ニュース番組Aaj Takの 「So Sorry スワッチ・バーラト最新版」

おい、あんたたち!
ちょっとキレイにしたらどうだ!
家の中だけじゃなくて小路も、道路だけじゃなくて溝も、自宅周辺だけじゃなくて地域をキレイにしようぜ。
家だけじゃない、屋敷だけじゃない、寝室だけじゃない、庭だけでもない。
そもそも君たち、インドはなぜ汚いんだ。

・・・といった具合の歌とともに、清掃を呼びかけるモーディー首相が人々に訴える。

So Sorry: Swachh Bharat

ニュース番組Aaj Takの中でしばしば流れる風刺アニメのシリーズだが、これは昨年10月にモーディー政権がSwachh Bharat Abhiyan(クリーン・インディア運動)を打ち出した直後にリリースされたSo Sorry: Swachh Bharat Abhiyanの最新版だ。

番組でしばらく間をおいて同じアニメが何度も出てきたり、これが毎日繰り返されたりすると飽きてしまうものの、So Sorryシリーズにはなかなか秀逸なものも多いので、見応えがある。何かちょっとした出来事があると「どんな具合に取り上げるのかな」と期待したりもしてしまう。

政治がエンターテインメントの具にもなるのはインド人たちの政治意識の高さならではのことであるし、辛辣な風刺も少なくないことに、メディアのしたたかさ、批判精神の旺盛さを感じたりもするだろう。

2月にデリー首都圏の選挙があり、AAP(Aam Aadmi Party)が70議席中67議席を占めるという大勝で新政権が発足したが、この選挙戦の迷走ぶりについてこのようなものがあった。

So Sorry – Aaj Tak – So Sorry: On ‘parachute netas’

So Sorry:’Kiran raise’ BJP’s hope

インドの政治動向をフォローしていないと、何のことだかよく判らなかったりするかもしれないが、多少なりとも関心があれば、今後フォローしていくと楽しいことだろう。

J&K州新政権発足

昨年12月に州議会選挙が実施されたJ&K州だが、単独で全87議席の過半数を抑えることができた党はなく、水面下で連立を模索する工作が続いていたが、前回よりも議席を減らして政権から陥落することとなったJKN(Jammu & Kashmir National Conference )とは対象的に今回は議席数を伸ばしたPDP(Jammu & Kashmir Peoples Democratic Party)が、とりわけ地域色が非常に強いこの州ながらも、前回の2008年の選挙時以上に大きな躍進を見せた「外来勢力」のBJPと組むという、「火中の栗を拾う」かのような決断をした結果、PDP+BJPという、先行き不透明な連立政権が発足することとなった。

J-K to have BJP-PDP govt as Mehbooba Mufti, Amit Shah finalise CMP (financialexpress.com)

今回の主要各党の議席数を過去の選挙結果とともに眺めてみると、ここしばらく同州の政権を担ってきたJKNの退潮ぶりが際立っている。

また、今回の選挙で主な政党が抑えた地域を俯瞰してみると、ジャンムー、カシミール、ラダックという異なる民族、宗教、文化が行政区分において一括りにされている州らしく、あまりに明解すぎるほどはっきりと分かれていることが一目瞭然だ。

カシミール地域では、地場政党のJKNからPDPへと支持政党が移行したこと、ラダック地域ではやはりコングレスが強いことはさておき、BJPの急伸ぶりはジャンムー地域に限られる。同床異夢で連立したPDPとBJPのもとに、州内での地域間対立の火種とともに、蚊帳の外に置かれたラダック地域の不満が伸長するのではないかという懸念を抱えていると言えるのではなかろうか。

そうした不安定要素に加えて、杞憂かもしれないが、ちょっと不吉なものを予感させるようなものもある。

Jammu and Kashmir torture hubs shed horror Cargo: Makeover for Sringar’s dreadful interrogation centres (Mail Online India)

