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投稿者: ogata

  • ブービー・トラップ

    Eチケットには「ターミナル2」と書いてあったのだが、ウェブチェックインしてみると、「ターミナル3」と記されている。どちらが正しいのかコールセンターにかけてみると「ターミナル3」とのこと。

    空港でチェックインもできるけど、事前にチェックインせず、ギリギリのタイミングでEチケットにある「ターミナル2」到着したらアウトであった。

    この件で航空会社に電話したときのことなのだが、自動音声で「お客様のご用件をどうぞ」というのが流れた後は沈黙。

    「新規の予約は1を、すでにお持ちの予約については2を、その他のご質問は3を」みたいな音声を期待するが、何も言ってこない。

    すると「ご用件が確認できませんでした。ご用件をお伝え下さい」と音声が流れる。

    戸惑いつつも「いま持っている予約のことで質問が・・・」とつぶやくと、「ご用件を賜りました。担当者に繋ぎます」ときた。

    コールセンターの1次受けはvoiceBotとやらになっており、そこから振り分けられた2次受けから人間が対応する形らしい。

    AIの進化はとても早いので、今に2次受けも人間の対応は不要になり、「責任者を出せ!」とか怒鳴る人にだけ、生身の人間が出てくるようになるのではなかろうか。

    いやクレーマーへの対応こそ、人間の心が擦り減ってしまうので、AIに任せるほうが良いだろう。たぶんAIは鋼鉄の心臓を持っているから誰が相手でもへっちゃらなのだ。

  • Sita Ram Diwan Chand

    Sita Ram Diwan Chand

    デリーのパハールガンジの常宿近くのチョーレー・バトゥーレー専門店シーター・ラーム・ディワーン・チャンド

    Try Sita Ram Diwan Chand Chole Bhature. Serving since 1950

    でテイクアウトの朝食。

    大変美味しいのだが、食べ終わると沢山のゴミが出るのが玉にキズ。しっかりした不織布の袋など、実にもったいない思いがする。

    ずいぶんしっかりした不織布の袋に入れてくれる。下がテイクアウトのパッケージ。
    パッケージを開けたところ
  • 三又ソケット

    三又ソケット

    三叉ソケットを買い足した。宿で利用できるコンセントが足りなかったり、接触が悪くなっていて、何かひとつ噛ませないとうまく通電しないコンセントがあったりするため、とても重宝する。

    感心するのは、近年は3つ4つに分岐させるだけではなく、平型タップにも対応する形状になっていることが少なくないことだ。

    とりわけ外国人客の多い地域では、そうした需要は少なくないのだろう。つまり2穴式でも丸型だけでなく平型にも使えるということ。もちろん私たち日本も平型だが、アメリカの家電製品に配慮したものと思われる。

    安いものだし、何かと置き忘れたり、紛失しがちなグッズでもあるため、見かけたらその都度購入して補充しておきたい。

  • インドの「民営列車」について

    インドにおける鉄道は英領期には複数の鉄道会社が各地で運行しており、中には「藩営鉄道」もあった。独立後はそれらが「インド国鉄」として統合されて現在に至る。唯一例外的に存在していた「英国資本の私鉄区間」はマハーラーシュトラ州のヤワトマルとアチャルプル間の189kmの路線のシャクンタラ・エクスプレス。こちらを所有していたのがKillick, Nixon and Companという民間企業であった。2020年を最後にこれは廃線となっている。

    そのインド国鉄だが、実はインドでも国鉄民営化の話はときおり出てきた。その結果として近年は「民営列車」が登場している。

    日本でかつての国鉄が民営化されたり、民営化後のJRの不採算路線の一部が廃止ではなく、自治体や民間企業との協力による第三セクターへと移管されたのとは異なる手法によるものとなっている。

    現時点で「民営化列車」の数は多くないが、インド国鉄の子会社による運行となっていることだ。その子会社とはIRCTC。つまりインド国鉄のネット予約とケータリングサービスを全面的に取り扱っているあの会社だ。同社はBSE及びNSE上場の株式会社だが、株式の67%をインド政府が保有している。そういう特殊な背景のある企業で、外国人の目から見ると、インド国鉄におけるそうした事業が入札等の手続きなしでIRCTCに丸投げされているのは奇妙であるが、このIRCTCの存在そのものも「民営家圧力」の中から生まれたものであった。IRCTCの設立は1999年。

