いま何が起きているのか?

プールヴァーンチャル・プラハリー
プールヴァーンチャル・プラハリーपूर्वांचल प्रहरीというヒンディー語紙がある。アッサム州都グワーハーティーを本拠地とする会社が出している新聞で、他に英字新聞も出している。
Times of Indiaのような英文全国紙やデーニク・ジャーグランのようなヒンディー語による広域紙と違い、かなり地元密着型の新聞であるため地元ニュース満載なのがうれしい。しかもごく狭い地域で販売されるようなタブロイド版で印刷の質も悪いローカル紙よりも紙面が多くて各々のニュース記事の精度も高い(?)と思われるのもありがたいし、地元アッサム語あるいは同様に広範囲で使われているベンガル語ではなく、ヒンディーで書かれているのもうれしい。インド北東部の進歩的ヒンディー紙を謳うだけあり、本拠地のアッサム州外でもメガラーヤ州、トリプラ州その他でも売られている。
手が空いているときには何か読むものがないと落ち着かない。それに訪れた先で今何が起きているのか常々興味のあるところだ。そんなわけで、朝食のときに広げて読むことのできる新聞が見当たらない土地ではどうも消化不良気味になってしまう気がするし、逆にこのような地元紙があると食もどんどん進むのである。
近郊の広場でのメーラーの開催が書かれていれば、『行ってみようか』ということにもなるなど観光にも役立つこともあるが、数日間紙面を眺め続ければその土地で今何が問題になっているのかについておおよその輪郭を掴むことができるのがいい。

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まさに混沌

朝7時すぎに鉄道駅前のパルターン・バザールの宿を出て、このエリアから南方向へ向かうG.S.ロードに出たところでちょうど私の目的地に向かうバスがつかまった。
通りには沢山の民間バス会社がオフィスやチケット販売窓口を構えている。州内外の各方面に向かう無数のバスがそれらの前から発着しているのだ。 『今日は幸先良い』と得した気分になったが実は決してそんなことはなかった。まだ空席が目立つこのバスはG.R.ロードをチョロチョロと徐行しながら客集めにいそしんでいる。開け放った扉から車掌が身を乗り出して、あるいは道路に降りてノロノロ進む。その後とりわけ人通りの多い一角で路肩に寄せて停車。更に多くの客が乗り込んでくるのをひたすら待っている。
またバス会社があちこちに散在しているというのもかなり不便だ。どこの会社がどの時間帯にバスを走らせているのか、それらがどこから発着しているのかについて俯瞰できないと、よほどこの街に通いなれていないと見当もつかないだろう。 複数のバス会社のチケットを取り扱うエージェントも軒を並べていたりするのだが、バスによって『××時ごろ前を通る』とか『××にあるオフィスに行け』などとまちまちなので利便性はすこぶる悪い。 この街に住んでいる人だって、街からあまり出ることがない人ならば長距離バスの 『システム』がどうなっているのかよくわからないのではないだろうか。
こんな具合なのは何も私が乗ったバスだけではない。もとより長距離バスの往来が多いこの時間帯、目抜き通りの両側はバスの洪水になっており、空席を抱えるそれらの車両が客をひとりでも多く乗せようと躍起になっている。そのため本来の交通量はそうむやみに多いようには見えないのだが、これら沢山の大型車両が障害物となってひどい渋滞を引き起こし、結果としてクルマを捨てて歩いたほうがよほど早いくらいだ。
駅前南側が広いエリアに渡り、『商店、ホテル、一般車両などの障害物で遮られ機能不全となった巨大バスターミナル』とでも形容できるだろうか。もちろんバス会社の関係者や利用客以外の人々からしてみれば、これらのバスこそが大変な障害物である。

