ヤンゴンのクリスチャン墓地

ヤンゴン郊外のクリスチャン墓地

先日取り上げたミャンマーのヤンゴン郊外の日本人墓地のすぐ北にクリスチャン墓地がある。英国人をはじめとする欧州系の人たちの墓が沢山あるのではないかと予想していたが、そうではなかった。

墓地に埋葬されている方々のほとんどはミャンマー人

敷地内の墓石の大部分はミャンマー人のもので、クリスチャンネームとともにビルマ名も刻まれている。世俗の生活の中で、もっぱら使用していたのは当然後者のほうだろう。この国においては、ヒンドゥーもムスリムも日常用いているのはビルマ名である。

無造作に積まれている墓石

欧州人たちの墓は、ごく小さな一角にまとめてあった。想像していたよりもはるかに少ないが、相当整理されてしまったに違いないことは、墓石が無造作に積まれている有様からも見てとれる。

時は移ろう。世を支配する立場の側にあった人たちも鬼籍に入り、世間に影響を及ぼすことはなくなる。人々の間の記憶から忘れ去られていき、歴史の過去に消えていき、この世に生きる私たちとは無縁の存在となっていく。

付近にはシーア派ムスリムの方々の墓地もある。当然、インド亜大陸からの移民(および少数ながらイラン系の移民)ということになるので、ぜひ訪れてみたかったが、すでに日没の時間となってしまったので断念せざるを得なかった。

ヤンゴンの日本人墓地

ヤンゴンの日本人墓地
ミャンマー最大の都市、ヤンゴンの空港から北東方向にクルマで20分ほど進んだ地域に、日本人墓地がある。もともとはあちこちに埋葬されていたものを、ある時期にこの場所に集合させたものであるとも聞いている。背景には在ヤンゴンの日本人会による尽力も大きかったとのこと。
大正時代に亡くなられた方の墓石
連合軍墓地のように高度に組織化された感じではないが、様々な異なる背景を持つ日本人たちがこの地に眠っている。石の表面が摩耗して、もはや判読することすら難しくなっているものも多いが、古くは没年が大正時代のものあったし、昭和一桁に亡くなった人の墓もかなりある。第二次世界大戦が始まる前の当時のミャンマーで、個々の人たちにとって具体的にどんな縁があって移り住むことになったのかはわからないが、大英帝国の海外植民地の大都市のひとつとして繁栄したこの街だけに、様々な商機があったのだろう。この時代に日本から渡ったからゆきさんも少なくなかったようだ。
戦没者関係の慰霊碑や墓石が目立つ
連隊の従軍概要についても記されていた。
戦没者たちへの鎮魂碑
戦没者関係の石碑は非常に多い。
「ビルマの竪琴」の主人公のモデルとなった人物の関係の石碑もあった。
亡くなったご本人もまた軍国主義の時代の被害者。決して繰り返してはならない歴史である。
墓地内で、最も存在感があるのは、やはり戦没者関係である。大きな石碑が多く、具体的な記述があるためでもある。個々の墓碑、所属していた連隊等の戦友たちによる慰霊碑、戦没者の出身県による同類の石碑等々。だがこの時期の墓碑に特徴的なのは、個人の名前も何も刻まれていないものがかなりあることだ。これらの人々が亡くなったとき、個々の身元確認が困難であったり、混乱を極めた時代であったりしただけに、埋葬先にまで故人の基本的な情報の伝達すらうまくいかないという状況があったのではないかと推測できる。
また先述のとおり、各地に埋葬されていたものを、この地にまとめて改葬したということもひとつの原因かもしれない。日本人の墓であることは判っていても、そこに葬られているのが誰なのかが分からなくなっているというケースもあってもおかしくない。
戦没者埋葬エリアでは氏名も亡くなった日付もない墓石が多い。
個人的に存じ上げている、戦時中に航空通信連隊に所属して終戦を迎えたという方があるのだが、まさにその方が戦友たちのために個人で建立された石碑を見かけた。世間というものは案外狭いものだ。
この方の出身地は平安北道。現在は北朝鮮となっている。
戦時中に亡くなった方々の中で、明らかにコリアン系の方々の名前も少なくなかった。日本と併合されていた時期に他界した人々であるがゆえに、日本人という扱いになるのだろう。この写真の方の場合、没年が昭和12年となっているので民間人であると思われるが、その後マレー半島への侵攻に始まる東南アジア方面への日本軍の展開の中で、軍人や軍属としてこの地を踏んだコリアン系の方々も少なくなかったはずなので、この時期に日本人名で埋葬されているケースもあるのではないかと思う。
1978年の航空機事故で亡くなった日本人技術者たちへの慰霊碑
戦後に亡くなった方々のものもある。1978年に起きたヤンゴン発ミッチーナー行きの国内線墜落事故で亡くなった、援助プロジェクトの関係で来緬した日本人技術者6名の慰霊碑、そのあたりの時代から2,000年代に入るまでの間に、当地で亡くなった日本人たちの墓である。
隣国タイなどと異なり、対外的に非常に閉鎖的な体制が続いていたこの国だけに邦人在住者の数や在留していた目的等もごく限られるため、戦後のこの国の激動の時代をつぶさに目撃するという稀有な体験をしてきた人たちであると言えるだろう。
埋葬された時代を問わず、日本の墓地と大きく異なる点として、大半のものに戒名がないということがある。ごく一部にこれが刻まれている墓石があるが、それらは日本で遺族が菩提寺からもらったものであろう。
故郷から遠く離れた熱帯のこの地で安らかに眠る人々の魂がここにある。