    ネット予約についてはインドの複数の旅行ネット予約会社も取り扱っているが、IRCTCのシステムに乗り入れての実施であり、ユーザーはIRCTCのアカウント保有が利用条件となる。また国鉄のケータリングサービスはホテル運営会社などが受託しており、現場でサービスをしているのはそうした企業だが、IRCTCが入札を実施して委託しているものだ。(ラージダーニー、シャターブディー、ヴァンデーバーラト等々の特別エクスプレス及び一般エクスプレスの上級クラス車両において実施しているものであり、勝手に乗り込んできて商う物売りはこれに含まれない)

    そうした状況ではあるものの、今後は外資を含めた様々な企業が参入する方向らしい。

    ちょうどデリーその他の大都市における市バスの運行と似た展開かもしれない。例えばデリーにおいては、デリー交通公社(DTC)が市バスろ選を管理して運行させているが、この中には民間資本のバスも多く混じっている。バスのカラーリングや仕様は同一なのだが、そうした車両には受託した企業ないしは個人の名前が記されており、運転手と車掌も公社職員ではない民間人である。これらはデリー交通公社と契約して、同社のサービスとして、定められた路線を運行する事業受託業者の人々なのだ。

    あるいは日本の自治体が所有する保育園、図書館、スポーツ施設等などで、事業を受託した民間企業により運営される「公設民営施設」が多いが、それらとも近いやりかたであると言える。

    そんな具合なので、今後のインド国鉄では「民営列車」の運行は増えていくのだろうし、これに加えて、たとえば鉄道駅業務や保守関係業務等々の民間委託、不採算路線の民間委託等々といった方向にも展開することがあるのかも?と個人的には予想している。

    Private Train in India: All That You Need to Know (RAI.MITRA)

  • 買いそびれたマグネット

    買いそびれたマグネット

    先日、南インドで買いそびれたマグネット。ドーサやワダーを模していて、なかなか秀逸。旅行荷物の一切合切を持っての移動中、半日ほどの鉄道乗り換え時間を利用して、オートをチャーターして回った先の中で眺めの良い展望台があり、そこの露店で見かけたもの。こういう気の利いた細かさはインドらしくない。

    「へえ、いいじゃん。でもこんなの腐るほどあるんだろう」と思ったが、その後遭遇せず。こんなグッズにも一期一会ということがある。

  • 実はまだどう転ぶかわからない「インドの選挙結果」(6月5日現在)

    昨日6月4日にインドにおける今回の総選挙開票結果が明らかになった。日本では「モーディー政権三選、今回は支持を減らしつつも勝利」と報じられているが、実は組閣に成功するまではそうとは言えないようだ。

    インドの報道で伝えられているところだが、党利党略とポスト獲得のためにBJPと帯同していた有力政党がそれぞれいくつかの「要求するポスト」のリストをBJPに渡しており、満足のいく結果が得られないとBJPを中心とするNDA(という政治アライアンス)から国民会議派を中心とするINDIAブロック(という政治アライアンス)に乗り換える可能性がかなりあるらしい。

    総議席543議席のインド下院で、BJPが単独で過半数を得られなかった(240議席)ことから、協力関係にある有力政党の発言力は強くなる。またNDA全体で293議席、INDIA ブロックで234議席と大きな差はない。

    そのため選挙戦途中でINDIA ブロックを抜けてNDAに寝返ったニーティーシュ・クマールのジャナタダル(12議席)、アーンドラの雄、チャンドラハーブー・ナイドゥーのテルグ・デーシャム(16議席)、チラーグ・パースワーンのローク・ジャンシャクティ・パーティー(議席)といったBJPに対する忠誠関係になく政党の合計32議席分の不安定要素がある。

    打算でNDAに参加しているこれらの政党が、もしNDAを抜けてINDIA ブロックに合流すると、NDAは293議席-32議席=261議席、INDIA ブロックは234議席+32議席=266議席で、態勢は逆転してしまう。そこでどちらにも属さない小政党や無所属による残り16議席分がどのように動くか。

    インド政治において、合従連衡の失敗による選挙結果の逆転劇は2019年末にもあった。マハーラーシュトラ州議会選挙でBJPとシヴ・セーナーの連合が圧勝したのだが、組閣におけるポスト配分でもめて、後者は選挙で敵として戦った相手である国民会議派とナショナリスト会議派と手を組むという驚きの連立政権を樹立させた。

