デリーを1ヶ月楽しむ方法

 僕がまだ旅行者だったとき・・・デリーはただの通過点であった。
 デリーにはフマーユーン廟、クトゥブ・ミーナールという2つの世界遺産があり、その他にもラール・キラー、ジャーマー・マスジド、プラーナー・キラー、インド門などなど、魅力的な遺跡が散在している。コンノート・プレイスではマクドナルドのハンバーガーが食べられるし、映画館では最新のインド映画が上映されている。安宿街パハールガンジは騒々しくて汚ないが、慣れてしまうとけっこう快適だったりする。
 だが、僕にとって、そして多くの旅行者にとって、デリーは、なるべく早く通り過ぎたい、ただの通過点であった。
 しかし、時代は変わって来ている。情報の波の到来がインド旅行を、そしてデリー滞在の有様を変えようとしている。デリーはもはや、旅行者にとって通過点ではなくなりつつある。目的地になりつつある。
 もったいぶってしまったが、デリーに1ヶ月滞在しても退屈しないための、2つの情報源をここに紹介しようと思う。
 まずひとつめは、NGOのINTACH(インド芸術文化遺産国家基金)が昨年出版した「Delhi A Thousand Years of Building」というガイドブックである。

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Delhi A Thousand Years of Building

“Delhi A Thousand Years of Building”
Lucy Peck
ISBN: 8174363548
Subtitle: An Intach Roli Guide
Place of Publication: New Delhi
Publisher: Roli Books Pvt. Ltd.
Year of Publication: 2005


 この本の登場により、デリーはやっと「遺跡の街」の面目躍如の機会を得たと言っていいだろう。デリーには、上に挙げたメジャーな遺跡の他にも無数の遺跡が散在している。全く遺跡とは縁のなさそうな住宅街を散歩していても何らかの遺跡に遭遇するほどだ。多くの旅行者は、残念なことにそういうデリーの魅力的な一面を見ずにデリーを通過してしまう。「Delhi A Thousand Years of Building」には、デリー市内の、古代から現代にかけての600以上の遺跡・建築物が網羅されている。この本を読めば、どのように現在のデリーが形成されていったのかがよく分かるし、デリーのあちこちに散在しているマイナーな遺跡まで地図と写真付きで網羅されているので、遺跡巡り好きの人は旅心をくすぐられてやまないであろう。ただし、英語なので、ある程度英語の読解力が必要である。
 そしてもうひとつの情報源は、デリー日本人会が今年1月に発行した「Delhi Shopping Guide」だ。こちらも負けず劣らずすごい!デリー在住日本人に人気のデリーの店がエリア別、業種別で網羅されている他、主要マーケットの地図まで付いている。もぐりで経営している韓国料理レストランまで載っている!しかも、実際に利用した上での感想やコメントも添えられているので非常に参考になる。今最もホットなグルガーオンとノイダの情報まで付いている。駐在員マダムたちが中心になって作成したため、紹介されている店はちょっと偏りがあるが、ショッピングが好きな人はショッピング心をくすぐられてやまないであろう。ただし、情報は2005年11月のもの。あれからデリーのショッピング事情はまためまぐるしく変化してしまった(特にMCDによる違法店舗強制取壊しにより・・・)。ショッピング情報は情報の劣化が早いのが玉に瑕である。
 というわけで、遺跡とショッピングに興味のある人なら、「Delhi A Thousand Years of Building」と「Delhi Shopping Guide」さえあれば、1ヶ月はデリーを楽しむことができること請け合いである。その他、Eicherの「Delhi City Map」があるとさらに便利であろう。食に関しては、一応「Delhi Shopping Guide」に情報があるが、どちらかというとショッピング情報に重点が置かれているため、あまり十分とは言えない。「デリー食べ歩きガイド」みたいなものがあれば、デリー1ヶ月滞在は完璧だろう。あ、あと足らないのは、ナイトライフの手引きか・・・。
 ちなみに、「Delhi Shopping Guide」は、ニューデリー生活の手引きでも紹介した通り、基本的に日本人会入会者のみが入手できるが、デリー日本人会のウェブサイトでも閲覧できる。何を隠そう、ネットへのアップを担当しているのが僕なのである。「Delhi Shopping Guide」のネット用原稿が届いたのが3月末。あまりにデータ量が膨大なため、それを整理してネットにアップするまでに1週間以上の時間を費やしてしまった。その間、ほとんど「これでインディア」を更新できなかった・・・。
 ・・・今日の記事は、有益な情報のトピックに見せかけて、実はその苦労と達成感を吐露するための自己満足的な記事なのであった・・・。

