お墓の場所がない

日本では土地不足からロッカーのような墓があったり、ネット墓なるものまで存在する。一方、広大と思われるインドでも、都市部では深刻なお墓不足に陥っているらしい。
インドのマジョリティーを占めるヒンドゥーはお墓を作らないので、まだ良かったのだが、(でも、Eicherのバンガロールの地図を見ると「ヒンドゥー墓地」なるものがある。)土葬をするクリスチャンやムスリムは、もはや霊園が満杯になってしまい新規埋葬させてもらうのが、ひと苦労なのだとか。
4月5日付のタイムズオブインディア紙によると、ニューデリーにはクリスチャン用の墓地が7箇所あるのだが、うち新規埋葬用の土地があるのは2箇所だけ。他は既に埋葬されている者の家族の埋葬しか受け付けていないそうだ。その場合でも、土地が限られているため、地中深くに眠っている家族の上に重ねて埋葬するしかないらしい。
ムスリムの墓地は、1970年の調査によるとデリーに488箇所あるのだが、現在運営しているのは25〜30箇所のみらしい。他は満員御礼か、違法に土地を占拠されてしまい、土地を奪い返すために法廷で争っている状態なのだとか。デリーのムスリム達は、もう10箇所くらいは墓地がないとやっていけないそうだ。
ムスリム墓地の土地不足の原因は、「人々がパーマネントの墓を作ってしまうせい」らしい。墓にはカリグラフィーが彫られた石を置くのが当然だろう、と思っていたが岩波イスラーム辞典によると、イスラームでは、本来、死者の埋葬場所に墓石や墓碑を立てることを禁止しているそうだ。だが、サウジアラビアでこれが守られているだけで、その他のイスラーム地域ではセメントやレンガ、タイルや大理石の墓石を置いてしまっているらしい。インドも同様で、人々が墓石を設置してしまうので、墓地に重層的に人を埋葬できなくなり、結果として墓地不足を引き起こしているのだそうだ。
そのため、今インドのお墓にソリューションが必要とされているそうだ。
チェンナイの場合、高層墓所を始めたそうだ。チェンナイ最大規模のクリスチャンの墓地キルパウク霊園は、飽和のため2005年から新規埋葬の受付をやめていた。家族に火葬を薦めたりしたのだが、やはり信条上、承諾する人はあまりいなかったそうだ。そこで下のような高層墓所建築に至ったそうだ。
高層墓所は、埋葬後2、3年経ったら残っているものを下にあるくぼみに押しやるため、持続可能なのだとか。今まで115名をここに葬ったそうだ。
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ムンバイのとあるクリスチャンの霊園は、埋葬後18ヶ月経ったら亡骸を掘り起こして、墓地の歩道沿いに残っている小さな隙間に埋めることにしたそうだ。親族には、そこに額や写真を置くことを許しているとのこと。この霊園は、飽和のため2005年から新規埋葬を受け付けていなかったが、この道端の隙間有効活用により、また埋葬を受け付けられるようになったらしい。だが、同じことを続けていけば、ここが飽和するのは時間の問題かと思われる。ボリウッド映画『Taxi No.9211』に「ソーネー・キ・ラーホーン・メン・ソーネーコ・ジャガーナヒーン(道端で寝るにも、場所がない)」それがムンバイだ、という歌詞があったが、お墓もまさにその状態になるだろう。
せっかく永眠した人を押しやったり、掘り起こしたりして良いのだろうか・・・しかしそれを許容しなければいけないほど、家族も霊園も切実なのだろう。お墓問題は大変だ。

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4 Responses to お墓の場所がない

  1. SR says:

    今日は
    墓地はHindu教の人も持っています。みんなが火葬するわけではない。カストも関係ありません。Karnataka,TamilNaadu、Kerala,などではHindu教の人は火葬するひともいれば、土葬するひともいます。
    また

  2. ケヘカシャーン says:

    そうだったんですか。
    長年の謎が解けました。コメントを有難うございます。

  3. guccie says:

    マレーシアのインド系ヒンドゥー教徒は、ほとんどが土葬をしていると当事者から聞きました。
    南インド系の移民がほとんどであることから、SRさんのコメントを裏付ける証拠になるかと思います。

  4. ケヘカシャーン says:

    コメントを有難うございます。
    なるほど、です。
    となるとお墓問題はもっともっと切実ですね。

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