旅先のお役立ちレンズ

SIGMA 18-200mm F3.5-6.3 DC OS
 ズームレンズは描写力、画質その他の面で単焦点レンズにはとうてい及ばないのは言うまでもないが、このところいろいろ出てきている高倍率ズームの『一本でアレもこれも』という便利さはとってもありがたいもの。旅行先での写真を楽しみたくても、それ自体が目的ではないし、荷物はできるだけ軽くしたいからだ。『デジタル一眼ブーム』がはじまってからというものの、これまで考えられなかったペースで新たなレンズ群が市場に次々投入されるようになっているのは皆さんご存知のとおり。そこに市場があれば、技術の進歩というものは限界を知らないようだ。
 この秋もやたら便利そうなレンズがいくつか発表されており、人それぞれいろいろ注目のモデルがあることだろう。昨年3月と4月にタムロン、シグマの両社から相次いで18-200mmの高倍率ズームレンズが発売されて好評を得ていたが、同年12月にニコンからAF‐S DX VR Zoom Nikkor ED 18-200mmF3.5-5.6G (IF)という、35mm換算にして27-300?相当の焦点距離、そして4段分の手ブレ補正付きのレンズが出た。これは評判もすこぶる良く、他社のカメラを使っている人たちはニコンのユーザーたちがちょっと羨ましくもなったことだろう。ちょっとISO感度を上げれば夜の街中でも自然光でしかも手持ちで撮影できる。また条件さえ合えば夜景だって三脚無しで写すことができるのだから。
 この秋になって、シグマからついにこの類のモデルの開発が発表された。18-200mm F3.5-6.3 DC OSというモデルだ。先述の18-200mm焦点域にOS(OPTICAL STABILIZER)機構という手ブレ補正機能を搭載したものである。サイズはふた回りくらい大きくなってしまうようだが、旅先にぜひともこういうレンズを一本携行したいと思う。
 シグマが手ブレ補正で注目を集めれば、ライバルのタムロンからは『同クラス世界最大』のズーム比(13.9倍)をうたうAF18-250mm F/3.5-6.3 Di II LD Aspherical [IF] Macro (Model A18)が名乗りを上げている。35mm換算でなんと28mmから388mmというオドロキの超高倍率である。ここまで来ると解像度他に問題はないのか、400mm近いテレ端側を使う際にはそれこそ手ブレ補正が欲しいなどと考えてしまう。しかしこのレンズを常用すれば、旅程に野生動物の見物、例えばコルベット国立公園にトラ見物、バラトプルの鳥獣保護区でバードウォッチングなどといったものも含まれていても、マルチに対応できて便利そうだ。
 両モデルとも発売時期は未定だが、おそらく年内か年明け早々には新製品として市場に並ぶのではないだろうか。インドでは今後半年近く旅行に適した時期が続く。お気に入りのカメラとレンズを片手に、被写体の宝庫を存分に満喫されてはいかがだろう。
AF18-250mm F/3.5-6.3 Di II LD Aspherical [IF] Macro (Model A18)

学園の輸出 2

 だがひょっとするとインドに負けず劣らず注目を集めているのが中東の産油国かもしれない。オイルリッチな国々も『石油後』を見据えての人材育成に乗り出すようになってきているからだ。このほどサウジアラビア政府は先進各国に相当数の政府派遣留学生の送り出しに着手することになっており、もちろん日本もその受入国のひとつとなる予定だ。
 またカタールにはアメリカから複数の大学院が現地分校を進出しており、アラブ首長国連邦を構成する首長国のひとつドバイでは、知識と学問のセンターとして設立されたKnowledge Villageに様々な外国の大学が進出している。設置されている主なコースはビジネス・マネジメント、IT、薬学、建築、観光学、金融etc.といったいわゆる実学ばかり目に付くことから、まさに脱石油による知識経済化を目指すための人材を育成したいという姿勢が感じられる。
 ここで目を引くのは、インドの複数の機関が含まれていることだ。それらの名前は以下のとおりである。
Birla Institute of Technology & Science Pilani
Institute of Management Technology
Mahatma Gandhi University
Manipal Academy of Higher Education
 なお、このKnowledge Villageにはパキスタンから進出している教育機関もある
Shaheed Zulfikar Ali Bhutto Institute of Science and Technology
 英語による専門教育という強みはもちろん、地理的な近さと歴史的にインド人のプレゼンスが決して小さくないことからくる人的ネットワークの厚みなど、湾岸地域においてはインドに有利な部分が多いのだろう。昔から建設現場や工場などで働く単純労働者たちはもちろん、建築家、医師その他の高度な技能を必要とする職種のプロフェッショナルたちもインドから数多く渡っている。またインド人の語学(英語)教師の需要も少なくないと聞く。英語といえばインドの隣国ブータンの英語教育の礎を築いたのはインドから派遣された教員たちだというし、『インドの英語』の評判はなかなか良好らしい。
 地域に固有の学問ではなく、経済や工学といったユニバーサルな学問分野におけるインドの教育機関の海外分校設置という動きは、そのポテンシャルも含めて今後注目に値するのではないだろうか。

