カングラー渓谷鉄道が4年ぶりに全線復旧したとのこと。モンスーンの豪雨で鉄橋が流されたのを含めて複数箇所分断していたためだ。
以前と違うのは始点のパターンコートから終点のジョーギンダルナガルまで通しで往復するのではなく、起点からも終点からも途中駅のバイジナート・パプローラーで乗り換えとなること。加えてパターンコートからバイジナート・パプローラーまでは上下1本ずつしかなく、しかもそこからジョーギンダルナガルへは同日接続できないダイヤ。
不思議なことに始点パターンコートの3つ先の駅、ヌールプル・ロードからは日に4本程度あり、最も早い時間帯の便であれば同日接続できるらしい。しかしここは始点から終点まで完乗にこだわりたいものだ。
このような変則的な運行になっているのはこれまで部分運行していた際、先述のバイジナート・パプローラを軸にかたやパターンコート、かたやジョーギンダルナガルへと走らせていたことがあるようだ。おそらくバイジナート周辺でも路線が途絶するような豪雨被害があったのだろう。将来的には以前と同じく、パターンコートからジョーギンダルナガルまで通しで走るようになると思われる。
実は全線復旧となったのはここひと月くらいのことらしい。パターンコートを出て次の駅、ダルハウジー・ロードとその次の駅カンドワル(ヌールプル・ロード駅のひとつ手前)の間にあり、河を渡るチャッキー橋(路線の見どころのひとつ)が先述の豪雨で落ちている。この部分の復旧に一番手間取り、ようやくこのひと月の間にその橋を渡れるようになった。そのため長らく暫定の始発駅となっていたヌールプルから本来の起点のパターンコートまで繋がり、ようやく全線通じたというわけだ。
この路線の列車は「トイトレイン」と通称されるものの、スイッチバックを繰り返して上っていく山岳鉄道ではない。メーターゲージで、その名の通り渓谷内を往来するもの。乾季であればヒマラヤの雄大な景色が楽しめるそうだ。ダージリン、シムラーなどの山岳鉄道と異なり、基本的に観光用ではない地元の生活路線。予約のない「ジェネラルコーチ」のみである。もちろんエクスプレスの運行はなく、鈍行列車のみの路線だ。
起点のパターンコートから乗るとバイジナートで1泊して翌日以降にジョーギンダルナガル行きに乗り換えることになるが、バイジナートのひとつ手前のパーランプルは風光明媚な場所として知られているとともに茶園でも有名だ。バイジナート駅にはよく知られた名刹もある。
終点のジョーギンダルナガルからはバスでマンディーに行けるし、そこから日帰りできるレーワルサルも良さそうだ。レーワルサルは小さな湖で、スィク、ヒンドゥー、そしてチベット仏教の聖地とされる。「え?チベット仏教の?」と思われるかもしれないが、ここでグルー・リンポチェが修行したとされる。マンディーは小さな元藩王国の首都だったところ。発展や変化から取り残された分、地域の歴史的な建築や伝統の宝庫らしい。
ここからカルカーはバスで楽に行ける距離なので、さらにはシムラーへトイトレインで往復することもできる。ダージリンに較べて本数は多いため、予約は少し楽かもしれない。
インドという国の素晴らしく、そしてものすごいところは、どこに足を向けても味わい深い風物や風景があり、巨大な建造物がなくても、目を奪うような美にと豊かな伝統に溢れているところだ。もう降参するしかない。
































