トイレ 洋の東西をひとつに 2

自らの奥行き深い文化に加えて、長い歴史の中で周辺地域から大小さまざまな影響を受けつつも、それを借り物としてではなくじっくりと消化して独自のものとしてきたインド。絵画、音楽、建築、言語etc…どの分野においてもそうしたハイブリッドさが顕著で、インド文化のリッチさや多様性をするひとつの要素といえる。
さて突然卑近な話で恐縮ではあるが、私たちが日々使用するもののうち、私が心底惚れ込んでやまないものがある。それはこれだ。
その名も『ユニバーサル』!
昔々からある便器だが、まさにインドだからこそのアイデアと社会的な実情に対応した高い機能性を実現している。このタイプのものが果たしていつ考案されたのか知らないが、トイレ事情に関する深い考察と旧習にとらわれない柔軟な思考なしでは成しえない偉業ではないだろうか。
メジャーなところでHSIL社から『ユニバーサル』という商品名で、またReliance Sanitarywares社からは『アングロ・インディアン』という名前でそれぞれ販売されているが、どちらもズバリ的確なネーミングがなされている。このトイレについて、私なりの考えをまとめてみたので後日掲載することにする。

日々の糧は天から届くのか?

コトの背景については詳しく報じられていないのだが、ちょっと気になる・・・というよりも、あんまりなニュースを目にした。『アフガニスタンで物乞い禁止』というのがそれだ。
物乞いをする人たちは犯罪の餌食になったり、いいように搾取されたりしがちであるから保護しましょう、福祉施設に収容しましょうというのが表向きの理由らしいが、そんな余裕のある国情ではないはず。
さりとてこういうお触れを出す政府にしてみても、それが現実的でないことは重々承知のはず。すると真の目的とは何だろうと、あれこれ考えてみたりするが、そんな呑気なことをしていられるのは、遠く離れた国の暖かい部屋の中で、今日明日の糧の心配もなく暮らす赤の他人。
日々路上で物乞いを続けている当人たちにしてみれば、生存を賭けた最後の手段を否定されようと取り締まられようと、おそらく命ある限りそれを続けていくしかない。本格的な冬の訪れはもう目前に迫っている。
Afghanistan bans street begging (BBC South Asia)

インド人学校へ転身

昨日『デリー近郊に日本人村建設?』と題して書いたように、インドで日本からの企業進出を促すための積極策が打ち出されているが、地味ながらも日本においてもインドからの進出を誘致するための具体策がいくつか打ち出されている。そのひとつが来年4月に横浜市緑区で開校予定のインド人学校だ。廃校となった小学校の3階部分を利用して運営するとのこと。
インド系学校来春開校 緑区の小学校跡 (YOMIURI ONLINE)
少子化の日本にあっては、学齢期の子供を持たない人には想像もつかない速度で生徒たちの人数が減少している。現在20代、30代以上の年齢の人たちにとって、小学生、中学生時期に通っていた学校には何クラスあって、何人の生徒たちがいたか思い出して欲しい。
もちろん地域差は大きいのだが、参考までに東京都港区役所のウェブサイトにこういう一覧表があった。
港区立幼稚園・小・中学校園児・児童・生徒数一覧表
学年毎に2クラス、3クラス程度というのがごく当たり前になっており、学校施設の規模と不釣合いなほどである。とりわけ東町小学校の全学年合計で77人、港陽中学の全学年合計78名という数字が目を引く。まるで山村部の分校みたいな人数だ。
こうした傾向は、東京都内どこも共通した現象であり、都外においても似たようなものだろう。地域によっては『学校選択制度』という手段により、居住する学区と隣接する地域の学校に入ることを選ぶことができるようになっている自治体もある。
すると人気校と不人気校の歴然たる差が出てしまい、年度毎の予算配分はもちろん、やり手の校長や教頭、評価の高い教師が優先的に人気校に配置されるといった人事面での処置もあり、不人気な学校はますます凋落していき、やがては廃校や近隣校との統合という整理へと導かれていくようになっている。
そして、廃校や統合により使われなくなった校舎や土地は、資産の有効活用という名目で他の施設建設のために転用されたり、民間に売却されたりしていくことになる。
やや話はそれてしまったが、もともと厳しい基準で施設も充実している公立学校施設という『器』である。都内に数ある空き教室を多数持つ公立学校と同居・・・というのは無理にしても、今後も更に統廃合が進み用済みとなる施設が続々と出てくるにあたり、交通至便な都心近辺にある学校施設を横浜市のように、新設される外国人学校のために有償で貸し出してはどうかと思う。
さらには学費の問題もある。外国人学校は総じて費用が非常に高い。私学助成制度を大幅に見直して、充分な補助を行政から受けられるようにすべきではないだろうか。少子化が進む中、能力の高い外国出身の人たちが定住することが必要となってくることは自明の理だ。
また、その子女たちがしかるべき教育を受けることができる環境を整えることは行政の責任であり、そうして育った子供たちが将来、生まれ故郷ないしは自分たちが育った土地である日本に根を下ろし、この国を支えてくれるようになる、そんな『国家百年の計』が必要なのではないかと思う。

