登場 GR-DIGITAL II

GD-DIGITAL II
リコーのGR-DIGITALは発売以来2年間以上販売されるという、コンパクトデジタルカメラとしては異例の長寿モデルとなった。発売以来、デジタルカメラで唯一無二の28mm単焦点のこのモデルの人気はご存知のとおり。そのGR-DIGITAL今年10月には生産中止となり、どうやら次期モデルが投入されるだろうと聞いていたが、ついに10月30日に後継機GR DIGITAL IIがアナウンスされた。発売日予定日は11月22日だ。今まで同類のカメラは市場に出ておらず、ライバル不在のままで代を継ぐことになった。
前モデルと比較してびっくりするほど大きく変わったというわけではないようだ。むしろ『マイナーチェンジ』といってもいいかもしれない。昨年10月発売のPowershot G7の後継機として、今年9月から売り出されたG9のときもそうだったが、先代の外観、機能、操作性をほぼそのまま継承し、基本性能を若干向上させたうえでユーティリティー面での充実を図るといった手法は今や珍しくないようだ。おそらくデジタルカメラという商品自体がある程度の成熟期を迎えており、ごく短期間で飛躍的な発展を見ることは今後あまりないのかもしれない。しかし市場に投入される製品のサイクルは相変わらず短いので、現存機種が鮮度を失わないうちに何かしらの改良を施して改めてリリースする必要があるのだろう。

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雲の上の個室

Airbus A380
10月25日、世界に先駆けてシンガポール航空のシンガポール・シドニー間に就航した世界初総二階建てという超大型旅客機、エアバスA380。エコノミー・ビジネス・ファーストと3種類のクラスを用意する仕様の場合は定員555名である。ちなみにジャンボジェットの愛称で親しまれるボーイング747の場合、その最新型の747-8の3クラス仕様で定員467名。A380はその2割増といった具合になる。これが全席エコノミーのみの仕様ならば定員は840名とすることが可能という、これまでの常識を破る巨大機だ。
もちろんキャパシティを最大限利用して座席を詰め込むだけではなく、ゆとりあるスペースを生かしてデューティーフリーショップ、シャワー室の設置など、各航空会社のアイデア次第でいろんなサービスの提供が可能となる。じきに他の路線にも導入されるだろうし、今後続々納機されていくから他社の便でも利用されるようになってくるのだろう。国際線・国内線とも世界の注目を集めるホットな市場、インドの空にもやがて飛来することになるだろう。
そんなA380について、シンガポール航空から利用者に対して、こんなビックリなお達しが出たというニュースを目にした。
‘No sex, please,’ Singapore Airlines warns A380 passengers (CBC NEWS)
『え?禁止も何も、飛行機内でそんなことありえない!?』
通常のエコノミー席を思い描いてしまい訳がわからなかったのだが、同社が就航させたA380には、ビジネス、ファーストといった上級クラスよりも更に上のスイートクラスなる12の個室が用意されているのだということだ。シートを水平に倒せばフルサイズのベッドとなる。隣り合う個室をふたつ合併させることも可能。するとダブルベッドの部屋が出現するということだ。しかしながら壁が防音になっていないのもさることながら、部屋を仕切る壁は人の背丈くらいのところまでしかなく、天井部分がすっぽり開いている。だからそんなことがあると困る、ということらしい。同社のサイトでこのスイートクラスのキャビンの様子が動画でわかりやすく紹介されている。
飛行機は不特定多数の様々な乗客が利用するため、問題が発生する前に会社側が手を打ったということになるのだろうが、この下世話な話題づくりこそが最新鋭機の最上級クラスの広々とした贅沢な装備をアピールするにはもってこい、と同社の広報関係部署が打ち出した『広告』なのではないかと疑わずにはいられない。
そう遠くない将来、日印間の路線でこのA380を利用できる機会もあるかと思う。それでも腰を下ろすのはいつものエコノミー席で、目にするものは従来とほとんど変わらず、同じ機内にいながらも、快適なスイートクラスは『雲の上』なのかもしれない。

ついに発刊! Lonely PlanetのAfghanistan ?

