MISSING――行方不明邦人

夜のバンガロール
 インドに行っているというと、「インドは治安が悪くないんですか?」とよく聞かれる。
 実に返答に困る質問だが、一応「インドに限らず、どこの国にも治安の悪い地域と悪くない地域があるでしょう。それに、治安の良い地域に居たとしても犯罪に100%巻き込まれないという保証はない」と答えている。
 ぼく自身、インドを旅行していて何度かヒヤッとすることがあったけれど、幸いなことに睡眠薬を盛られたり、身ぐるみ剥がされたり、「地球の歩き方」に書いてあるような悪質な手口の犯罪に巻き込まれたことはない。インドを薦める者として、できるだけインドのイメージを悪くもってもらいたくないので、必要以上に恐いエピソードは話したくない。
 だが、中にはそういうエピソードを武勇伝のようにして語るバックパッカーたちもいる。なんて時代遅れな…とも思うが、彼らは彼らでそれが楽しいのだろう。出会う人すべてに疑心暗鬼になって、ガードを狭く堅く、過剰防衛になってしまう旅はたしかに息苦しいが、日本人の目から見ても、「それじゃ、だまされるはずだ」と言いたくなるような振る舞いをしている旅行者も少なくない。
 インドの都市は、ここ数年で飛躍的に経済成長し、夜になっても人が歩ける地域が増えてきた。夜11時や12時といった時間に女の子が一人でメインロードを歩いているなんて、ひと昔前では考えられなかったことだろう。
 しかし、だからといって、犯罪が無くなったわけではなく、むしろ急速な経済発展によって広がった社会格差の中、犯罪自体の件数は多くなっているのではないだろうか。どの街にも、どの通りにも、明と暗がある。暮らしている者にとっては、当たり前のことでも、よそ者である旅行者の目には見えづらい。たとえインド人だとしても、自分がよく知らない街ではむやみに夜出歩いたりしないだろう。


 いままで幾度となくインドで行方不明者になった家族の方とお会いしてきた。それぞれケースがあるが、慣れない外国までわが子を捜しに来て、通訳ガイドとともに、ホテルやゲストハウスの宿帳をしらみつぶしに見て回ったり、州刑務所をくまなく訪問したり……そういう姿を見る度に、ほんとうに悲しくなる。行方不明者本人よりも、残された家族の方が大変なのだ。何十年も行方不明になった家族を捜している方たちをぼくは何組も知っている。
 ひとくちにくくること出来ないが、行方不明者の多くに共通しているのは「インドからの連絡がなかった」ということ。当たり前のことだが、連絡があれば滞在地域を特定できるが、連絡がないとなると地域が特定できない。これは広いインドでは、砂漠の中で芥子粒を見つけるようなものだ。
 一昔前と違って、いまでは電話も簡単にかけられるし、都市や観光地にはネットカフェが沢山ある。これからインドへ行く若いバックパッカーの皆さんは、多少おっくうでも、定期的に(例えば、新しい街に移動する時など)日本の家族と連絡をとってあげてください。
—-
★今月、インド行方不明者の家族の方よりメールで相談がありました。現在、ご家族の方が現地へ飛び、足取りを捜索中のようです。心当たりのある方はぜひ下記捜索サイトの掲示板に書き込んでください。
Searching KOTA SHINOZAKI
篠崎耕太を探しています

http://kotashinozaki.web.fc2.com/
9月2日〜24日の予定でデリーへ発った日本人男性。
デリー空港に3日午前2時に到着し入国手続き後、足取りが分からなくなったそうです。
KOTA SHINOZAKI
 篠崎耕太(慶応大学2年)
 21(1985年7月6日生まれ)
 男
 日本
 165〜168cm
 55〜60kg(痩せ型)
 MR2719691

・茶色のYシャツ
・チャコールグレーの綿ズボンを膝まで折って履いた。
・ビルケンのような、薄茶色のサンダル。
・恐らくL.L.BeanのグレーのHORN型ザック。
・TISSOTのキャメル色の皮バンド・銀板の時計。

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15 Responses to MISSING――行方不明邦人

  1. ogata says:

    『The Hindu』紙にも記事が出ていました。
    早く手がかりをつかめるといいのですが。
    Mystery shrouds disappearance of Japanese student from airport
    http://www.thehindu.com/200...