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宿泊難のグワーハーティー駅前

鉄道駅前にASTCのバススタンドがあり、そこがこのシブサーガルから乗ってきたバスの終点であった。降りてみるとずいぶん街中が暗かった。かなり広い地域で停電しており、自家発電機を持つ商店等のごく限られた量の電球が光っているのみだ。
一日中バスに揺られていたので、今日は少しいいホテルに泊まろうかと探すまでもなく、駅前の繁華街パルターン・バーザールにはたくさんのホテルがあった。
しかしここで少々問題があった。外国人を宿泊させないところが多いのだ。いくつか『満室です』と断られたが、空きがあるホテルでも部屋を見せてもらい、いざ宿帳に住所を書くと『あれ?あんた外国人かい?』となどと宿の男が顔をしかめて断ってくる。他の北東州の人々の出入りが多いためか、モンゴロイド系外国人は目立たないらしい。
『外国人を宿泊させる許可がない』とか『外国人を止めると問題がある』というのだがよくわからない。政治的な問題の多い地域なのでヨソから来た人々に対する管理は厳しかったりするのだろう。それにしてもインドとの間に何か問題が多く生じている国ならともかく、日本人を泊めることに何が問題なのだ?と思うが、とにかく宿の人がダメだというのだから仕方ない。界隈に宿はゴマンとあるので特に心配する必要はないのだが、次から次へと断られ続けると、疲れに拍車がかかってくる感じで足取りも重くなってくる。とても腹は減ったし早いところ荷物を置いて食事を済ませてベッドにもぐりこみたい。明日の朝早くここを発ちシーロンに向うのだから。
確かに駅前から南下する通り沿いにNandanとかいういいホテルがあり、そこならば外国人も泊めるはずだよ・・・と言われてそちらの方向に進む途中、路地をひとつ入ったところにまずまずのホテルがあったのでトライしてみた。
また外国人だからと断れるといやなので、入るなり『外国人だけど大丈夫だよね』と確認すると、最初『どうしようかな・・・』というムードで、フロントの男はボスとしばらく相談していたが結局宿泊することができた。ただ身分証明書のコピーを取る必要があると言われた。インドでたまにそういうところはあるが。
近くのコピー屋が停電で駄目なので、しばらく預かって電気が復旧してからボーイにコピーさせてから返却するがいいか?と聞いてきたので、外で夕食を取るついでに自分でコピーしてくると告げ、とりあえずバックパックを部屋に放り込んで大通りのレストランへ出かける。
界隈には沢山のバス会社がオフィスを構えている。ちょっと覗いてみると、さすがは北東インド地域の中心地だけあって州内はもちろん、周辺州各地域へと向う長距離バスの発着も多いようだ。人で溢れかえるこの雑踏にはインター・ステートな活気に満ちているようだ。

いいバスは嬉しい

ASTC Rhino City Service
以前、シリグリーから国道31号線でビハール州のキシャンガンジ経由で南下するバスに乗っていたとき、コルカタへつながる34号線と交わるあたりでアッサムのバス公社に陸送される市バスの一群を見たことがある。凹凸が少なくツルンときれいなフォルムの低床バスだ。ボディは赤と紺に塗り分けられてASTC RHINO CITY SERVICEと書かれており、前後の間隔をゆったり広く取った大きめのシートはクリーム色。ヨーロッパの街中で見かけそうなモダンさと快適そうな様子に、ひどくインド離れした印象を受けた。
それと同じタイプの車両を、今回シブサーガルのバススタンドで見た。そのまま日本に輸出して東京都内を走っていてもおかしくないくらい良いバスだ。こんな田舎町で何故?と不思議に思ったが、近郊地域を結ぶ中距離バスとして使われているらしい。フロントガラスに向かって左側に置かれたプレートにはベンガル文字を用いるアッサミー語で「シブサーガル」「・・・・」と往復する地点が書かれている。前者はなんとか見当がついたものの、後者は読めなかった。やはり字くらいは覚えておくと便利かもしれない。

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シブサーガル観光

Tai Ahom Museum
アッサムの朝は早いインドの極東部に位置しているので、日の出も日没もデリーあたりに比べて1時間以上早いようだ。 同じ宿に滞在中でディブルーガルから自家用車で来ているムスリムの中年男性が話しかけてきた。日本のことに興味を持っているらしいが、一方的に日本の製品が素晴らしいだのトヨタのカイゼンだのとよくしゃべることしゃべること。身なりからしても自家用車を持っていることからしてもこのあたりの中産階級に属するらしい。田舎だが工場かビジネスか何かしているのだろうか。
ホテルの近くに大きくて赤い建物がある。最初それがこのツーリストロッジかと勘違いしたのだが、実はタイ・アホム博物館であった。地元の歴史や文化に関する展示がなされているので是非見学したかったのだが、残念なことに改装工事のために閉鎖中であった。
同じ並びでそこから少しこのホテル寄りのところにテニスクラブがある。早朝からコーチから特訓を受けている初心者男性がいた。壁には1902年だか 1912年だかに始まったクラブだと書かれている。植民地時代にイギリス人や当局側のインド人のために造られたものなのだろうか。
Tennis Club,  Sibsagar

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