バローチスターン調査現場から(3)

●パンジャーブの宗教音楽を訪ねて
アリオン音楽財団で企画・制作を担当している飯田一夫氏の招待講演があった。
飯田氏こそが、2004年7月の<東京の夏>音楽祭でメヘル・アリー&シェール・アリー・カッワーリー・アンサンブルを招聘した方である。というわけで、イスラマで行われたカッワーリー野外コンサートの秘蔵映像を紹介しながら、彼らを日本に招待した際の裏話をしてくださった。
どんな裏話かと言うと、例えば彼らの殆どは文字が書けないということ。これは衝撃的だった。そして、時として「古典音楽を印パ人の師匠から習ったけれどメモをさせてくれなかった」ということを耳にするが、あれは実は師匠が文字が書けないせいもあるのだなぁ、と知ってしまった。それだけ古典音楽ひとすじでやってきたという意味であろう。
文字が書けない上に、住所がアヤフヤだったり、自分の誕生日を西暦しか覚えていなかったりする彼らの渡航の手続きは非常に難航したのだとか。でも皆、その都度迅速に対応してくれたので、イタリア人よりは早く手続きが完了した、とおっしゃっていた。
私は音楽祭の時からカッワーリー・アンサンブルでメヘル・アリーとシェール・アリーを囲むようにして座っている人達の間柄が気になっていたが、そのあたりも飯田氏は教えてくれた。
メヘル・アリー&シェール・アリー兄弟の両脇に座って歌っている男の子は、ふたりの息子さんだったらしい。そして私が「顔が丸くなった闘利王みたいだ」と思って、ずっと観察していた前列右端の男の子は息子さんではなく親戚の子供なのだとか。この人は端っこの暗い所に座っており出番が少ないが、甲高い良い声をしているので密かに応援している。すると飯田氏も同じ意見を持っていることが分かり、嬉しくなった。
20050607-cap086.JPG
※第20回<東京の夏>音楽祭2005イスラーム神秘主義の音楽、カッワーリーの真髄は、2005年6月22日にキングレコードから発売予定。

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2 Responses to バローチスターン調査現場から(3)

  1. RiE says:

    この人、本当に目立ってたよね、声が!
    でもメインを歌うでもなく私も「で、誰?」と思ったよ…そうか、親戚の子か〜、何だか納得っ。

  2. kahkashaan says:

    あ、やっぱり注目してました?
    彼ら一人ひとりがソロを歌い出すのに、特に順番や決まりはないそうです。だから当然バッティングしてしまってどちらかがアワワ・・・となることもあるそうです。って、飯田さんがおっしゃってましたーッ。

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