インドの華人コミュニティのドキュメンタリー

コールカーターには中華系社会が存在することで知られている。ときどきメディアで取り上げられることもあるが、現在の彼らの日常を描写したものとしてはもっとも良く出来た作品だと思う。

20分強という短い作品だが、今のコールカーターに暮らす華人たちの暮らしぶりを垣間見るのに取り早いだけではなく、限られた時間の中に凝縮されたエッセンスが詰まっているような、濃厚なドキュメンタリーだ。

ムンバイー在住のインド人ジャーナリストでドキュメンタリー映像作家としても知られるラフィーク・エリアスによる作品。彼の著書のDVDで鑑賞したことがある。秀作であるにもかかわらず、どこでも簡単に購入できるわけではない。

幸いなことにYoutube上で公開されていたので、多少なりともコールカーター華人社会に関心のある方はご覧になられることをお勧めしたい。

The Legend of Fat Mama (Youtube)

PENTAX MX-1

PENTAX MX-1

indo.toでは、ごくたまに私が個人的に「インドでどうだろう、この一台?」と思う新製品のカメラを取り上げているが、このところその頻度がやや高いのは、それだけコンパクトながらも魅力的な製品が出てきているからだ。

カメラ機能を備えたスマートフォンの普及により、安易な廉価版のデジカメが市場から駆逐されつつあるため、コンパクトデジカメが本格的な機能を持つハイエンド機のほうにシフトしているという背景がある。

別に購入を検討しているわけではないし、用途や性能が重複するカメラを持っているので今年5月の発売時には特に関心もなかったのだが、実機に触れてみると予想外に良さそうで、ちょっと気に入ってしまったのがPENTAXのMX-1。

35mm判換算で28-112mmのズームを搭載。F値は1.8-2.5と明るいレンズで、操作性も良好なようだ。こういう「ちゃんとしたカメラ」が売れ筋となることは非常に喜ばしい。

ペンタックス「MX-1」、1/1.7型CMOSと明るいレンズの描写力に満足! (NIKKEI
TRENDI NET)

Namaste Bollywood #36

先日発行されたナマステ・ボリウッド誌の第36号、特集記事はホラー映画。Kaun (1999)、Bhoot (2003)といったボリウッドにおけるホラー作品の先駆けから、こうしたカテゴリーの作品が定着したゼロ年代、そしてこれがさらにヒートアップしている2010年代という流れを踏まえると、制作される映画のタイプが変化していく背景には、作品の受け手である観衆側の変化があることも当然ながら見えてくる。

これは近年のインドの実社会で起きる凄惨な事件の増加と歩調を合わせているかのようでもあり、映画というものは世相を如実に反映するものだと改めて感じ入る次第。過激な描写への許容度が広がっていくことについては、それらを好んで観る層の人々の感性が鈍化することによって、より強い刺激を求めるようになっているという部分もあるので、ちょっと危ういものを感じずにはいられない。

さて、特集記事以外にもOm Shanti Om (2007)の日本公開にあたって来日したファラー・カーン監督へのインタビュー記事、ボリウッドのスターたちが出演したマラーティー語映画のDVD紹介、インド舞踊家の佐藤雅子さんによる「カタックを語る」や早稲田大学の高橋先生による「ボリ映画とインド古典の秘かな愉しみ」など、ボリウッドファンにとっては見逃せない記事が満載だ。

ところで、同誌のウェブサイトに嬉しいニュースが掲載されている。

3 Idiots(2009)#136「きっと、うまくいく」7/12まで続映決定!(Namaste Bollywood)

日本のメディア等における反響から、この作品の質の高さが正当に評価されているのもまた喜ばしい限りだ。

Namaste Bollywood #36

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Pentax Q7

PENTAX Q7

ペンタックスのQマウントの三代目がついに7月5日に発売となる。

現行機のQ10とサイズ、重量、バッテリーは同一ながらも、センサーのサイズが1/2.3から1/1.7型へと大型化し、交換レンズの画角も35mm判換算で5.5倍相当から4.6倍相当へと変更となる。

廉価版コンパクトカメラと同等のサイズの小さなセンサーを搭載している割には、思いのほか写りは良好であるとして評判であったQ10ならびにその先代のQだが、センサーが大型化することにより、画質が向上することが期待できるし、暗所にも強くなることだろう。もちろんメーカー側としても群を抜く小型軽量さ(機動性)と表裏一体の関係にあるセンサーの小ささ(画質面の不利)についていろいろ検討した結果、こういう選択をすることになったのだろう。

画角の変更により、標準ズーム(F2.8-F4.5)の広角端が35mmの判換算で約27.5mmから83mmであったところが、Q7では23mmから69mmとなり、望遠ズームの望遠端(全域でF2.8というのは特筆すべき!)については、Q10までは83mmから249mmであったものが、Q7では69mmから207mmとなる。単焦点(F1.9)のレンズについては、47mmであったものが39mmに変更となる。

総体として広角側に寄ることになり、私としてはそちらのほうが好みではあるものの、人によっては不満に感じる場合もあるだろう。新型機で使用した際の画角変更に伴い、さらに望遠側に特化したズームレンズも近い将来Qマウントのレンズのバリエーションに追加されることもあるかもしれない。