80年代末から90年代にかけて、カシミールで反政府運動、分離活動が燃え上がってきた時期、治安当局による凄惨な拷問がなされていた3つのスポットのうちのひとつが、PDP党首メヘブーバー・ムフティの父親であり、先代の党首でもあるムフティ・モハンマド・サイードの現在の邸宅となっていることだ。

カシミールの人々の庶民感覚があれば、そのような忌まわしい場所を邸宅にすることはないであろうし、それを理由とする扇動や攻撃が充分に予想されるものでもある。

(ラージコート2は後日掲載します。)

YouTube インドのニュース番組のオンタイムで

スマートフォンやタブレットのアプリでインドの各種番組を視聴できるものは多いが、
最近、YouTubeにてインドのいくつかのニュース番組のライヴ放送が開始されている。
とりあえず確認してみた範囲において、ヒンディー語放送ではAAJTAK、そのAAJTAKのデリー首都圏ニュースのDILLI AAJTAK、テルグ語放送(私自身、テルグ語は解らないので理解できないが)ではTv9 ETV Newsがこのサービスを提供している。どれも昨年12月から今年1月にかけてこれを開始しているため、英語を含めた他のニュース番組もこれに追従するところがいろいろ出てくることだろう。
仮にエンターテインメント、経済、宗教その他のチャンネルも各自の番組をこうした形で流すようになってくると、どこにいてもテレビを通じた各種情報が際限なく入ってくることとなり、少なくともテレビ放送に関してインド国内と国外との「情報格差」が相当小さくなっていくことになる。
もちろんテレビ放送に限ったことではなく、週刊ニュース雑誌等のデジタル版も豊富に出回るようになっている昨今、インドはおおまかな情報やトレンドについては、国外からもウォッチングしやすい国となってきているといえるだろう。

※マンドヴィー3は後日掲載します。

Namaste Bollywood +42

Namaste Bollywoodの第41号について取り上げた際にも触れたみたとおり、同誌は第42号から有料版へと移行した。これにともない、全32ページで総カラーとなり、内容もさらに充実して、より読み応えのある内容となっている。発行回数は年3回とのこと。

インド国外でもユニバーサルな人気を誇るインドのヒンディー語映画だが、おそらくどこの国の映画においても多かれ少なかれ、その国や民族の文化、伝統、習慣といったものが反映されるものだ。ましてやディープで多層的な文化と豊かな民族的な幅を持つインドにおいては、ことさらそうした背景の知識を持つことが、作品のより深い理解へとつながる。

これについては、ハリウッドをはじめとする欧米の映画についても同様なのだが、そうした地域の予備知識的なものについては、多かれ少なかれ私たちはすでに馴染んでいるというある種の「インフラ」的なものが、日本の大衆文化の中にあるという点がインドの映画に対するものとは異なる。まさに同誌においては、インドの社会や文化についての考察と合わせた形で、これまでボリウッド映画の紹介がなされてきたわけであり、定期的に「ボリウッド講座」の開催も行なっていることは言うまでもないだろう。

2006年に創刊し、すでに9年目を迎えるNamaste Bollywood誌だが、ここ2年ほどの間に日本で劇場公開されるインドのヒンディー語映画が着実に増えていること、またそれらに対する日本の観客の評価が高いことなどを見ていると、ようやく今になって1990年代の日本における「インド映画ブーム」により、各メディアから恣意的に刷り込まれた妙な先入観の呪縛から解き放たれて、インドのヒンディー語映画の良作がすぐれた作品として迎えられる地盤が整ってきているという気がする。過去の「インド映画ブーム」でネガティヴな刷り込みが風化しただけではなく、当時を知らない若い世代の人たちが映画の観客のマーケットに大きな比重を占めるようになってきたという面もあるだろう。今後、都市部ではいつもどこかでヒンディー語映画が上映されているということが当たり前という時代が近づいて来ているのかもしれない。

こうした機運が高まりつつある中、この流れへと導いてきたさまざまな要素があるはずだが、その中においてNamaste Bollywood誌が果たしてきたもの、ボリウッド講座や各種イベントを通じて広く人々にアピールしてきたことなどによる貢献が占める割合も非常に高いものがあるに違いない。

