黒い服の男

今朝、古紙回収の男が来ました。

白髪まじりの頭をした、痩せた男です。

いつも黒のハイネックの服を着ていて、

キザっぽく片手でナマステーをしてきます。

ペーパーワーラーは、何人もが寮に出入りしていますが

アルカカット氏はなぜかこの人物だけに

古新聞をあげることに決めているようです。

私は6か月間、彼の姿を見ていたなかったのですが

今朝、痩せた男の影が窓に映り

すぐにあのペーパーワーラーが来たことが分かりました。

すると、アルカカット氏が

「彼、顔が変わっちゃったんだよ、見てごらん」

と言うのです。

ドアを開けて見てみたら、

彼は顔の真ん中に白い小さなガーゼを貼っていました。

そのまわりは、なんだかぐちゃぐちゃになっていました。

どうやら交通事故で鼻を無くしてしまったそうです。

痛々しい見た目に、おしりがヒヤリとしてしまいました。

鼻だけで済んで良かったというべきか、どうか。

交通事故は怖いです。

〇   〇   〇

昨日はクックのマムターさんが帰った後、

ラッチェーダール・スィワイヤーンを調理しました。

ときどき我が家にやってくる

ハリールさんに貰ったスィワイヤーンです。

イードの時に、マスジドかどこかで貰ったものを、

とっておいてくれたそうです。

私はインドを留守にしていたので、

だれか他の人にあげてくれれば良かったのですが

なぜか、私のために保存しておいてくれていたようです。

ハリールさんは、ラッチェーのほかに

トレードフェアで手に入れた紙袋、布袋、

ヒマーチャル出身の知り合いから貰った靴下、

2004年発行の子供用のウルドゥー語雑誌をくれました。

他の人から貰った本を、くれることもあります。

どこかの企業のロゴが入っている

買い物袋をくれて、

「その後、使っているか?」

と訊いてくるので返答に窮します。

彼は、無料で貰ったものを

イードのギフトだ、誕生日のギフトだと言って

さも大事そうに私たちにくれるのです。

そして、私たちには日本からの土産を

いろいろリクエストしてきます。

しかし、いつも注文が細かいので

期待どおりのものを買ってきてあげられないことが多いです。

ヨネックスの緑色のキャップが欲しいとか、

Bというロゴが入った、日本製の青いキャップが欲しいとか、

(彼はビハール出身なのでBという文字が好きなのだそうです)

ウールのフード付きのフランネルのシャツが欲しいとか。

でも、期待どおりのものが手に入らないと分かると

あっさりと諦めてくれます。

期待したものと違うものを貰った場合、

彼は私たちの許可を得た後、

他の人にあげているようです。

以前、ポケットサイズの折りたたみ傘をあげましたが

「ワンタッチで開くものが欲しいんだ」

と言って、ほかの人にあげたようです。

(彼は不器用なので3段にたたまれた傘を開け閉めできず、

今にも壊してしまいそうでした。)

このように、貰ったものを、他のところにあげて

その見返りに何かを得て

彼は暮らしているようです。

いわば「黒いシャルワール」をしているのです。

彼は無職で、家賃1000ルピーのところに住んでいて

金銭的には困窮しているようなのですが

腹回りが凄いです。

ユニクロのXLのサイズの服が入りませんでした。

無料で食事がふるまわれる機会を

逃さず利用しているのでしょうか。

JNUの寮で、新聞に目を通して

情報収集も余念がないようです。

賢く貧乏生活を送っているのかもしれません。

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