  2. 加藤 一郎 says:

    彼の親御さんの知り合いの者です。インドの警察の調べによると、デリーから、ジャイプールを経て、9月5日にアグラに行き、5時にホテルでチェックインしてから行方が判明しないそうです。このころアグラにいて、彼を見た方がいらしたら、HPに知らせてあげて欲しいと思います。宜しくお願い致します。
    行方不明邦人に関するご意見、全く賛同です。僕の友人のインドの人の言葉で、「こっちを信用してない人を、何でこっちが信用しなくてはいけないのだ」というのがあります。インドは危ないというアホなバックパッカーを言葉を信じて、近くに寄らせないという感じで旅をしている姿を見ると悲しくなります。かといって、日本にいるのと同じように、好き勝手な格好で、好き勝手な行動をしている人たちにも、あきれますが。
    外国を旅する時には、その国の日常に、勝手に入りこんでいるということを忘れないようにしたいものです。

  3. キミコ says:

    はじめまして。先日、こちらで行方不明邦人の記事を拝見し、当方のブログ日記内に記事ページへのリンクを張らせて頂きました。
    http://d.hatena.ne.jp/aka_a...
    編集ページからトラックバックを送信したのですが、届いていないようですのでこちらに入力します。リンクを張ってからかなり日数が経ってからのお知らせとなってしまい、申し訳ございません。
    下の手動トラックバック用フォームは「HTTP 404 未検出」となってしまい、開けませんでした。

  4. ogata says:

    これまで10日ごとくらいの頻度で連絡が来ていて、今回は(本日は12月16日なので)前回の連絡から少し間隔が開いているということですね。
    旅行中、いろいろ物珍しいことがあったり、移動その他でくたびれてちょっと時間が経ってしまった・・・ということもあるのかもしれません。
    現地を旅している本人と違い、事情のよくわからない身内の方などがご心配されることはよくわかります。
    もし今後も連絡を取れなくて、捜索することになった場合、現地大使館・領事館に現地警察への照会、捜索依頼、捜索に関する相談等々をすることから始まると思います。
    また判っている直近の宿泊先に電話等で連絡して行き先が宿帳に記されていないか尋ねる、その場所にあり当人が宿泊しそうなところに同様に連絡してみる・・・というも考えられるのではないでしょうか。
    またこれから大都市に向うことになっていたとすれば、日本人が多く宿泊しそうな宿に宿泊記録がないか質問してみる、尋ね人の張り紙の掲示を依頼してみるなどといった方法もあると思います。
    『地球の歩き方』のようなガイドブックを使っている場合、同じようなところを訪れることになるようで、違った場所で同じ人と繰り返し出会ったりすることは少なくないようですし、『日本人旅行者の溜り場』に出入りすることも多いのではないかとも想像できます。
    今年6月から半年間のご旅行ということは、帰国予定は月内か正月以降といったところでしょうか?
    ぜひ早く連絡がつくことをお祈りします。

  5. 吉原孝治 says:

    ごめんなさい。
    この方に関する、情報じゃないのですが、私、インターネットの使い方に不慣れで、誰にどのように質問していいのか分かりません。
    いろいろ、検索しているうちに、こちらにたどり着いたしだいです。
    私の知人が、06/06から半年間、アジアの旅に出かけました。
    いつもは、10日以内に、まあまあ頻繁に連絡が着ていたのですが、06/12/01に、インドのプシュカルという町に到着したとの連絡を最後に、連絡が取れなくなりました。
    万が一のことを考え、捜索したいと思うのですが、行方不明者の捜索は、初めてで、勝手が分からず、困ってます。
    何から、始めたらよいのかなど、良い知恵が有りましたら、お教えください。
    お願いします。

  6. 吉原孝治 says:

    ogataさん、ご回答ありがとうございます。
    大変感謝いたします。
    旅行疲れや、何かの都合で、連絡が遅れてるとも、思ったんですが、大体、3〜4日程度で連絡があり、遅れても10日以内には、連絡が取れていたのですが、今回は、現段階でも、連絡が取れず、心配でなりません。
    ogataさんに、教えてもらい、われわれも、漠然とした、不安や絶望感が、薄らぎました。
    旅行している者の知人などを、あたりもう少し詳細な情報収集をして、捜索に当たりたいと思います。
    ありがとうございます。
    心より感謝いたします。

  7. はな says:

