RICHO THETA M15

昨年11月の発売から1年、「全天球撮影」をウリにするTHETAがモデルチェンジとなった。

大きな変更点いくつかあるが、外見上は従来の白に加えて、ブルー、イエロー、ピンクの計4色のボディが用意されることになったことに加えて、機能面でも大きく進化している。

まずは待望の録画機能が付いたことが大きい。この部分については、前モデルのファームウェアをアップデートしても対応していない。
https://theta360.com/ja/support/faq/c_06/100/
さて、動画を再生するとどのようになるのか下記リンクでご覧いただきたい。

RICOH THETA m15動画再生デモ (デジカメWatch)

これによって「爆発的に売れる」ことになるのかどうかは判らないが、初代THETAが発売された際、「これで動画も撮れたら面白いな」という声が多かったため、様子見をしていた人たちは早速購入を検討しているのではないだろうか。

先代のモデルに対してファームウェアのアップデートにより提供された「シャッタースピード優先」「ISO優先」「インターバル撮影」機能が最初から搭載されているのはもちろんのことだが、「ぼかし機能」も追加されている。これはSNS等で公開する際にプライバシー等の観点から気になる部分、また手持ち撮影の際に手が中途半端に写り込んでしまうことに対するものだろう。

私自身は初代、つまり昨年11月に発売されたモデルを使っているが、少々気になるのはスマホとの接続の部分である。ThetaとスマホがWifiで繋がることにより、「シャッタースピード優先」「ISO優先」「インターバル撮影」機能が利用できる(THETA側でシャッターを切る場合は1枚づつのオート撮影)し、撮影した画像を閲覧できる(THETAにはモニターは付いていない)のだが、この肝心なWifi接続がスムースにいかないことが多い。幾度から繰り返して、ようやくスマホ側でTHETAを認識するという具合だ。このあたりも大幅に改善されていると良いのだが。

それはともかく、現時点においては一般ユーザーの手の届く価格帯でほぼ唯一無二の360℃撮影ができるカメラである。インドで日常でも旅先でも大いに活用できる1台ということになるのではなかろうか。「現時点において・・・」としたのは、機能、使い勝手、実用に耐えるものかどうかは不明だが、スマホと連動する全方向撮影用のデバイスが出てきているからだ。

今後、この分野が価格競争に突入していくことになれば、より高画質な画像・映像を撮影できる「全天空撮影カメラ」を期待したい。

Magzterで「立ち読み」

昨年の4月にmagzterで読むインドと題して取り上げてみたことがあるが、その後取り扱う雑誌類はずいぶん増えたし、書籍の扱いも行なうようになったので、ずいぶん便利になってきた。ひとつアカウントを作っておけば、タブレット、スマートフォンその他でそれらをダウンロードして専用アプリ上で閲覧できるのはもちろんのこと、パソコンからウェブサイトにアクセスして、購入した雑誌や書籍を読むことができる。

専用アプリでもウェブサイトでも、まず開いたときに出てくるのは「お勧め」らしき雑誌群であるのは毎回うんざりしたりもするが、自分が定期購読している週刊誌等のコンテンツをいつでもどこでもリアルタイムで入手することができるのはありがたい。インド国外からでもインドで販売されているものと同じ誌面を入手することができる。全国誌以外にもローカルな雑誌の扱いもあり、なかなか使い手がある。

従前は、購入していない誌面については、いくつかのサンプルページのみ見ることができたのだが、アプリを更新すると、定期購読や単号で購入していないタイトルについても全ページ閲覧できるようになっていることに気がついたのは数日前のこと。この措置については期間限定とはいえ、タブレットがネット接続している状態にある限りは、際限なく読み進むことができるわけで、店頭の立ち読み感覚に近いものがある。

時と場所を選ばず、販売エリアを大きく超えて、国外からでもそのように出来るような時代がやってきたとは、実にありがたい限りである。

インドの華人コミュニティ

TAIPEI TIMESのウェブ版に、中印紛争以降のインドで迫害や不利益を受けてきた中華系コミュニティに関する記事が掲載されている。

FEATURE: India’s fading Chinese community reflects on war past (TAIPEI TIMES)

彼らが紛争勃発後に、敵性国民としてどのような扱いを受けてきたかについては、上記リンク先にあらましが書かれているので、あらためて説明するまでもないだろう。

彼らのコミュニティは、コールカーターに集中しているが、紛争以前にはムンバイーにも小さなコミュニティは存在していただけでなく、その他の主要都市にもいくばくかの華人人口があったようであり、現在もまだ残っている人たちがあるようだ。

北東地域もその例外ではなく、アッサムにもかなりの数の華人たちの姿があったようだ。紛争勃発当時はまだアッサムの一部であった現在メガーラヤ州の州都シローンで、今でも商いを営む中華系の家族があることからも容易に想像がつくだろう。

