World Cityは遠い・・・

 最近、タイムズ・オブ・インディア紙はデリーで「Chalo , Dilli – From Walled City to World City」というキャンペーンを行っている。
 「チャロー、ディッリー(Chalo, Dilli)」とは、インド国民軍(INA)総帥に就任したネータージー・スバーシュ・チャンドラ・ボースがインド独立を夢見て掲げたスローガンであり、「いざデリーまで進撃せん!」という勇ましいメッセージが込められている(「ディッリー」とはデリーのヒンディー語名)。だが、ここでは「そら行け!デリー」みたいなニュアンスで受け取っていいだろう。
 その次の「ウォールド・シティー(Walled City)」とは、「城壁で囲まれた都市」という意味で、元々はオールド・デリーのことを指す言葉だ。「ワールド・シティー(World City)」は「世界レベルの都市」と受け止めていいだろう。「ウォールド・シティーからワールド・シティーへ」、つまり、これは「ウォールド・シティー」と「ワールド・シティー」をかけた駄洒落であるが、ただの駄洒落だけに留まらず、デリーで英連邦スポーツ大会が開かれる2010年までにデリーを世界レベルの都市に変貌させよう、という夢に溢れたキャンペーンである。

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Chalo Dilli
From Walled City to World City


 さて、4月11日付けのタイムズ・オブ・インディア紙には、マーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティング社が毎年行っている「世界快適都市ランキング」が発表されていた。1位はスイスのチューリッヒ、2位は同じくスイスのジェネヴァ、3位はカナダのバンクーバーなど、名前を聞いただけで心が和むような都市が並ぶ。アジアの都市では、シンガポールが34位、東京は35位、香港は68位、韓国のソウルは89位、タイのバンコクは107位、中国の北京は122位であった。「ワールド・シティー」を目指しているデリーは何位かというと・・・全215都市中150位。う〜む、残念ながら、まだまだデリーは「ワールド・シティー」にはほど遠いようだ。
 だが、新聞記事の論調は悲観的というよりもむしろ楽観的であった。なぜなら、今までずっとデリーはムンバイーに負けていたのだが、今年のランキングではやっとムンバイーに並んだからだ。2003年のランキングでは、ムンバイーは156位、デリーは162位、去年のランキングでは、ムンバイーは151位、デリーは153位だったのに対し、今年のランキングではデリーとムンバイーは150位で並んだ。つまり、デリーはインドの都市の中で急速に快適度ランクを上げているのである。これもCNG(圧縮天然ガス)とメトロ(地下鉄)とフライオーバー(高架陸橋)のおかげであろう。ちなみに2006年のランキングでは、バンガロールは153位、チェンナイは160位であった。
 しかしながら、タイムズ・オブ・インディア紙の記事では、東京、シンガポール、香港は仕方ないとして、上海、北京、瀋陽などの中国の諸都市、クアラ・ルンプール、タイペイ、ソウル、テル・アヴィヴ、バンコク、マニラ、コロンボ、ジャカルタ、ホーチミンシティーなどのアジアの中堅諸都市にデリーが負けていることにいささか自尊心を傷つけられている印象を受ける。特に148位のホーチミンシティーに負けたことに納得していない様子だ(本当のところ、ホーチミンシティーとデリーを比べるとどうなのだろうか?)。その一方で、隣国パーキスターンの諸都市、イスラーマーバード(158位)、ラーハウル(164位)、カラーチー(171位)や、バングラデシュの首都ダッカ(200位)に勝ったことには胸を撫で下ろしている。
 どちらかというと白人の価値観で決められたランキングに必要以上にあたふたすることはないと思うが、今まで本当に世界の潮流から取り残された「Walled City」のような状態だったデリーが、「もっと世界レベルの都市に追いつかなければならない」と焦りを見せ始めていることはいい傾向なのではなかろうか?焦り過ぎるのはよくないが・・・。
 ところで、「Chalo, Dilli」キャンペーンの一環として、現在タイムズ・オブ・インディア紙では「デリーの合言葉」を募集している。曰く、「コールカーターは『City of Joy(歓喜の街)』、シンガポールは『My City In A Park(私の街、公園の街)』、ニューヨークは『I ♡ New York』という合言葉があるのに、デリーに合言葉がないのはおかしいから、みんなで知恵を出し合って考えよう」というものだ。その参考例として、同紙は以下のようなロゴを広告に出している。

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Rang De Dilli

 明らかに2006年公開の大ヒット映画「Rang De Basanti – A Generation Awakens」のパロディーである。「デリー色に染めろ!覚醒する街」みたいな意味になるだろうか。デリー色というと・・・オート・リクシャーの緑色と黄色を思い出してしまう・・・。そもそも、デリーをデリー色に染めてどうするのか?それとも「デリーを染めろ!」ということか?
 このキャンペーンには、デリーに住んでいる人なら誰でも応募できるみたいなので、誰かアイデアとデザインに自信のある人は応募してみたらどうだろうか?賞金は10万ルピー!僕は前々から「ABCDELHI」という合言葉を考えていたのだが、意味がなさすぎで採用されなさそうなので、躊躇している。はっきり言って、チャンドラ・ボースが考案し、タイムズ・オブ・インディア紙がキャンペーンのスローガンに掲げている「Chalo Dilli」がシンプルかつポジティヴで、一番いいような気もするが・・・。

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3 Responses to World Cityは遠い・・・

  1. ミドリンゴ says:

    これ面白い!記事とっといてくださいいい

  2. arukakat says:

    というか帰って来るんですか???
    今考えてたら分かったけど、「Rang De Dilli」って、「合言葉を考えて、デリーを彩ろう」みたいな意味ですね。

  3. ミドリンゴ says:

    明日帰ってきますよーーよろしくうう!!

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