ASUS TF103C

 

最近のAndroid環境は、スマホでやタブレットといったハード面でも、OSやアプリ等のソフト面でも、AppleのiPhone, iPadなどに較べて遜色なくなってきた。

タブレットも携帯性を重視した7インチという小さめのサイズ、主に自宅での利用を視野に入れた10.1インチの大型画面のモデル等、各々の使用目的に応じて、様々な価格帯から選択できるようになっている。先月はLenovoから13.3インチという、とりわけ大きな画面を持つタブレットも発売されている。タブレット端末も低価格化が進み、かなりハイスペックなものが手頃な価格で購入できるようになっているのも嬉しい。

これほど世間にタブレットが浸透している背景には、寝ているとき以外の時間帯にはネットに常時接続であるということが当たり前になっていること、様々な形態によるネット接続の普及、電子書籍の普及などもあるが、大きな画面サイズであるがゆえの「スマホではこなせない利用目的」や「パソコンではちょっと難しい用途」、つまりスマホとパソコンの間の隔たりを埋めるエリアへの需要が高いからだ。スマホ、タブレットとパソコンの利用目的は重なる部分はあるものの、守備範囲は大きく異なるがゆえに、三者三様の需要がある。

だがタブレットのサイズについては、ノートパソコンに近いものがあるため、このふたつを兼ねることができる、つまりタブレットとしてもノートパソコンとしても利用できるようなものがあると便利、というニーズも当然あるわけで、それに対応したのがウィンドウズOSで駆動する、あるいはAndroidで動くキーボード付きタブレットであるということになる。

両者ともに長所・短所があることについては否めない。前者はほとんどパソコンとして利用できる強みがあるが、それとは裏腹にスマホで馴染んでいるAndoroid環境とは異なることにストレスを感じたりすることもあるだろうし、Androidではごく当たり前のアプリがWindowsにはない、ということもよくある。

後者については、従来のスマホやタブレット環境と同じという点が利点であるとともに、Windowsではないためパソコン環境とかなり違うという不利な部分が表裏一体となっている。つまり「いつも使っているアプリ」をじゃんじゃん利用できるという便利さがあるものの、マウスを使えないこと、印刷や保存ファイルの取り回しから始まって、パソコンでいつも使用しているソフトを使うことができないなどといった制約がある。

だが最近ではAndroid 端末からの印刷が可能となっているプリンターは少なくないし、少なくともオフィス系のソフトならば、Microsoftの製品と互換性を持たせたものが出ている。そのため、タブレットとして利用しつつも、限りなくパソコンに近い使用さえも可能な製品も数多く出回るようになっている。

日本語文書を作成する際に、打鍵数が少なくて大量の文字を打つ場合に有利な「かな入力派」にとって、Android端末への物理キーボードからの日本語入力環境が基本的に「ローマジ入力」であったことすでの過去の話となり、現在ではnicoWnn IMEをインストールすることにより、「かな入力」環境がごく当たり前に用意することができるようになった。

キーボード付きタブレットといえば、やはりパソコン的な用途となることが多いためか、Windows RTあるいはWindows 8で動くモデルが多いようだ。しかしながら個人的にはスマホあるいは小ぶりなタブレットの延長線上にあるAndroidベースのものもなかなかいいと思う。先述のとおり、日本語入力環境が改善されていることもあるし、オフィス系のソフトもマイクロソフトと互換性の高いものが無料あるいは廉価で入手できるからだ。

そうしたアンドロイドOSでキーボード付きのタブレットとしては、ASUSのTF103Cはとりわけ魅力的に感じられる。今年7月に発売されたが、すでに3万円以下で入手できるようになっている。スペックもハイエンドとは言わないまでも、必要にして充分以上の性能だ。コストパフォーマンスの観点から卓越したものがある。

タブレット本体の重量は550gだが、キーボードを付けると1.1kgとやや重くなってしまう反面、手にしてみるとなかなかしっかり感があって好ましく思える。取り外しができるキーボードだが、造りもしっかりしているし、合体時には実にしっかりと本体と結合するのも安心感があっていい。

SIMを差し込んでの3GやLTE通信は対応しておらず、ネット接続はWifiのみとなるが、Wifi環境のない場所では、スマホからBluetoothテザリングでネット接続するという前提が考えると、これまた安上がりでいいかもしれない。

単体でタブレットとして使ってもよし、キーボードを装着してノートパソコン的に利用してもよし。日常生活で、また旅行先でも大いに使い回すタブレット兼ノートパソコンとしての大いに活用できる1台ではないだろうか。

Asus Transformer Pad TF103C 2-in-1 Android tablet review (liliputing.com)

 

 

 

ラダックの氷の卒塔婆プロジェクト

NGOジュレーラダックのウェブサイトにて、この団体の現地パートナーであるSECMOL
の興味深いプロジェクトが紹介されている。

氷の卒塔婆プロジェクト基金(ジュレーラダック)

氷河が融解して水が流れ出す前の4月と5月、畑での耕作を開始する時期にあたるラダックの農家は水不足に直面するとのことで、地球温暖化により氷河そのものが後退している中、さらに困難な局面を迎えているのだという。

