天然の肥料兼殺虫剤

The Hindu紙のこの記事が気に入っている。
タミルナードゥの、学校をドロップアウトしたような一介の農民が、創意工夫して自然界のものから農薬や肥料を作って大成功しているという記事だ。
彼は、カスタードアップルの葉1キロ、ウコンの地下茎、クマツヅラ科クサギ属の木、アロエヴェラ、ニルグンディー(クマツヅラ科低木タイワンニンジンボク)、ニームの実、マダール(ガガイモ科低木カロトロピスまたはハヌマーンの花?)をすりつぶしてなめらかなペーストを作り、水を加えて5リットルのエッセンスを抽出。
これを15リットルの水で希釈し、実を収穫した後のココ椰子の木の枝や葉が茂っている部分に、1本あたり2リットルスプレーしたらしい。これを2ヶ月おきに繰り返す。これにより、虫がつくのを防ぎ、ココ椰子が元気になるそうだ。
今や300人の農民が2000本のココ椰子の木に対してこの人畜無害なスプレーを使っているらしい。
また、彼はヒーングを用いて収穫を増やしているそうだ。
ヒーング効果を発見したのは偶然の出来事だったらしい。隣家の瓜の畑が病気に侵されてしまい、冗談で余剰作物のヒーング0.5キロを使ってみればとアドバイスしたらしい。隣人はダメでもともとでヒーングを使った。すると、病気から立ち直っただけではなく、通常よりも大きな作物が取れたそうだ。
これを聞いた隣村の農家も、ジャスミンにヒーングを使ってみたら豊作になったとのこと。彼自身も、ヒーングを麻袋に入れて用水路に置き、ヒーングが溶け出した水で米、ゴマ、落花生、トマト、ナスを栽培してみたが、いずれも収穫量が増えたそうだ。今や、この地区の農家は殺虫剤を使うのをやめ、ヒーングを大活用しているという・・・。
     ◇     ◇     ◇
ヒーングはご存知、強烈な臭いがする香辛料だ。はるか昔にアフガーニスターンからインドに持ち込まれ、マハーバーラタでも「肉を黒コショウ、岩塩、ザクロ、レモンとヒーングで調理した」という記述があるそうだ。
調味料ヒーングは、セリ科オオウイキョウの根、および茎から採れる樹脂らしい。一応、日本語名があって、「阿魏(アギ)」と言うそうだ。英語では、アサフェティダと呼ばれる。アサはペルシア語で樹脂のこと、フェティダはラテン語で鼻をつく臭いのこと。このハイブリッドな単語を作ったのは、イタリア人だそうだ。アフガーニスターンのへラートからシルクロードにのってヒーングはイラン、モンゴル、中央アジア、はてはトルコ、地中海にまで伝えられていたのだそうだ。ヒーングはその異臭のため「悪魔の糞」という異名もある。
この樹脂は、ニンジンのような根の付け根に切れ込みを入れて採取されるそうだ。最初は白っぽい液体が出てくるが、空気に触れると茶色に変化し、凝固する。これを砕いたのが、いわゆるヒーング。そのままでは臭いが、熱した油に入れるとニンニクや玉ねぎに似た匂いに変化する。とは言え、どんなに臭いのかと、期待して買ったら裏切られる。今日市販されているものは、たいてい同僚の小麦粉や米の粉と混ぜられて売られているそうだ。
ヒーングには薬効があるともされる。最も有名な薬効は、消化不良解消と、腹部に溜まったガス解消。インドでヒーングがダール(豆カレー)に入れられて食べられていることに納得がいく。
ユーナーニー(ギリシャ伝来のイスラーム医学)や、アーユルヴェーダに甲状腺腫、気管支炎、ハゲ、月経不良に効くと書かれてあるそうだが、検証はされていないらしい。
また前述の農家が偶然気づいた通り、ヒーングには、生化学的な特性があることが確認されているそうだ。具体的には線虫の成長を抑える殺虫剤の効果、菌の繁殖を防ぎ、植物の栄養バランスを整える効果があるそうだ。
     ◇     ◇     ◇
ところで我が家ではアサガオを育てている。アサガオの種は5月に日本から持ってきたもの。
実は、発芽温度が一番高いという理由でスイカやゴーヤの種も日本の種屋から買ってきたのだが、インドの暑さは彼らにとって酷だったらしく、芽が出なかった。
雨季になって気温が40度を下回り、やっと芽を出したのが、アサガオであった。以来、手塩をかけて育てているのだが、ヒーングをやるようになって葉の量が格段に増えた気がする。
私は農家の娘でありながら本来「枯らす女」だった。だが、ヒーングが私のプロフィールを変えてくれそうだ。
またメヘンディー栽培に挑戦しようかな。

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2 Responses to 天然の肥料兼殺虫剤

  1. puspam says:

    こんにちは、kahkashaanさん。
    環境問題後進国のインドにあって、この記事はかなり、面白かったです。
    読んでいるうちに、当たり前のことだけど、人間の身体も、野菜(植物)の身体も同じで、人間に良いものは、植物にも良いのだと理解が出来、新鮮な驚きでした。
    スパイス天国のインド、これを機に、農薬に関する先進国になることを期待します。

  2. kahkashaan says:

    どうやら学者には認められて同じようなことを発見したり努力している農民が他にもいるようです。同様の記事を発見したら、また報告したいと思います。

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