ダルマラーヤ寺院とカラガ祭

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ダルマラーヤ・スワーミー・テンプルに行って来た。寺は、ペーテ地区(昔要塞があったエリア。シティとも言う)の東側、ハラスール門付近にある。
以前、ちょっと触れたがハイダル・アリーは今のタミル・ナードゥにあるティルチラパッリ、アルコット、タンジャーヴール、マドゥライからティガラという植物の栽培に長けたコミュニティをバンガロールに連れてきた。彼らの中に混じっていた学者ダルマラーヤが依頼したため、ハイダル・アリーはこのダルマラーヤ・スワーミー寺院を建てた。
寺はドラヴィダ式に建てられており、ゴープラム(塔)がある。メインの寺院ではダルマラーヤ・スワーミーとクリシュナの絵を祀っており、両脇にある寺はそれぞれガナパティ、ムッタラヤンマー女神を祀っている。
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この寺院は『カラガ』というジャスミンの花祭りで知られている。カラガはティガラ・コミュニティー独特のお祭りで、他の地域でも祝われているが、ティガラ人口が50万から60万人いるバンガロールにおいてはハイダル・アリーが彼らをバンガロールに呼び寄せて以来、連綿と続いている。今ではヒンドゥー・ムスリムの垣根を越えて地元の人々に祝われている一大イベントとなっている。
カラガは9日間のお祭りだ。9日目はチャイトラ月の満月の夜に祝われると決まっている。今年は9日目は4月21日にあたったらしい。カラガは新聞では予告されないが、祭りが近づいて来るとカンナダ語の看板が街に現われる。私の場合、もう3月に終わったもの勘違いしていたため、今年も行き逃してしまった。来年こそは〜…)
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カラガ祭を執り行っているティガラは、マハーバーラタに出てくるドロォパディーを、シャクティ(力)の女神として信仰しているらしい。以下、彼らの間の言い伝えである。
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シヴァ神が深い瞑想に入っているのを目にしたパールヴァティは、ブラフマ神に対し、『シヴァ神の妻になれますように』と祈った。あまりにも熱心に祈り、瞑想をしたため心を打たれたブラフマは彼女の前に現われた。
ブラフマを見たパールヴァティは、
『神様、私に夫をさずけてください』
と言った。ブラフマは瞑想でパワーを得たパールヴァティが荘厳に輝いているのを見て驚き、言葉を失ってしまった。黙りこくっているブラフマを見て、パールヴァティは
『神様、私に夫をさずけてください』
と4回も繰り返して言った。
やっと我に返ったブラフマ神は
『あなたが言った願い事は全て叶うであろう』
と言った。
パールヴァティは
『全てとはどういうことですか?私はひとつのお願い事しかしていませんよ?』
と言った。
ブラフマ神は
『あなたは同じ願い事を5回言ったのです。ちゃんと思い出してください』
と言った。それを聞き、パールヴァティはショックを受け、どうしたらよいのか尋ねた。
ブラフマ神は言った。
『結婚関係というのは地上にいる者のためだけであって、地上でのみ有効です。私はあなたの願い事が叶うようにしてやった。あなたが地上で5回の人生を5人の違う夫と過ごすのか、それとも1回の人生で5人の夫と過ごして天に帰ってくるかはあなた次第です。』
パールヴァティは
『神様から離れて5回の人生を地上で送るなんて耐えられない。私は1回の人生で5人の夫を持つことを選びます。但し、私は神のような姿をした夫を持ちたいです。それから地上では正しい行いをしたいです。』
と言った。
ブラフマは
『そうなるであろう』
と言って立ち去った。
その後、パンチャール国のドルパドが、火を使った儀礼を行った。すると火の中からシャクティが女の子の赤ちゃんの姿をとって生まれ、その子はドロォパディーと名づけられた。彼女がマハーバーラタでパーンダヴァの5王子と結婚したドロォパディーだ。
話は更に続く・・・。ドロォパディーはパーンダヴァ5兄弟の信頼を得た。彼女はクルクシェートラの激戦に際して彼らを励まし、ダルマと正義を果たすために力になったそうだ。
さて、めでたくマハーバーラタの戦争が終わり、パーンダヴァ5兄弟とドロォパディがカイラーシュ山に向かっている時、ドロォパディの歩みが遅いため一行に遅れてしまった。