そうした中で、冬の間にも利用できる水をストゥーパのような形にして貯めておき、ここから融解する水を先述の季節に利用するというアイデアだ。ストゥーパの形にするというのは、体積に対して表面積を小さくすることにより、溶け出すまでの時間を稼ぐためである。

環境に負荷をかけることなく、すでに存在している水資源を有効に活用しようという、地元の人々が主体の自助努力であり、今後の進展が注目される。詳細や寄付金受付等については、上記のウェブサイトに記載してあるのでご参照願いたい。

自国内の「無国籍者」に他国籍を買うクウェート

インドとは関係のない話で恐縮であるが、こんなニュースが目に付いた。

無国籍住民に大量の外国籍を買うクウェートの真意 (ニューズウィーク)

クウェートにて、昔からその土地に住み着いていたベドウィンの子孫にコモロ連合の国籍を買い与えており、コモロ連合はすでにそうした人々に対してパスポートを発行しており、こうした措置に対して人権団体が反発しているとのこと。

確かに、記事中にあるとおり、無国籍であった人々の立場に公的な位置づけがなされることにより、それに応じた行政サービスを含めた措置が可能となるという面はあるのだろう。

しかしながらその結果として、彼らが代々居住してきた(国境のこちら側と外側とを行き来しながら暮らしていたにしても)土地の市民ではないということが明確となることにより、つまり「外国人」となることにより、クウェート国内で暮らしていくには、当局の発行する在留資格が与えられることにより可能となるわけである。

当然のことながら、クウェートで「自国民」と同じ権利を有することにはならず、様々な不利益が容易に想像できる。また、在留資格が延長できなかったり、失効するようなことがあったりすれば、「外国人」である以上、国外に退去しなくてはならなくなる。

そうした人々に対して、まず在留資格を与える時点で選別がなされるということも可能となり、無事に在留資格が与えられたにしても、個々に対して恣意的な対応や措置、つまり国外への退去強制という手段がなされるのであろうし、それを実行できるようにするというのがこうした政策の意図であろう、というのがこの記事の意味するところであるが、まさにそれ以外の目的は考えにくい。

そのコモロ連合とはどのような国かといえば、アフリカ東部のマダガスカル近くにある島嶼部から成る小国で、概要についてはこちらをご参照願いたい。

コモロ連合基礎データ(外務省)

海洋交易を通じてアラブ世界との交流が盛んであった地域だけに、住民の大半がイスラーム教徒であり、アラブ系住民も多い国ではある。

クウェートに居住しながらも、こうした国の籍を与えられた人々に対して、「本国」から必要な庇護が与えられるとは考えにくく、仮に住み慣れた国での在留が認められず、縁もゆかりもない「本国への送還」となった場合、大変な苦難が待ち受けていることは言うまでもない。

これはクウェート国内に居住する無国籍の人々に対する地位保証の措置ではなく、明らかに金満国家による棄民政策である。

第2回公募 “世界旅写真展”

エントリー締切(今月15日)が目前ということで恐縮だが、旅がテーマの写真が公募されている。

第2回公募 “世界旅写真展” 募集要項 (APART GALLERY & LIBRARY)

上記リンク先をご覧いただければ、ユニークで稀有な企画であることがわかるだろう。もっと早い時期にこれをindo.toに掲載しておけば良かったという自省とともに、これをご紹介いたしたい。

ボーパールの悲劇から30年

1985年12月2日から3日にかけて発生したユニオンカーバイド社の工場からの殺虫剤の原料となる成分からなるガス漏れ事故から今年でちょうど30年経過したことになる。

マディヤ・プラデーシュ州のボーパール市の住民のうち55万名を超える市民がこの毒ガス被害を受けたとされ、死者の数は2,500名とも3,800名とも言われるが、この毒ガス被害により半月の間に亡くなった方は8,000を超えるという説もあり、今なお史上最大級の産業事故である。

この事故に関するあらましは以下のリンク先をご覧いただきたい。
The Bhopal disaster and its aftermath: a review (ENVIRONMENTAL HEALTH)

この事故はノンフィクションで取り上げられたり、映画やドキュメンタリーとして制作されたりするなど、世間の関心は高い。

書籍ではドミニク・ラピエールおよびジャヴィエール・モローによるIt Was Five Past Midnight in Bhopal、映画ではBhopal Expressといった作品が入手しやすい。

また、BBC制作のONE NIGHT IN BHOPALはYoutubeで閲覧することができるので、ぜひご覧いただきたい。

ONE NIGHT IN BHOPAL (BBC)

今年12月5日からはインドでラヴィ・クマール監督によるBhopal: A Prayer for Rainが公開されるが、すでにニューヨークの映画館では11月7日から、ロサンゼルスその他の都市では11月14日から封切りとなっている。

この未曾有の大災害とそれから得た教訓を決して風化させてしまってはならない。そのためには事故に関する真実を今後ともみんなで共有していく必要がある。