラッパンが南インドで警察の治安部隊とのエンカウンターの結果、絶命したのは。
そして今年は、かつてのプーラン・デーウィーと同じく、北インドのチャンバル渓谷を舞台に悪名を馳せたニルバイ・グルジャルが、STF(Special Task Force)との銃撃戦の末、死亡した。おとといの夕方のことである。
しばしばメディアの取材に応じ、写真とともに記事が掲載されていたので、まるで絵に描いたような「悪漢」らしい不敵な面構えが脳裏に浮かぶ人も多いだろう。

200件を超える凶悪事件のお尋ね者。年齢は40代とも50歳を越えているともいわれていたニルバイは、幾度か結婚を繰り返しているが、いずれも妻となった女性たちとの家庭生活は長く続かなかった。その中には部下と駆け落ちした者あり、警察に逮捕されてそのまま生き別れになった者あり・・・。
獲物を求めて野山をさまよう「狩人」には、世俗の家庭生活などもともと似合わなかったのかもしれない。 -
東京杉並に眠るボース

インドの知人から神奈川県(?)にカーリー寺院があり、インド人、特にベンガル人の参拝客が多いという話を聞いた。それはごく最近できたものではなく、昔からあるお寺なのだという。彼は日本に来て日が浅く地理に疎いため、どのあたりにあるのか要領を得ない。そしてどうやらまた聞きらしく、何か勘違いしているのかもしれない。
だが仏教とともに日本に入ってきたインドの神様は少なくないので、カーリーの仏教名「大黒天女」を祀ったお寺あるいはそうしたお堂を持つ寺院があり、それが在日インド人善男善女を集めるようになっている、というのならばあり得ない話ではないので、機会を見つけて調べてみたいと思う。
そんな彼に「インドと縁の深い仏教のお寺がある」と、インド独立の志士チャンドラ・ボースの遺灰が納められている蓮光寺のことを話した。 -
中東航空会社 ケララ州乗り入れ便が盛況
インドは観光シーズンを迎え湾岸諸国の航空会社のケララ行きのフライトが盛況だという。これらの航空会社はそれぞれの本国をハブに欧州とインド双方への乗り継ぎが便利だ。
しかもデリーやムンバイといった大都会への発着のみならず、伝統的にケララ州から中東方面に向かう出稼ぎの人々が多いためもあってか、同州に直接乗り入れる国際便が少なくないことも特徴だ。
豊かな産油国から訪れる人々の数も無視できないのだろうが、やはり観光目的による訪問客のマジョリティはやはり旅行好きな欧州の人々だろう。これから季節は冬へと向かうが、寒い北ではなく暖かいトロピカルな南での休日を楽しむことができる。
居住国から同じフライト直に(利用するキャリアの本拠地での乗り換えを含む)往復できるところでは、いきおい同郷の短期旅行者が多くなる。日本からケララへ入るにはどこかでワンクッション置かなくてはならないのとは対照的だ。
我々にとってのプーケット、バリ、ティオマンといった東南アジアの島々のごとく、インド以西からやってくる観光客たちにとって、ケララ州の海岸は身近な保養地ということになるのかもしれない。
Middle-East airlines gear up for busy days (MSN India)