    そのようなことがあっては、シヴ・セーナーに票を託した人々の意思は?思いは?といったところだが、インドではこのような合従連衡の崩壊や乗換えはけっこう起きる。

    ニーティーシュ・クマールもチャンドラバーブー・ナイドゥーのいずれも首相に次ぐナンバー2あたりのポストを要求するであろうし、どちらの政党も配下の議員たちに有力なポストを求めるはず。

    ひょっとしてNDAが組閣に失敗して崩壊というようなことがあれば、INDIA Blockに彼らが乗り換えて、ニーティーシュ・クマールあるいはチャンドラバーブー・ナイドゥのいずれかが首相あるいは副首相、ラーフル・ガーンディーが内務大臣、国防大臣チラーグ・パースワーン・・・といった、思いもしなかった「インド新政府」が発足する可能性がまだ残されているというわけだ。

    あながち「ヨタ話」とも言い切れず、昨年まではビハール州のチーフミニスター、副チーフミニスターとして協働しつつも、前者の地位にあったニーティーシュ・クマールが後者テージスウィー・ヤーダヴのラーシュトリヤ・ジャナタ・ダルとの連立関係を解消し、これと入れ替わりにNDA入りして州政権をジャナタダル+BJPという形で組み替えて激しい非難合戦を展開したふたりが、本日いずれもデリーに向かう飛行機の中で隣り合わせに乗って仲良く会話していたという報道もある。

    デリーでは、まさにこれから組閣に向けてのNDAの重要な会合が開かれるが、それと同時にINDIA Blockのほうでも「政権奪取」に向けての最後の試みが展開中という。

    前者の会合が難航し、後者の試みが成功すると、アラ不思議、勝利宣言をしたモーディー氏のBJPが野党に転落していて、国民会議派が与党連合の主軸としての組閣を発表・・・なんていうことがあるかもしれない。

    インドの政治、インドの選挙というものは、いつもながら実に面白いなぁと思う。最後までどう転ぶかわからないハラハラのドラマである。

    Tale Of 2 Pics: Nitish Kumar, Tejashwi Yadav Sit Together On Delhi Flight (NDTV Elections)

  • 熱波と死者

    北インドの熱波による死者に関するニュースが続いているが、6月1日に総選挙の最終となる第7フェーズの投票がなされたウッタル・プラデーシュ州では暑さにより1日で33人もの投票所スタッフが亡くなったとのこと。

    これに先立つ第6フェーズの5月25日に投票が行われたデリーでも投票所のスタッフが12人も亡くなったとのこと。いずれも投票当日の1日間に起きたことだ。選挙関連の仕事をするのも、こういう季節には命懸けだ。

    すでに出口調査ではBJP率いるNDAの大勝の見込みが伝えられているが、いよいよ明日6月4日に今回の総選挙の集計結果が出て勝敗が判明する。

    Dozens killed by extreme heat in India as polls close in world’s largest election (CNNWorld)

     

  • トルコ菓子

    トルコ菓子

    フォートのここからコラバ方面に少し歩いたところにあるHURREM’Sというトルコ喫茶店が素晴らしい。

    バクラヴァその他のトルコ菓子とトルコ式コーヒーや紅茶を楽しめる。このところ、インドの都会ではこうしたものを見かける機会が増えた。インド人とトルコ菓子は相性も良さそう。

    こういうのが日本にあったら大ヒットしそうだ。高級感もあって良い。そのぶん高いのではあるが。

     

  • 鉄道駅撮影

    鉄道駅撮影

    ムンバイCST駅へ。どこもかしこも素晴らしい意匠と規模感。おそらく世界で最も美しく優雅な鉄道駅だろう。

    かつては鉄道や駅撮影にはうるさかったインドだが、かなり柔軟化されたのか?ほぼ自由に撮影することができた。

    スマホだからという点もあるかもしれないが、こういう眺めをどんどん撮影できるのは楽しい。

    運転手さんがポーズを取ってくれた。
    「運転しているかのような姿勢を」とお願いしたらこうなった。

    鉄道駅界隈では「体重軽量屋さん」も健在

     

  • インドでは珍しい「アラビア的な光景」

    インドでは珍しい「アラビア的な光景」

    アラビアでは猫を愛好する人たちが多いため、こんな具合に店のカウンターに猫が上がり込んで我が物顔で振る舞っていたり、そういう猫相手に、いかつい顔をしたおっさんがとびっきりの笑顔で抱っこしたり撫でたりしているのは日常風景だ。