学園の輸出 1

 アメリカやオセアニアではかなり早くから教育をひとつの大きな産業ととらえて、積極的に外国からの留学生たちを誘致したり、海外分校を設置したりする動きがあった。1980年代後半から90年代初頭にかけて、日本各地にアメリカの大学の日本校が30校とも40校ともいわれる規模で進出したことを記憶している人も多いだろう。ちょうど当時の中曽根首相が音頭を取り、官民あげての『貿易黒字減らし』の風潮の中、またどこを向いても『国際化』のコトバが叫ばれていたこともあり、ちょっとしたブームになるのではないかと期待させるものがあった。
 だがそれらは日本の文部省(現文部科学省)の基準に適合しないため、卒業しても大卒の資格を得ることができなかった。アメリカの大学の日本校にしてみれば日本のスタンダードに合わせるつもりはさらさらないという設置形態の問題、そして入るのは難しくても進級して卒業するのは易しい日本違うスタンスを持つアメリカの『大学』に対する考え方があった。さらには学費の高さやアメリカの大学側の期待を大きく下回る日本校に入学した学生たちの英語力の問題等々、誘致した側にとっても進出したアメリカの大学側にしてみても決して将来が明るいものではないことがわかるまで長くかからなかった。
 その結果、9割ほどが10年あまりのうちに撤退。その中でも特筆すべきはワシントン州立エドモンズ大学日本校東京キャンパスで、なんと開校から2ヵ月あまりで閉校を決めるという逃げ足の速さはやはり『ビジネス』ならでは・・・と感じた人たちは少なくなかっただろう。
 しかし少子化がすぐ目の前に迫った大きな社会問題として認識されるようになった現在、日本の大学は生き残りのために外国人留学生獲得に躍起になっているところは多い。また良質かつ高度な知識と技術を持つ将来の労働人口を確保するためにも、留学生の誘致によるメリットは大きい。隣国の韓国においてもこの動きは同様だ。今や北米、オセアニア、東アジア、欧州の各国が世界のさまざまな国々から留学生たちの気を引こうと、留学フェアその他の機会を利用、あるいは現地に学生募集窓口を設置したりするなどして、留学生獲得に積極的に乗り出している。同時に現地にキャンパスをオープンさせるという動きも、アメリカ、イギリス、オーストラリアなどの大学が中心となって推し進めている。
 そうした中で、世界の成長センターであるとともに世界最大の若年者人口を抱えるインドを新たな市場として分校を狙う大学が増えてきている。これはまさにバブルの頃の日本にアメリカの大学が次々と上陸していたことを思い起こさせるものがある。

インドに『韓流デジタル一眼』がやってくる?

