車が潜水艦に・・・

 日本に一時帰国中のこと。まだインドから帰って来て2、3日経ったぐらいのときだった。友人と会う約束があり、朝起きて用意をしていた。さて、出かけようと思って外を見たら雨が降っていた。けっこう強い雨だった。すかさず僕は電話をして、「今日、雨だからやっぱ行くのやめる」と伝えた。そうしたら、「お前、何言ってるんだ」と怒られてしまった。そのときハッとした。ここは日本だったんだ・・・。このときの僕の発言はその友人をかなり怒らせてしまったようで、僕の非常識さを示すエピソードとして後から何度か引き合いに出されてしまった。
 インドにいると、雨の日に外に出かけることがかなり面倒になる。面倒というか、それは虫の知らせに近い不吉な感情である。特に僕はバイクで移動しているため、雨の日ほど外出が嫌な日はない。日本でも、雨の日にバイクで走行するのが好きな人は稀であろう。しかし、インドの道路状況を一度でも見ていただければ、僕が一体何を言っているのか、分かっていただけるのではなかろうか?
 下の写真は、8月17日付けのタイムズ・オブ・インディア紙に掲載されていたものである。

20050817-photo0058.jpg
穴があったら入りたい?
頭隠して尻隠さず?
縦3.6m、横1.5m、深さ1.2mの大穴にはまる自動車
どちらもグルガーオンのモール・ロード


 デリーはインドの中でも道路事情が比較的いい方の都市ではあるが、それでも悪いところはとことん悪い。特に大雨が降ったりすると最悪である。道は川となり、地下道は湖となり、舗装されていない場所は泥沼となる。交通渋滞も自ずと普段の2〜3倍の規模になる。そして、最も恐ろしいのは、突然道路の真ん中に大穴が開くことだ。いつもの通りなれた道でも、大雨が降ったりすると、ある日突然、ポッカリと大穴が開いていることがある。
 道が川となってしまうため、自動車もバイクもその水の中を、マフラーの中に水が入らないようにエンジンを吹かしながら走らなければならないのだが、水溜りの下に大穴があったりしたら悲劇である。水溜りの中を走行していたスクーターが突然潜水艦みたいに水中に消えて行った、なんていう目撃談が報告されているほどだ。上の写真を見ていただければ、これらの話がまんざら嘘ではないということが自ずと分かるだろう。これらの車は、水溜りの中を走行中に大穴にはまってしまった可能性が高い。そうでなくても、道路に突然こんな大穴が現れたら、避けて通るのは難しいだろう。TVゲームみたいに車がジャンプできたらまだ救いの道はあるのだが・・・。
 だから、僕は雨が降ったらなるべく外に出ないことにしている。時間に余裕があるときは、止むまで待つのが定石である。どうしても出なければならないときは、なるべく水溜りを避けて、地面の見えるところをゆっくりと走るようにしている。オートなどを使うという選択肢もあるが、オートはオートで大変なので、僕はバイクに乗って出かける方が気が楽だ。
 こういう生活が当たり前になってしまったため、つい日本でも雨が降っていると、「今日は約束キャンセルだな」と考えてしまう自分がいる。だが、日本で「雨が降ったら外出しない」なんていう考え方は、ハメハメハ大王の歌くらいにしか存在しないので、少なくとも日本にいる間は、その感覚を修正しなければ社会復帰は困難と言わざるをえないだろう・・・。
 ちなみに、下の写真は今年7月末に発生したムンバイー大洪水の写真である。文字通り、道が川になってしまっているが、内陸部にあるデリーは、さすがにこれほどの洪水に見舞われることはなさそうだ。

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ムンバイー大洪水

 下の写真もムンバイー大洪水のものである。

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洪水の中、傘をさして歩く人々

 TVで洪水の様子を見ていたときも思ったのだが、膝上まで水に浸かってびしょ濡れなのに、それでも傘をさしているところが不思議でしょうがなかった。雨の日に傘をさしたくなる人間の深層心理の表れであろうか?
 現在、ムンバイーやマハーラーシュトラ州は洪水の後遺症である伝染病の蔓延に悩まされている。州全体で既に250人近くの人が洪水起因の疫病により死亡しており、まだまだ死者数は増加しそうだ。洪水よりもこちらの方が厄介な問題であろう。

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