祝祭を前に

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 10月29日午後5時58分にパハールガンジで装身具店前の路上に駐車してあったスクーターが、午後6時5分にはサロージニーナガルではチャート(スナック)の露店が爆発した。それらに続きオクラーではDTCバス車内に置かれた不審な荷物に気づいた乗客に注意を促された車掌とドライバーが中身をあらためた結果、爆発物と確信して外に放り出した際に炸裂した。今回の一連の事件で非常に強力な爆薬RDXが使用されたとされる。
 市内各所のマーケット、そして鉄道駅やバスターミナルなどでは新たな事件の発生および不審者洗い出しの一環として、乗客の厳しい荷物検査などの警戒態勢が敷かれているが、首都デリーのみならず、ムンバイなどインドの他の大都市でも同様の措置が取られているという。 
 しかしディーワーリーの休暇のため人々が大移動する時期でもあるため「これだけの人ごみを限られた数の警官たちでどうやってチェックできるのか」「人の流れまではコントロールできない」と、その効果を疑問視する声も上がっている。
 現在までのところ死者55名、負傷者155名と伝えられているが、事件の詳細が明らかになるにつれて、この数字はさらに拡大するのかもしれない。負傷した人々は市内各地の病院に収容されているが、輸血用血液の不足のためメディアを通じて献血提供者を求めるアピールが続いている。
 公務でトリプラー訪問中であったマンモーハンスィン首相は、帰路コルカタに到着した時点で事件が発生し、現地に滞在する予定をキャンセルして急遽デリーに戻り対応に当たることになった。
 今年はディーワーリーとイスラーム教徒のラマダーンの断食明けの祭りがほぼ重なることになるが、これらの祝祭を前にしてこうした事件が起きてしまったことはとても残念である。事件関係者の身柄の確保や事件の真相の究明等が急がれるところであるが、この出来事が今後社会のありかたに甚大な影響を及ぼすであろうことからも、事態の推移を注意深く見守っていきたいものである。
Serial blasts rock Delhi; scores killed (Hindistan Times)

嵐の予感

 本日デリー市内各地(パハールガンジ、サロージニーナガル、オークラー)で連続爆破事件があり、死傷者が出ているようだ。チャンドニーチョウクでは未遂に終わり、爆弾処理班により不発化されたと伝えられている。
 死傷者が出ているようだが、経緯や事件背景等を含めた詳細がメディアを通じて明らかになるまで、もう少し時間がかかると思われる。7月に起きたロンドンでの連続テロ事件を含めて、もはや「定番」となった「同時多発」型であることも気になるところだ。
 これを書いている時点では犯行声明は出ておらず、イスラーム過激派の犯行あるいは90年代初頭以降沈静化しているパンジャーブの分離主義テログループによるものである可能性等々、様々な憶測が飛び交っているようだ。
 いずれにしても国内的にはコミュナルな摩擦が一気に噴出する可能性があるだろうし、先の総選挙以来後退気味の右派勢力がここにきて一転攻勢に出る追い風にもなろう。対外的にはここしばらく良好な印パ関係についても大いに懸念されるところである。
 この先インドでひどい「嵐」が吹き荒れることがないことを願うが、どうやらタダで済まないような気がしてならない。
DELHI SERIAL BLASTS
Several feared killed as serial blasts rock Delhi’s markets

備えあれば・・・

 10月8日にパキスタン北部およびインドのカシミール地方の一部に大きな被害をおよぼした大地震。当然のことながら建物のありかたについて反省する声もある。
 インドの一部マスコミでは、日本の建物の多くが耐震・免震構造になっているかのように書かれているものも見かけたが、やはりインドひいては南アジア全域に共通する家屋や商業ビルその他の建築方法についての疑問が提示されているようで、インディアトゥデイ誌10月26日号にもそうした記事が掲載されており、「家屋が崩れるメカニズム」についてイラスト入りで解説してあった。簡単にいえば地震の大きな揺れのため、壁が外側へと引っ張られて倒れこむとともに、天井が落ち込んで崩壊するということだ。

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GR-DIGITAL

 なんだかインドらしくない内容で恐縮だが、先日この新しいカメラについて書いてみたので、実物を手にしてみて感じたことについても触れておくべきだと思った。
 すでに購入したが、感想は◎である。デザインも手に取ってみたときの質感も悪くないと思う。小さなボディの中にさまざまなメカがギッシリ詰まっている感じがしてなかなか好感が持てる。
・・・とはいえ、カメラなんて写真を撮るための道具なので、見てくれはさほど重要ではない。実際に使用してみた印象はどうかといえば、これがまた良好なのである。

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インドで持ち歩きたいGR-D

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 以前「インドでこんなカメラが欲しい」と題して取り上げたリコーのデジタルカメラGR-D。いよいよ10月21日(金)に発売である。
 新しいカメラが発売されるだけで、また何を騒いでいるのかと思われるかもしれないが、これは「インドを撮るのにちょうどいい」と思われるからだ。
 写真を撮るのは好きだが、旅先でボディやレンズその他重い機材を持ち歩くのは嫌いだ。道具に振り回されるのも癪である。出かける目的が撮影そのもの、という人はそれで幸せかもしれない。私は五感でいろいろ感じる機会や気分が削がれてしまうのはご免だ。荷物が重くなる分、旅をするのが辛くなる。そのくせいい写真を撮りたい、扱いが楽しいカメラがいいけど非現実的な価格では困る、などといった欲求は尽きることがない。
 旅先以外の日常でもそうだ。特にこれといった用もないのに、重たい一眼レフをカバンに放り込んで歩くような体力も気力も持ち合わせていない。かといってただの「押すだけカメラ」では退屈極まりない。こうした身勝手な要求にうまく折り合いをつけてくれるカメラはそう無いものなのだ。
 GRシリーズのポイントは画質重視の単焦点レンズであること、高性能ながらも手のひらに収まるほど小ぶりであることだ。写りが抜群に良く、いつでもどこでも持ち歩けて、必要とあればすぐに取り出してシャッターを切ることができる。大きなカメラと違って被写体が人間でも相手を圧迫することもない。撮るほうも撮られるほうにもまったく負担にならないカメラである。そのデジタル版なのだから大いに期待したい。

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