SAMSUNG GX-10
サムソンGX-10
PENTAX K10D
ベンタックスK10D
 昨年のちょうど今ごろだった。ペンタックスとサムソンがデジタル一眼レフを共同開発すると発表したのは。前者のブランドネーム、光学技術とレンズ群、後者のデジタル技術の融合・・・とくれば、やはりキチッと魅力あるもの、手堅いものが出てくるであろうことは想像に難くなかった。
 今年に入ってからペンタックス一眼レフの普及モデル*ist DL2*ist DS2(いずれも2005年に発売)の韓国版としてのGX-1LGX-1Sを発売して、レンズ交換式一眼レフ製造メーカーとしてデビューしたサムソン・テックウィン社。デジカメの他に光学部品や航空機用エンジンなどを製造している会社だ。2005年に韓国国内でデジタルカメラのトップシェアを獲得したという同社は、2007年には世界の三大デジタルカメラメーカーのひとつとなるという大きな野望を掲げている。(キヤノン、ニコン・・・そしてサムソンということか!?)
 ここにきて今年11月30日に発売が予定されているペンタックス最上位機種のK10Dの姉妹機GX10 のリリースも発表となっており、なかなか目が離せない状況になってきているようだ。
 ペンタックスの接続規格「Kマウント」のレンズ群が使用できるそうだが、これと同スペックで自社による「Schneider」ブランドの「D-XENON」と名付けられたレンズのラインナップがある。現在までのところサムソン製のレンズのバリエーションは乏しいものの、これからさまざまな新しいモデルを次々投入してくるようだ。
 こうした共通仕様のモデルを日本市場ではペンタックス、韓国ではサムソンが販売という棲み分けがなされるのはもちろんのことだ。そのためであろうか、サムソンの一眼レフの操作メニューには日本語は用意されていないらしい。(ペンタックス機には韓国語メニューがあるのだが・・・)
 おそらく日韓以外の第三国での販売テリトリーについてもエリアごとに分担するのではないかと思う。そうなってくるとインドはどうなのだろうか?日本国外ではヨーロッパと北米以外にしっかりとした販売網を持たないペンタックスに対して、現地で手広く事業を行なうサムソンだ。同社のインド向けのウェブサイトには同社のいくつかのデジタルカメラの紹介がなされている。おそらく機を見てインドに廉価版のモデルを投入することもあるだろう。
 今のところ日本のメーカーはインド市場での販売にあまり熱心ではないようで、販売やサービス拠点の多くは直営のものではなく委託を受けた地元業者が行なっているようだ。もともと一眼レフ、ましてやデジタルものともなればプロや一部の愛好家たち除いた一般の人々の間での普及率はとても低い。けれども富裕化する中で趣味のモノ、高いモノが売れるようになってきた中で、およそ都市部に限られるにしても写真に興味があり潜在的に今後より高級なカメラに手を伸ばそうという人たちは決して少なくないように思われる。そうした新規ユーザーはカメラのアクセサリー類や周辺機器を持ち合わせていないため、メーカーを超えての互換性がないことからくる既に所有している『レンズ資産』その他により特定のメーカーに縛られることもない。価格と性能のバランス、サービス網の充実具合その他の条件をもとに自由に選択することができる。
 カメラ販売業者が独自に外国から輸入したものはさておき、ひとたびサムソンが自社製一眼レフをインド市場に本格的に投入することがあれば、『韓流現象』が起きるのではないかと予想している。同国におけるプレゼンスの高さ、知名度、豊かな営業力を背景に、とりわけアマチュアを中心とした新規需要の多くを一手に取り込んでしまうのではないだろうか。もちろん製品を手にするユーザーたちの満足度も相当高いはず。発売元は一眼レフの分野では無名のニューカマーとはいえ、中身は名門ペンタックスのカメラと共通だ。この分野では世界の最先端を走る日本市場で販売されているモデルと同スペックであることは人々に強くアピールするだろう。もちろん細部の仕様やチューニングの具合にはペンタックスとの間に若干の差異が見られたりするのかもしれないが。
 近々帰国を控えた在印の日本人にとっては、サムソンの一眼レフがインドで発売されたとしても、同社のカメラの販売エリアに含まれていない日本に持ち帰ってから不具合等が起きた場合(大阪に一箇所サービス拠点があるのみ)のことを考えるとお勧めできない。しかしペンタックスのレンズ以外のアクセサリーについての互換性も問題ない(この部分については著者は未確認)とすれば、インドはもちろんサムソン・テックウィン社の販売網がカバーするエリアに含まれるその他各国に暮らす人々にとって非常に魅力的なものであることは間違いないはずだ。

山下公園でディーワーリー

Happy Diwali !!
 横浜インド文化交流会による『ディワリ・イン横浜2006』が10月22日(日)に横浜の山下公園で開催される。飲食物や雑貨等の露店、サーリーの着付けなどとともに、インドの音楽や舞踊などの演出もなされるようだ。
 この界隈をグルリと巡るだけで、元町でのお茶とショッピング、中華街での食事、そして山下公園でのイベントと盛り沢山な一日になるはず。ぜひこの機会に港町ヨコハマの秋を満喫されてはいかがだろう。
ディワリ・イン・横浜 2006