しかしながら1978年以前そうであったように、これといった産業がない同国に治安の安定が訪れれば、観光業が国の基幹を支える重要な産業のひとつとなるべきであることは間違いない。国庫への歳入への貢献、外貨収入はもちろんのこと、同業への諸外国からの投資、関連する様々な業種で人々への雇用をもたらすことが期待される。
このガイドブックに取り上げられているAfghan Logistic & ToursGreat Game Travelといった旅行代理店などは、来るべき時代を見据えて着々と準備をしているのだろう。
ところで在日アフガニスタン大使館のサイトを覗いてみた。これがなかなか頑張っていて好感が持てる。
同国政府、経済、歴史、文化等々にかかわる様々な記事が和文と英文で用意されており、アフガニスタンを積極的にPRしていこうという姿勢が伝わってくる。駐日大使館が発行するニュースレターもPDF形式で公開されている。新興国においては若くして活躍する外交官、政治家が多いが、このサイトで紹介されている駐日大使もまだ30代後半。日本に赴任する前には駐米全権大使代理という職にあったそうだ。限られた予算の中で、先頭に立って色々前向きに取り組んでいるのではないだろうか。
サイトには旅行情報も掲載されている。各地の名所、主要都市間の距離を示した一覧表、航空会社やホテル情報へのリンクも含まれている。ここでもやはり国内事情さえ許せば観光業を振興させたいという強い意志を感じずにはいられないだろう。
ここからリンクが張ってあるアリアナ・アフガン航空だが、首都カーブルからデリー、イスラーマーバード、アルマトイ、テヘラーン、ドゥシャンベといった周辺諸国の主要都市からの便だけではなく、ドイツのフランクフルトへも毎週往復しているとは知らなかった。
同社によるデリー発カーブル行きは火・土の週2便だが、我らがインディアン・エアラインスはこのルートを火・木・土・日と4便も飛ばしている。デリーを朝9時40分に出て、3時間後の12時40分にカーブルに到着。
首都だけでもDarul-Aman PalaceBagh-e-BabulKabul MuseumBala Hissar、Mausoleum of Nadir Shah
OMAR Land Mine Museumといった見どころは多いので、比較的安全とされる首都市街地のみに数日滞在してトンボ返りするだけでも充分楽しめるかもしれない。
私自身は今のところ訪れる予定はないのだが、とりあえずガイドブックを眺めてあれこれ思いを馳せつつ楽しんでいる。アフガニスタンの人々が安心して日々送ることができる未来を願い、そこを気楽に訪れることができる日が近い将来訪れることを祈ることにしよう。
あまり売れそうにない(?)ながらも、意欲的かつ実際的な旅行案内書が出たおかげで、ページをめくりつつイマジネーションを働かせて脳裏に具体的な風景(・・・といっても想像力の乏しさから頭に浮かぶのはペシャーワル近辺そのままの光景でしかないが)を描き『紙上旅行』楽しむことができるようになっただけでも大きな進歩かもしれない。Lonely Planetに感謝!である。

ついに発刊! Lonely PlanetのAfghanistan ?