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7 Responses to デリーを1ヶ月楽しむ方法

  1. Jeniffer says:

    本当にお疲れ様でした。とても分かり易くリンクされていて、ただただ感心。「Delhi Shopping Guide」は日本人会会員ですので持っています。実際にショッピングに行く時は、持ち運びの出来る冊子の方が便利なことは確かですが、このウェブサイトで充分かも。「Delhi A Thousand Years of Building」は是非見てみたいと思います。

  2. まー says:

    arukakatさん本当にありがとうございました!
    デリー日本人会のhpの存在も皆様にお知らせしなくてはと思います。
    食べ歩きは私たちには充分ですがarukakatさんには広い情報があるんですね。また教えてくださいね♪
    ナイトライフはbar系を入れてあると思いますが、誌面(主にページ数)の都合上調整してあるかもしれません。
    「Delhi A thousand years of building」500ルピー。私からもオススメします。去年購入した時に『これをもっと早く手に入れたかった・・』と残念に思いました。そしたら去年の出版だったんですか。以前に出会うはずないですね。表紙の写真が好きです。女性だけで行ったら塔に上らせてくれませんでした。
    とにもかくにも本当にお疲れ様でした!!!

  3. says:

     天沼俊一という建築学者が大正11年(1921)年、昭和11,12年(1935,6)年にそれぞれ3ヶ月インド、とは言っても今のインドじゃなくパキスタン、スリランカを含むインド帝国の版図ですが、旅した旅行記を読んでいます。今じゃ卒業旅行に(男)女学生でもちょっとインドに行ってきたのなんて、気軽に出かけますが、当時は船で何ヶ月もかけ印度へ、お付きの者を雇って、宿泊も政府のバンガローなんかに特別な許可を得て宿泊。たいへんな旅行でした。出費も大学生や一般人は不可能な額。そこまででなくとも、戦後まもなく荒松雄氏が渡った頃のインドが見てみたいが、今や写真のなかだけですね。
     この本も是非買ってみたいが、訪ねてはガッカリしたりして(Galibの墓みたいに)。

  4. arukakat says:

    「Delhi Shopping Guide」は、カーン・マーケット、スンダル・ナガル、サントゥシュティ、アンバワタ、1MGロードとかのオシャレなマーケットの比重が高いですよね。僕はそれらのマーケットにはほとんど行かないので、マダムたちとの興味や行動範囲の格差をひしひしと感じてしまいました。そして衣類、貴金属、アクセサリー、インテリア類の店の情報の充実度も僕の理解の範疇を越えていました・・・。
    食に関しては、特にホテル以外のインド料理レストランがまだまだ名店を網羅し切れていないのではないかと思いました。マダムたちはあまり外食しないのか、それとも外食はいつもホテルのレストランなのか・・・。北インド料理レストランと南インド料理レストランが区別されていなかったこともちょっと残念でした。ナイトライフは・・・もっと怪しい系のナイトライフのことです・・・ジョークで書きました。
    本当に疲れました・・・・。

  5. arukakat says:

    >イーさん
    >この本も是非買ってみたいが、訪ねてはガッカリしたりして(Galibの墓みたいに)。 
    どれだけ期待しているかに拠ると思いますが、保存状態のいいものはそれほど多くありません。ただ、「ここにかつて○○があったのか〜」と想像力を膨らませることができる人なら、この本を片手にデリーを散策するとかなり楽しいと思います。・・・もうデリーは気軽に散策できる気候ではなくなってますが・・・。
     現在読まれている本は、天沼俊一氏の「印度旅行記」でしょうか?入手はかなり困難だと思われますが・・・復刻版が出たというわけではないんですよね?

  6. says:

    でりーを散策するにはこんな本も出てましたが、
      Old Delhi;10 Easy Walks
    by Gaynor Barton et al,
    Rupa&Co.1988
    モデルコースの地図入りです。
      Delhi; Its Monuments and History
    by T.G.P.Spear
    Oxford Univ. Press 1997
    もありますね。
    天沼俊一の著作は『印度旅行記』ほかに『印度の建築』、『印度仏塔巡礼記』上・下(職場に置いてあって正確な題名不明)。元々知人に配る為に出版したので小部数でしょうが、いずれもインターネットの古書店で買いましたが、現在数千円です。伊東忠太のは復刻も出ていますね。
    田舎(都より北100km)に住んでるんでこっちは、近くの古書店で安く原本入手しましたが。

  7. says:

    MLBDから返事がメールで届いた。
    この本品切れだって。
    売れ行きいいみたい。
    まぁ、インドは品切れでも別な本屋に問い合わせれば、無きにしも非ずだけど。
    むかし、India Todayのある年のバックナンバー注文したら、どっかのラバースタンプ押してあるのをゴソット送ってきた。

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