家財道具を売り払う

アルカカット氏が無事に博士号を取得しました。

お祝いのお菓子を配ったり

電話をしたりしていると

お祝いムードに水をさすようなレターが舞い込んできました。

「1週間以内に、寮を出ていきなさい

さもないとダブルロックをします。」

(*ダブルロックとは大学側で外側から

部屋に南京錠をかけてしまうこと。

住民が家に入れなくなってしまうという

最強の罰則である)

というものでした。

前から心構えはしていたものの

まさか1週間とは思わなかったので

パニック状態になってしまいました。

早速、「家財道具売ります」の貼り紙を

寮の玄関に貼り出すことにしました。

そして、住民の何人かに声をかけました。

すると、集まるわ、集まるわ・・・。

中古の家具や電化製品を目当てに住民が殺到し

「私が前に予約したのよ」

「私、約束したわよね」

「いいえ、私がずいぶん先に言っておいた」

との大騒ぎ。

誰が電化製品を買うか、

誰がベッドなどの大きな家具を買うかで揉めました。

どうやら、私が留守の間

住民たちがアルカカット氏に

「洗濯機がほしい」

とか

「ACが欲しい」

とか言っていたようです。

そのたびにアルカカット氏は

「チャロー、デークテーハェ」

と言って、気にもとめなかったようです。

しかし、住民はそれで予約が済んだと思っていたらしく

自分たちの手に入らなかったことに

気が立っているようでした。

我々の洗濯機をアテにして

洗濯機を買わずに我慢していた住民もいたようです。

見えないところにしまってあるにもかかわらず

「おたく、Ushaの暖房を持っていましたよね」

と言ってくる人もいました。

人によっては、100均に入った状態になり

必要がないのに買取を申し出てしまう人も。

人によっては、ベッド、マットレス、ヘルメットから

寝具・台所、タオルにハンガーまで、

あらゆるものを買っているにもかかわらず

「あなたは何もくれないのね」

と不平をもらしている人も。

今日約束しても、また約束を覆してくるかもしれないと思った住民は

もう私たちの手にお金をにぎらせてきました。

普段、お金の支払いをしぶるインド人が

現物を手に入れる前にお金を払ってくるのです。

競争があれば支払うんですね。

その後も

ドアをノックしてくる人はやまず

「まだ何かいいものがあるかもしれない」

という期待を持っているのか、

住民はなかなか立ち去らず

子供は興奮状態になって駆け回るし

10時ごろになってやっと住民が去った後には

ほとほと疲れてしまいました。

しかし興奮が背中にまとわりついていて

なかなか体が休まらず

夜はしばらく眠れませんでした。

この日はじめて

我々の家具に住民のナザル(ヨコシマな視線)が

ついていたことを知りました。

そして、それに気づかず平穏に過ごしていたのは

玄関に吊るしていた邪視除けの

ニンブーミルチや

黒い靴の置物や、

ドゥリシュティーのお面のおかげかもしれないと

思いました。

とりあえず、荷物が片付いたのは良かったです。

中古の家具は、手を合わせて持っていってもらうくらいに

考えていたのですが

住民が取り合いをするほど、飛ぶように売れることを知りました。

引き揚げる日本人から中古の家具を買うビジネスとかをすれば

儲かるかもしれません。

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