インドでUNIQLO

現在、日本・アメリカ・イギリス・フランス・韓国・中国(香港を含む)で、事業を展開しているユニクロが、2032年までに世界一のアパレル製造小売業グループになるという目標を掲げたうえで、インドとロシアへの進出のための本格的な調査に入ることを発表した。
シンプルなデザインを基調に、新素材を積極的に活用したうえで比較的短いサイクルで商品をリリースしている同社だ。マンネリ化を防ぐためか、定番アイテムについても前年と同一のものが店頭に並ぶということはなく、必ずどこかを変更・改良するとともに、ときに他企業等とのコラボ商品などでアクセントをつけるなど、ひとつひとつの品物はベーシックながらも、常に変化を続ける『スピード感』がある。
また効率化という面でも際立っており、多様なアイテム構成かつ迅速な商品入れ替えを行ないつつも、店舗により在庫量や置いてある品物のバリエーションに多少の差はあっても、店頭の商品、店構え、スタッフ等々、基本的にあらゆる面において『標準化』されているのが大きな特徴だろう。チェーンのファストフード屋が衣料品店になったような印象を受ける。そのため各国のアウトレットで販売されているアイテムも、日本の店舗に並んでいるものと大差ないようだ。
だが、これまでユニクロが事業展開している日本を含めた6ケ国にはない独自の豊かな服飾文化を持つインドだけに、単に日・米・韓等で売れ筋の品物のみをそのまま並べるだけではないように思う。相対的に年中気温が高い地域が多く、冬はかなり冷え込む北部にしても、山岳部を除きデリーやラクナウその他人口が集中する都市圏が存在する平原部では日本よりも夏物を身にまとう時期がかなり長い。加えて素材、色彩等の豊富さから、逆にユニクロの本家である日本やその他の市場に様々なアイデアやヒントを与える存在になることだろう。
生産拠点がバングラーデーシュ(およびベトナム)に移行するというのも面白い。急成長したアパレル業界大手に、市場ならびに原料供給地・生産地としての南アジアの存在感が浮上してきた。もともと繊維・衣類産業が盛んなバングラーデーシュだ。同国の関係機関がJETROの協力を得て開催した『バングラデシュ展』の開催、池袋サンシャインのインポートマートで展示会実施といった形で、同国産の主にテキスタイル関係を紹介する試み地道な活動が続けられている。
また小規模ながら個人事業主でもモン・インターナショナルのように、バングラーデーシュ出身の経営者による自国の衣類や革製品の取り扱い、同国との深いつながりを持つNGOが現地で製造した品物を日本国内で販売などといった例はあっても、本格的なテキスタイルの分野において日本からさほど注目を集める国ではなかった。だがここにきて突然大手アパレル会社が進出予定とのことで、同業他社も生産拠点としてのバングラーデーシュに着目する動きが出てくるかもしれない。
インド、バングラーデーシュがユニクロの事業そのものの核となるわけではないようだが、今後このふたつの国を軸にどういう展開がなされていくのか、何を行なっていくのか、ちょっと気になっている。
ユニクロ、インドなど新興国出店強化で「世界一目指す」 (msn産経ニュース)

悪いだけの草じゃない

大相撲の幕内力士若ノ鵬が大麻取締法違反で逮捕されたことがきっかけとなり、9月2日に十両以上の力士を対象として、尿検査が抜き打ちで実施されたところ、西前頭三枚目の露鵬(大嶽部屋)と東十両六枚目の白露山(北の湖部屋)から大麻の陽性反応が出た。この騒動は日本各マスコミで大きく取り上げられているので皆さんご存知のとおり。
昨年以降、朝青龍問題(私には相撲界とスポーツメディア寄ってたかっての外国人力士イジメとしか思えなかったが・・・)や若手力士が稽古場で兄弟子たちに暴行を受けて亡くなるなど、トラブル続きだった角界。今回はひとつの不祥事を受けて、迅速に対応した形だったが、意外にも相撲協会理事長を務める北の湖親方の足元に火が点いてしまい大わらわだ。
おそらく今後、各種メディア等で『大相撲大麻汚染』『退廃の角界』などいった記事がスポーツ紙を中心に多数掲載されるのだろう。先述の露鵬は大麻を六本木の繁華街で外国人から手にいれたと供述していることから、力士だけではなく他競技の選手の名前も今後取り沙汰されるようになってくるのかもしれない。

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