    しかし一般的にインドでそういうのはまず見かけないのは、猫という動物の位置づけが異なるためもあるのだろう。

    それなのに、なぜかムンバイ、すくなくとも南ムンバイでは、このような光景はごく普通に見られるのが不思議だ。ぜひとも岩合光昭さんに訪問してもらいたい。

  • レーワーリーの蒸気機関車整備場 (Rewari Loco Shed)

    レーワーリーの蒸気機関車整備場 (Rewari Loco Shed)

    ハリヤーナー州のレーワーリーには、インド国鉄好きにはたまらない蒸気機関車整備場がある。ここにはたくさんのSLが集結しているが、博物館のように展示されているわけではなく、すべてが現役の蒸気機関車。それらの車両の整備場なのだ。もちろん入場料を払って見学することができるのだが、場内では整備士さんたちが忙しく働いている。

    レーワーリー蒸気機関車整備場ゲート

    「忙しく」とは言っても、傍目にはのんびりしているように見えるのだが、インドにおけるSL修理のための「最終兵器」みたいな整備場で、貴重な蒸気機関車を日々整備するとともに、他の整備場ではどうにもならないポンコツをも受け入れて、手間暇かけてレストアしていく、そんな凄腕の整備士さんたちが揃っているそうだ。

    入場すると、出勤してきたばかりの蒸気機関車の運転士さんが構内を案内してくれた。現在この人は蒸気機関車専門の運転士とのことで、冬季にデリー・アルワル間で運行される小ぶりで緑色のメーターゲージ機関車、フェアリー・クイーン号の走行も担当しているとのことで、他にも何かのイベント等での運行があれば、呼ばれて行くそうだ。実際に走行する際には4時間ほど前から機関車のウォーミングアップが必要とのこと。

    フェアリー・クイーン号は、優美な外見とは裏腹に、気難しくて扱いにくい機関車であるとのこと。容易にオーバーヒートするし、気を抜くと瞬時に蒸気圧が下がってエンコするなどとても厄介であるとのこと。大昔の機関車なので動かすだけでもちょっとやそっとではいかない相手のようだ。

    フェアリー・クイーン号
    フェアリー・クイーン号

    普段はあまりそういうのがないので暇かと言えばそうでもないようで、機関車の入れ替え作業はもちろんのこと、整備の途中で蒸気機関を回しての動作確認作業などもあるそうだ。

    大きなブロードゲージの貨物用機関車の顔が外れた間抜けな姿を見るのは初めてだったけど、蒸気機関の構造について運転士さんから説明を聞くことができて良かった。すこぶる燃料効率の悪い、そして水も大量消費する機関車だったこともよくわかった。

    どの機関車もバリバリの現役であるため、駅前などに展示されている機関車と異なり、生気に満ちている。また蒸気機関による機関車以外の車両の整備も実施されており、蒸気機関によるロードローラーというのは初めて目にした。

    蒸気機関のロードローラー

    整備場構内では植民地時代の貴賓用客車の展示もあった。こちらは1921年の車両でこの年に訪印したプリンス・オブ・ウェールズのインド滞在のために造られたた特別車両。後に英国国王(=インド皇帝)エドワード8世となる彼の皇太子時代だが、インドに4ヶ月滞在している。要人の長期滞在には批判も多かったようだ。

    The Prince of Wales’ 1921 Trip to India Was a Royal Disaster (JSTOR DAILY)

    プリンス・オブ・ウェールズ(当時)の御用車両

    御用車両内
    御用車両内
    御用車両内(プリンス・オブ・ウェールズの寝室)

    2000年以降にここで撮影された映画のリスト。最近はアクシャイ・クマールの主演映画の撮影があったとのこと。10月公開予定とか。ロコ・シェッドの壁にあったリストはこちら。

    撮影された映画タイトルのリスト(ヒンディー語での表記)

    入場料はわずか10Rs。嬉しいことに外国人料金の設定はない。イン鉄ファンの方にはとてもオススメ。

    レーワーリー駅の周囲にも興味深いものがある。インドに限らず日本その他でも鉄道駅のこちらと向こうで雰囲気がずいぶん異なることはあるが、レーワーリーほどの極端な例はそう多くないと思う。

    鉄道駅の東側は駅前スペースはほとんど無く、いきなり密度の高い商業地になっており、主要駅のひとつであるこの駅を乗り降りする人たちは24時間絶えないため、駅前ではデリーやカーンプルなどと同様に終夜営業をしている店は少なくないようだ。オートはリザーブと乗り合いベースでいつも客の取り合いだ。とにかく賑わっている。