今年8月に出ることになっていたLonely Planetの『Afghanistan』について取り上げたが、果たして出版そのものが遅れたのか、それとも予想以上の好調な売れ行き(?)となったのか判らないが、10月中旬になってようやく手に入った。初版だけあり全部で244ページ、同社のガイドブックとしてはかなり薄手だが、同社のガイドブックすべてに共通するレイアウトでまとめてあり機能的だ。
ただ他の国々のガイドブックと違う点もいくつかある。巻頭に『Authors』として、取材・執筆チームの面々のプロフィールが写真入りで出ているのが常だが、この本にはそれがない。従来とは違う手法で編集なされたのではないかと思われる。
これまた最初のほうの『Itineraries』で挙げられているモデルルートは北部のみだ。カンダハールを含む南部については、暑季の気候の過酷さはもちろんのこと、北部に比べて見どころがそれほど多くはないということもあるようだが、それ以上に治安面での問題が理由らしい。そのため『カンダハール市外への旅行は勧めない』とも書かれている。
ロンリープラネットのどのガイドブックにもあるように、『Women Travellers』『Travellers with Disabilities』『Gay & Lesbian Travellers』など、それぞれのカテゴリーの旅行者たちについてのアドバイスを含む記事を見かけるが、さすがに『Travel with Children』といった呑気な記述はない。
アフガニスタンの見どころや旅行事情について、断片的な情報はいくらでも手に入るものの、史跡へのアクセス、街歩き地図、地域間の移動手段、宿泊情報その他諸々の旅に関わる事柄を上手にまとめた一冊が『いつものガイドブック』のシリーズから発刊されたのはちょっとうれしい。
現在までのところ、有名どころから案内書が出たとはいえ、アフガニスタン旅行がブームになるとは思えないが、治安維持関係、NGO、ジャーナリスト等として同地に赴く人々による需要はかなりあるのではないだろうか。
もともと旅行するための本なので、多くの人々にとってその目的に役立てて欲しいものだが、周辺国でこのガイドブックを見つけたバックパッカーたちによるアフガニスタン訪問が急増、その結果彼らの失踪が相次いで、せっかくの意欲作が『禁断の書』として知られるようになった・・・という不幸な展開も頭の片隅に浮かぶようでやや気になる。

続 劇場『雑踏』 2

さて、翌朝二日酔いで痛む頭を抱えて目覚めた私であった。前日は食事の後、宿の一階で彼らの与太話の続きに耳を傾けつつ、宿で知り合った人々とメコンウイスキーを飲んでいるうちに深夜になっていた。
ともあれ、この日は記念すべき初めての海外街歩きである。宿の一階で遅い朝食を済ませてから外に出る。すでに時計は11時を差しており、陽射しは強くジワジワと汗ばんでくる。小路を抜けて大通りに出ようかというところで女性が地図を手にしてキョロキョロしている。
「すみません!」と遠慮がちに声をかけてきたのは、当時の私よりもかなり年上の女性。
年のころ30前後くらいだろうか。きちんとした身なりの感じの良い女性だった。
「あの・・・この場所にブティックがあったのを知りませんか?」
彼女は以前この場所を訪れて気に入った店があったのだという。どう見ても住宅街の中の通りに過ぎないのだが、タイ国鉄のターミナスであるホアランポーン駅も至近距離にあるので、まあそういうのがあってもおかしくないだろう。
「土地の者じゃないのでわからないです」
そう私が返事をすると、彼女はバッグから取り出した地図とメモ帳とを見比べながら腑に落ちない表情。
彼女はシンガポールから旅行しに来たのだという。適当な世間話をしつつ、「暑い日差しの中でも何だから」と近くの店に誘って飲み物を注文した。
少し欧州系が混じったようにも見える風貌でやや大柄な美人、しかも明るくてとても感じの良い人だ。彼女は学生時代から旅行が好きで、近隣の国々によく足を延ばしていたという。「その中でもタイは特に好き」とのことで、結婚してからもときどきこうやって訪れているのだそうだ。「ご主人は?」と尋ねると「仕事が忙しいし、旅行嫌いだからたいていひとり旅になってしまう」とのこと。かなり裕福な人のようで、宿泊先も日本語のガイドブックにも出ているリッチなホテルだ。
今日はどうするつもりなのかと聞けば、「特に決めてないけど、もしよかったら一緒にどう?」ときた。きれいな女性と一緒に街を散歩できるとあれば、断る理由などどこにもない。すでに正午近くになっていた。トゥクトゥクで少し走った先にちょっと小ぎれいな店があり、そこで彼女と昼食。

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