「選書」論

新潮社が刊行する雑誌『波』6月号にインタビューが掲載されています。タイトルは「文芸の雰囲気を持った選書を」。「選書」という媒体について、論じました。
新書ブームの今日、選書の意味やポジションが揺らいでいます。特に、かつて輝いていた新潮選書や朝日選書、中公叢書などは、時代の流れにキャッチアップできずに低迷しているようです。
そのような中、NHKブックスや講談社選書メチエは、いち早く「教養」の質の変化に対応し、新しいラインナップを形成していきました。
NHKブックスは現代思想や気鋭の社会学者の現代評論。講談社選書メチエは、カルスタ的な新しい視角からの言説・表象分析。
それぞれ、90年代以降の学問の流れを形成してきた重要な著作が並んでいます。
しかし、このような流行が、かつての重厚な教養主義を脇へと追いやったことも事実です。新潮選書の『文明が衰亡するとき』(高坂正堯)や朝日選書の『昭和維新試論』(橋川文三)を愛読してきた人間としては、やはり寂しく残念な気持ちがわいてきます。
新潮選書には「古臭くて何が悪い」ぐらいの感覚で、本格的な教養路線や新潮社特有の文芸の香りのするものを出してほしいと思っています。
新潮選書は、今月から新たに本腰を入れてリスタートするそうなので、これから出されるものに注目したいと思っています。

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