質素な移動手段

インドでは政治家がやって来ると道が封鎖される。政治家の乗った車は、信号無視で悠々と過ぎ去っていく。その間、バリケードの外では大変な渋滞が起こっている。
そんな、お偉い方の間で、最近妙なことが流行っており庶民の私は面白くニュースを見ている。
最初にメディアの槍玉にあがったのは、外務大臣SMクリシュナと、外務副大臣シャシ・タルールだった。彼らの住居は本来ルティエンス・デリー地区にアレンジされるはずだったのが、政府による手配が遅れていた。そのため彼らは5つ星ホテルのスイートルームを普段の住居としていたのだが、「なぜ、カルナータカ・バワンや、ケーララ・バワン等の宿泊施設に泊まらないのか」とメディアに書かれたのである。
シャシ・タルールは、Twitterで「私は自腹を切って宿泊しているんだぞ」と、叫びをあげたが財務大臣プラナブ・ムカルジーも、彼らに質素な支出を呼びかけたことから、2人はしぶしぶホテルのスイートルームをチェックアウトし、政府があてがった住居に引っ越したという。
もとインフォシスのナンダン・ニレーカニも、週3日デリーで過ごす時に5つ星ホテルを利用していたが、今後はカルナータカ・バワンに滞在することに決めたのだとか。
ホテル代だけではなく、交通費も緊縮対策の対象となった。財務省プラナブ・ムカルジーは、国内線を利用する時は、たかだか2、3時間の我慢なのだからエコノミーを利用するようにと政治家に勧めた。自身も、エコノミーでコルカタに行き、手本を示した。
そこからが大変だ。9月13日、国民会議派の党首ソニア・ガーンディーがデリー・ムンバイ間の移動でエアー・インディアのエコノミークラスを利用したのだ。その時、同じ便のファーストクラスに、会議派の政治家スレーシュ・タワレーが座っていた。党首がエコノミークラスに座っているのを見た彼は冷や汗をかいたことだろう。すかさず、党首に謙虚なナマステをし、エコノミークラスに座っていたスィク教徒の人に、ファーストクラスの席と交換してもらったそうだ。想像するだけで笑いがこみあげてくるエピソードだ。
そんな昨今の動きを揶揄した風刺画がタイムズ・オフ・インディア紙に載っていたのでご紹介する。
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「ソニアー党首が見せた手本に従い、私達政治家はこれからはエコノミー・クラスで移動することにしました。」
「これを実現するため、特別、オール・エコノミー・クラスの飛行機をチャーターしました。」
・・・本末転倒?
次の日、9月14日、ラーフル・ガーンディーがデリー・ルディヤーナー間を鉄道シャターブディー・エクスプレスで移動した。この時、投石を受け、彼はもう鉄道で移動しないことを決めたらしいが・・・。その時、掲載されていた風刺画がこちら。
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「緊縮対策の極みだねぇ」
「あの政治家ったら、鉄道で移動するばかりか、チケットなしで済まそうとしているよ」
・・・当惑しているチケットコンダクターの表情が良い。
副大臣シャシ・タルールは、この風潮を受け、twitterでエコノミークラスのことを、cattle class呼ばわりする書き込みをした。これがメディアに取り上げられ会議派上層部の怒りを買い、シャシ・タルールはまたもや渦中の人になってしまった。彼は「エコノミークラスを利用しますか?」という質問の書き込みに対し、「聖なる牛と一緒に、cattle classを利用するつもりです」とレスポンスを書き込んだ。その後、コチにエコノミー・クラスで行くシャシ・タルールが目撃された。その時の風刺画と写真がこちら。
20090919-03.jpg
風刺画の中のシャシ・タルールの頭から湯気が立ちのぼっている。
このブームは一体いつまで続くのだろうか。飛行機会社が今大変なので、政治家がファーストクラスをやめたらますます飛行機会社の収入が減って大変になるのでは、と思われるのだがどうだろう。

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