シェヘナーズ・フサイン

最近、すっかり日本からの来客が減った。昔は週に1度はお客様がバンガロールに来ていて、お土産を買いにいくのにも付き合ったものだ。
昔、『女性が髪の分け目に塗っている赤いヤツを買って帰りたい』とおっしゃっていたお客様がいた。オフィスにいる日本人女性にお土産として配るとのこと。ビンディーの間違いではなかろうかと思って、念のために『眉間に貼るシールですか?』と確認したら、やっぱり赤のスィンドゥールが欲しかったらしい。
「インドのお土産の定番でしょう?」
と、お客様。ムムム・・・。
今までスィンドゥールを欲しがった方もいなかったので、面白がって同僚と一緒にホワイトフィールドにあるビッグバザールまで買いにいった。(カンナダ表記がバーザールではなくバザールになっているため、ここでもバザールと呼ぶことにする)
ビッグバザールはイトーヨーカドーみたいな百貨店。主要な街には必ずあり、いつも家族連れで混んでいるところだ。ここに行けば、何でも揃うだろうと思い込んでいたが、誤りだった。そこにあったのは、シェへナーズフサイン・ブランドのスィンドゥールだけだった。価格を訊いたら200ルピーとのこと。同僚は
「エーッ高い!そんなの絶対買っちゃ駄目。普通20ルピーくらいよ!」
と言って買わせてくれなかった。シェへナーズ・フサインブランドの製品には、恐らく若かりし頃のシェヘナーズ・フサイン本人と思われる女性の顔がトレードマークとして用いられているが、その時ばかりはその顔が不敵に笑っているように見えた。
「他のスィンドゥールはないの?」
「ないです、マーム。これだけです、マーム。」
・・・私達はトボトボと、手ぶらで会社に帰ってきた。
結局、お客様とHAL空港に行く途中にマーラタッリのマーケットでリップグロス状になっているスィンドゥールを購入した。1本60ルピーだったように記憶している。やれやれだったが、あの時のシェへナーズフサインのスィンドゥールは忘れられない。
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若かりし頃のシェヘナーズ・フサイン・・・
                  ○   ○   ○
最近、近所で配られているミニコミ誌に、読者からの美容健康に関する相談にシェヘナーズ・フサインが応えるコラムがある。シェヘナーズ・フサインと言えば魔女のような格好をしていることで有名。若い頃は美しかったのであろうが、今はなんと言うかケバい。そんな彼女になぜ人々は質問をするのだろうか。どうやって彼女はカリスマ性を手にしていったのだろうか。
彼女は14歳の時に結婚したのだそうだ。しかも、その後すぐに母親となった。だが一生を主婦で終えるのは嫌だった彼女は、70年代に若さと美容に関する会社を設立、アーユルヴェーダの研究をしたのだそうだ。
まだまだ保守的であったインドにおいて、中産階級の家族に属する女性は経済的に自立する術を模索していた。その時に彼女がビューティー・セラピー学院を開いた。彼女は、中産階級の女性に美容とヘアケアのトレーニングを施し、インドの小さな町にいたるまでビューティー・パーラー文化を浸透させた。今では海外を含め200箇所にトレーニングセンターを持っているそうだ。
このトレーニングセンターで売った彼女のオリジナル商品も大成功した。80年代、90年代に入手可能であった化粧品はたいていがケミカルなもの。肌のトラブルを引き起こすこともあった。そこで彼女は3千年の歴史のあるアーユルヴェーダに着目し、研究開発。「ケアとキュア」を合言葉にハーバル化粧品を消費者に紹介したそうだ。化学合成化粧品に嫌気がさしていた人、あるいは化学合成化粧品に恐れをなして今まで何も使っていなかった人に注目されたのだそうだ。
海外進出にあたっては、外国人にインドとインドが保有する豊富な薬草の知識について説明し、タダでサンプルを提供した。最初は外国人はシェヘナーズ・フサインを謎の人物とみなしていたが、次第に彼女の名前自体がブランドとして知られるようになった。
以上が、彼女のカリスマ性の秘密であった。
彼女はビューティー関連産業に革命を起こしたとして「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」に選ばれたそうだ。また西欧諸国にアーユルヴェーダを紹介した功績で、インド政府からパドマ・シュリー賞ももらっている。
今の彼女は大きなサングラスをして、たっぷりとしたスカートを履き、大きなポケットのついたコートを羽織り、派手なバッグを持っている。彼女は4人の仕立て屋を雇っており、服を自分でデザインしては作らせているのだそうだ。もし朝、服を購入したら、夜着るのも臆さない、と語る彼女だ。
今も、彼女は生徒に美容とヘアケアに関する授業を行うほか、目が不自由、口のきけない人のためにマッサージなどのトレーニングも行っているそうだ。ビジネスは、ダイヤモンド、金、銀、真珠製品にも広がり、メディアにも相変わらず多く登場している。最近、ブログも始めたみたいだ。
私はヒマーラヤ・ハーバルの方を愛用しているが(こっちは1930年創業を謳っている)彼女の経歴を知り、シェヘナーズ・フサイン製品にちょっと興味を持った次第。
ウィキペディアによると、彼女の製品は西武百貨店に置かれているみたいだが、果たして?
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