近く、インド人作家のリター・チョードリーによる、アッサム地方に暮らした華人たちに焦点を当てた歴史小説が出版される予定だ。

Makam by Rita Chowdhury

この本は、今年の春あたりに出る予定であり、私自身もそのころすでに予約しているものの、どういう理由なのか知らないが、かなり遅れているようだ。大変興味深い内容であるに違いないので、とても楽しみにしている。まぁ、気長に待つことにしようと思っている。

ASUS Zenfone 5

近ごろは日本の量販店でもSIMロックフリーのスマホやタブレット端末を見かけるようになってきている。私の身近なところでもそうした端末のひとつで、性能の割には安価ということで評判が高いASUSのZenfone 5を購入した人がいて、いじくり回してみたのだが、なかなかいい感じだ。

ASUSはタブレット端末のAndoroidをベースにしたもの、Windowsをベースにしたものなどの製造販売で知られており、コストパフォーマンスの高いラインナップで評判の台湾企業。Zenfone 5は並行輸入ではなく、日本市場での正規のリリースということで、万一の場合の補償の点で信頼できるものがある。また、ASUSからこのモデル専用の画面カバーなども販売されているため、うっかり落として画面を割ってしまいそうと心配する向きにも安心かもしれない。

CPUはハイエンド機に近いものを採用しており、画面も最近主流になってきているやや大ぶりな5インチサイズで実用性も高い。LTEにも対応している。動作や操作感等については、すでにウェブ上で様々な記事が出ているので、あえてここで触れるまでもないだろう。

「ZenFone 5」レビュー 第1回――持ちやすさや基本スペックをチェックする (IT Media Mobile)

インドをはじめとする日本国外でも、現地SIMを調達すれば、普段使っているスマホ環境がそのまま使えるのは当然であるとしても、「ほぼハイエンド」といっても良い性能を持つ端末がこの価格帯で購入できるというのはいい。

日本では16GBのモデルが3万円を少々切る程度のようだが、ちなみにインド市場でのこれに相当するモデルの価格は13,000Rs前後のようだ。インドでは8GBモデルも投入されており、こちらは10,000Rs前後。

Asus Zenfone 5 A501CG (flipkart.com)

SIMを差し換える際に、背面カバー全体をガバッと取り外すことになるのだが、幾度か繰り返すうちに、カバーと本体の噛み合わせが悪くなりそうなのがタマにキズ。このあたりは改善の余地ありかもしれない。

日本におけるMVNOが徐々に浸透していくにつれて、自分の嗜好や目的に合った端末を選び、それとは別に自分の利用環境にマッチするキャリアと通信契約をするという、ごく当たり前の環境が出現しつつあることは喜ばしい。

市場環境が異なるため、単純に比較できるものではないのだが、少なくとも一般ユーザーの立場からすると、「日本もようやくインドのケータイ・スマホ環境に追い付きつつある」というような具合かもしれない。

インドのチベット人

以前、MAJNU KA TILLAと題して書いてみたデリーのマジヌー・カー・ティッラーだが、この地はasahi.comの連載:地球を食べるの記事でも取り上げられているのを見つけた。

(地球を食べる)望郷の味チベット料理 (asahi.com)

中国による「チベット解放」後にインドに難民として逃れてきたチベット人たちに、インド政府は相応の待遇を持って迎えてきたと言える。その中で経済的に成功した者も少なくないが、彼らはあくまでも異国インドに難民として仮住まいをしている立場にしか過ぎない。

しかしながら、すでに三世代目、四世代目に入ってしまっており、国籍は持っていないものの生まれも育ちもインドで、祖国チベットを訪れたことさえない、事実上の「チベット系インド人」化してしまっている現在、彼ら自身がこれからどうしていくのか、またインド政府も将来的に彼らに対してどのような対応をしていかなければならないのか、真剣に取り組まなくてはならないだろう。

現在のダライラマも未来永劫に彼らとともにこの世におられる訳ではない。インド中に散らばるチベット人たちを結ぶ大きな求心力が失われたとき、彼らのコミュニティはどうなっていくのだろうか。

インドをはじめとする在外チベット人コミュニティをまとめあげる存在の代替わりは、それがたとえ次に転生するダライラマであっても、俗人の中から選ばれた人物がその役割を担うことになっても、相当な混乱が生じることは間違いない。中国当局による工作の可能性はもちろんのこと、彼ら自身の中にも野心を抱く者たちの存在があり、激しいさや当てが繰り広げられることは避けられない。

また、現在のチベットの情勢が変わる見込みもないわけだが、万が一、将来何か思いもよらないことが起きて、彼らが帰還することが可能になったとしても、すでに数世代に渡り生活基盤を築き上げ、それなりに安定した生活を営む現在インド在住のチベット人たちの果たして何割が戻ろうと決心することだろうか。

遠くない近未来には、彼らインド在住のチベット人たちがインドに帰化することを求めなくてはならず、そしてインド政府もそれを受け容れなくてはらない日がやってくることは想像に難くない。