哀悼の黒イード

ジャムシェートジー・ターターがインドの人のために作った高級ホテルが燃えている―――。この光景は、黒煙をあげるワールドトレードセンターと同じように、いつまでも記憶に残されるであろう。
ムンバイーのテロは人々に衝撃を与えた。新聞には連日、背筋の凍るようなテロリストの所業の話、家族を失った人の話、他の人を助けようとして命を落とした無名の英雄の話が掲載されている。それを読み胸を痛めるとともに、インド人によるインドへの愛を感じとっている。逆境にあればあるほど愛は深まるものだ。最近の映画の影響もあり『ボンベイ・メーリー・ジャーン(愛しのボンベイ)』の言葉が頭を離れない。
人々が団結していくのはいいが、危惧するのは世論がイスラーム教徒一般を責める方に進み国内でコミュナル闘争を呼び起こすことだ。
土曜日、バンガロールのRTナガルでちょっとしたコミュナル対立が起こった。ムスリムが連れていこうとしていた牛を巡って動物愛護者との間で揉め事が起こり、警官が空中に発砲、ラーティー・チャージ(警棒でなぐること)で群集を解散させるという事態が起こったのだ。新聞に掲載された話によると、誰かが『パーキスターン・ズィンダーバード(パキスタン、万歳!)』と野次を飛ばし、雰囲気は一層険悪なものになったという。時にテロ首謀者の目的は仲間内の対立を煽るものだったりする。こんな時だからこそ、不毛な争いは避けたいものだ。
インド人ムスリムだって祖国の悲劇に胸を痛めている。このことを声を大にして言いたいムスリムも多いことだろう。ボリウッドを代表するムスリムの俳優であるアーミル・ハーンや、サンジャイ・ハーン、ジャーヴェード・ジャフリー、作詞家脚本家のジャーヴェード・アフタル達は、12月9日のイード(巡礼月10日に行う犠牲祭)にあたって、テロへの非難の意味を込めて黒い帯を腕に巻きつけてイード・ガーに行き、イードを追悼行事とすることを呼びかけている。
バンガロールで販売されているウルドゥー語新聞サーラール・デイリーにも7日、いかなる形のテロも非難するように説教する人に呼びかける広告が掲載されていた。
また、
1.インドの敵は、私達の敵。
2.テロリストは、イスラームの敵
3.テロリストは、ムスリムたり得ない
というスローガンを目立つ所に貼り出すように、そして近所のセキュラーなヒンドゥーの人、警官もイードガーに招待するように呼びかけていた。
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ちなみにハイダラーバード発、バンガロールでも印刷されているスィヤーサト・デイリーにも同様の広告が掲載されていた。だが、「3.テロリストは、ムスリムとなり得ない」の英語の「cannot」 が抜け落ちるという重大な過ちをおかしていた。
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事件の真相はまだ完全に分かってはいないが、しばらくは友好的だった印パ関係が険悪になるのを残念な気持ちでニュースを追っているところである。もちろんテロ行為は断じて許されるべきではない。真の首謀者の特定と、テロを目的とした武装集団の根絶が急がれるところである。

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