オートワーリーを見た!

 リクシャーには三種類ある。手で引っ張って走るリクシャー、自転車で引っ張るサイクルリクシャー、そしてエンジンで動くオートリクシャーである。リクシャーに乗れる場所はインドでももう数少なくなっており、僕の知る限りでは、西ベンガル州コールカーターと、マハーラーシュトラ州のマーテーラーンぐらいにしかない。コールカーターのリクシャーは、もうすぐ禁止となってしまうかもしれない。サイクルリクシャーはどこでも乗ることができるが、デリーでは規制が強く、サイクルリクシャーの走行が禁止されている地域が南デリーを中心にけっこうある。オートリクシャーは、ちょっとした都会なら簡単に見つかるが、ド田舎に行くと見当たらなくなる。この他、やたらと前輪が前方に激しく突き出た、オートリクシャーの変形のような乗り物や、エンフィールドのバイクの裏にトラックの荷台をくっ付けたような乗り物も田舎に行くとよく見るが、これらはテンポと呼ばれている。

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グジャラート州ロータルで乗ったテンポ

 ところで、ヒンディー語では「〜する人」のことを「ワーラー」という。「アッチャー」と並んで、インドを旅行した人が必ず覚えるヒンディー語のひとつである。リクシャーを引く人は「リクシャーワーラー」、サイクルリクシャーをこぐ人は「サイクルワーラー」、オートリクシャーの運転手は「オートワーラー」または「イスクータルワーラー」などと呼ばれる。女性の場合は、「ワーリー」になる。
 


 ところで、今日なんと、「オートワーリー」を見てしまった。ここまで説明すればお分かりのように、「オートワーリー」とは女性のオートリクシャーの運転手のことである。リクシャーもサイクルリクシャーもオートリクシャーも、完全に男の仕事であり、男の職場である。デリーのオートワーラーの代名詞と言えば、出稼ぎ労働者、ビハーリー、ぼったくり、コミッション、パーン(噛み煙草)、グトカー(煙草の一種)、ビーリー(安煙草)、安映画館、安売春宿、ノー・プロブレム、メーター故障中、などなどだ。そこに女の入り込む余地は全くなさそうに見える。だが、昨今の女性の社会進出の一環なのか、遂にオートリクシャー運転手業界にも女性が進出したようだ。目撃場所は、オーロビンド・マールグとプレス・エンクレーヴ・マールグ(PVRアヌパム付近を通る道)の交差点である。残念ながら、進行方向が違ったために、後を追って行くことはできなかったが、あれは確かに女性であった。30代くらいで、ズボンとシャツを着ており、気性の荒そうな顔をしていた。オートリクシャーの外装、内装に特に目立った点はなく、ちょっとガッカリ。もっと女の子っぽいオートリクシャーのデザインになっていたりなんかしたら完璧だったのだが。
 実は、インドでオートワーリーを見たのはこれが初めてではない。僕が初めてオートワーリーを見たのは、2002年1月、タミルナードゥ州マドゥライにおいてである。マドゥライはタミルナードゥ州を代表する聖地ミーナークシー寺院の門前町であり、保守的なイメージがあったため、そこで女性のオートリクシャー運転手を見かけたことは大きな驚きであった。だが、通り過ぎざまにチラッと見かけただけなので、もしかしたら見間違いかもしれないと考えていた。あれから3年半・・・遂に今日、2人目のオートワーリーを見ることができ、確信が持てた。インドにオートワーリーは生息している!
 次なる目標はもちろんオートワーリーの運転するオートリクシャーに乗ることであるが、それはツチノコを捕まえるより難しそうだ。オートワーリーのオートリクシャーは信号待ちで止まっていたのだが、その周囲に停車中の自動車に乗っていたインド人たちも、オートワーリーをジロジロ見ていたので、多分彼らにとってもレアな存在だったのだろう。もしかしたらオートワーリーには、女性客しか乗せない、とかそういう信条があるかもしれない。オートワーリー探求の旅は今、始まったばかりである。

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6 Responses to オートワーリーを見た!

  1. 生捨 says:

    自分もこのニュースで女性オート運転手がいるのを知った時は、乳海攪拌のごとく常識がくつがえされた気分でした。(実際に見かけた事は無いですが…。)
    http://news.bbc.co.uk/2/hi/...

  2. arukakat says:

    素晴らしい!まさにドンピシャの記事ですね!さすが生捨さん!僕が見たのは、この記事に載っているデリー唯一のオートワーリーだった可能性が高いですね。この記事は1年前のものなので、その後オートワーリーは増えたかもしれませんが。是非、スニーター・チャウダリーさんのオートに乗ってみたい・・・。どこら辺が縄張りなんだろう・・・。

  3. 鈴笙亭 says:

    こんにちは。
    2000年の1月くらいに、チェンナイで女性運転手のオートリクシャーに乗りましたよ〜!
    どんなに上に見積もっても30が限度、多分もっと若い女性だったので、かなりビックリしました。(かわいらしい人でしたし)
    料金交渉も非常にスムーズにいき、インドでは希に見るほどの安全運転!
    あまりの幸運に、次の日の約束もしたら、何と!!5分前に現れたではありませんか!!スバラシイ!!
    ちなみに私は女性なので、「女しか乗せないのでは疑惑」については払拭できませんが、生息していることは保証します。
    頑張って探してくださいませ!

  4. ミキ says:

    ネパールの話で恐縮です。
     カトマンズには、オートワリーから身を起こし、その後手工芸産業の「女社長」になった有名人もいます。彼女の会社では、女性、身体障害者なども積極的に雇用され、社会的・経済的優良企業として諸外国でも表彰されています。
     また10年ほど前からは、電気自動車の乗り合いのオート(サファ・テンプー)の女性ドライバーが急増しています。独身女性、既婚女性、子供を抱え離婚した女性など身の上は様々ですが、気っぷ良く素敵な女性が多い印象があります。運転が丁寧なので、乗客からも人気があります。
     一方、元ミス・ネパールの女性が国内線パイロットとして活躍していたりして、ネパールでは国内線を中心に、女性パイロットも増大中です。
     今から5年前、カトマンズからNHKラジオの8時間生放送番組を出したとき、女性テンプー・ドラーバーさんと、ミス・ネパールのパイロットさんに出演いただいたコーナーを企画したりしました。
     インドとネパール。似ているようで違う社会ですが、共通する話題も多いですよね。

  5. arukakat says:

    続々とオートワーリーの情報が届いて嬉しく思います。既に乗車体験を済ませた方もいるとは驚き。タミル・ナードゥ州はオートワーリー多住地域なのでしょうか?ネパールに案外女性運転手が多いのも初耳でした。
    そういえば、愛知万博にはサイクルワーリーがいっぱいいたな・・・。

  6. AJ says:

    いつも楽しく、興味深く見させていただいています。オートワーラー(&リー)のお話もウキウキして読みました。私は、コーチンでオートワーリーに乗りました(確かマッタンチェリーのあたりだったと記憶しているのですが)。元気いっぱいの恰幅のいい肝っ玉母ちゃん!という感じの女性でした。町の人、オート仲間とも何やら元気に声を掛け合ってました。南方面には多くいるのでしょうかね。
    あと、デリーにて、ゴアにいそうで、イージーライダーの音楽が似合いそうな欧米の男性が運転していた、思わず目を奪われる粋なオートを見かけました。そうかー、こういう人生もあるんだなぁーって思いながら、走るオートを見えなくなるまで見てしまいました。
    またいろんなニュースを楽しみにしています。

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