    レーワーリー駅東口

    一方で西口に出ると、商店は一軒もないし、客待ちのオートもゼロ。とても静かなのだ。これには驚いた。よく見るまでもなく、建物は古ぼけているものの、鉄道病院があったり、鉄道関係者の住宅が立ち並んでいたり、立派ではない簡素な教会があったりする。ここはいわゆる「レイルウェイ・コロニー」なのであった。

    レーワーリー駅西口

    つまり鉄道関係用地という、きちんと管理された政府所有地が西口側に広がっているため、民間企業等が開発したり、一般の商店や住宅が建てられることもなければ、スクウォッターたちが勝手に住み着くことも出来ないわけである。

    本日はずいぶん早くに整備場のゲートに到着して9時の開場を待っていたのだが、出勤してくる人たちはみんな同じ方向から歩いて来ていたので、おそらく整備士という業種で同一の宿舎に住んでいるのではないかと推測できる。

    英領時代、整備場が造られた頃は当時のハイテクの粋を集めた先進的な機関。英国人のメカニックがネイティブ(当時はそう呼んでいた)に技を伝えるべく頑張っていた場所だ。

    在インドの英国人にも当然、階級というものはあり、鉄道、自動車、電信電話その他のいわゆる現業部門の英国人たちは、社会の指導的立場にはなく、彼らがフィールドとする仕事場における「親方」に過ぎなかった。

    そんなわけで、現在のレーワーリーのレイルウェイ・コロニーの古ぼけた庭付き戸建ての官舎には、比較的よさげな給与待遇に惹かれて渡印したものの、配属先で大きなタスクを負わされつつも、ホワイトカラーの同国の上役からはやいやいのと言われつつ、部下のインド人たちへのリーダーシップがうまく取れなかったりと、かなり追込まれて気の毒千万な英国人も多かったはずだ。

    植民地時代の研究や考察などで、そうした現業部門に従事した英国人の日常生活に関するものは例外的と思われるが、何かうまくまとめられたものがあれば、是非読んでみたいと思う。

  • 日本メディアによるインド選挙関係報道

    こちらの記事を紙面で見たが、やはり日本メディアによるインド関係記事は非常に底の浅いものが大半と改めて感じさせられた。

    要は「反モーディー」のこういう側面もある、というようなことを伝えたいのだろうけれども、カシミールにおける反インドの機運は大昔からであり、カシミールにおける政情不安が始まったのは国民会議派政権時代。

    憲法第370条により、これを基に定められていたカシミールに与えられた特別な地位の廃止、州としての地位を剥奪してUT(Union Territory=連邦直轄地)化したことについても触れられているが、これにより同州内であったラダックが「念願のカシミールからの分離」を果たしたのはまさにこれによる恩恵であった。

    つまり「インドに支配を受けるジャンムー&カシミール州に支配を受けてきたラダックの解放」という構造もあった。

    その後、カシミールもラダックもUTからそれぞれ州としての地位を与えられることなく時が経過していることについて地元からの批判は少なくないものの、先述の「憲法第370条廃止」とこれによるカシミール地域の取り扱いの変更についてはインド国内で好意的に受け止められてきた。州からUTへの移行期には記事にもあるとおり、多くの政治家たちが拘束されたり自宅軟禁となったが、これについては分離主義的な感情を煽ることによる騒擾を防ぐためのものであったのだろう。

    カシミールにおける有力政党は特定のファミリーによる世襲勢力であるとともに、基本的に「アンチ・インド」である。J&K州最後のチーフミニスターとなったメヘブーバー・ムフティ率いるPDP(Jammu & Kashmir people’s Democratic Party)は州として最後の選挙戦でBJPと組んでこれに勝ったが、その任期中に自らの知らぬ間に州としてのステイタスが一夜のうちに無くなり、自身も拘束されるなど、アッと驚く政変劇となった。

    連立バートナーとしてのBJP、こうした手続き上の問題はなかったのか等々、疑問符の付く部分は否定できないものの、カシミールはこれまで長年隣国(パ国)による干渉を通じた工作活動の対象となってきた地域であり、Armed Forces (Special Powers) Act(警察組織ではない軍組織が市民を逮捕・拘束して尋問する権限が与えられる特別措置法)の適用地域であるという特殊性がある。

    そんな特殊な地域であるという前提抜きで、こうした記事を書く、掲載するというメディアの意識が私には理解できない。

    (インド総選挙2024 大国の行方)自治権奪われた街「自由が欲しい」