近年、日本で劇場公開されたインドのこうした映画といえば、すでにインドで大ヒットしたり、評価が高かったりした映画が、かなりの時間差を経て上陸するという形であった。これが本国とほぼ時を同じくして公開されるような機運になってきたとき、インドのヒンディー語映画が日本にしっかりと定着したということになるのだと私は考えている。

公開する側にとって、本国でのリリース後の評判を見ずして、充分な集客が容易に期待でき、商業的なリスクのないものとなるには、インドのヒンディー語映画が日本の大衆娯楽の中にしっかりと根を下ろしていく必要がある。劇場公開される映画が観客にとって「評判いいらしいから来てみた。誰が監督しているのか、出演者が誰なのかよく知らないけれども、感動的な作品だった」という一過性の娯楽で終わるのではなく、監督をはじめとする製作者や出演する俳優・女優に対する関心も高まってくるかどうかが大きな分かれ目となる。これは、ハリウッド映画において、巨匠による作品や日本でも人気の高い俳優が出演する映画であれば、公開日が決まった時点から大きな話題となることからもよくわかるだろう。

Namaste Bollywood誌の執筆陣には、発行人のすぎたカズト氏、インド映画評論家の高倉
嘉男氏、インド宮廷舞踊家の佐藤雅子氏、インド学研究家の高橋明氏と豪華な顔ぶれを揃えており、非常に読み応えがある。また、「マダム・イン・ニューヨーク(ENGLISH VINGLISH)」のガウリー・シンデー監督、ミュージシャンで映画の音楽監督でもあるA.R. ラフマーンへの貴重なインタビュー記事なども見逃せない。こうした形でのインドのヒンディー語映画に関する、またその背景となるインドに関する知識の拡散と定着が、日本における劇場公開の定番化へとつながっていくことと信じている。

まずはぜひ、このNamaste Bollywood +42を手に取ってじっくりとお読みいただきたい。
入手方法については、同誌のウェブサイトに書かれているとおりだが、今号からは楽天市場ヤフー!ショッピングでの取扱いも始まったようである。

E-VISA運用開始!

だいぶ前から各メディアで取り上げられていたインドのE-VISA(観光ヴィザのみ)の運用が本日、11月27日に開始された。

E-visa list for 43 nations to be announced today (Business Standard)

対象となる国籍は43か国。もちろん日本もその中に含まれる。滞在可能な期間は30日で延長は不可。入国回数はシングルエントリーのみ。また、年に2回までのみ利用できる。

申請手続きは下記リンク先から行うことができる。
Tourist Visa On Arrival (Government of India)

手順としては、まず申請用サイトにアクセスして必要事項を記入し、証明写真(jpeg形式)とパスボート写し(pdf形式)をアップロードする。そしてクレジットカードで料金(US$60)を支払い、ヴィザ発行に関するクリアランス(4日程度かかるらしい)が完了すると、指定したメールアドレスにETA (electronic travel authorization)が送られてくる。これをプリントアウトして、インド入国の空港(次の9つの空港のみ:Bangalore, Chennai, Cochin, Delhi ,Goa, Hyderabad, Kolkata, Mumbai & Trivandrum)に持参すると、イミグレーションの手続時にヴィザが発行されるという具合だ。

従前から存在していたアライヴァル・ヴィザが、対象国籍と利用できる空港が拡大されたこと、事前にネットで申請するようになったような具合である。

なにぶん、新しい制度であるがゆえに、最初のうちは申請手続きや到着時などにちょっとしたトラブルなどがあるかもしれないが、観光客誘致のための試みとして期待したいし、訪問者にとってもわざわざインドヴィザセンターに出向く手間(申請と受け取りで計2回!)が省けるというメリットがある。

ただし、インド訪問中に周辺国にも出かける予定であったり、30日を超えて滞在したりする場合には、これまでと同じくインドヴィザセンターに出かけなくてはならない。