Rang De Basanti、その裏幕に

ただいま公開中のヒンディー語映画『Rang De Basanti』は素晴らしい。
私は、テレビで映画の予告編を見た時に金髪の白人女性が映っていたので『Lagaan』(2001)や『Kisna』(2005)のような、ボリウッドヒーローと白人女性のラブ・ストーリーが再び作り出されるのか、と偏見を持っていた。実際そのようなストーリーがあったにはあったのだが、予想をはるかに上回る良い作品だったので映画館を後にした時には大満足だった。
『Rang De Basanti』は、200機以上が墜落し多数の空軍兵士が命を落としているにもかかわらず欠陥戦闘機を購入し続けるインド国防省に対して立ち上がる若者を、インド独立運動の闘士やアムリットサル事件などの史実と重ね合わせて描いている良作である。
音楽と、その挿入の仕方も良い。抗議の座り込みをしていたところ警官からラーティー・チャージ(棒で叩かれること)に遭う悲惨なシーンや、あえなく射殺され散っていってしまう衝撃のラストシーンでは、従来の映画だったらエコーのきいた叫びや効果音、悲しみをいかにもかきたてようとするオーケストラを鳴らしたりするところだったのだが、この映画に限っては、そのレベルを超越したかのように明るい挿入歌が流れる。その新しいバランス感覚と歌詞が感動を誘い、もう涙と洟がナイアガラであった。
映画を観たのは2月4日のことだ。その後、レビューを書くつもりはなかったのだが、あっと驚くことがあったため、今ごろになってこれを書いている。
私の勤めている会社は組込みシステムの開発に力を入れているのだが、ハリウッド御用達ツールの開発に携わってきた関係で、映画用コンピュータグラフィクス、特殊効果、視覚効果の仕事も請け負っている。ボリウッド映画の仕事もあるみたいで、2005年は『Kaal』、『Salaam| Namaste』、『Bunty Aur Bubli』、『Neal ‘N’ Nikki』、『Home Delivery』の編集に携わったらしい。
スタッフロールに会社名が出ていたので『Rang De Basanti』にも私たちの会社が関わったらしいということは分かった。だが、認識が甘かった。先週、同僚からそれに関するプレスリリース原稿を見せてもらい、具体的な仕事内容を知り「ナーヌー!ニーヌー!」と思わされた。
==映画をもう見たという人向けの内容==


上半身裸の4人の男が目の前で離陸しようとしている戦闘機MiG-21に向かって駆けていくシーンがある。男達は機体に手を触れようとするかのように、ジャンプする。その頭上を戦闘機は駆け抜けていく。これはトレイラーとしても流されている『Rang De Basanti』の有名なシーンなのだが・・・あれはただの寒村で撮影されたらしい。スクリーンで私たちが見ていた戦闘機MiG-21と、遠くに広がる飛行場はコンピュータで生成したイメージだったのだ。すっかり騙された!
他には、全く私の記憶に残っていないのだがラジオ局のタワーがコンピューターグラフィクスイメージだったらしい。
もう1つ衝撃的だったのは、フリーダムファイターがろうそくの炎で手を焼きながら誓いの言葉を唱えるシーン。「どうやって熱いのを我慢したのだろう。ボリウッドスターは凄いなぁ、何でもやるんだなぁ!」と無邪気に思っていたら、あの炎もコンピュータグラフィクスだったらしい。何だ。
飛行機といい、炎といい、私は事前に知らされていなかったため注視しておらず不自然なところに全く気づかなかった。今、ネタばれと知っていながら映画鑑賞前にこれを読んでしまった皆さんは、もう目がそこに行ってしまうため、何かおかしな点に気づくのかもしれない。

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One Response to Rang De Basanti、その裏幕に

  1. ふぅみん。 says:

    数ヶ月前にダウンロードしたまま、まだ見ていなかったこの映画を今日初めて見ました。
    まさに、ナミダと鼻水ナイアガラ状態になりました。
    近代インドの政治に無関心で、情熱とかシリアスさの欠片もなかった主人公たちが変化していくのを驚きと感動で見てました。
    Laxmanを演じたアトゥール・クルカーニがとっても良かったと思います。
    政治に無関心で、国を変えようと行動を起こす勇気もないくせに、政府ばかりを非難している自分達が恥ずかしくなりました。

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