復活なるか?「地上の楽園」

photo by www.kashmirretextured.com / Rafiq Kathwari
 インドのケーブルテレビで、カシミール地方の自然や文化を紹介する番組が流れていた。ヨーロッパ制作のプログラム。日本ではあまり機会のないことだが、外国の制作会社が作った自国紹介のTV番組というのものは、往々にして何か違和感を感じられるものだ。この番組、インド国内視聴者の反応はどんなものだったのだろうか。
 カシミールといえば、有名なハウスボートの誕生秘話はご存知だろうか。藩王国時代、外国人の土地購入が認められなかったため、英国人が屋敷の代わりに、湖に豪華なハウスボートを浮かべたことがはじまり。いわば苦肉の策である。カシミールの宿泊施設の典型のごとく言われているハウスボートの歴史は意外にもそう長くはない。
 カシミールの状態が安定していた1988年以前、風光明媚なカシミールの景色は、よくインド映画に出てきたものだったし、ハネムーンや家族旅行先の定番であった。気候はフランスのアルプス地方とほぼ同じ。暑い夏に「涼しいインド」を訪れるのも粋なもの。インドに数多く点在する避暑地の中でも、別格の存在である。
 長らくテロと暴力の連鎖の中にあったカシミールだが、ひとたび平和が訪れれば、すぐさま昔のように夏のインド観光地のハイライトとして、内外から多くの人びとを集めることができるはずだ。今年は15年ぶりに観光シーズンのにぎわいを取り戻しつつあるというカシミール。例年観光客が2万人以下と低迷していたころに比べ、今年はすでに10万人以上の人びとが訪れているという。
 「地上の楽園」とまで表現されたかつての輝きが取り戻されるを願ってやまない。


カシミール 楽園復活なるか? (BBC-SouthAsia)
kashmir Retextured
カシミールの人びと、街、自然、喜びと憂い。Rafiq Kathwariによる写真とエッセイ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です


上の計算式の答えを入力してください