
はたして客車料金の違いは、そのクオリティに見合ったものだろうか?例えば急行列車で1000キロ移動した場合の運賃は、以下のとおりである。
●二等座席…………188Rs
●二等寝台…………301Rs
●AC座席…………657Rs
●AC三段寝台…………845Rs
●一等…………986Rs
●AC二段寝台…………1,352Rs
●AC一等…………2,628Rs
同じ列車に乗っても(通常、ひとつの列車に全クラスが連結されているとは限らないが)最上クラスに乗るには、最下クラスのなんと14倍もの運賃を支払わなくてならない。
さらに、この同距離をラージダーニー急行のAC一等で行こうとすると、3150ルピーもかかってしまう。これは国内線の飛行機運賃並みである。その一方、1000キロという距離を急行ではなく、運賃の安い鈍行列車を乗り継いで行くと、たったの103ルピーで済んでしまうから驚きだ。このふたつの運賃を比較すると、その差は30倍以上になる。

ACクラスとはいっても、客車のレイアウトは旧来の空調の無い車両の造りをベースにしているので、AC一等の車内は従来の一等車と、AC三段寝台は二等寝台と非常によく似ている。下のクラスの車両であっても空調の有無とクッションの厚みを除けば、基本的な設計や設備には大差がないわけだ。
あえて下のクラスの客車の清掃やメンテナンスを怠ることによって差別化を図っている……ことはないとは思うが、クラスが上がるほど割高感が大きくなるのは変な気分だ。アッパークラスの乗客であっても、途中通過する駅は同じだし、目的地に早く着くわけでもないのだから。
クラスによって最も違うのは車両自体ではなく客層である。そして、予約があれば自分の席や寝台がちゃんと尊重されるクラス。予約はおろか切符を持っているのかさえ怪しい人たちでごった返す中、スペースの奪い合いになるクラス。どちらがいいか、ということだ。
運賃の大きな差は、国鉄側からすれば「あるところから取る」という意識なのだろう。一方、乗客側にしてみれば、経済的に余裕があれば同乗の客層を選別できることになり、「快適」と「安心」を保証される。インド鉄道はフトコロ具合によって選択の幅が広い。利用者本位であるかどうかはさておき、「平均値の無い国」インドの実情そのままである。
経済能力による住み分けは、もちろん鉄道切符代に限ったことではなく、衣食住その他のことがらでも同様だ。これについてはまた別の機会に考えてみたい。

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