裁判所へ行く

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先日、プルショッタム氏となぜか裁判所に行くことになった。外国人登録に行く前に、プルショッタム氏が『ついでに裁判に立ち合って来よう』と言い出したのだ。
会社で手配された車は一路ヴィダーナ・ソォダーを目指していた。もしかしてヴィダーナ・ソォダーの前の最高裁に入れるのかなぁと一瞬、期待した。だが、それは誤りだった。
目指す裁判所はバンガロール大学シティ・キャンパスのすぐそばにあった。10 階建てくらいの、真四角で飾り気がない、まるで学校みたいな建物であった。
建物の周りにはバイクがずらりと駐車してあり、黒いジャケットを羽織って白シャツの襟から白い短冊のようなものをぶらさげた弁護士がたくさんそこにたむろしていた。
中には女性弁護士も多くいた。女性はシャルワール・カミーズの上にやはり黒いジャケットを羽織っていた。服に襟がついていない彼女達は、首にくくりつけた紐から短冊をぶらさげていた。サーリーに黒いジャケット姿の女性もいたが、やはり首の紐から短冊をぶらさげていた。
建物内に入った。教室みたいな部屋が100個くらいずらりと並ぶ中、5階の13号室を目指した。部屋の表示や掲示物はカンナダ語オンリー。ローカル色が強かった。
なんとかゴォダーという裁判官の名前が掲げられた部屋に辿り着いた。中を覗いたら、教壇のような壇にご年配の裁判官が座っており、書類をめくったり何かを書き込んだりしていた。その前では別の人が何かを陳述していた。部屋の後ろには聴衆なのか裁判の順番待ちなのか分からないが、人がずらりと並んで椅子に座っていた。
ところでプルショッタム氏がなぜ裁判所にご用事かと言うと、会社バスを駐車していた土地の所有権に関してうちの会社が訴えられたらしい。そこで裁判に立ち会いに来たのだ。
30分で用事は済むと聞いていたが、裁判の様子から時間がかかると思われた。仕方なく、5階からのヴィダーナ・ソォダーの眺めを楽しんだり、弁護士を携帯のカメラでこっそり撮影したりしていた。すると意外なことに30分後くらいにプルショッタム氏が
『もう弁護が終わった。さぁ、行こう』
と言った。私達はあっさりその場を立ち去ることになった。
廊下は次の審査を待つ人達と閑談を楽しむ弁護士でごったがえしていた。建物の外に出たら、祭りの日のように露店が並んでおり、そこで弁護士たちがお茶したりスナックを食べていた。それにしてもまぁ弁護士の数の多いこと、多いこと・・・。
思えばガーンディーも、ムハンマド・アリー・ジンナーもパール判事もアンベードカルも弁護士だった。弁護士が登場してくる映画も思い浮かぶ。『インドへの道』『Veer Zara』・・・。確か『Water』の中のジョン・アブラハムは弁護士の卵という設定だった。
弁護士というのはイギリス植民地時代にインド人に許された数少ないホワイトカラーの職だったらしい。そのためインド人は一生懸命勉強して弁護士を目指したものらしい。以来、インドには弁護士が多いのだと言う。だが今もこんなに弁護士が多いとは思いもよらなかった。プルショッタム氏は
『裁判が多いからねぇ。日本は裁判はあまりおこさないの?その方がいいよ。』
と言っていた。
「やはり弁護士はいい職業なの?」
と尋ねたら
『いや。ここにいる人の給料はそんなに高くないよ。
弁護士には結構簡単になれるんだよ。僕も2年くらい弁護士をめざして勉強したものだけれど、疑問に思ったんで辞めたよ。弁護士は多いけれど、本当の弁護士っていうのは少ないもんだよ。・・・つまり弁護士は嘘をついちゃいけないものだけれど、嘘つく人が多いからさ。』
プルショッタム氏は言いにくそうにこう話してから火炎樹の下をスタスタと先に歩いていったのであった。

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2 Responses to 裁判所へ行く

  1. SR says:

    弁護士になるのは昔は私のお祖父さんの時代はレベルの高い職でした。BarristerになるためにLondonにいくのは裕福の家庭の子供にとって夢でした。
    現在はそうでもない。簡単になれるというか難しい試験を合格すれば免許を取れますが。有名・金もちになるのは限られています。
    有名な弁護士の下でPracticeをするのは一番よいのですが、その有名の人の下に入るのはとても難しいです。
    何から何までチェックされます。
    性格・学問・正直さ・法律を敬うことなど。信頼性は大事ですね。
    有名な弁護士は良い人間が多いですね。(そうでないものずる賢いたまにいる)
    うそつく人は有名にもなりませんし、金も稼げません。

  2. kahkashaan says:

    なるほど、詳しい説明をありがとうございました。MGロードに行く時、Mayo Hallの前を通りがかるとやはり黒い服を着た弁護士が何人も歩いています。日本ではあまり弁護士にお目にかかったことがないので、その数についつい圧倒されますネ。

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