    アーグラーに行ってきましたが、想像以上に恐ろしい町です。因みに久美子ハウスはドラッグの巣窟だということも、現地で知り合った邦人男性に教えてもらいました。
    薬を目的に久美子ハウスへ行く人は多いそうです。自然に観光をして純粋にインドを見てこようと考えていた私は、今となっては無事に帰国することができたことを、心から感謝するとともに、これからインドを訪れる人に忠告をしたいです、
    もし、無事に日本に戻って今までと同じように普通に生活をすることを望むのであれば、インドへの一人旅は止めましょう。
    決して大袈裟ではありません。
    日本の常識、安全、価値観、法、全て、通じない国です。命の惜しくない人はこの忠告は無用だと思います。
    どうか、行方不明者が無事であることを心より願うばかりです。

  8. ஐஐ says:

    「久美子ハウス」の名誉のために言います。泊まった事も、会って話した事もありますが、主人のシャンティさんは厳格な方です。ドラッグを許しませんし門限もあります。根拠薄弱な伝聞なんかを流布しないで下さい。
    またインドはオソロシイ国ではありません。ただし安全管理上の常識をもって行動すればです。日本でも知らない人に簡単についていったりしないでしょ。

  9. ogata says:

    何が恐ろしいかということについては、人それぞれの主観によりますが、ஐஐさんの書き込みにあるとおり、伝聞というものは往々にしてアテにならないものです。
    インドもまた人の住む世の中ですし、日本とは事情が異なる部分も多いので、安全面等で留意すべきことはありますが、同時に尊敬すべき人々、素敵な人々もたくさん暮らす大きな国でもありますよ。

  10. ササミ says:

    久美子ハウスの話。
    私が行った時はすごい皆ドラッグ使用しまくりでしたよ?
    久美子さんは彼初めてなの?
    それは初心者にはキツイからやるならこっちからやってと言ってました。
    私はただただ見てるだけで怖くてドミを出ましたが…
    ドラッグの巣窟かと感じたのは私だけでしょうか…??
    ちなみに1週間だけ宿泊しました。。。

  11. Bharat Mahan says:

    なぜ「ドラッグの巣窟」といったところに1週間もいたのでしょう?インドでもドラッグは非合法ですから、そんなに長くいたら警察に逮捕される危険性が大きかっただろうに!
    「掲示板」を見て驚きました。めちゃくちゃな書き込みばっかりですね。悪意ある人々の攻撃の的になっていますね。
    残念です。

  12. ogata says:

    皆様いろいろ書き込み等ありがとうございます。しかしながら記事の趣旨はドラッグ云々ということではないため、このあたりまでにしておきたいと思います。
    ただひとつ願うのはインドに興味関心を抱く方々が、安全に旅してたくさんの良い思い出(・・・といってもいろいろあるのかもしれませんが)を胸に帰ってくること、そして日本とインドの間の意識の上での距離が、これまでより少しでも近いものになってくれれば幸いです。

  13. SR says:

    >インドの都市は、ここ数年で飛躍的に経済>成長し、夜になっても人が歩ける地域が増>えてきた。夜11時や12時といった時間に女>の子が一人でメインロードを歩いているな>んて、ひと昔前では考えられなかったこと>だろう。
    今日は
    上記の文脈には違和感を感じているインド人です。  国の安全性・治安の良いなどは経済成長に関係しているのでしょうか。
    少し違うのではないでしょうか。
    またインドと良い国は広いですし、それぞれ街によって生き方も安全性も違うと思います。
    私の出身地のバンガロールは1990年代以前はとても治安がよくて安全な街でした。夜11時でも12でも散歩もできたし、MG Road等遊んで帰るのも楽しかった。
    交通手段は故障した場合には知らない人が送ってくれる場合もありました。(そのときも相手は一人や数人の男性ばかりだったら絶対さけていた。家族や女性がいた場合には安全ですね)しかし、今は夜11時など散歩は安全ではないし、airport road, mysore road等も安全ではありません。 女性にとっては一番危なくなっていますと思います。
    オオガタさんはどの町を想定しておっしゃっているかわかりませんが、経済成長と国の治安は関係しないと思います。日本人がよく惚れ込んでいる国アメリカはたぶんまだ世界?経済国と思いますが、アメリカは安全ですか?。女性に対しては治安がよいといえますか?。もちろんどこの国も治安がよい地域と治安が悪い地域があります。
     私の学生さんはインドに留学したいといってきた。理由はインドに行くと人生観はかわるらしい。 そんなロマンで良いのかと思いました。開発登上国と先進国はいろいろ違います。インドって宗教・哲学ばかりではありません。 その国を知りたいー悪い面も良い面も:気持ちで行けばよいと思います。私に宗教の話やら川にもくよくする話やらする人(教員)は少なくない。
    もちろん学生としてインドに留学のするのは一番お勧めしたいと思います。
      インド人は川の近くにあるお寺を訪問する時は川で沐浴することがあります。日本人がイメージしているような日常茶飯事ではありません。もちろん川の岸の近く生活するひとなら川での沐浴は便利でしょう。
    それから、行方不明になる日本人はなぜ行方不明になるかわかりません。外国に行くと気をつけるべきだと思います。インドの空港でも案内counterがあるはず。できるだけ政府観光局・鉄道・政府のバス停留所などを利用すべきと思います。サービスあまり良くないけど安全だと思います。
    行方不明になる日本人はインドで生活できるお金を持って行っているですか。
    何でも安いと思い込んでいるひとも少なくない。観光地域は日本人(back packers)が想像するようにやすくありません。
    現地の日本大使館やインド外国人関係の機関などの連絡先・電話番号・住所など持つべきと思います。
    それから変なことをやろうとくる日本人もすくなくない。(drug等)。やりたいほどやろう。インドでどんなことでもできる。どんなことしても周りの人は気にしない等など。そではありません。
      