もともと小型で軽いことがウリのこのカメラなので、Q10あるいはさらにその先代機のQと合わせて二台持ちで出かける人も多いのではないかと思う。異なる画角であるがゆえの使い手がある。

これまで7種類レンズが発売されており、魚眼やトイレンズといったチープなテイストの面白レンズもあり、総じて通常のデジタル一眼カメラの交換レンズに比べるとかなり安価である。サードパーティーのレンズは発売されておらず、レンズのバリエーションに限りがあることから、アレもコレもといろいろ物欲が生じないのはいいかもしれない。

そんなわけで、数量限定(公称1,000セット)のコンプリートキットというのはなかなかいいと思う。このセットで用意されているボディの色はブラックのみだが、Qマウントのレンズ7種類すべて用意されていて、おまけに本来は別売りとなっているレンズフードも付いてくるし、このすべてを収納できるというカメラバッグも含まれている。これらをすべてバラバラに量販店で買う場合と比較すれば、2割くらい安く済むようだ。

すでにQやQ10を使用している人たちは、こうしたレンズの多くを所持していることだろうから魅力は感じないことだろうが、初めてQシリーズに手を伸ばして使い倒してみようという向きには最適だ。

ペンタックスにとって、Qマウントのユーザー層の拡大は、同社のデジタル一眼の主力であるKマウントの売り上げにも貢献するものである。マウントアダプターを介して、Kマウントのレンズを装着して使用できるためである。

Kマウントのカメラが採用しているセンサーのサイズは1/1.7型であることから、Kマウントのレンズを使用すれば、500mm、1,000mm以上といった物凄い超望遠に相当することから、通常のデジタル一眼を使っていては望むべくもない体験をすることが「安価に」可能となるのがミソ。

そんなわけで、「もともと他社のデジタル一眼を使っていたが、携帯用にペンタックスのQシリーズに手を出してみたら、いつの間にかペンタックスのKシリーズも使うようになっていた・・・」という例も少なくないのではないかと思う。

まだ実機に触れていないため、正直なところ何とも言えないのだが、久々に「インドでどうだろう、この一台??」ということで取り上げてみることにした。

GALAXY NX

SAMSUNG GALAXY NX

2012年11月に、韓国のSAMSUNGから、Android搭載で3GやWifiでインターネットに接続できるGALAXY CAMERAが発売されているが、このたび同社から同様にAndroid OSを積んだミラーレス一眼カメラが発表された。センサーのサイズはAPS-Cで、交換レンズは13種類。

本格的なデジタル一眼にAndroidが搭載されたモデルというのは、おそらく世界初ということになると思う。私が持っているのはGALAXY CAMERAだが、カメラそのものがインターネットに繋がっているがゆえの利便性をヒシヒシと感じている。常時通信していることになるので、電池の持ちが気になったりはするものの、もはやこれなしでは居られないと思うほどだ。

しかしながらカメラの操作性自体はまだまだ改善の余地ありで、スリープ状態からの起動時間にややストレスを感じることは我慢できるにしても、操作性については何とかならないものかと思っている。露出補正、感度設定、測光設定その他をいじる際には、いちにち画面内のメニューに入っていかなくてはならないため、かなり面倒だ。つまり廉価版のコンパクトカメラと同じだ。もっともどんな状況下でもただシャッターボタンを押すだけの人にとってはこれで充分かもしれないのだが。GALAXY CAMERAについては、このシリーズの後継機が出るころには、現行のエントリー機以外にもハイエンド仕様のモデルも出してもらいたい。

そこにきて、このGALAXY NXはなかなか面白いモデルだと思う。今後、SAMSUNGのデジタルカメラは今後順次、Android搭載というのが当たり前になっていくのではないかと思うが、同様に他社もこれに追随してくれるとありがたい。

そうは言うものの、GALAXY CAMERAを購入して、それなりに気に入っている私ではあるが、GALAXY NXも買う日が来るのか?といえば、少なくとも今の環境では否である。SAMSUNGの日本法人ではカメラの扱いはなく、日本市場においては正規ルートの販売はない(並行輸入のみ)ため、保証を受けられないということもあるが、それだけではなく交換レンズをはじめとするアクセサリ類について、現物を見たり操作してみたりすることなく購入する気にはならないからだ。

いわば「使い捨て」のコンパクトデジカメならばともかく、一眼の場合においては交換レンズは本体を買い換えても使い続ける、いわば「資産」である。カメラ作りにおいてSAMSUNGは日本のPENTAXと提携関係にあるとはいえ、前者のカメラに後者のアクセサリが使用できるということにはならない。

レンズの光学性能やカメラとしての完成度については、今なお日本メーカーのほうが高いであろうことについては疑いの余地はないとはいえ、カメラとしての機能性能プラスαという付加価値部分については、そうとは言えなくなってきているし、やはり進化の速度が日本メーカーよりも速い分、同社の製品に対する期待度も大きくなる。

個人的には、SAMSUNGにはぜひ日本でもカメラ市場に大々的に参入して欲しいと考えている。

GALAXY NX最速フォトレビュー 本格ミラーレス+Androidの実力(週アスPLUS)