日本発のEVオートリクシャー

人力車発祥の地である日本だが、まさにこの日本発の電動三輪がアジア諸国をはじめとする途上国の市場を狙っている。

すでに色々なメディアで取り上げられているが、テラモーターズが注目されているのは、四輪の分野と違って、これまであまり注目されてこなかったEVの二輪や三輪の開発と販売を推進しているだけではなく、目指すマーケットがグローバル規模であり、従前は各国の地場産業の舞台であったオート三輪の世界をフィールドに飛翔することを狙っているからだ。すでにフィリピンでは本格的に始動している。

テラモーターズ、フィリピンの電動トライシクル事業に参入(自動車新聞社)

「テラ モーターズ」三輪EVのプロトタイプを公開、日本発のベンチャー企業が世界に挑む!(マイナビニュース)

電動バイクのアジア戦略 (THE INDEPENDENTS)

乗り心地のほどはどうかわからないが、流麗なボディのフォルムはなかなかいい感じだ。日本発祥の電動オートがインドの街を駆け巡る日がやって来るかもしれない。

テラモーターズの「電動トライシクル」

GREAT INDIAN RAILWAY

ナショナル・ジオグラフィックによるインド国鉄特集のビデオGREAT INDIAN
RAILWAY」「
がYoutubeで公開されている。

といっても、ナショナル・ジオグラフィック自身がコンテンツを広く公開しているわけではないようで、要は海賊版ということになってしまうのだが、インド国鉄の魅力をうまく伝えている作品である(・・・がゆえに、ぜひオリジナルを購入したいところだ)ので、取り上げてみることにした。

蒸気機関車が登場したり、2001年に事故死したマーダヴラーオ・スィンディヤー(旧藩王国の王族で国民会議派議員)が登場したりしているので、いつ作製されたものなのかと思えば、1998年1月にリリースされた作品であった。

興味深いインド国鉄の世界であるとともに、今や事情が少し違ってしまっている部分もあるため、鉄道史を語る貴重な記録であるともいえる。

magzterで読むインド

在米のインド系ビジネスマンが起業したmagzterが頑張っている。

いろいろな雑誌の取扱いが増えており、インド関係以外にも東南アジアやアメリカ等の国の雑誌類、中には日本のものもわずかながら含まれている。

magzterの利用により、インド国外からも雑誌類が購読できるのはいいことだろう。インドの主要都市に居ても普段は見かけない北東州のニュース雑誌の取り扱いもある。magzterの出現以前は、インド国外から雑誌類を購読しようとする場合、それを取り扱うサービスはあっても、手元に届くまで時間がかかったり、郵便事情等により欠配することもあったはずだ。紙媒体で流通しているものと同じ誌面で販売されていることはもちろん、オンタイムで購入できるのが有難い。

ただ欠点もある。年間購読するように誘導しているためであるが、単号で購入するのと半年ないしは1年間の契約にするかで、ずいぶん単価が異なることだ。前者だとかなり割高に感じられてしまう。

一度購入したものは、同じアカウントでサインインしている限り、他の端末でも閲覧できて便利だ。しかし、iPad、Android、Windows RT等々のタブレット用のmagzterアプリが用意されているのはいいのだが、タブレットのOSによって操作感がかなり異なることに少々戸惑ってしまうため、改善されることを望んでいる。

少々注意が必要な部分もある。定期購読の場合、少々注意が必要なのは、購読者側から解約手続きをしない限り、自動更新になってしまう。そのため契約月についてはしっかり覚えておかないといけない。

私自身は、ニュース雑誌を定期購読しているが、旅行関係ではNational
GeographicのTraveller Indiaというものがなかなか興味深いことに気が付いた。昨年7月のヒマラヤ特集は充実していたし、他の号でもなかなか興味深い記事が掲載されているのは、さすがNational Geographicである。

National Geographic Traveller India

 

ただし、他の版元から出ているインドの旅行関係雑誌については、インドの人々の間での旅行に関するトレンドを知るにはいいかもしれない、といった程度のことが多いため、あまり期待しないほうがいいだろう。

ともあれ、今後ますますの充実を期待したいところだ。雑誌のみならず、将来は電子書籍なども購入できるようになるとありがたい。