    インドという国はおおらかに見えるが、厳しいルールがあります。 何やってもいいということはまずない。
    観光客(インド人・外国人)を騙そうとするひともいっぱいいます。  観光地に観光客としていくインド人も騙されるケースが多い。 これはけして外国人ばかりではありません。 値段が数倍に跳ね上がったり、suitcaseが無くなったり等。電車の隣から飲み物・食べ物貰わない。いろいろ気をつけないといけないですね。 
     はっきり言うと日本人が書くガイドブックをあまり参考するべからず。

  14. SR says:

    全bolgを読んで腹が立ってきました。
    ドラッグをやるためなら東京の渋谷や新宿で日本人が売っているところやればよいと思います。
    はなという人は書いたblogを読んでいたら、何かインドには人間が住んでいないかのように書いていますね。
    そもそも日本人の常識も価値観も世界には通じません。 日本人は人を手伝おうという気持ちはありません。冷たい人たちが多い。  いじめられていても知らないふりをする人が多い。
    それからもちろん日本法律はなぜ他の国通じるのでしょうか?
    インドにはインドの法律あります。  
    はなという方は何の目的でインドに行ったかわかりません。
    はな、あなた英語ができますか?
      日本は法律がありますか?  日本の中に生活する外国人は日本の法律に守られていますか?
    私から言わせれば日本は外国人には恐ろしいところです。 人種差別があるもののそれを裁く法律はありません。 民衆主義といいながら民主儀ではない。 それは日本に生活する“日本人”にはあるかも知れません。 外国人からたっぷり税金をとりながら差別が多い。 特に社会的な差別が多い。 日本のことを丁寧な文化とかいわれるけどそではありません。 丁寧さを演じているだけだと思います。
    はなという女性はどんな格好でインドに行ったか知りたい。何をしにインド行ったかわかりません。もう少し現地のインド人と接してみればあなたの考えが変わるよ。
    日本にできないことを外国でやろうと思う心にも問題があります。 日本の学校の教育に問題があります。
    日本のことを知りたがったら外国人に聞いてごらん。  どんなに恐ろしいかわかる

  15. ogata says:

    こんにちは。私も経済水準と治安の度合いは相関しないと、ずっと前から思っていますよ。国として総体的に豊かかどうかよりも、それとは違うもっと様々なものごとに起因する部分が多いことでしょう。本文中のご指摘の部分も、決してそういうことを言っているものではないと思います。
    先日は、趣旨とずいぶんずれた方向に話題が進んでいくようでしたので、ドラッグ云々という話はこのあたりで・・・とさせていただきました。
    その際にも書き込みいたしましたが、一個人として願いたいのは日本とインドの距離が、これまでより少しでも近いものになっていくことです。どちらの国にも素晴らしい面もあれば反対にそうともいえない部分もあることでしょう。法律はもちろん社会常識・規範といったところでも違うところは少なくありません。相互の行き来が増えてくれば、思いもよらない摩擦が生じてくることもあるのかもしれません。でもこのふたつの国とその人々が、急ぐことなく、しかし末永く良い関係を築いていければいいなと思っています。
    日本と何かの縁があって、あるいは何かをきっかけに日本に興味を持ち、この国とさまざまな関わりを持つインドの方々が増えてきていること(その反対も然り)をうれしく思います。日々必ずしも良いことばかりではないかとは思いますが、両国の人々の間に多くの経験や出会い等が数多く積み重なって、お互いの国に対する生きたイメージが次第に形成されていくのかもしれません。

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