春の祭

 2月から3月にかけては、春を祝ってのお祭りが多い。
 芸術と学問の神様であるサラスワティー女神のお祭りは今年は2月13日、国内の各学校ではお祝いの会が開かれ、生徒達には果物やミターイー(インドの甘い菓子)が学校からふるまわれる。生徒達はマントラを唱えた後、サラスワティー女神を讃えるサンスクリットの詩を斉唱し、祝福の花弁を大事に持ち帰って自宅の祭壇に祀り、今後の学問や芸事の上達を祈る。
 これに続くのはシバ神を讃えるシバラトリーで、今年は3月8日。
 シバ神は破壊の神であるが、同時に創造の神である。ナタラージャ、シャンカラなどの別名を持ち、それぞれ踊りの神、善の神として広く知られている。またその他にも、オームカラー(原初音「オーム」の創造神)、ルードラー(悪魔を破り、人々を悲しみから解き放つ勇猛な神)、ニールカンタ(世界の破滅を救うために毒を飲んだ、勇敢で慈悲深い神)、トリムカー(「創造」、「維持」、「破壊」の3つの性質を併せ持つ神)、アルダナーリシュワラ(両性具有の性質を持つ神)として、国内で広く信仰され、日本では不動明王として修験者から絶大な人気を誇っている。
 言語上、「シバ」は「無」を意味する。
 今から3〜4千年以上も前のヴェーダの時代、人々は神に、「神よ、あなたの御手で私を殺してください。そして私を受け入れてください。」と祈った。世界が最も暗くなる新月の夜、人々は、人間の持つ限られた力を脱し、創造主がその手に持つ「無の世界」、即ち宇宙に帰属できるよう、祈りを捧げたのである。
 シバ信仰はインド国内で全く衰えることなく続き、21世紀の現代、シバラトリーの日には、国内各シバ寺院では参拝者で大混雑の様相を呈する。既婚女性達はシバ・リンガル(多産の象徴)にミルク、ヨーグルト、蜂蜜等をかけ、家内幸福を祈り、また、シバ・リンガルに祈ると素晴らしい良縁に恵まれるということから、未婚の女性も多く参拝する。敬虔な人々はこの日、断食を行い、貧しい者に食事を振る舞う。
 さて、3月を締めくくる北インド最強の祭りは「ホーリー」である。今年は3月25日、人々が熱狂する「色かけ」は26日、朝9時頃から始まる。
 ホーリーに先駆け、各マーケットでは1週間ほど前から店頭でけばけばしい色の粉末が置かれ、人々は先を争って購入する。田舎町では緑、黄色、赤色以外の色を手に入れることができないために、他の色を手に入れるべくわざわざ街まで出てくる若者もいる。2-3日前からは少年達が水風船を通行人(特に若い女性)にぶつけたり、大学では、男子学生が女子学生をイブ・ティージングしたりするので、女性は夕方以降、あまり外に出ない方が賢明だ。
 色かけが終わった後、人々は色がついた格好のまま、酒(のような飲み物)を飲み、大はしゃぎにはしゃいでホーリーを終える。朝から作っておいたご馳走で腹を満たした後は、楽しい家族団らんを迎え、暑さを多少感じながら、夢路に急ぐ。
 北インドの寒い冬を終えて迎える春。
 その後にすぐに訪れる酷暑の後、モンスーンが今年も良い感じで訪れることを祈りながら。
 インドは農業立国であるのだ。

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2 Responses to 春の祭

  1. 初めまして私もインドが大好きです。インドいった時の写真もブログにアップしました。よかったら見にきてください

  2. 熊田曜子 says:

    インドのお祭り 行ってみたいです。

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