それを見た魔物が彼女に嫌がらせをしてきた。怒った彼女は姿を変え、魔物をやっつけるために頭、額、耳、口、肩から戦士を作った。ドロォパディーの体から生まれてきた戦士達は魔物一味を無事に退治したという。
それを見て安心したドロォパディーは、戦士のことなど忘れ、さっさと元の清い姿に戻ってカイラーシュ山に行こうとした。これを見たクリシュナは戦士のところにやってきて
『母親に置き去りにされては駄目だよ、お母さんに対してお祈りをしなさい』
と勧めた。ドロォパディーの肩から生まれたヴィーラクマーラ達に対してクリシュナは
『お母さんを止められるのは君たちだけだよ』
と言った。
そこでヴィーラクマーラは剣で自分の胸を打ちながら
『アンマー(お母さん)、道を示してください、道を示してください』
と訴えた。自らを犠牲にして祈るヴィーラクマーラの姿を見たドロォパディーは心を打たれ
「地上の平安のため、正義のために毎年3日間だけ、ここに戻ってきてあなたと一緒に過ごしますよ」
と言ったらしい。
以来、ドロォパディーは人間の姿をとり、年に1回戻ってくるようになった。これがカラガ祭の起源である。
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↑The Hindu誌のサプリメントに載っていたヴィーラクマーラ達。健気である。
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お祭りのクライマックスは、9日目の夜に行われるパレードだ。
任命された者がジャスミンで飾られた素焼きの水がめを頭に載せてバランスを保ちながら運ぶのだが、今年はギャーネーンドラという男が任命されたらしい。
運ぶ人は既婚者でなければならない。なぜなら、カラガを運ぶ人は妻から借りたマンガルスートラ(既婚者が身につける首飾り)を首から提げないといけないからだ。妻はカラガが行われている間、家に居て全てが終わるまで夫の姿を見てはいけないことになっているらしい。
運ぶ人は、マンガルスートラの他、長袖のブラウスに黄色のサーリーを着る。黒くて太いバングルを手首にはめて、額にはクムクムを塗る。つまり女装するのだ。これは水がめを運ぶ男がドロォパディの役を授かるためである。
一方、運び人に付き添うヴィーラクマーラは、祭りの3日前にティガラ・コミュニティーの中から選出される。彼らはカラガ祭が終わるまで貞淑にしていなければならないらしい。祭りの時には、ヴィーラクーマラはドーティーを履いて腰に赤い布を巻く。腰には鞘におさめた刀を下げる。
9日目、ヴィーラクマーラは、伝説どおりゴーヴィンダと言いながら剣で自分たちの胸を打つ。また、火がともった石炭の上を歩いたりするらしい。ドロォパディーが心を打たれるせいであろうか、この時、隔離された場所にいる水がめの運び人の頭に、水がめが自動的に乗ると言われている。
プジャーリーやヴィーラクマーラが、運び人を寺院の中の聖域に導く。また大騒ぎをしている信者の間を縫って、寺院の周りを3周する。ヴィーラクマーラはカラガが落ちないようにバランスを取っている運び人を、周りからガードする。伝統によると熱狂した信者が万一、気躓いてガラガを落とさせてしまうようなことがあれば、ヴィーラクマーラはその者を斬って良いことになっているのだとか。
運び人はしばしばトランス状態になり、頭に水がめを載せたままヴィーラクマーラたちと一緒に踊り出すこともあるのだとか。
カラガ一行は、スーフィー聖者タワッカル・マスターン廟にも行き、廟の管理人から祝福を貰う。その後、かつて要塞があった時代に建っていた8つの門を廻ることになっているらしい。ヴィーラクマーラの家に行き、プージャーもしてもらうそうだ。カラガはこうして夜明け前に、ダルマラーヤ・スワーミー寺院まで戻ってくることになっている。この夜、ペーテ地区では店は夜通し開き、夜店が出るそうだ。
以上、パブやIT、航空・科学と違った顔をしたバンガロールより。またチャイトラ月の満月が近づいてきたら皆さん、カラガを見に行きましょう!

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・カラガ祭に関するオフィシャルウェブサイト
・You Tube で2007年のカラガの行列の様子も見れる。かなり早歩きだ。
・Flikr でカラガの写真もある

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