栄光の時代・女優パビ

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 2001年公開の映画「ズベイダー」は、上流階級の一人娘に生まれたズベイダーが、父親が決めた男性と結婚し、男児を出産するが、印パ独立を機に離婚させられ、子供を手放すことになり、その後、運命に翻弄されていく物語である。「女性は、結婚する前は父、結婚してからは夫に従わなければならない」という上流階級の掟に反発し、自由を求めて生きようと葛藤した女性・ズベイダーを、当時のドル箱スター・カリシマ・カプールが熱演して大きな話題となった。
 映画中、離婚させられたズベイダーを元気づけようと、やはり上流階級出身の大女優が華やかな装いで、彼女をポロやパーティーなどあちこち連れ回すシーンがある。マハラジャの力が強かった古き良き時代の美しい人々の華やかな暮らしぶりがたいへん印象に残るシーンであるが、数十年後、ズベイダーの軌跡を求めて彼女の息子が元大女優を訪問したときの落ちぶれようもまた、深く印象に残った。
 裏びれたアパートで化粧気も無しに1人寂しく暮らす往年の元大女優は、今年1月23日に逝去した女優 パルヴィーン・バビを彷彿させる。
 パルヴィーン・バビは1970年代に一世を風靡したアーメダバード出身の女優である。
 60年代は卵形の顔立ち、可愛らしい丸い瞳、柔らかな唇、甘い声、黒髪、可愛らしく歌い踊って思い切り泣く「可愛い子ちゃん女優」がもてはやされていた時代であったが、時代と共に美の基準は変わっていく。
 大衆が70年代に求めた新しいヒロインは、四角い輪郭の顔、意志の強い光を放つ瞳、謎めいた微笑、ハスキーボイス、茶髪と煙草の似合うセクシーでゴージャスな女性像であった。
 バビは70年に「Charitra」でデビューした。ヒットこそしなかったものの、今までとは違ったキャラクターとそのスター性に映画業界が注目し、出演依頼が殺到した。出世作は大スター;アミタブ・バッチャンと競演した「Deewar」(75)。アミタブ・バッチャンとは共演作を8本作り、「Namak Halal」(82)まで栄光の時代を作る。
 その後、彼女はイメージを変えようと試みるが上手くいかず、86年の「Abinash」で引退、飲酒やドラッグに走り、映画監督や俳優と浮き名を流し、ゴシップ記事の女王となり、単身アメリカへ飛ぶ。帰国後はラブ・アフェアの相手であったアミタブ・バッチャンを提訴、90年代の半ばには「私に対して(国際的に)陰謀が行われている」とマスコミに訴えて周囲を混乱させた。彼女と仲の良かった友人は、「精神に混乱を来している」と言って1人、また1人と去っていった。
 97年に洗礼を受けてクリスチャンとなったバビは、母親と共にムンバイ郊外の広く瀟洒なマンションに暮らしていたが、ただ1人の良き理解者であった母が2002年に死去した後は、1人でひっそりと暮らしていたという。
 「ズベイダー」に出てくる大女優とは違って、裕福さを持続させたバビは多くの遺産を残した。バビの死後、それまでは近寄りもしなかった親戚や遠縁らが遺産相続の件でムンバイに殺到しているという。
 若くして、時代のカリスマとなった女性は、往々にして愛に溢れた生活に縁遠い傾向がある。
 60年代に一世を風靡したマドゥバラは、20代後半からアルコール依存症になった。
 80年代に栄光の時代を作った大女優、レーカーはアミタブ・バッチャンと大恋愛関係を築くが報われず、現在、1人で大邸宅に寂しく暮らしている。
 90年代後半から栄光の時代を作り、現在に至るアイシャーワリャ・ラーイーはサルマン・カンとのラブアフェアが壊れて以来、あまりぱっとしない。
 美しく聡明なアーシュには、キャリアだけではなく、女性としても幸せになって貰いたいものだと思う。 

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2 Responses to 栄光の時代・女優パビ

  1. 水樹奈々 says:

    映画 見てみます。

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